にわかオタクの雑記帳

にわかオタクがそのときハマっていることを書き殴るブログです 主にアニメ・ゲーム中心

仮面ライダーゼロワン感想 空っぽの箱を積み上げて跳んだ夢追い人

f:id:moonyusei:20200830122835j:plain

 

令和初の仮面ライダー、ゼロワン。
堂々たる幕開けだった「令和初代」も、紆余曲折あった1年を何とか走りきり、終わりを迎えました。
個人的なことですが、このブログの更新を再開するきっかけをくれた作品だったので、どんな答えを提示するのか、どんな結末を迎えるのかは例年以上に注視していました。ひとまずのゴールを見届けたので、雑感をぽつぽつと書き並べていきたいと思います。

 

以下、最終回までのネタバレ注意です。

 

 

 

 

 

 

 

f:id:moonyusei:20200830123000j:plain

 


まず、全体的な印象を例えると。

スタートは軽快に飛び出したものの、中盤で一気にジョギングペースまで落ち込み、予想外のアクシデントで立ち止まることを余儀なくされ、再スタート後はフルスロットルで脇目も振らずゴールに駆け込んだ、といった具合です。

 

 

moonyuseiniwaka.hatenablog.com

 

以前の記事に書きましたが、開幕は「新生」に相応しかった。多少の粗はあったものの、それが気にならないくらいの勢いがあり、先を期待させてくれるワクワク感に満ちていました。

 

moonyuseiniwaka.hatenablog.com


映画「令和ザ・ファースト・ジェネレーション」も或人の出発点を掘り下げた「アナザーゼロワン」としてしっかり構成されていて、見栄えのいいスタイリッシュなアクションが相まって、傑作になる予感をひしひしと感じさせてくれました。


そのプラス感情が一気に減衰してしまったのが、悪名高き「お仕事五番勝負」


飛電インテリジェンスを買収せんと登場した新たなライバルにして(結果的には)元凶、ZAIA社長天津垓。
会社の命運を賭けて、単なる力比べではなく、自社の製品で雌雄を決するというコンセプトはいいのですが、人間側の妨害を受けて悪意を感じたヒューマギアが暴走する→それを倒す流れがテンプレート化してしまい、同じ事の繰り返しを5回、計10話に渡って見させられるというテンポの悪さ。加えて、五番勝負で或人側が勝っても、サウザーを倒してボロボロにしても、1000%社長はノーダメージで、次の話ではケロリとしながらヒューマギアを貶す言動を繰り返す。まさにのれんに腕押し状態。
個々のエピソードも、視聴者への分かりやすさを重視した結果なのか、人間側が典型的な悪役に描かれることが多く、「ヒューマギアが浸透した世界」を描くには余りにもお粗末な印象しか残りませんでした……

 


それでも五番勝負が終わり、或人の新たなスタートを描き、これからまさにクライマックスに向けて物語が加速していく、サウザーとの決着も付く、と言ったところで、新型コロナウイルス感染拡大による撮影中断。
異例の事態に、急遽総集編を挟む構成で、物語への影響を最小限にとどめ、きちんと最終回まで放映してくれたことには感謝しかないです。
ただ、この空白期間に描くはずだったろう様々な要素が抜けてしまった、足りなくなってしまったのはかなりの痛手。

 

 

 

 

 

f:id:moonyusei:20200830123442j:plain



ヒューマギアと共に歩む未来を夢見た結晶とも言える、最終フォーム仮面ライダーゼロツー」
誰よりもヒューマギアを信じ続け、夢を諦めなかった或人と、彼を信頼し共に歩き続けたイズだからこそ完成させることができたフォームとなれば、(描写不足を感じつつも)感慨に浸れるものです。
が、尺が足りない都合のせいか、ゼロツー初登場の数話後、イズを失った悲しみと怒りから或人が悪堕ちし、アークワンになってしまいます。
流れ自体は首をかしげるような突飛なものではありません。イズと育んできた絆は視聴者にも十二分に伝わってきましたし、大切な彼女を失った喪失感につけ込まれたとしたら、「ヒーロー」であれど「人間」であれば容易に悪に堕ちます。あれを突っぱねられたとしたら、或人は別の意味で人間を逸脱してしまったと言わざるを得ません。

 


