にわかオタクの雑記帳

にわかオタクがそのときハマっていることを書き殴るブログです 主にアニメ・ゲーム中心

遊戯王オリジナルstage 【ep-04 サイドM】

「……俺のターン、ドロー。<ガジャルグ>の効果を発動し、デッキから<ドラグニティ―レギオン>を手札に加え、<ドラグニティ―ブラックスピア>を手札から捨てる」
 罠があることが分かっている以上、通常召喚権は残しておいたほうがいいだろう。
「このままバトルフェイズに入る。<ガジャルグ>で<幻銃士>を攻撃――ヴィントシュトース!」
 「ギギッ!?」と慌てふためく<幻銃士>目がけて、<ドラグニティナイト―ガジャルグ>が滑空を始める。
 それを見た戒斗は、口元を釣り上げながら伏せカードの起動ボタンを押す。
 瞬間、巨大な黒のシルクハットが3つ出現し、<幻銃士>を覆い隠してしまった。
「――罠カード<マジカルシルクハット>を発動ォ! デッキからモンスターカード以外の2枚のカードをモンスター扱いでセットし、<幻銃士>も裏守備にさせてもらったぜ。さァ、<幻銃士>が隠れているシルクハットはどれか当ててみなァ!」

<マジカルシルクハット>
通常罠
相手のバトルフェイズ時に発動する事ができる。
自分のデッキからモンスター以外のカード2枚を選択する。
その2枚をモンスター扱い(攻/守0)として、
自分フィールド上に存在するモンスター1体と合わせてシャッフルし裏側守備表示でセットする。
デッキから選択して特殊召喚した2枚のカードはバトルフェイズ終了時に破壊される。

 滑空を止めた竜騎士の前に並ぶ、3つのシルクハット。その内の1つに<幻銃士>は姿を隠した。
 確率は3分の1。

「……今、確率は3分の1、って思ったかァ?」

 正解を引き当てるために神経を研ぎ澄ませていた輝王に、戒斗の余裕に満ちた声が飛ぶ。
 輝王が訝しんだ直後、戒斗の余裕の正体が明らかになる。
「残念だが、確率はゼロなんだよォ! 罠カード<撤収命令>を使うぜェ!」
「な……!」
 戒斗がその罠カードを発動すると、戒斗の場にあったシルクハット――そして、その中にセットされていたカード全てが、手札へと戻っていく。

<撤収命令>
通常罠
自分フィールド上に存在するモンスターを全て持ち主の手札に戻す。

「<撤収命令>は、自分フィールド上のモンスターを全て持ち主の手札に戻す。<幻銃士>は回収させてもらッた」
「なるほどな……」
 やられた。
 完全に予想の上を行かれた。輝王は心中で悔しさを滲ませる。
 <撤収命令>で回収したのは、<幻銃士>だけではない。<マジカルシルクハット>の効果でデッキからセットした魔法・罠カードも手札に加えたのだ。最初からこれを狙っていたのであれば、おそらく加えたのは有用な魔法・罠カードだろう。
 <マジカルシルクハット>を<撤収命令>と組み合わせることによって、擬似的なサーチカードとして使う――敵ながら舌を巻かざるを得ない、見事な戦術だった。
 となれば。
「……当然、これを防ぐ手段も用意しているのだろう? <ガジャルグ>でダイレクトアタック!」
 標的を失った竜騎士が、戒斗に向けて猛進する。
 戒斗のフィールドは<撤収命令>の効果によりがら空き。だが、輝王はこの攻撃が通るとは思っていなかった。
 こんなコンボを披露する決闘者が、ダイレクトアタックを想定していないはずがない。
「ご名答だァ! 手札から<バトルフェーダー>を特殊召喚し、バトルフェイズを強制終了させる!」

<バトルフェーダー>
効果モンスター
星1/闇属性/悪魔族/攻   0/守   0
相手モンスターの直接攻撃宣言時に発動する事ができる。
このカードを手札から特殊召喚し、バトルフェイズを終了する。
この効果で特殊召喚したこのカードは、
フィールド上から離れた場合ゲームから除外される。

