にわかオタクの雑記帳

にわかオタクがそのときハマっていることを書き殴るブログです 主にアニメ・ゲーム中心

DMCC

DM CrossCode ep-2nd プロローグ-12

貧しい家庭に生まれた犬子は、子供を育てる金銭的余裕がなかったせいで、すぐに孤児院へと預けられた。両親の顔は思い出そうとしても思い出せない。 犬子が預けられた孤児院は、表面上はごく普通だったものの、目の届かない裏では職員が子供たちに暴力を働く…

DM CrossCode ep-2nd プロローグ-11

城里が会社名を口にした途端、傍らに立つ犬子が緊張感を高める。彼は、響矢が人材派遣会社を経営していることを知っている。 「……なるほど。こちらの情報はすでに筒抜けってことですか」 「全てではありませんがね。この業界でやっていく以上、直接の関係は…

DM CrossCode ep-2nd プロローグ-10

◆◆◆ 夜がもたらす暗闇の中で燦然と輝く白亜の宮殿は、ここが科学の発展した近代都市、ネオ童実野シティであることを忘れさせるほどの存在感を放っていた。 シティの郊外に建てられた宮殿――城蘭金融本社は、社屋というよりも社長本人の豪邸といった趣が強く、…

DM CrossCode ep-2nd プロローグ-9

「それでね、響矢君。依頼のことなんだけど……」 「あ、はい」 とりあえず、過去をほじくり返すのは後回しにする。 「借金の形に持っていかれてしまったカードを取り戻してほしいとのことでしたね」 「そうなの」 幸子は神妙な顔つきになり、俯きながらため息…

DM CrossCode ep-2nd プロローグ-8

「時間は……3時15分前か。十分だな」 右手首に巻いた安物の腕時計で時刻を確認した響矢は、改めてカフェ・カナコに向かって歩き始める。 「……すっごい今さらですけど、依頼者と会うのにその服装でよかったんですか?」 すると、響矢の頭から足先までを胡散…

DM CrossCode ep-2nd プロローグ-7

「うーん……種田さんと西岡さんの派遣先は逆にした方がいいかもしれないな」 「何か問題が?」 「問題ってほどじゃないんだけどさ。種田さんの派遣先は奈良島組だろ? あそこは必要以上に内部に立ち入られるのを嫌う傾向があるから、気配り上手な種田さんの親…

DM CrossCode ep-2nd プロローグ-6

「……2人とも、よくもまあ朝っぱらからそんなもの食べられますね」 食卓についた犬子が、げんなりとしながら言う。こんがりと焼かれたトーストをぼそぼそとかじっているが、食べるペースは明らかに遅い。 「若の仕事は頭脳労働が多いからな。糖分はしっかり…

DM CrossCode ep-2nd プロローグ-5

◆◆◆ 響矢は、夢の中でPCのディスプレイを眺めていた。 夢だと分かるのは、自分が着たこともないアジアンテイスト漂う民族衣装を纏っており、純金で作られた豪奢な椅子に腰かけ、美女たちを侍らせているからだ。大きな葉っぱを団扇代わりにして仰がせ、琴の…

DM CrossCode ep-2nd プロローグ-4

苦痛を表に出さないようこらえながら、研里は低い声で第二幕への挑戦状を叩きつける。 が、犬子はそれに取り合わなかった。 「残念ですけど、今度のチェックメイトは揺るぎません。積んでいますよ、アナタ」 「……なんだと?」 「これ、見えます?」 そう言っ…

DM CrossCode ep-2nd プロローグ-3

ゴバッ! とコンクリートがめくれ上がるほど強く地面を蹴った<ギガンテック・ファイター>は、犬子に再接近。 「はやっ――」 <魔力カウンター>を投擲する隙を与えず、一気に攻勢に出る。 再び後方に飛び退こうとする犬子だったが、その背後には空き家があ…

DM CrossCode ep-2nd プロローグ-2

「お前はとっとと行け。この先に仲間が待ってるはずだ。ここにいると邪魔だからな」 「わ、分かった」 男は研里に気の効いた言葉をかけようとしていたようだが、結局何も思い付かなかったらしく、そのまま駆け出す。 「逃がさないですよ!」 敵であるメイド―…

DM CrossCode ep-2nd プロローグ-1

「くそっ……何なんだ……何なんだよアイツは!」 愚痴りながらも、男は懸命に足を動かす。背後から迫る「敵」から逃げるために。 抱きかかえた銀色のアタッシュケースには、今夜行われるはずだった取引の材料が収められていた。何百枚にも及ぶデュエルモンスタ…

デュエルモンスターズ CrossCode ep-8th プロローグ-26

「待って……待ってよ!」 めまぐるしく展開する目の前の出来事に翻弄されていた多栄だったが、ここでようやく制止の声を上げることができた。 「帰るって……いくらなんでも急すぎるよ! そんなの……」 クロガネは言っていた。まだ多栄に教わりたいことがあると…

デュエルモンスターズ CrossCode ep-8th プロローグ-25

「貴方の勝ちです。約束は守りましょう。非常に惜しくはありますが……生木院多栄は諦めます」 肩をすくめた守護者は、その証だと言わんばかりに多栄から離れる。守護者の動きを注視しながら、クロガネは多栄に駆け寄った。 「多栄さん! 大丈夫ですか? どこ…

デュエルモンスターズ CrossCode ep-8th プロローグ-24

「……うん」 状況は把握できなくても熱意は伝わったようで、多栄は唖然としながらも頷いてくれた。 「――大した自信ですね。なら、見せてもらいましょうか。<ライトエンド・ドラゴン>1体で何ができるのかを」 守護者の残りライフは3100。一撃で削りきるには…