ただ、あまりにも急すぎた。ゼロツーに満足な活躍の場が与えられないままの悪堕ちに、「最終フォームって何だったの?」といった疑問が先立ってしまいました。本編中の最後の見せ場が、止めに来た不破さんを撃退するってのはどうなの……そこはアークワンでよかったろ……仮面ライダー2号へのリスペクトを感じられる素晴らしいデザインだっただけに、残念極まりなかったです……3年連続で最終フォーム不遇なの何とかして。
そのせいで、自然な流れだった或人の悪堕ちも、「主人公がラスボスになっちゃったよ? びっくりしたでしょ?」的な制作側の狙いが透けて見えてしまい、素直に飲み込むことが出来なくなってしまった感じです。
最終回での急な「仮面ライダー」プッシュも、唐突感が否めませんでした。

 


作品への信頼が揺らいでくると、今まで気にならなかった粗が浮かび上がってくるのが厳しいところで。
そもそも、ヒューマギア側に立っている或人=ゼロワンが、暴走した彼らを「助ける」ために「破壊する」構図が歪でした。
破壊された個体は別の個体に記憶や人格を移植され、復活してよかったよかったで締めていましたが、「それは本当に同じものだと言えるのか?」といったオタク的な疑惑が常について回っていました。「令和ザ・ファースト・ジェネレーション」に登場した仮面ライダー1型が、暴走マギアを破壊することなく沈めていたので余計に。
結局、ゼロワンが同等の力を手にするのはゼロツーになってからなのですが、暴走間際のヒューマギアを必死に止めていた或人が、マギアになってしまった途端、変身して無慈悲に破壊するのは、噛み合わない歯車を無理矢理回している強引さがありました。
序盤では、いつかそれに触れてくれると思っていたのですが、ありませんでしたね……

 

 


物語の開始からお仕事五番勝負編まで、散々時間をかけて描いてきた「ヒューマギア社会」が、どうにも納得しにくかったのも、登場人物たちへの感情移入の面で妨げになりました。
そもそも、簡単に暴走する危ない商品を販売し続けていいのかという疑問が真っ先にきますが、あくまでヒューマギアを機械として捉えた場合、暴走するデメリットよりも利便性のメリットが勝っていると考えれば納得できます。
車だって、事故で多くの人の命を奪っていますが、現代社会においてなくてはならないもののため、「簡単に事故する車は全面的に廃止しろ!」とはなりません。まあ人間が直接操作してるものとAI制御ものとで、単純比較はしちゃいけないのですが。
とにかく、連日のように暴走事故がニュースで報じられてもなお、社会からヒューマギアが消えなかったのは、その利便性が圧倒的だからだったと考えられます。深く掘り下げれば、愛着がある等の感情論が出てくると思います。
しかし、天津垓が飛電インテリジェンスを買収して新社長に就任し、ヒューマギア廃棄を宣言すると、人々はあっさり彼らを手放します。
ヒューマギアを失ったことで困惑する、仕事が回らなくなるエピソードも描かれはしますが、散発的な印象がぬぐえず、「社会に浸透していたはずのものが消えた混乱」がほとんど感じられなかったんですよね。
以前の記事でちょっと触れたゲーム「デトロイトビカムヒューマン」では、アンドロイドが便利すぎるせいで人々の仕事が奪われ、失業率が大幅に上がり、職を失った人々がアンドロイドへの抗議デモを起こしているシーンが描かれます。こうした「ヒューマギアを取り巻く環境」が、話数を重ねた割りには鮮明に見えてこなかった。
だから、ヒューマギアを守るために叫ぶ或人にも、ヒューマギアのために人類を滅ぼそうとする滅にも、感情移入できなかった。
もっと社会情勢を色濃く反映しろ、とは言いません。それで子供向け特撮番組としての軸がずれてしまっては本末転倒ですから。
ただ、作品の主軸である「ヒューマギア」が、どうにも上手く処理出来ず、胸にわだかまりを残したまま最後まで来てしまいました。

 

 

 

 

 

 

f:id:moonyusei:20200830123817j:plain


話の着地点や、「父と子」の対比・重ね合わせなど、最終回は良質な幕引きだったと思います。映画への目配せがあり完全に終わったわけではないものの、ディケイドのような投げっぱなしではありませんでしたし。イズが完全に復活しないビターテイストを盛り込みつつ、基本はハッピーエンドでよかったです。元サヤ感が拭えない面もありますが。


