にわかオタクの雑記帳

にわかオタクがそのときハマっていることを書き殴るブログです 主にアニメ・ゲーム中心

DMCC

DM CrossCode ep-4th 巫女と弾丸-19

気力を奮い起こすように叫び、おもちゃの拳銃を手にした右腕を振り上げる。 ガキィ! と。 振り下ろされた刃と、振り上げられた銃が、真っ向から激突し、鍔迫り合いの恰好になる。 「何……!?」 白斗が驚きを顕わにする。黒の刀を受け止めているのは、拳銃の…

DM CrossCode ep-4th 巫女と弾丸-18

「な……!?」 混乱する思考で、背中を斬られたのだとかろうじて理解する。 傷口から血が飛び出し、焼けつくような痛みが走る。気を失わないことが不思議なほどの大きな傷だと感覚で分かった。 (後ろに仲間がいたのか!? けど、そんな気配は感じなかった――…

DM CrossCode ep-4th 巫女と弾丸-17

カチリ、とプラスチック特有の軽い音が鳴る。 瞬間、銃口から赤銅色の弾丸が放たれた。 赤星が使ったアナザーコード<電池メン>のような激しい光はない。 静寂の中で発射された弾丸は、空気を切り裂き、一直線に白斗へと向かう。 速度自体は、一般的な小型…

DM CrossCode ep-4th 巫女と弾丸-16

これまでも、創志は幾度となく敗北してきた。それでも、最後には大切なものを取り戻すことができた。巡って来たラストチャンスを逃さず、土壇場で勝ちを拾ってきた。 だが、今回は違う。 人の命は戻らない。例え強い力を持つサイコデュエリストが<死者蘇生…

DM CrossCode ep-4th 巫女と弾丸-15

「ぐっ……!」 そして、創志の脳がついに限界を迎えた。頭蓋が割れてしまわないことが不思議なほどの激しい痛みに襲われ創志はたまらず膝をついてしまう。 「くそっ……くそっ……!」 無理矢理にでも立ち上がろうとするが、体が言うことを聞かない。<ジオ・ジェ…

DM CrossCode ep-4th 巫女と弾丸-14

闇雲にモンスターを実体化させても、難なく倒されてしまい頭痛が激しさを増すだけだ。 焦りのせいなのか、回避のために踏み込んだ右足が、ずるりと滑る。裏面が濡れた落ち葉を踏みつけたせいで滑ったのだ。 (まずっ……!) 残った左足で踏ん張りどうにか倒れ…

DM CrossCode ep-4th 巫女と弾丸-13

「……最初に言っとくぜ。お前の攻撃から殺意を感じられなかったら、俺は容赦なく保根菜月を殺す」 「……<トライフォース>ッ!」 白斗の宣言に、創志は行動で応じる。 <A・ジェネクス・トライフォース>の右腕に装着された砲撃ユニットにエネルギーが充填さ…

DM CrossCode ep-4th 巫女と弾丸-12

「赤星さんッ!!」 ようやく事態が飲み込めた創志は、すぐさま倒れた赤星に駆け寄る。助け起こそうとして花月を背負ったままだったことに気付く。傍にあった太い木に花月の体を預けてから、うつ伏せの赤星を起こした。 「…………っ!」 一目見ただけで、深刻さ…

DM CrossCode ep-4th 巫女と弾丸-11

「事あるごとに拳銃をぶっ放す問題児。治安維持局の『狂犬』……平和な田舎暮らしを強制されて鬱憤が溜まってるだろ? 発散したいだろ? 違うとは言わせねえぜ。俺はさっきのアンタの顔、見てるからな」 「…………」 白斗の言う「さっきの顔」とはゾンビたちと戦…

DM CrossCode ep-4th 巫女と弾丸-10

「ハッハァ! 最高だぜェ!」 絶え間なくトリガーを引き続けながら、愚直に前進する赤星が、創志を追いぬく。 光の銃弾を受けて倒れたゾンビたちの体には、パチパチと弾ける電流が残存していた。それを見た創志はふと「レールガン」という単語を思い浮かべる…

DM CrossCode ep-4th 巫女と弾丸-9

「あら。おかえりなさい菜月ちゃん。両手に花ね」 「お、おばさん! からかわないでください!」 旧伊奈妻村に戻ると、ちょうど畑仕事から戻って来たらしい女性の出迎えを受けた。背負った籠には収穫してきた真っ赤なリンゴがたっぷりと詰まっている。 「で…

DM CrossCode ep-4th 巫女と弾丸-8

「はぁ!?」 今度は創志が驚く番だった。確かに互の元へ来たのは術式について教えてもらい、それを会得することが目的だったが、友達に「CD貸してやれ」くらいの気軽さで切り出す話題ではないと思っていたのだ。 「じゅつしき……? って何のことですか?」…

DM CrossCode ep-4th 巫女と弾丸-7

「見えました。あそこが互のおじいさんが住んでいる元休憩所です」 先導していた菜月が、坂の上にある建物を指差す。元々は丸太を組み合わせて建てられたログハウスだったのだろうが、所々に無骨な鉄板が打ち付けてあり、入口付近には壊れた家電製品から単な…

DM CrossCode ep-4th 巫女と弾丸-6

「……眠れねえ」 暗闇の中に浮かび上がる豆電球の明かりを見つめながら、創志はベッドの上で仰向けになっていた。長旅の疲れもあるしすぐに寝られると思ったのだが、色んなことが一度に起こったせいで、目が冴えてしまったらしい。それとも、自分は枕が変わる…

DM CrossCode ep-4th 巫女と弾丸-5

静謐な雰囲気をたたえた保根家の邸内は、面積に対して住人が少ないせいか、余計に広々と感じられた。年代物の桐箪笥や貼り替えられたばかりの真新しい障子など、家具や調度品も和風のものが目立つが、唯一リビングダイニングだけは、床はフローリングで海外…

