にわかオタクの雑記帳

にわかオタクがそのときハマっていることを書き殴るブログです 主にアニメ・ゲーム中心

遊戯王オリジナルS

遊戯王オリジナルstage 【ep-02】

「――――」 かづな。 何度も聞いたはずのその名前は、遥か彼方で響いているような感じがした。 珍しい名前だし、おそらく治輝の記憶にある少女と同一人物だろう。 ――色んなものを押し付けてしまった、女の子。 (……落ち着け) まずは、少年から詳しい事情を聞…

遊戯王オリジナルstage 【ep-01】

飢えている。 渇いている。 どれほどの力を得ようとも、満たされることがない。 だが。 「もうすぐで――」 飢餓に溢れた日常は、終わりを迎える。 目指す先に在るもの。 それは。 「もうすぐで、僕は――」 狂える。 ◆◆◆ 「……あの高さから落ちたにしては、不思…

オリジナルstage 【EP-18 サイドM】

「火乃……」 輝王の目の前に現れたのは、すでにこの世を去ったはずの親友だった。 以前、降霊術を使うサイコデュエリストの手によって、死後の高良と擬似的に会話をし、デュエルをしたことはあるが……それとは違う。 そこにいるのは、輝王の記憶のものと寸分違…

オリジナルstage 【EP-17 サイドM】

コツ、と革靴が石畳を踏みしめた。 トカゲ頭に誘導された先にあった装置――それは確かに転送装置だったようだ。 外に出た輝王の視界に広がる景色は、先程までいた「井戸」の中とは似ても似つかない。 ただ、広かった。 石畳の地面と、低い灰色の天井がどこま…

オリジナルstage 【ep-21 サイドS】

かづなには、創志たちに話さなかったことがある。 時枝治輝はサイコデュエリストではなく、ペインであること。 その力のせいで、今はこことは異なる異世界にいること。 それでも、治輝のことを話すたびに、顔を輝かせながら続きを促してくれる創志の顔は、見…

オリジナルstage 【ep-20 サイドS】

「……これからどうします?」 両足を畳の上に投げ出した格好の純也が、気の抜けた声で言った。 「どう、する、かのう。むぐむぐ」 答えた切は、未だにパンをほおばっている。 結局謎のパン屋に戻ってきてしまった創志一行は、店の奥にあった4畳半ほどのスペ…

遊戯王オリジナルstage 【ep-19 サイドS】

<紅蓮魔闘士>の攻撃が通った時点で、勝敗は決した。 <アームズ・エイド>には、装備モンスターが戦闘によって相手モンスターを破壊し墓地に送った時、破壊したモンスターの攻撃力分のダメージを与える効果がある。 それが、2体分も発動したのだ。ライフ…

遊戯王オリジナルstage 【ep-18 サイドS】

「僕のターン……ドロー!」 その場の空気を切り払うようにして、純也はカードをドローする。 わざわざ言われなくても分かっている。 このターンで、決着をつける。 「<紅蓮魔闘士>の効果で墓地から<チューン・ウォリアー>を特殊召喚! さらに、<魔闘士>…

遊戯王オリジナルstage 【ep-17 サイドS】

「僕のターン。ドロー……<カラクリ解体新書>を墓地に送って、さらに2枚ドロー」 <カラクリ解体新書> 永続魔法 「カラクリ」と名のついたモンスターの表示形式が変更される度に、 このカードにカラクリカウンターを1つ置く(最大2つまで)。 また、フィ…

遊戯王オリジナルstage 【ep-16 サイドS】

「来ましたよ! 純也君のエースモンスターです!」 「<紅蓮魔闘士>……」 あのモンスターを召喚したことによって、消えかけていた純也の気迫が蘇っていくのを、創志は感じていた。 前に立つ純也の背中はまだ幼く、小さい。 その小さな背中に、どれだけのもの…

遊戯王オリジナルstage 【ep-15 サイドS】

「……僕のターン」 すっかり勢いを失くしたまま、純也はカードをドローする。 ライフアドバンテージは大幅に失ったものの、純也の手札はかなり恵まれていた。いつも通り強気にガンガン攻めていける手札だ。 だが。 (……それで、僕は勝てるのか?) 今の自分に…

遊戯王オリジナルstage 【ep-14 サイドS】

「<カラクリ将軍 無零>……」 「圧倒されたかい? けど、ここからが本番だ。<無零>がシンクロ召喚に成功した時、自分のデッキから<カラクリ>と名のついたモンスターを1体特殊召喚できる。僕は<カラクリ忍者 七七四九>を攻撃表示で特殊召喚するよ」 <…

遊戯王オリジナルstage 【ep-13 サイドS】

「じゃ、ちゃっちゃと始めようか。時は金なり。人の枠から外れた僕にとって時間は無限にあると同義だけれど、それでも貴重なものであることに変わりはないんだ。君のような雑魚に割いている時間が惜しいんだよ」 そう言って、体を小刻みに揺らしながら、頭部…

遊戯王オリジナルstage 【ep-12 サイドS】

「――――」 全く予期していなかった攻撃。 黒装束の腹の部分を突き破り、ガラスを砕いたと思われる棍棒が飛び出て来たのだ。 両手で刀を支えている切には、当然それを防ぐ手段はない。 「ぐうっ!?」 重い一撃を腹に受けた切は、そのまま後方に吹き飛ばされる…

遊戯王オリジナルstage 【ep-11 サイドS】

切の問いが、弛緩していた場の雰囲気を一気に引き締めた。 力を持たぬ者が、圧倒的な「暴力」に立ち向かう。それはどれほどの恐怖を伴うものなのか。気付いた時には力を振るえるようになっていた切には、知りえない感情だった。 それを知りたいと思ったのは…