もし、空白期間がなかったとしたら。
歯車は綺麗に回っていたのか。


不破さんや結愛さん、天津垓、亡や雷など、どうにも話の主軸に食い込んでいそうで実質蚊帳の外だったメインキャラクターの面々が、もっと機能したのだろうか。
確かに、積み上げたものはあります。個々の要素をあちらこちらに投げ回したのではなく、きちんとひとつの「軸」を作っていったとは思います。
しかし、その積み上げた箱の中が、どうしようもなく空虚に感じられた。
やりようによっては、中身をいっぱいの出来たのではないか――ゼロワンは、そんな「惜しさ」が残る作品でした。
映画で、この感想が全部ひっくり返るといいのですが……

ガンダムビルドダイバーズRe:RISE感想 不満たらたらだった僕を全力で殴りに来たホビーアニメ

moonyuseiniwaka.hatenablog.com

こちら1期終了時点で書いた感想記事です。先に読んでおいて頂きたいです。

 

 

 

※最終話までのネタバレを含みます。

 

 


「時間かけた割りにはキャラ描写が薄味~」

 

 

バキッ!!(19、20話)

 

 


ガンプラである必然性が~」

 

 

 

バキッ!!!!(25話)

 

 


「燃える戦闘シーンが少ない~」

 

 


バキッ!!!!!!!(22話)

 

 

 

顔の形が変わるくらいぶん殴られる。
……いやはや、ここまで見事に手のひら返しすることになるとは思いませんでした。
Re:RISEが二期に入ってから面白いという感想は、以前に記事に書きましたが、

 

moonyuseiniwaka.hatenablog.com

 

moonyuseiniwaka.hatenablog.com


そこから失速することなく、どんどん熱を高めていき、綺麗に弾けてくれました。
「こういうものを期待してたんだよ……これが見たかったんだよ……」と涙を流しながら静かに拍手を送りたい。最終回を見終えた今は、そんな気持ちで胸が満たされています。本当に、最後まで見続けてきてよかった……

 

 

 

 

f:id:moonyusei:20200828005540j:plain

 

1期終了時にあれこれ吐いた不満が、ほとんど2期で回収されているのは「参りました」と土下座するしかないです。
溜めに溜めたカタルシスを爆発させたのが、22話のゼルトザーム戦
前半戦を終えてもなお、イマイチまとまりにかけた「ビルドダイバーズ」だからこそ、各々がきちんと役割を果たし、動きをカバーしあう見事な連携が、どうしようもなく胸を高ぶらせてくれたのだと思います。
ヒロト、カザミ、パルはこれまでの道筋で傷を負ったが故に、自身の殻を破れずにいて。
エルダイバーであるメイは、まだ道らしい道を歩いたことがない。
もがいて、足掻いて、失敗して、やり直して……そんな彼らの姿をじっくり見続けてきたからこそ。
サタニクスを駆るヒロトの咆哮に、心が揺さぶられたのだと思います。
闇に堕ちた戦士を、殺すのではなく救う。それは「やり直し」をしてきた彼らだからこそ、為し得たのかもしれません。

 

 


アルスとの決戦を控え、最後のミッションを成功させるための特別演習を行う流れで、前作組の顔出しもきっちりやりつつ。
いざ迎えた最終決戦では、(おそらく)イヴのために作られたであろうアーマー、ネプテイトで宇宙へと上がって視聴者を感傷に浸らせ、その後出てきたとんでもない隠し玉、リライジンガンダムですよ
ガンプラは自由だ!」とは言いますが、何のまとまりも関連性もないヒロトたちのガンプラが、いきなり合体するなんて想像できんでしょ普通!
単なるVRMMOゲームを題材にした作品だったら出来なかった演出。「ガンプラ」である必然性。積み上げてきた絆の結晶。初期からプッシュしてきたコアドッキングシステムを昇華させた展開に、脱帽せざるを得ません。そうか、これを見据えてたんだなぁ……
2期の現実世界シーンは、みんなでガンプラを製作していたり、カザミやヒロトがアドバイスを求めていたりと、きちんとホビーアニメの側面も描いていたと思います。熱いバトルにきちんと見せ場を作って活躍する新機体。こんなんやられたら間違いなくガンプラ売れますよ。
前の話になりますが、ユーラヴェンを発売日から少し経ってから探しに行ったら全然売ってなかったもんなぁ。Twitterのトレンドなんかを見ても、2期再開後辺りから熱が明らかに加速したのが分かりました。

