遊戯王オリジナルstage 【ep-13 サイドS】
「じゃ、ちゃっちゃと始めようか。時は金なり。人の枠から外れた僕にとって時間は無限にあると同義だけれど、それでも貴重なものであることに変わりはないんだ。君のような雑魚に割いている時間が惜しいんだよ」
そう言って、体を小刻みに揺らしながら、頭部のモノアイを点滅させる襲撃者――比良牙。笑っている、のだろうか。どこかの量産型戦闘ロボットの頭部によく似た顔には表情がないため、相手の感情を読み取ることはできない。
それでも、口の部分に当たるマイクから発せられる声は、機械のものとは思えないほど滑らかだった。
「そんなに時間が惜しいなら、まずはその減らず口を閉じるといいと思いますけど!」
対し、純也も強気の言葉を放つ。左腕に装着されていた大型の手甲が展開し、カードをセットするディスク部分が顕わになる。
「じゃ、始めようか。先攻は君に譲ってあげるよ」
「いいんですか? すぐに後悔させてあげます……ドロー!」
まずは、比良牙の余裕綽々の姿勢を打ち破らなければならない。どんなデッキを使ってくるのかも分からないし、精神面で相手にペースを握られるのは絶対に避けたいところだ。
「モンスターをセットして、ターンエンドです」
「まずは様子見、ってところかな。凡人の発想だね」
モンスターをセットしただけでこの言われよう。比良牙は自分の実力に相当自信を持っているのだろう。
(けど、僕だって負けるわけにはいかない。こんなところでつまずいていたら、いつまで経っても兄さんに追いつけない!)
行方不明になってしまった兄。その強さは、今も純也の憧れであり――支えでもある。
そう言って、体を小刻みに揺らしながら、頭部のモノアイを点滅させる襲撃者――比良牙。笑っている、のだろうか。どこかの量産型戦闘ロボットの頭部によく似た顔には表情がないため、相手の感情を読み取ることはできない。
それでも、口の部分に当たるマイクから発せられる声は、機械のものとは思えないほど滑らかだった。
「そんなに時間が惜しいなら、まずはその減らず口を閉じるといいと思いますけど!」
対し、純也も強気の言葉を放つ。左腕に装着されていた大型の手甲が展開し、カードをセットするディスク部分が顕わになる。
「じゃ、始めようか。先攻は君に譲ってあげるよ」
「いいんですか? すぐに後悔させてあげます……ドロー!」
まずは、比良牙の余裕綽々の姿勢を打ち破らなければならない。どんなデッキを使ってくるのかも分からないし、精神面で相手にペースを握られるのは絶対に避けたいところだ。
「モンスターをセットして、ターンエンドです」
「まずは様子見、ってところかな。凡人の発想だね」
モンスターをセットしただけでこの言われよう。比良牙は自分の実力に相当自信を持っているのだろう。
(けど、僕だって負けるわけにはいかない。こんなところでつまずいていたら、いつまで経っても兄さんに追いつけない!)
行方不明になってしまった兄。その強さは、今も純也の憧れであり――支えでもある。
【純也LP4000】 手札5枚
場:裏守備モンスター
【比良牙LP4000】 手札5枚
場:なし
場:裏守備モンスター
【比良牙LP4000】 手札5枚
場:なし
「僕のターンだ。まずは、定石で思考停止してしまっている雑魚に、強者の洗礼を浴びせてあげるよ……<カラクリ小町 弐弐四>を召喚!」
比良牙のフィールドに現れたのは、色鮮やかな着物を纏い、日本髪に結った――木製のカラクリ人形だった。
比良牙のフィールドに現れたのは、色鮮やかな着物を纏い、日本髪に結った――木製のカラクリ人形だった。
<カラクリ小町 弐弐四> チューナー(効果モンスター) 星3/地属性/機械族/攻 0/守1900 このカードは攻撃可能な場合には攻撃しなければならない。 フィールド上に表側表示で存在するこのカードが攻撃対象に選択された時、 このカードの表示形式を変更する。 このカードがフィールド上に表側表示で存在する限り、 自分のメインフェイズ時に1度だけ、 自分は通常召喚に加えて「カラクリ」と名のついたモンスター1体を召喚する事ができる。
<カラクリ小町 弐弐四>は、精巧に作られた5本の指で着物の裾をつまんで引っ張り、片足を上げてポーズを決めてみせる。カラクリ人形というと過去の遺物というイメージが強いが、召喚されたモンスターはアンドロイドと比べても遜色ないほど人間らしい動きをしてみせた。
「<カラクリ>じゃと?」
「知ってるのか? 切」
「いや、知らん。じゃが、あやつ……比良牙といったかの。あやつの容姿と無関係とは思えん」
