にわかオタクの雑記帳

にわかオタクがそのときハマっていることを書き殴るブログです 主にアニメ・ゲーム中心

遊戯王オリジナルstage 【ep-18 サイドS】

「僕のターン……ドロー!」
 その場の空気を切り払うようにして、純也はカードをドローする。
 わざわざ言われなくても分かっている。
 このターンで、決着をつける。
「<紅蓮魔闘士>の効果で墓地から<チューン・ウォリアー>を特殊召喚! さらに、<魔闘士>のレベルを4に下げて<スティーラー>を蘇生させる!」
 前のターンと同様の方法で、2体のモンスターを並べる。
「そして、特殊召喚した2体でシンクロだ……2体目の<アームズ・エイド>を召喚!」
 呼び出すモンスターも同じ、白金の装具だった。
「<アームズ・エイド>を<紅蓮魔闘士>に装備。これで、攻撃力は4100だ!」
 <紅蓮魔闘士>は手にしていた剣を地面に突き刺すと、右手に<アームズ・エイド>を装着する。得物が剣から拳に変わったことで、さらに闘志がみなぎっているようだった。
 攻撃力4100。それは、敗北の象徴とも言える<アルカナフォースEX>の攻撃力を上回ったことを意味している。
「さっきのターンと寸分変わらぬプレイングとは……馬鹿の一つ覚えもいいところだな!」
 比良牙の罵倒を、純也は聞き流す。
 今さら何を言われようと、攻め方を変えるつもりはない。
「僕は……僕の強さを証明してみせる!! 行くぞ! <紅蓮魔闘士>で<無零>を攻撃!」
 純也の攻撃宣言を受け、赤髪の闘士が疾駆する。
 狙うは、怒れる大将軍ではなく、ゆっくりと立ち上がろうとしているカラクリ将軍。
 攻撃が通れば、一撃で決まる。
「――いいだろう! 殴るしか脳のない雑魚に敬意を表して、君の土俵に上がってあげるよ!」
 愉悦を顕わにした声で、比良牙が叫ぶ。
「速攻魔法発動! <カラクリ粉>!!」
 伏せカードが発動した瞬間、<カラクリ将軍 無零>は構えていた軍配を投げ捨てた。
 そして、上空から降ってきた2本の刀を手にする。
 それは、<カラクリ大将軍 無零怒>の刀だった。

<カラクリ粉>
速攻魔法
フィールド上に表側攻撃表示で存在する「カラクリ」と名のついた
モンスター2体を選択して発動する。
選択したモンスター1体を守備表示にし、
もう1体のモンスターの攻撃力はエンドフェイズ時まで、
守備表示にしたモンスターの攻撃力分だけアップする。
この効果はバトルフェイズ時にのみ発動する事ができる。

「<無零怒>を守備表示にすることで、<無零>の攻撃力は<無零怒>の攻撃力分アップする! つまり、<無零>の攻撃力は5400だ!!」
 比良牙が勝ち誇ったような笑い声を上げる。
 <カラクリ将軍 無零>の攻撃力は、<紅蓮魔闘士>を遥かに上回っている。
 だが、<紅蓮魔闘士>は止まらない。止まれない。
 2体のモンスターの距離が詰まる。
 右拳が突き出される。
 左の刃が振り下ろされる。
 激突。
 2つの力がせめぎ合い、互いの得物が弾かれる。
 白金の装具が砕ける。
 しかし、刃はヒビ1つ入らない。
 再度の激突。
 今度は左拳と右の刃だ。
 結果は同じ。<アームズ・エイド>が砕け、<カラクリ将軍 無零>の刃は傷一つない。

「終わりだ――己の無力さを噛みしめながら果てるといい!!」

 思えば、あの時もそうだった。
 <アルカナフォースEX>の攻撃力を越えたとしても、愛城には勝てなかった。
 あの敗戦は、未だ純也の心に大きな影を落としている。
 だから。

 今度は、絶対に砕けない拳を。

「罠カード発動――!」
 瞬間。
 砕けた白金の装甲が、再び<紅蓮魔闘士>の両腕へと集まり、ガントレットを形成していく。
 その色は、元の白金ではない。
 銀。
 真実を映し出す鏡のように煌びやかに輝く、銀だ。
「な……に……!?」
 声だけで分かる。比良牙は、驚愕を顕わにしていた。
 純也が発動した罠カードは――

 <メタル化・魔法反射装甲>。


<メタル化・魔法反射装甲>
通常罠
発動後このカードは攻撃力・守備力300ポイントアップの装備カードとなり、
モンスター1体に装備する。
装備モンスターが攻撃を行う場合、そのダメージ計算時のみ
装備モンスターの攻撃力は攻撃対象モンスターの攻撃力の半分の数値分アップする。


 右手が駄目なら左手を。
 それでも駄目なら。
「――両手を突き出すッ!!」
 <紅蓮魔闘士>が放った両拳が、カラクリ将軍の刀を叩き折る。
「全ての壁を壊す為――」
 殴る。
 カラクリ将軍の巨体が揺らぎ、甲冑に亀裂が走る。
「全ての苦難を越える為――」
 殴る。
 甲冑が砕け、修復不可能な傷を穿つ。

「殴って殴って殴り通す! それが、僕の戦い方だッ!! メタル・ガントレット・ナッコオオオオオオオオオ!!」

 力を吸収した銀色の拳が、カラクリ将軍の胸に風穴を開ける。
 <紅蓮魔闘士>がその場を飛び退くと同時。
 <カラクリ将軍 無零>は、盛大に爆発した。

【比良牙LP4000→0】