 

 

 

 

 

f:id:moonyusei:20200828005736j:plain



最終話は「ビルドシリーズらしい」遊び心満載サービス特盛りで、お腹いっぱいになりました。まさかトライエイジもちゃんと販促するなんて……
コアドッキングシステムの全部乗せも見られたし、お話もすがすがしいハッピーエンドで心が洗われました。
前作「ビルドダイバーズ」は、GBNにおける「光」「表」の面を、多様なキャラクターと短いエピソードの連なりで描き。
「Re:RISE」では、「闇」「裏」の面を、大きなひとつのエピソードで描きつつ――例え地に伏し泥にまみれても、それを払って、あるいは飲み込んで、もう一度前に進むことが出来るのだと――「再生」を見せてくれました。
「ダイバーズ」シリーズの締めくくりとしては、これ以上ない最終回だったのではないでしょうか。ここまで満足度が高い作品になるとは……1話視聴時点での期待をしっかり超えていってくれました。繰り返しになりますが、本当に見て良かった。久々にストレートで「面白い!」を言えるガンダムアニメでした。

 

 

 

 

 

 

 

f:id:moonyusei:20200716234621j:plain

 

……唯一、個人的な望みを言えば。
因子がメイに受け継がれたとはいえ、過去を乗り越えるための物語だったとはいえ。
やっぱりヒロトとイヴを再会させてあげてほしかったなぁ、としんみりするのでした。

FF14パッチ5.3クリスタルの残光 メインクエ感想【ネタバレ注意】

f:id:moonyusei:20191204130206j:plain

 

終わった…………

 


終わって、しまったんだなぁ……………………

 

 

いくつもの感動を与えてくれたFF14拡張ディスク「漆黒のヴィランズ」。
そのメインクエストが、11日に配信されたパッチ5.3「クリスタルの残光」にて完結しました。
PLLや吉田インタビュー、トレーラーを見る限りでは大きな衝撃が待っていそうな不穏な雰囲気が漂っていて、メンテナンス終了後、迷うことなくメインクエを進めました。第一世界での冒険の結末を、しかと目に焼き付けるために。

 


以下、メインクエストのネタバレを含みますので、未プレイの方は今すぐ引き返してFF14フリートライアルを始める、休止中の方は最新パッチまでクリアしてきてください。

 

 

moonyuseiniwaka.hatenablog.com

 

 

 

 

 

 

 

 

www.youtube.com


英雄は、英雄だから、人々を、世界を救うのではなく。
託された願いを、受けた祈りを、自らの意志で叶えんと進んだ先に救済をもたらしたから英雄なのだ。

 


真なる世界を取り戻し、星を救済せんと動いてきたアシエン・エリディブス。
その方法が人々の無垢なる願いを利用するものだったとしても――それこそが「エリディブス」の役目だから。
彼が「アシエン・エリディブス」である以上、なりそこないたちとの対話などあり得ない。
自分たちの同胞を消し去った「英雄」と手を取り合う未来などあり得ない。
――しかし。
何故、彼は星の救済にこだわり続けるのか?
オリジナルのアシエン最後の一人として、足掻き続けるのか?
何故……「エリディブス」であり続けるのか?

 

その理由は、歴史書に残るような高尚なものではなく。
主人公や水晶公たちと同じ――「大切な人たちを助けたかったから」。
長き時の果て、欠けてしまった彼の思いを、最後の最後で思い出させた闇の戦士。
人々から「英雄」と賞賛されてきた彼・彼女もまた、始めからそうなろうと思っていたわけではなく、数多の願いを背負い、歩んでみた道筋が、そう呼ばれるに値していたから、英雄になったのだ。

 

 