彼は言っていた。自分は人間を辞めた「からくり技師」だと。
「ってことは、あいつは自分で自分を改造して――」
「おいおい! 外野は黙っててくれよ! どうせ、僕の研究の偉大さなんて理解できないんだろうし!」
「んだと!?」
「まあまあ創志君落ち着いて。もしかしたら、かぶり物をしてるだけかもしれませんよ?」
「それはないと思うがの……」
……外野が騒がしいが、とりあえず自分はデュエルに集中しよう。比良牙の正体なんて、全く興味がないわけだし。
「まったく、雑魚は人の邪魔するのだけは得意だよね。デュエルに戻るよ。<小町>が表側表示で存在するとき、メインフェイズ時にもう一度だけ<カラクリ>と名のついたモンスターを召喚することができる」
「<二重召喚>内蔵のモンスター、ってとこですか」
「まあそう思ってもらって構わないよ。僕は<カラクリ無双 八壱八>を召喚する」
<カラクリ小町 弐弐四>に続いて現れたのは、かの有名な武将「武蔵坊弁慶」を思わせるような僧衣を纏ったカラクリ人形だ。三又の槍を構え、フィールドに仁王立ちしている。
「<カラクリ>じゃと?」
「知ってるのか? 切」
「いや、知らん。じゃが、あやつ……比良牙といったかの。あやつの容姿と無関係とは思えん」
彼は言っていた。自分は人間を辞めた「からくり技師」だと。
「ってことは、あいつは自分で自分を改造して――」
「おいおい! 外野は黙っててくれよ! どうせ、僕の研究の偉大さなんて理解できないんだろうし!」
「んだと!?」
「まあまあ創志君落ち着いて。もしかしたら、かぶり物をしてるだけかもしれませんよ?」
「それはないと思うがの……」
……外野が騒がしいが、とりあえず自分はデュエルに集中しよう。比良牙の正体なんて、全く興味がないわけだし。
「まったく、雑魚は人の邪魔するのだけは得意だよね。デュエルに戻るよ。<小町>が表側表示で存在するとき、メインフェイズ時にもう一度だけ<カラクリ>と名のついたモンスターを召喚することができる」
「<二重召喚>内蔵のモンスター、ってとこですか」
「まあそう思ってもらって構わないよ。僕は<カラクリ無双 八壱八>を召喚する」
<カラクリ小町 弐弐四>に続いて現れたのは、かの有名な武将「武蔵坊弁慶」を思わせるような僧衣を纏ったカラクリ人形だ。三又の槍を構え、フィールドに仁王立ちしている。
<カラクリ無双 八壱八> 効果モンスター 星4/地属性/機械族/攻2100/守1100 このカードは攻撃可能な場合には攻撃しなければならない。 フィールド上に表側攻撃表示で存在するこのカードが攻撃対象に選択された時、 このカードの表示形式を守備表示にする。 このカードは攻撃した場合、バトルフェイズ終了時に守備表示になる。
「さて、それじゃ2体のモンスターをチューニングだ」
2体の<カラクリ>モンスターが、シンクロ召喚のエフェクトを引き起こす。
合計レベルは7。<カラクリ>のシンクロモンスターが出てくるのは確実だろう。
「此度の戦場は我が主の狩場なり! 機械仕掛けの将よ、その威光を示せ! シンクロ召喚――出陣せよ、<カラクリ将軍 無零>!」
シンクロ召喚のエフェクト光が、内側から出でる巨大な質量によって弾き飛ばされ、霧散する。
ズズズ……と地響きに似た音を響かせながら巨体をゆっくりと起こす、<カラクリ>の将軍。
煤けた色の甲冑は戦いの年季の深さを漂わせ、兜に拵えられた二本の角の間で鈍く輝く「零」の飾りが、将の威厳を示している。
携えた軍配と悠々と構え、召喚と同時に出現した座椅子にどっしりと腰掛ける。ただ座っているだけだというのに、4つの瞳――4つのレンズから発せられる眼光は、見る者を畏怖させるほどの迫力があった。
2体の<カラクリ>モンスターが、シンクロ召喚のエフェクトを引き起こす。
合計レベルは7。<カラクリ>のシンクロモンスターが出てくるのは確実だろう。
「此度の戦場は我が主の狩場なり! 機械仕掛けの将よ、その威光を示せ! シンクロ召喚――出陣せよ、<カラクリ将軍 無零>!」
シンクロ召喚のエフェクト光が、内側から出でる巨大な質量によって弾き飛ばされ、霧散する。
ズズズ……と地響きに似た音を響かせながら巨体をゆっくりと起こす、<カラクリ>の将軍。
煤けた色の甲冑は戦いの年季の深さを漂わせ、兜に拵えられた二本の角の間で鈍く輝く「零」の飾りが、将の威厳を示している。
携えた軍配と悠々と構え、召喚と同時に出現した座椅子にどっしりと腰掛ける。ただ座っているだけだというのに、4つの瞳――4つのレンズから発せられる眼光は、見る者を畏怖させるほどの迫力があった。