デュエルモンスターズ CrossCode ep-8th プロローグ-20
「これで貴方のフィールドにモンスターはいなくなりました。バトルフェイズに入り、ダイレクトアタックを行いますが……伏せカードの発動は?」
「……いいえ」
「――そうですか。なら、神獣の炎をその身に受けていただきましょう。今度はご自慢の剣で防ぐことは許しませんよ?」
これは実戦ではなくデュエルだ。防ぐならカードの効果で防げ――守護者の言葉を理解したクロガネは、グッと歯を食いしばる。
(このカードは、まだ使えない)
伏せカードの発動は、最善で最大級の効果が得られるタイミングを見極めるべし……これも多栄から教わったことだ。この状況での発動は、まだ最善ではない。
「行きなさい、<ガルドニクス>。神炎烈破!」
クアアアアアッ! と泣きながら上体を逸らした巨鳥は、首を振り下ろしながら炎を吐き出す。烈火のごとく迫りくる炎を、クロガネは正面から受け止める他なかった。
「うわああああああああああっ!」
炎を実体化させたわけではない。だからといって、これはデュエルディスクから伝わる衝撃だけでは説明がつかない。体を内側から焙られるような痛み。比喩ではなく血液が沸騰し、破裂してしまいそうな感覚に襲われ、クロガネは声を抑えられなかった。
「……いいえ」
「――そうですか。なら、神獣の炎をその身に受けていただきましょう。今度はご自慢の剣で防ぐことは許しませんよ?」
これは実戦ではなくデュエルだ。防ぐならカードの効果で防げ――守護者の言葉を理解したクロガネは、グッと歯を食いしばる。
(このカードは、まだ使えない)
伏せカードの発動は、最善で最大級の効果が得られるタイミングを見極めるべし……これも多栄から教わったことだ。この状況での発動は、まだ最善ではない。
「行きなさい、<ガルドニクス>。神炎烈破!」
クアアアアアッ! と泣きながら上体を逸らした巨鳥は、首を振り下ろしながら炎を吐き出す。烈火のごとく迫りくる炎を、クロガネは正面から受け止める他なかった。
「うわああああああああああっ!」
炎を実体化させたわけではない。だからといって、これはデュエルディスクから伝わる衝撃だけでは説明がつかない。体を内側から焙られるような痛み。比喩ではなく血液が沸騰し、破裂してしまいそうな感覚に襲われ、クロガネは声を抑えられなかった。
【クロガネLP4000→1300】
「うっ……ぐ……」
やがて炎が消え、クロガネの体を冷たい風が撫でる。季節はまだ夏といっても過言ではないくらい暑く、風も湿気を含んだ生ぬるいものだったが、それでも冷たく感じてしまうほどの灼熱に襲われていたのだ。クロガネはふらつく体を気力だけで立て直し、守護者を睨む。
「本来なら、貴方は即刻処刑されていてもおかしくない立場なのです。これくらいの余興は、許されるべきでしょう?」
「…………」
「答えるほどの気力は残っていませんか。私はカードを2枚伏せて、ターンエンドです」
守護者の場に2枚の伏せカードが現れ、ターンが終了する。
痛みには耐えた。なら、次はこちらの番だ。
やがて炎が消え、クロガネの体を冷たい風が撫でる。季節はまだ夏といっても過言ではないくらい暑く、風も湿気を含んだ生ぬるいものだったが、それでも冷たく感じてしまうほどの灼熱に襲われていたのだ。クロガネはふらつく体を気力だけで立て直し、守護者を睨む。
「本来なら、貴方は即刻処刑されていてもおかしくない立場なのです。これくらいの余興は、許されるべきでしょう?」
「…………」
「答えるほどの気力は残っていませんか。私はカードを2枚伏せて、ターンエンドです」
守護者の場に2枚の伏せカードが現れ、ターンが終了する。
痛みには耐えた。なら、次はこちらの番だ。
【守護者LP4000】 手札2枚
場:炎王神獣 ガルドニクス(攻撃)
【クロガネLP1300】 手札4枚
場:伏せ1枚
場:炎王神獣 ガルドニクス(攻撃)
【クロガネLP1300】 手札4枚
場:伏せ1枚
「僕のターン……」
<炎王神獣 ガルドニクス>はカードの効果によって破壊され墓地に送られた場合、次のスタンバイフェイズに特殊召喚されフィールド上のモンスターを全て破壊する。もしこちらからカード効果を使って破壊するなら、そのターンで決着をつける必要がある。
「魔法カード<トレード・イン>を使います。手札のレベル8モンスター<ラビードラゴン>を1体捨てて、カードを2枚ドローします」
<炎王神獣 ガルドニクス>はカードの効果によって破壊され墓地に送られた場合、次のスタンバイフェイズに特殊召喚されフィールド上のモンスターを全て破壊する。もしこちらからカード効果を使って破壊するなら、そのターンで決着をつける必要がある。