「空っぽの光の戦士」と「想いが詰まった闇の戦士」との決戦。
まさかのウォーリア・オブ・ライト討滅戦となった漆黒でのラストバトルは、開幕から幕引きまで最高でした。
アーモロートでのエメトセルク戦を彷彿とさせる、異世界の英雄召喚。
ウォーリア・オブ・ライトとなったエリディブスも「英雄」であり「光の戦士」であるため、プレイヤーたちと同じ限界を超えた奥義、リミットブレイクを何度も放ってくる。
そして、異次元に囚われた闇の戦士たちを救ったのは――
「彼」が遺した置き土産。
あの演出は本当にずるい……何も言わずに、それでも彼だと分かる仕草を残して去って行く。
そうして討ち果たした先に、エリディブスもまた、ラハブレアやエメトセルクと同じく、自分の大切なものを取り戻すために戦っていたのだと、大切な人たちの笑顔が見たくて「エリディブス」としての役目を全うしたかったのだと……
「漆黒のヴィランズ」においての最後の戦いとして、相応しい相手でした。余韻が凄まじい……
普通の人間には計り知ることができないほど長い時を歩んできた彼らの願いを、打ち砕いた。「闇の戦士」はその責任を背負って、これからも歩んでいかなければならないのだと。心が良い意味で重くなりました。

 

 

 

 


クリスタルタワーでの決戦に至るまで、新ID「漆黒決戦ノルヴラント」もただのIDとは思えないほど良かったですね……
今まで出会った人々が助けに来てくれる、という演出や展開はこれまでもありましたが、やはり思い入れが強かったせいか、グッとくるレベルが段違いでした。ロールクエストの4人が来てくれた時は笑顔で泣きそうになりましたよもう……
ストーリーを進めるごとに、「ああ、これで漆黒は終わりなんだ」という感触が強くなってきて、結末を見届けたい、でも終わって欲しくないと相反する感情に胸が揺さぶられ続けました。
エリディブスを倒し、いよいよ原初世界への帰還が叶うことになり、第一世界の面々と別れを告げるシーン。
どのくだりでも涙目で見てましたが、アルバートとセトのところは本当にもうダメでした。涙がボロボロこぼれた。パッチ5.3のタイトルである「クリスタルの残光」は、このシーンを指しているのではないかと本気で思います。

 

 

 

 

 

f:id:moonyusei:20191204130030j:plain

 

……そして、一番去就が注目されていた水晶公。
彼もまた、エリディブスと同じく、「水晶公」としての役目を果たすために奮闘し続け――それを全うした。
エリディブスと違ったのは、やはり託された願いが欠けていなかったことでしょうか。
水晶公としての責任を果たした彼はクリスタルタワーの一部となり……その記憶と想いは、原初世界のグラ・ハ・ティアに受け継がれた。
水晶公が自分の願いを語り始めたとき、名前の表記がちゃんとグラハに戻るの本当に良いよね……
結果として、主人公はグラハという新たな仲間を得た……というか、これまでのように大切な人を失わずに済んだのはホッとしたのですが、幾度となく助けてくれた「水晶公」はもういないのだなと思うと、寂寥感が募ります。
終わりは、新たな始まり。
これからは原初世界で、仲間たちと冒険を続けていくことになりそうですが。
第一世界での冒険は、終わってしまったんだ。
エデンやニーアレイドなど、まだ第一世界に赴く機会は数多くあれど。
ノルヴラントを走ってきた大きな道筋はここで一旦途切れ、また別の道を歩んでいく。
その事実が、大きな満足感と同じくらい、物悲しさを感じさせます。

 

ありがとう、「漆黒のヴィランズ」。

 

 

 

 

 

 

 


余談ですが、今回のカットシーンの演出は凝っているものが多くて驚きました。原初世界に帰ってからの暁の面々が生き生きと動いてたの笑いましたわ。
長編の映画を見終えたような、確かな充足感。本当にプレイして良かった…………

 

また、以前の記事で「システムとしてのCFをシナリオに組み込んだ」ことについて触れたのですが、(おそらく)ヒカセンのオリジナルである「アゼム」遊戯王思い出した人多いんじゃなかろうか)の人柄について、ヒュトロダエウスが「我々に頼る前に誰かを喚びだして解決してしまう」と言及していたのですが、これって、MMOそのものについて触れてるんじゃないかなぁと思いました。
困難に立ち向かうために、仲間――フレンドやFC、LSの面々に声を掛けて、一緒に駆けていく。
「見知らぬ誰か」と一緒に戦う。MMOの主人公、プレイヤーキャラの在り方を、シナリオに落とし込んだような気がして、なるほどなぁと感嘆すると同時、ソロプレイヤーとしてちょっぴりもの悲しくなったのでした。

FF14を始めるならパッチ5.3を待ったほうがいいと手のひら返したオジサンのつぶやき

moonyuseiniwaka.hatenablog.com

 