 突如現れた振り子時計のような姿をした悪魔族のモンスターが、戦闘終了を告げる鐘を打ち鳴らす。それにより<ドラグニティナイト―ガジャルグ>の攻撃は中断してしまった。
「……このままターンを終了する」
「壁モンスターを増やさなくていいのか? 次のテメェのターンは回ってこねェかもしれないぜ」
「俺には俺の考えがある。気になるなら次のターンで俺の息の根を止めてみるんだな」
「……上等ォじゃねェか」
 空気が張り詰める。
 このターンは戒斗にしてやられたが、何も精神的なアドバンテージまでくれてやることはない。
 輝王は視線に力を込めながら、ターンを終了した。

【戒斗LP4000】 手札6枚
場:バトルフェーダー(守備)
【輝王LP4000】 手札4枚
場:ドラグニティナイト―ガジャルグ(攻撃)、伏せ2枚

「さァ! 俺のターンだ!!」
 勢いよくカードをドローした戒斗は、手早く1枚のカードを選び取り、発動させる。
「<死者転生>を発動ォ! 手札を1枚捨てて、墓地の<幻魔皇ラビエル>を手札に加える!」

<死者転生>
通常魔法
手札を1枚捨てて発動する。
自分の墓地に存在するモンスター1体を手札に加える。

 運を天に任せず、戒斗は自力で切り札――<幻魔皇ラビエル>を手札に加える。
「そして、<幻銃士>を召喚! 銃士トークンを2体生成するぜェ!」

<幻銃士>
効果モンスター
星4/闇属性/悪魔族/攻1100/守 800
このカードが召喚・反転召喚に成功した時、
自分フィールド上に存在するモンスターの数まで
自分フィールド上に「銃士トークン」(悪魔族・闇・星4・攻/守500)
を特殊召喚する事ができる。
自分のスタンバイフェイズ毎に自分フィールド上に表側表示で存在する
「銃士」と名のついたモンスター1体につき相手ライフに300ポイント
ダメージを与える事ができる。
この効果を発動するターン、自分フィールド上に存在する
「銃士」と名のついたモンスターは攻撃宣言をする事ができない。

 2体の銃士トークンを引き連れた<幻銃士>が、再度戦場に降り立つ。
 これで、戒斗の場のモンスターは4体。最上級モンスターを呼び出すには、十分すぎるほど贄は揃っている。
「<バトルフェーダー>と銃士トークン2体をリリースし――」
 3体の悪魔族モンスターが青白い炎に包まれる。
 その直後、フィールドを覆い尽くすような巨大な影が落ちた。
 照明の光が遮られ、輝王の視界が闇に染まる。
 黒一色の世界の中で。
 満月のような妖しさと静謐さを漂わせながら、2つの瞳が輝いていた。
 大気が震える。
 空間が震える。
 支配されていく。
 戦場が、戦慄をもたらす魔の力に支配されていく――

「テメェに見せてやるよ。俺の力の一端を! 来い! <幻魔皇ラビエル>ッ!!」

 影の隙間から差し込むわずかな照明の光が、そのモンスターの全貌を浮かび上がらせる。
 柱と見間違えるほどの巨大な腕。
 鉄の鎧が陳腐に見えるほどの、頑強な肉体。
 そして、妖しく輝く両の瞳。
 まさに、魔を統べる皇にふさわしい姿を持った<幻魔皇ラビエル>は、この空間を押し潰すほどの巨大な姿を現した。

<幻魔皇ラビエル>
効果モンスター
星10/闇属性/悪魔族/攻4000/守4000
このカードは通常召喚できない。
自分フィールド上に存在する悪魔族モンスター3体を
生け贄に捧げた場合のみ特殊召喚する事ができる。
相手がモンスターを召喚する度に自分フィールド上に「幻魔トークン」
(悪魔族・闇・星1・攻/守1000)を1体特殊召喚する。
このトークンは攻撃宣言を行う事ができない。
1ターンに1度だけ、自分フィールド上のモンスター1体を生け贄に捧げる事で、
このターンのエンドフェイズ時までこのカードの攻撃力は
生け贄に捧げたモンスターの元々の攻撃力分アップする。