遊戯王オリジナルstage 【ep-10 サイドS】

「つまり、かづなと純也は俺たちとは別の世界から来たってことか。ぶっ飛んだ話だとは思うけど、そう考えるとつじつまが合いそうだな。お、このカレーパン美味い。具は少し辛めだけど、生地が分厚いからバランス取れてるな」 「私たちの世界では、サイコデュ…

遊戯王オリジナルstage 【ep-07 サイドM】

はっきりとした足音を響かせながら姿を現したのは、黒髪の女性だ。肌の色は白く、清楚な顔立ちと身に着けている黒のドレスが品格を感じさせるが、漂わせる雰囲気は単なるお嬢様などではない。戦いの渦中に身を置き、それゆえに生まれた確固たる「自信」だ。…

遊戯王オリジナルstage 【ep-06 サイドM】

「いいぜェ……来いよ、輝王ォ!」 輝王の雰囲気が変わったことを察したのだろう。戒斗は犬歯を剥き出しにして吠える。 「永続罠<エレメントチェンジ>を発動。相手フィールド上のモンスターの属性を、光に変更する」 <エレメントチェンジ> 永続罠(オリジ…

遊戯王オリジナルstage 【ep-05 サイドM】

「……まァこんなもンだろ。本来ならこの空間に収まりきらないほど巨大なんだが、俺もちッとは力をセーブする術を磨いておかねェとなァ。どッかの優等生がうるさくて敵わねェからな」 つまり、戒斗は力をセーブすることで、本来のサイズよりも小さな<幻魔皇ラ…

遊戯王オリジナルstage 【ep-04 サイドM】

「……俺のターン、ドロー。<ガジャルグ>の効果を発動し、デッキから<ドラグニティ―レギオン>を手札に加え、<ドラグニティ―ブラックスピア>を手札から捨てる」 罠があることが分かっている以上、通常召喚権は残しておいたほうがいいだろう。 「このまま…

遊戯王オリジナルstage 【ep-03 サイドM】

「俺のターン、ドロー」 準備は万端……というわけではないが、これ以上相手を野放しにするのもまずい。そろそろ揺さぶりをかけるべきだろう。 「<ドラグニティ―ミリトゥム>を召喚」 現れたのは、剣と短刀という2本の刃を構える、鳥人の兵士だ。 <ドラグニ…

遊戯王オリジナルstage 【ep-02 サイドM】

青年――永洞戒斗は言った。自分の腕が信じられないような決闘者は、絶対に勝つことができないと。 確かに、戒斗からは己が力への絶対的な自信が溢れ出ている。どこまでも力を追い求める貪欲さが、彼の瞳に輝きを宿しているのだろう。 「俺が先攻をもらうぜ」 …

遊戯王オリジナルstage 【ep-01 サイドM】

「<ドラグニティアームズ―ミスティル>でダイレクトアタック」 鮮やかな黄色の鱗を持つ竜が、手にした長剣で相手を切り裂く。それで、デュエルの勝敗は決した。 輝王の勝利が確定すると、相手の決闘者――紙袋を被っていた奇妙な格好の男は、砂のように崩れ去…

遊戯王オリジナルstage 【ep-09 サイドS】

創志が戦闘開始を宣言すると、飛翔を続けていた<A・ジェネクス・トライフォース>が空中で制止した。 目下には、畏怖をばらまき続ける暴君の姿がある。 「――<トライフォース>で<The tyrant NEPTUNE>を攻撃!」 創志は右手を天に向けて掲げ、それを勢い…

遊戯王オリジナルstage 【ep-08 サイドS】

「俺のターン……ドロー!!」 気迫を前面に押し出し、創志はカードをドローする。手の平に傷を負わなかったのは幸運だった。自分の血で、カードを汚したくはない。 引いたカードは、2枚目の<A・ジェネクス・チェンジャー>。 そして、創志の伏せカードは攻…

遊戯王オリジナルstage 【ep-07 サイドS】

「俺のターン。ドロー……魔法カード<マジック・プランター>を使ウ。<血の代償>を墓地に送るこトで、カードを2枚ドロースル」 <マジック・プランター> 通常魔法 自分フィールド上に表側表示で存在する 永続罠カード1枚を墓地へ送って発動する。 自分の…

遊戯王オリジナルstage 【ep-06 サイドS】

「――俺のターンだ。ドロー!」 <The tyrant NEPTUNE>の召喚は予想外だったが、こちらの手を崩されたわけではない。 「守備モンスターを破壊しなかったこと、後悔させてやるぜ! <A・ジェネクス・チェンジャー>を召喚! 効果で<The tyrant NEPTUNE>の…

遊戯王オリジナルstage 【ep-05 サイドS】

「創志君……」 創志は視線に力を込め、不死鳥――<重爆撃禽ボム・フェネクス>を見据える。 (確かに強力なプレッシャーだが……これくらいじゃ、萌子さんの足元にも及ばねえ!) 「創志さんもサイコデュエリスト……?」 「ああそうだ。だからこの場は任せとけっ…

遊戯王オリジナルstage 【ep-04 サイドS】

「オレが先攻ヲもらう。ドロー」 麻袋を被っているせいで、相手の表情は見えない。 だが、それ以上に目の前の男は、言い様のない奇怪さを醸し出していた。 人であるのに、人ではない。そんな異質さ。 まさか、本当に中身は化け物なのだろうか。 「モンスター…

遊戯王オリジナルstage 【ep-03 サイドS】

「それじゃ、話を戻しましょう。僕達も創志と同じで、怪しい決闘者が<次元誘爆>を発動したあと、気が付いたらここにいたんです」 「おいちょっと待て」 「……何ですか?」 せっかく話を仕切り直したというのに、いきなり水を差された。といった感じの不満を…