にわかオタクの雑記帳

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デュエルモンスターズ CrossCode ep-8th プロローグ-22

「ナンバーズ……」
 クロガネは、この世界に来て初めてエクシーズモンスターというものを知った。そのため、多栄や真琴から教わったものと、ショップ大会で対戦相手が使用したモンスターしか見たことがないが……誰も<№>と呼称されるエクシーズモンスターについて触れていなかった。
 つまり、この世界を守護する者のみが使用を許された、特別なモンスターということだ。
「別の世界ではとある人物の記憶の欠片として扱われているようですが、ここでは守護者が操る切り札、といった位置付けなのですよ。<№>は。まあエクシーズが存在しない世界から来た貴方には、違いがよく分からないでしょうがね」
 守護者の言う通り、クロガネには<№11 ビッグアイ>が、他のエクシーズモンスターとどう違うのかは分からない。だが、見ているだけで悪寒が走るような圧迫感を漂わせていることは、はっきりと認識していた。
「――では、<ビッグアイ>の力を見せつけてあげましょう! 私はエクシーズ素材を1つ取り除き、<ビッグアイ>の効果発動!
 周囲を回転していた光の玉――エクシーズ素材を吸収した<№11 ビッグアイ>の瞳が、赤紫色に光る。そこから発せられた不可視の波動が、クロガネのフィールドに鎮座していた<聖刻神龍-エネアード>を包み込む。
「なっ――<エネアード>!?」
 すると、<聖刻神龍-エネアード>は呻き声を上げながら苦しそうに全身を戦慄かせる。
 その動作が収まったかと思うと、橙色だった神龍の瞳が血のように真っ赤に染まり、翼を広げて飛翔する。着地した場所は、守護者のフィールドだった。
「お前! <エネアード>に何をした!?」
「ルールを犯したわけではありませんよ。これこそが<ビッグアイ>の効果なのです。エクシーズ素材を1つ取り除くことで、相手フィールド上のモンスターを選択し、そのモンスターのコントロールを得る。<ビッグアイ>の魔眼に魅了された<エネアード>は、もう貴方のフィールドに戻ることはありません」

<№11 ビッグアイ>
エクシーズ・効果モンスター
ランク7/闇属性/魔法使い族/攻2600/守2000
レベル7モンスター×2
1ターンに1度、このカードのエクシーズ素材を1つ取り除き、
相手フィールド上のモンスター1体を選択して発動できる。
選択したモンスターのコントロールを得る。
この効果を発動するターン、このカードは攻撃できない。

 コントロール奪取。破壊や除外、バウンスよりも厄介な処理手段だ。何しろ、勝つために呼びだした強力なモンスターを、そのまま相手に使われてしまうのだ。自分のモンスターにやられるという点では、精神的なダメージも計り知れない。
 しかも、<№11 ビッグアイ>の効果は永続。例え<№11 ビッグアイ>を倒したとしても、<聖刻神龍-エネアード>の洗脳は解けることがない。
(多栄さんのモンスターを奪われるなんて……僕は何をやってるんだ!)
 墓地の<ブレイクスルー・スキル>が使えたら、とクロガネはもどかしさで唇を噛む。竜王の象徴ともいうべきモンスターを守護者に使われるなんて、弟子としてあり得ないほどの失態だ。この汚名は、勝つことで晴らさなくてはならない。
「さて。貴方にとっては酷かもしれませんが、すでに<エネアード>は私のものです。遠慮なく使わせてもらいますよ。<エネアード>の効果発動!」

<聖刻神龍-エネアード>
エクシーズ・効果モンスター
ランク8/光属性/ドラゴン族/攻3000/守2400
レベル8モンスター×2
1ターンに1度、このカードのエクシーズ素材を1つ取り除いて発動できる。
自分の手札・フィールド上のモンスターを任意の数だけリリースし、
リリースしたモンスターの数だけフィールド上のカードを破壊する

「――――ッ!」
 <聖刻神龍-エネアード>は効果発動宣言後、全てのカード処理が終わった後でリリースするモンスターの数を決定し、その枚数分だけカードを破壊できるので、チェーンして効果を発動するならこのタイミングしかない。クロガネは迷わず伏せカードの起動ボタンを押した。
「罠カード<和睦の使者>を発動します! このターン、相手から受ける戦闘ダメージは全て0になり、僕のモンスターは戦闘では破壊されません!」

<和睦の使者>
通常罠
このカードを発動したターン、相手モンスターから受ける
全ての戦闘ダメージは0になる。
このターン自分のモンスターは戦闘では破壊されない。

「……この局面まで残していましたか。<エネアード>のコントロール奪取を想定していたとは思えませんが、それでもさすがですね。なら、<ガルドニクス>をリリースして<迅雷の騎士ガイアドラグーン>を破壊します!」
 神龍の咆哮と共に、翼の先端から無数の光条が放たれる。
 その内の1本が<迅雷の騎士ガイアドラグーン>の上半身を貫いた。両断されなかっただけでも奇跡というべき傷だったが、もはや戦闘を継続できるような状態ではなく、竜を駆る騎士は砕け散って戦場から去る。
 標的の定まらなかった光条が次々とフィールドに着弾し、衝撃波が巻き起こる。余波を受けたクロガネは、吹き飛ばされないよう必死に踏みとどまる。これ以上無様な姿は見せられない。
「これで貴方のフィールドはがら空きですが……<和睦の使者>の効果が適用されている以上、攻撃は無駄ですね。私はターンを終了します」
 クロガネに残された手札は3枚。この3枚と次のドローで、形勢を逆転できるだけの手を打たなければ――
(――いいや! そんな考えじゃダメだ! 次の僕のターンで決着をつける! それくらいの気持ちで臨まないと、勝てっこない!)

【守護者LP3100】 手札1枚
場:聖刻神龍-エネアード(攻撃・素材1)、№11 ビッグアイ(攻撃・素材1)
【クロガネLP1300】 手札3枚
場:なし