にわかオタクの雑記帳

にわかオタクがそのときハマっていることを書き殴るブログです 主にアニメ・ゲーム中心

デュエルモンスターズ CrossCode ep-8th プロローグ-24

「……うん」
 状況は把握できなくても熱意は伝わったようで、多栄は唖然としながらも頷いてくれた。
「――大した自信ですね。なら、見せてもらいましょうか。<ライトエンド・ドラゴン>1体で何ができるのかを」
 守護者の残りライフは3100。一撃で削りきるには多すぎる数値だ。
 それなら、削りきるまで攻撃すればいい。
「行きます! 魔法カード<孤高の進撃>を発動! 自分フィールドにモンスターが1体のみ存在し、相手フィールド上に2体以上モンスターがいるとき、自分のモンスターを選択して発動します! 選択したモンスターは、このターンのバトルフェイズで2回攻撃できます!」

<孤高の進撃>
通常魔法(オリジナルカード)
このカードは、相手フィールド上に表側表示のモンスターが2体以上存在し、
自分フィールド上にモンスターが1体しか存在しないとき、
自分フィールド上のモンスター1体を選択して発動できる。
選択したモンスターは、このターンのバトルフェイズで2回攻撃できる。
選択したモンスターが戦闘を行うことで発生した相手への戦闘ダメージは半分になる。

 <ライトエンド・ドラゴン>の王冠に埋め込まれた宝玉が輝き、そこからさらなる力を供給された白き竜が咆哮を上げる。
「ただし、この効果を受けたモンスターが戦闘を行うとき、相手に与える戦闘ダメージは半分になります。僕は<ライトエンド>を選択」
「……チェーンはありません。第一、私の場に伏せカードはありませんしね。貴方の攻撃を正面から受ける覚悟は出来ています。もっとも、このターンで私を仕留めきれない場合、次のターンで貴方を倒す覚悟も出来ていますがね」
 口調こそ今までと変わらなかったが、守護者の声には先程まではなかった凄みを感じる。「命を取らない」という言葉を撤回するのではないかと思うほどに。
 それでもクロガネは前に進むことをやめない。生木院多栄を、もう一度師匠と呼ぶために、負けるわけにはいかない。
「――バトルフェイズ! <ライトエンド・ドラゴン>で<聖刻神龍-エネアード>を攻撃!」
 白き竜から眩い光が放たれ、視界を白く染め上げる。
「<ライトエンド>の効果発動! 自身の攻撃力を500ポイント下げることで、相手モンスターの攻撃力を1500ポイントダウンさせます! ライト・イクスパンション!」
 自分とは異なる輝きに気圧され、<聖刻神龍-エネアード>が低く唸る。
 生まれた隙を、白き竜は逃さなかった。
「――<エネアード>は返してもらいます! シャイニングサプリメイション!」
 胸の宝玉がさらに輝きを放つ。それは、敵の戦意と体を浄化する聖なる光。強すぎる輝きは、<ライトエンド・ドラゴン>自身の体も蝕んでいく。
 <聖刻神龍-エネアード>が光の中に溶け、消える。

【守護者LP3100→2800】

(ごめん……次はもっとちゃんと使ってみせるから)
 自分の墓地に送られた<聖刻神龍-エネアード>に心中で謝ったあと、クロガネは次なる敵を見据える。
 <№11 ビッグアイ>――あれを倒さなければ、クロガネの勝利はない。
「続けていきます! <ライトエンド>!」
 主人の気迫に応えるように、白き竜が大きな咆哮を上げる。
「<ビッグアイ>を攻撃! <ライトエンド>の効果を使って攻撃力を下げます!」
 これで、<№11 ビッグアイ>の攻撃力は1500ポイントダウンし、1100。
 対し、<ライトエンド・ドラゴン>は二度の効果発動で攻撃力が合計1000ポイントダウンしているが、<№11 ビッグアイ>よりは高い。
「シャイニングサプリメイション!」
 再び溢れた白い光が、守護者の切り札を呑みこみ――
 その体を、微塵も残さず浄化した。

【守護者LP2800→2550】

「――これで、終わりですか?」
 激しい攻防の余韻が漂うフィールドで、守護者が失望したように呟く。
 <孤高の進撃>の効果を受けた<ライトエンド・ドラゴン>の2回攻撃によって、<聖刻神龍-エネアード>と<№11 ビッグアイ>を倒すことには成功した。
 だが、与えた戦闘ダメージは微々たるものであり、守護者を敗北に追い込むまでは到底至らない。さらに、<ライトエンド・ドラゴン>の攻撃力は1600ポイントまでダウンしており、下級アタッカーにすら及ばない有様となっている。
 クロガネの場に伏せカードはなく、手札は残り1枚。
 逆転はした。しかし、勝負を決めることはできなかった。
「クロガネ……」
 多栄が不安そうな声を漏らす。このデュエルには、彼女の命がかかっていた。

 だからこそ、最後を飾るのにこれほどふさわしいカードはないだろう。

「――はい。これで、終わりです! 速攻魔法<銀龍の轟砲>を発動! 墓地のドラゴン族通常モンスター1体を特殊召喚します!」

<銀龍の轟砲>
速攻魔法
自分の墓地のドラゴン族の通常モンスター1体を選択して特殊召喚する。
「銀龍の轟咆」は1ターンに1枚しか発動できない。

「なっ……!? まさか、そんなカードを残しているとは――」
 デュエルディスクの墓地ゾーンから、クロガネが選択したカードが飛び出す。まるで、戦場を飛ぶことを待ちわびていたかのように。

「さあ、行こう。一緒に多栄さんを助けるんだ! <ラビードラゴン>を特殊召喚!」

 現れたのは、雪原に住むドラゴンの突然変異種。兎のような長い耳と、白い体毛を纏った奇妙な竜。
 多栄のお気に入りでありながらも、<神龍の聖刻印>や<青眼の白龍>と比べられ、性能が劣ることからデッキアウトしていたカード。
 そして、クロガネが一目惚れし、ずっとデッキに入れていたカードだ。

<ラビードラゴン>
通常モンスター
星8/光属性/ドラゴン族/攻2950/守2900
雪原に生息するドラゴンの突然変異種。
巨大な耳は数キロ離れた物音を聴き分け、
驚異的な跳躍力と相俟って狙った獲物は逃さない。

「<ラビードラゴン>でダイレクトアタック!」
 溜め込んでいた元気を爆発させるかのように高跳びした<ラビードラゴン>は、守護者に向けて急降下ダイブを繰り出す。
 白く丸まった体が激突し、守護者の体が宙に投げ出され――
「……なるほど。らしい幕切れです」
 彼のライフが、尽きた。

【守護者LP2550→0】