「魔法カード<トレード・イン>を使います。手札のレベル8モンスター<ラビードラゴン>を1体捨てて、カードを2枚ドローします」
<トレード・イン> 通常魔法 手札からレベル8モンスター1体を捨てて発動できる。 デッキからカードを2枚ドローする。
ドローした2枚のカードは、どちらも<炎王神獣 ガルドニクス>攻略に欠かせないカード。
「――行きます! 僕は手札から<聖刻龍-トフェニドラゴン>を特殊召喚! このカードは、相手フィールドにのみモンスターが存在するとき、手札から特殊召喚できます!」
「――行きます! 僕は手札から<聖刻龍-トフェニドラゴン>を特殊召喚! このカードは、相手フィールドにのみモンスターが存在するとき、手札から特殊召喚できます!」
<聖刻龍-トフェニドラゴン> 効果モンスター 星6/光属性/ドラゴン族/攻2100/守1400 相手フィールド上にモンスターが存在し、 自分フィールド上にモンスターが存在しない場合、 このカードは手札から特殊召喚できる。 この方法で特殊召喚したターン、このカードは攻撃できない。 このカードがリリースされた時、 自分の手札・デッキ・墓地からドラゴン族の通常モンスター1体を選び、 攻撃力・守備力を0にして特殊召喚する。
<聖刻龍-シユウドラゴン> 効果モンスター 星6/光属性/ドラゴン族/攻2200/守1000 このカードは自分フィールド上の 「聖刻」と名のついたモンスター1体をリリースして手札から特殊召喚できる。 1ターンに1度、このカード以外の自分の手札・フィールド上の 「聖刻」と名のついたモンスター1体をリリースする事で、 相手フィールド上の魔法・罠カード1枚を選択して破壊する。 このカードがリリースされた時、 自分の手札・デッキ・墓地からドラゴン族の通常モンスター1体を選び、 攻撃力・守備力を0にして特殊召喚する。
召喚権を一度も使わずに、攻撃可能な半上級モンスターを呼び出すことに成功する。が、それよりも重要なのはモンスターのリリースを行ったことだ。
「<トフェニドラゴン>がリリースされたことで、効果が発動! デッキ、手札、墓地からドラゴン族の通常モンスターを1体選択し、特殊召喚します。僕が選ぶのはデッキの<エレキテルドラゴン>!」
「<トフェニドラゴン>がリリースされたことで、効果が発動! デッキ、手札、墓地からドラゴン族の通常モンスターを1体選択し、特殊召喚します。僕が選ぶのはデッキの<エレキテルドラゴン>!」
<エレキテルドラゴン> 通常モンスター 星6/光属性/ドラゴン族/攻2500/守1000 常に電気を纏い空中を浮遊するドラゴン。 古代より存在し、その生態には未だ謎が多いものの、 古のルールにより捕獲は禁止されている。
「光属性レベル6のモンスターですか……なるほど。貴方の狙いが見えてきましたよ」
「それなら、あなたの狙いも探らせてもらいます! <シユウドラゴン>の効果発動! 手札の<聖刻龍-アセトドラゴン>をリリースして、伏せカードを1枚破壊します!」
「それなら、あなたの狙いも探らせてもらいます! <シユウドラゴン>の効果発動! 手札の<聖刻龍-アセトドラゴン>をリリースして、伏せカードを1枚破壊します!」
<聖刻龍-アセトドラゴン> 効果モンスター 星5/光属性/ドラゴン族/攻1900/守1200 このカードはリリースなしで召喚できる。 この方法で召喚したこのカードの元々の攻撃力は1000になる。 1ターンに1度、フィールド上のドラゴン族の通常モンスター1体を選択して発動できる。 フィールド上の全ての「聖刻」と名のついたモンスターのレベルは エンドフェイズ時まで選択したモンスターと同じレベルになる。 また、このカードがリリースされた時、 自分の手札・デッキ・墓地からドラゴン族の通常モンスター1体を選び、 攻撃力・守備力を0にして特殊召喚する。
クロガネが手札の<聖刻龍-アセトドラゴン>を墓地に送ると、<聖刻龍-シユウドラゴン>の周囲に光の玉が出現する。「ガアッ!」と龍が雄叫びを上げると、光の玉はボールのように放たれ、守護者の伏せカードへと向かい、弾けた。その衝撃で伏せカードが砕け散る。
「破壊したカードは――」
「<炎王の急襲>。有用なカードではありますが、この状況では腐るだけですね」
「破壊したカードは――」
「<炎王の急襲>。有用なカードではありますが、この状況では腐るだけですね」
<炎王の急襲> 通常魔法 相手フィールド上にモンスターが存在し、 自分フィールド上にモンスターが存在しない場合に発動できる。 デッキから炎属性の獣族・獣戦士族・鳥獣族モンスター1体を特殊召喚する。 この効果で特殊召喚したモンスターの効果は無効化され、 エンドフェイズ時に破壊される。 「炎王の急襲」は1ターンに1枚しか発動できない。