デュエルモンスターズ CrossCode ep-8th プロローグ-23

◆◆◆ 自分は、誰かに必要とされたことがあっただろうか。 深海を思わせるような闇に沈み、感覚のほとんどが遮断されている中で感じる、穏やかな波に揺られているような心地よさ。それに身をゆだねながら、多栄はふと思う。 恵まれた家に生まれた多栄だったが…

デュエルモンスターズ CrossCode ep-8th プロローグ-22

「ナンバーズ……」 クロガネは、この世界に来て初めてエクシーズモンスターというものを知った。そのため、多栄や真琴から教わったものと、ショップ大会で対戦相手が使用したモンスターしか見たことがないが……誰も<№>と呼称されるエクシーズモンスターにつ…

デュエルモンスターズ CrossCode ep-8th プロローグ-21

「……今度はちゃんと出せたみたいですね」 「今度」を強調しながら、守護者はベンチに横たわる多栄へと視線を移す。<聖刻神龍―エネアード>は、彼女のエースであり切り札であるモンスターだ。 (このターンで決めるには、リリースするモンスターが足りない………

デュエルモンスターズ CrossCode ep-8th プロローグ-20

「これで貴方のフィールドにモンスターはいなくなりました。バトルフェイズに入り、ダイレクトアタックを行いますが……伏せカードの発動は?」 「……いいえ」 「――そうですか。なら、神獣の炎をその身に受けていただきましょう。今度はご自慢の剣で防ぐことは…

デュエルモンスターズ CrossCode ep-8th プロローグ-19

「私が先攻をもらいますよ。ドロー」 生木院多栄の存亡をかけたデュエルは、守護者の先攻で幕を開けた。 「……そうですね。まずは『竜王』の弟子のお手並み拝見といきますか。モンスターをセット。カードを1枚伏せてターンエンドです」 フィールドに現れる2…

デュエルモンスターズ CrossCode ep-8th プロローグ-18

「ギギギィ!」 「……ッ!?」 間にあったのは奇跡に近い。背後から感じた異形の気配に、クロガネは急速で体を反転させる。直後、間近まで迫っていた鳥人間の爪が振り下ろされた。 ガキィッ! と鈍い音が響く。漆黒の大剣で爪撃を防いだものの、バランスを崩…

デュエルモンスターズ CrossCode ep-8th プロローグ-17

◆◆◆ 「おや、クロガネ君」 「真琴さん……」 多栄の住む高層マンションのエントランス。今まさに多栄の部屋番号をプッシュしようとしていたクロガネを見かけた真琴は、驚かせないように隣に並んでから声をかけた。 「君がここにいるってことは……納得のいくデッ…

デュエルモンスターズ CrossCode ep-8th プロローグ-16

◆◆◆ やってしまった。 生木院多栄は、生涯最大級の後悔に見舞われていた。 最悪の目覚めだった。髪はいつも以上にボサボサだし、寝ているあいだに泣いてしまったらしく瞼は腫れあがり目は充血していた。全身が鉛のように重く、腕を動かすことすら相当な気力…

デュエルモンスターズ CrossCode ep-8th プロローグ-15

「なんで<エネアード>を出さなかったの?」 表彰式が終わり、準優勝者に送られたショップオリジナルのカードパックを手に戻ってきたクロガネに、多栄は開口一番にそう告げた。 「気付かなかったとは言わせないわよ。あの状況なら<エネアード>を出すこと…

デュエルモンスターズ CrossCode ep-8th プロローグ-14

◆◆◆ 「やれやれ……これ以上続けていても平行線ですね。ここはこちらが譲歩するしかありませんか。罪人とはいえ、人を殺したくはありませんし」 大袈裟に肩をすくめた白いローブの男が、手袋をはめた右手で器用に指を鳴らして見せる。途端、灼熱の波動を振りま…

デュエルモンスターズ CrossCode ep-8th プロローグ-13

結果だけ述べると、真琴の辛勝といったところだ。実力の拮抗した2人のデュエルは白熱し、最後までどちらが勝ってもおかしくない展開だった。 「くそー……あとちょっとだったのに……悔しいです」 「こっちも危なかった。最後のクロガネ君のターンであともう1…

デュエルモンスターズ CrossCode ep-8th プロローグ-12

「ただいまーっと……ん?」 家に入った途端、異変に気付く。玄関からリビングまで続くフローリングの床が、水浸しになっているのだ。 「た、多栄さん!? あわわすぐに片付けないと――ってわぁ!」 リビングのほうからクロガネの声がしたかと思うと、ドンガラ…

デュエルモンスターズ CrossCode ep-8th プロローグ-11

「ぐ~すぴ~……まもる……むにゃむにゃ」 リビングのソファで熟睡しているクロガネを見ていると、不思議と心が安らいだ。 眠気を我慢していたのか緊張の糸が切れたからか、夕食を食べている最中に舟を漕ぎ始めたクロガネは、風呂にも入らずにそのまま寝てしま…

デュエルモンスターズ CrossCode ep-8th プロローグ-10

「はぁ……<ラビードラゴン>をデッキに入れたことはまだいいとしても、あのプレイングは頭の中身を疑うわ。さっきまではちゃんとあたしが言った通りにできてたのに、何で急にあんなことしたの?」 「だって……やっぱり好きなモンスターで戦いたいじゃないです…

デュエルモンスターズ CrossCode ep-8th プロローグ-9

多栄から白い枠のカードを受け取ったクロガネは、「あれ?」と困惑した声を出していたが、やがて「そういうことなのかな……」と自己完結したようだ。 「これはオリジナルカードじゃないですけど……この世界で使えないのは分かりました。なら、デッキの構築を変…