DM CrossCode ep-4th 巫女と弾丸-4

「……言っとくけど、ちゃんと電気来てるんだからね。パソコンもある」 「マジで?」 「やっぱり疑ってた! アンタ都会っ子でしょ。雰囲気で分かる。あんまり田舎なめないでよね!」 「す、すまねえ」 花月の剣幕に圧され、思わず謝ってしまう。実際もっと田舎…

DM CrossCode ep-4th 巫女と弾丸-3

一通り事情聴取が終わり、ようやく解放された頃には、すでに太陽は姿を隠す直前で、辺りは暗くなり始めていた。街灯にはすでに明かりが灯り、心なしか昼間よりも浴衣姿の人が多く見える。伊奈妻温泉街は、徐々に夜の姿へと移り変わろうとしていた。 事件を起…

DM CrossCode ep-4th 巫女と弾丸-2

「ふざけんなよテメエ……誰に断ってそんなフザケタことしてんだ? オォ?」 人ごみの中から姿を現したのは、簡潔に表現するなら「ガラの悪い若者」だった。ロックバンドのメンバーのようなド派手な蛍光イエローの髪、片耳だけで十個以上は付いているであろう…

DM CrossCode ep-4th 巫女と弾丸-1

「読んで字のごとく、志を創り出す。それがお前の名前に込めた願いだよ」 いつだったかは思い出せないが、ずっと昔……まだ皆本家が幸せな毎日を送っていた頃。学校の宿題で自分の名前に込められた意味について調べることになり、父親である源治に尋ねると、そ…

DM CrossCode ep-2nd プロローグ-23

◆◆◆ 「すまなかった、シスター」 「……頭を上げてください、正義さん。私は大丈夫ですから」 「いや、今回の件は全て俺の責任だ。シスターを危険な目に合わせて……調査が不十分だった。すまない」 深々と頭を下げたまま、輝王は謝罪の言葉を重ねる。それでも、…

DM CrossCode ep-2nd プロローグ-22

だが、黒服の集団は一向に動きだす気配がない。 「ちょっと! 何やってる――」 怒りが頂点を通り越していたのだろう。地団駄を踏みながら叫んだ幸子だったが、その声が途切れる。 「…………あれ?」 彼女も気付いたのだ。現れた黒服の集団が、フェイク・ラヴァー…

DM CrossCode ep-2nd プロローグ-21

「さーて! 若様からエネルギーも補充してもらったことだし! バリバリ暴れるとしますか!」 肩の感触を確かめるようにぐるぐると回しながら前へと進み出た犬子は、両手を腰に当てて、薄い胸を逸らす。 彼女の前には、信じられないものを見たように立ち尽く…

DM CrossCode ep-2nd プロローグ-20

◆◆◆ 「……気に食わないわね」 屋敷中の人間を味方につけ、圧倒的な優位に立ちながらも、本性を現した長附幸子は不服そうだった。 「……何が?」 「あなたのその涼しい顔よ。場慣れしてるとでも言いたいわけ? 生きるか死ぬかの瀬戸際なんだから、もっと切羽詰…

DM CrossCode ep-2nd プロローグ-19

――それが、命を奪うために放たれたものなら、だが。 「このタイミングなら!」 ナイトコード<ゲイボルグ>の発動によって放たれる高速の突進は、普通に考えれば標的とのあいだを真っ直ぐに進んでいるはずだ。しかし、その軌道を目で追えない以上、確実にそ…

DM CrossCode ep-2nd プロローグ-18

◆◆◆ ゲイボルグ。 ケルト神話に登場する英雄クー・フーリンが、影の国の女王スカアハから授けられた槍の名であり、その能力については諸説あるが、いずれも刺された相手が致命傷を負っている点では一致している。 その刃で貫かれた者は、確実に命を落とす魔…

DM CrossCode ep-2nd プロローグ-17

「……は?」 戸惑いの声は、響矢と城里どちらの口から漏れたものだったか。 2人の困惑をよそに、はっきりと告げた幸子は、不敵な笑みを浮かべながら続ける。 「ま、城蘭側が持ちかけようとしてる取引の内容なんて、大方見当がついてるけどね。資金と人員を提…

DM CrossCode ep-2nd プロローグ-16

◆◆◆ 会場内が万雷の拍手に包まれ、ステージ上のイルミナ・ライラックは恥ずかしそうに頭を下げた。恥じるような演奏ではなかったと思うのだが、あの謙虚さもまた人気の秘密なのかもしれないな、と響矢は思った。 「……素晴らしい演奏でした。土下座までして頼…

DM CrossCode ep-2nd プロローグ-15

(コード<SC・ブレイカー>。あらゆる防御系の特殊能力を破壊し、一定時間使用不能にする技です。直接的なダメージはありませんが、これで<ストーン>や<ボム>が効くようになるはず) <SC・ブレイカー>。防御や回避のために用いられる術式や魔法・…

DM CrossCode ep-2nd プロローグ-14

(……とはいえ、周りの機械を壊さないように<SC・ボム>の威力を抑え目にしちゃいましたから、期待したほどのダメージは見込めないかもしれません。こないだも威力最大の<ボム>を二発食らわせたのに仕留められなかった<ギガンテック・ファイター>がい…

DM CrossCode ep-2nd プロローグ-13

(治安維持局の捜査官……!? なんでそんなやつがここで出てくるんですか!?) 城蘭金融の社員や、雇われたガードマンならまだ話は分かる。だが、現れた術式使いの男――輝王正義は、治安維持局の人間であることを明かした。嘘をついているのでは、という考え…