以前、こんな記事を書いたんですよ。
内容を要約しますと、

 

・次に実装されるパッチ5.3で「新生パート」のクエストが整理される。
 (新生パートとはゲーム開始からレベル50くらいまでの部分)

・お使いの回数が減り、次の「蒼天パート」まで辿り着き易くなる。

・ただ、散々お使いさせられた苦労を知っておくと、最新拡張の「漆黒パート」での感動が増す。

 

てな感じです。「ワシの若い頃は~」なんてお小言に近いですね。

 

 


そして、昨日放送されたPLLでは、8月11日に実装されるパッチ5.3での最新情報が盛りだくさんの内容で提示されていったわけなんですが。
その中で、いわゆる無料体験版である「フリートライアル」の範囲を拡張することが発表されました。
ちなみに現在はレベル35まで。新生パートの中盤程度までは無料で遊ぶことができます。
実装時に話題になり、今なおたくさんの人々が遊んでいる「ドマ麻雀」はこの範囲に含まれているので、麻雀やるだけなら無料、なんてことも言われてました。
範囲拡張と聞いたときは、思い切って新生パートを最後まで遊べるようにするんだろうな~と予想していたのですが。

 

 

 

 

 

 

 

なんと、次拡張である「蒼天のイシュガルド」まで無料で遊べます。

 

 


…………え? 蒼天まで???

 

 

 

 

蒼天まで無料で遊べる???????

 

 

 

 

 

蒼天まで無料で遊べる!?!?!?!?!?!?!?!?!?

 

 

 


マジで言ってるのか!? 太っ腹すぎるぞヨシダアアアアアアアアアアアアアアア!!!!

 

 

以前にも書いたかもしれませんが、FF14が「面白い」と評判を得るようになったのは、この「蒼天のイシュガルド」からだと思います。もちろん、新生から引き続いた要素がワクワクを加速してくれた部分もありますが、「これぞファイナルファンタジー」「近年のFFからは薄れがちだったファンタジー世界での冒険」「心を揺さぶるシナリオ」等々……蒼天がもたらしてくれたものは計り知れません。
「最近のFFは~」なんて嘆いている人ほど、プレイしてみてほしいです。
MMOなので、シナリオをプレイするだけでも完全ソロは難しいですが、パーティプレイが必要なところでは簡単にマッチングしてくれるシステムがありますし、始めに「初見ですよろしくお願いします」と終わりに「お疲れ様でした」のチャットができれば、必要以上にコミュニケーションを取らなくても大丈夫です。先輩たちが何とかしてくれます。
まあ、友達を誘って4人ぐらいで始めるのが一番楽しいだろうけどね!!

 

 

 

 

 

f:id:moonyusei:20200723114519j:plain

特に関係のないSS

 

まさかのフリートライアル範囲大幅拡張に衝撃を受けたので、これは手のひらを返さざるを得ません。FF14を始めるなら、8月まで待った方がいいですよー!
注意点として、先輩方に進行を手伝ってもらいたいなら、11日から1週間ほど経ってからをオススメします。実装日当日は、みんな新コンテンツむしゃぶり尽くしてるからね!!

 

個人的に、蒼天までプレイして「合わないな」と感じたなら、評価の高い漆黒まで進めても感想があまり変わらないと思うので、そこでやめてしまってもいいと思います。
逆に「面白い!」と思えたなら、お金を払ってでも漆黒までプレイしてください。絶対に。

ガンダムビルドダイバーズRe:RISE 20話感想 輝きが生んだ闇の重さ

www.youtube.com

果たせなかった約束は、人を縛る「呪い」になる――


先週から放送を再開したガンダムビルドダイバーズRe:RISE。
ここまでのヒロトを見るに、過去にトラウマを抱えるほどの何かがあったのは確実で、遂にその詳細が明らかになる……といったところで放送中断になったため、(状況が状況なので仕方ないのですが)今か今かとやきもきしていました。

 

先週公開の19話、そして今日の20話と2話に渡って語られたヒロトの過去。
視聴前からある程度の覚悟はしていましたし、ぶっ飛んだ衝撃があったわけではないのですが……
心がじわじわと締め付けられるというか、過去が明かされたことで見えていなかったものがいくつも見えてきて、そのひとつひとつが鉛のように重いという……