<神龍の聖刻印> 通常モンスター 星8/光属性/ドラゴン族/攻 0/守 0 謎の刻印が刻まれた聖なる遺物。 神の如く力を振るった龍の力を封じた物と伝承は語る。 黄金の太陽の下、悠久の刻を経て、それはやがて神々しさと共に 太陽石と呼ばれるようになった。
伏せカード破壊の二択には失敗したが、エクシーズ召喚のための布石を打つことはできた。後ろ向きになる必要なんてない。失敗を悔やむよりも、それを取り返すための次策を考えるべきだ。
「僕はレベル6の<シユウドラゴン>と<エレキテルドラゴン>を素材にして、エクシーズ召喚を行います! 来い<聖刻龍王-アトゥムス>!」
2体の竜が光となり、フィールド上に渦を描く。光の屑が溢れ、薄暗い空に向けて輝きを放つと、光の渦の中心から新たな竜が姿を現した。
金の鎧を鱗のように纏った、紫の燐光を放つ竜、<聖刻龍王-アトゥムス>。その周囲には、素材となった2体の竜が、光の玉となって浮かんでいる。
「僕はレベル6の<シユウドラゴン>と<エレキテルドラゴン>を素材にして、エクシーズ召喚を行います! 来い<聖刻龍王-アトゥムス>!」
2体の竜が光となり、フィールド上に渦を描く。光の屑が溢れ、薄暗い空に向けて輝きを放つと、光の渦の中心から新たな竜が姿を現した。
金の鎧を鱗のように纏った、紫の燐光を放つ竜、<聖刻龍王-アトゥムス>。その周囲には、素材となった2体の竜が、光の玉となって浮かんでいる。
<聖刻龍王-アトゥムス> エクシーズ・効果モンスター ランク6/光属性/ドラゴン族/攻2400/守2100 ドラゴン族レベル6モンスター×2 1ターンに1度、このカードのエクシーズ素材を1つ取り除く事で、 デッキからドラゴン族モンスター1体を選び、 攻撃力・守備力を0にして特殊召喚する。 この効果を発動するターン、このカードは攻撃できない。
「ほう……エクシーズ召喚の存在しない世界から来たとは思えないほど、鮮やかな手並みですね。それだけ生木院多栄の教え方がよかったということでしょうか」
「それに関しては頷いておきます。<アトゥムス>の効果発動! 素材を1つ取り除いて、デッキからドラゴン族モンスター1体を攻撃力・守備力を0にして特殊召喚します。僕はデッキからもう1体の<神龍の聖刻印>を特殊召喚!」
<聖刻龍王-アトゥムス>は他の<聖刻>と違い、効果を持つドラゴン族モンスターも特殊召喚することができるが、この場面で必要なのはレベル8のモンスター。効果の有無は関係ない。
「そして! レベル8の<神龍の聖刻印>2体を素材にエクシーズ召喚!」
ただ宙に浮かぶだけだった巨大な球体。表面に刻まれた瞳を思わせる紋章が淡く輝き、球体に亀裂が走る――いや、球体になる際に畳まれていた装甲が、徐々に開いているのだ。
足が現れ、腕が現れ、翼が現れ、頭が現れる。そして、それぞれの装甲を繋ぎ合わせるように太陽を連想させる橙の光が溢れ、それは竜の形を作り上げていく。
「聖なる裁きを下せ――<聖刻神龍-エネアード>!」
それは、神罰を下すための聖なる光が、竜の形を模したもの――輝きの塊ともいうべき竜が、クロガネのフィールドに舞い降りた。
「それに関しては頷いておきます。<アトゥムス>の効果発動! 素材を1つ取り除いて、デッキからドラゴン族モンスター1体を攻撃力・守備力を0にして特殊召喚します。僕はデッキからもう1体の<神龍の聖刻印>を特殊召喚!」
<聖刻龍王-アトゥムス>は他の<聖刻>と違い、効果を持つドラゴン族モンスターも特殊召喚することができるが、この場面で必要なのはレベル8のモンスター。効果の有無は関係ない。
「そして! レベル8の<神龍の聖刻印>2体を素材にエクシーズ召喚!」
ただ宙に浮かぶだけだった巨大な球体。表面に刻まれた瞳を思わせる紋章が淡く輝き、球体に亀裂が走る――いや、球体になる際に畳まれていた装甲が、徐々に開いているのだ。
足が現れ、腕が現れ、翼が現れ、頭が現れる。そして、それぞれの装甲を繋ぎ合わせるように太陽を連想させる橙の光が溢れ、それは竜の形を作り上げていく。
「聖なる裁きを下せ――<聖刻神龍-エネアード>!」
それは、神罰を下すための聖なる光が、竜の形を模したもの――輝きの塊ともいうべき竜が、クロガネのフィールドに舞い降りた。
<聖刻神龍-エネアード> エクシーズ・効果モンスター ランク8/光属性/ドラゴン族/攻3000/守2400 レベル8モンスター×2 1ターンに1度、このカードのエクシーズ素材を1つ取り除いて発動できる。 自分の手札・フィールド上のモンスターを任意の数だけリリースし、 リリースしたモンスターの数だけフィールド上のカードを破壊する。