以下、20話までのネタバレを含みますので、未視聴の方はご注意ください。

 

 

 

 

 

 

 

f:id:moonyusei:20200716234621j:plain

 

ヒロトにとってのイヴは、GBNとイコールになるほど大きな存在だったんですね……
単なる友達じゃない。大切で特別な人。
前身であるGPDから慣れないGBNに移行して、新しく作ったコアガンダムも上手く動かない。不時着したあの場所でイヴと出会わなければ、ヒロトはそのままガンプラから離れてしまったかもしれない。
彼女と出会ったから道は続き……広がった。
大多数のプレイヤーが「ただのゲーム世界」としか認識していないGBNの景色を、フィールドを慈しみ、コアガンダムの――ガンプラの思いを代弁する不思議な少女。そんな彼女に感化され、ヒロトの意識も変わっていきます。
換装ユニットが「プラネッツシステム」……太陽系第○惑星にちなんだ名前になったのは、イヴとの交流があったこそ、といった設定回収の流れがエモすぎて、唸らざるを得ませんでした。

 

コアドッキングシステムはイヴと共に作り上げ、GBNはイヴとの思い出が詰まっている。あの頃のヒロトは、イヴの存在こそが原動力だったのでしょう。

 

その大きすぎる特別な人を、自分の手で殺す。

 

前作ガンダムビルドダイバーズ終盤、ELダイバーであるサラの存在が引き起こすバグによってGBNが崩壊の危機に晒されます。同じくELダイバー(だろう)イヴもまた、大好きなGBNを守るためにバグを抱え込み、爆発寸前の状態に。このままいけば、取り込んだバグを撒き散らして崩壊を助長してしまう……
そうなる前に、自分を消して欲しい。それが彼女の最後の望みでした。
当然、ヒロトはそれを受け入れられません。イヴの急な言動に戸惑いを露わにします。
けれど、亀裂が走るフィールドを見て、苦しむイヴを見て……最後には伸ばした手を閉じます。コアガンダムのライフルが、イヴを貫き、消滅させる。彼女の望み通りに。

 

 

直後、前作での最終フォース戦に繋がります。サラの消滅を掲げるフォースアヴァロンに所属していたヒロトは、ビルドダイバーズから見ると敵側。仲間から参加を取りやめるようアドバイスされるほど気落ちしていたヒロトですが、おそらくこの時はまだイヴの消滅に実感が沸いてなかったと思うんです。悪い夢でも見ていたんじゃないかと。
そんなヒロトに追い打ちを掛けたのが、前作主人公であるリク。
キョウヤとの激闘をくぐり抜け、自分たちの思いを、夢を、希望を叫ぶ。
彼は、一点の曇りもない純度100%の真っ直ぐな少年で、不可能にも決して諦めず手を伸ばし続けます。
絶対に諦めない。
そんな輝きを目にして、ヒロト銃口を向けながら自らの暗い感情を吐き出します。
決して諦めたわけじゃない。イヴが望んだことを実行したまで。
けれど――ヒロト「どうしようもない現実」を受け入れてしまった。
リクと違い、伸ばした手を閉じてしまった。彼のように諦めずに足掻き続ければ、他の道があったんじゃないか。イヴを救えたんじゃないか。
自責の念と後悔、そして「持たざるもの」としての妬み……感情が渦巻く中、最後に残ったイヴとの「約束」が、アースリィの銃口を下げさせ、リクの撃墜は未遂に終わります。
わずかな希望を手にしたリクの輝きが、ヒロトの心に深い闇を落とす。生き残ったサラと、消えてしまったイヴ。まさに光と影の対比。これまでの物語の見方ががらりと変わってしまうような、寂寥感に詰まる過去。涙を流すヒロトに、「そりゃ簡単に決別できんよな……」ともらい泣きしそうになりました。

 

 

 

 

f:id:moonyusei:20200716235105j:plain

 

まだスタートラインに立ってすらいなかったヒロト。自分を卑下する彼に、新たな仲間たちが「そんなことはない」と声を上げます。ヒロトに助けられた、ヒロトのおかげで変われたのだと。
自身が意識していなかっただけで、ヒロトの行いはカザミやパル、メイの新たな道標になり、フレディたちエルドラの民にとっては「本物の英雄」になっていた。
「誰かのために」――そう願ったイヴとの約束を、ヒロトはちゃんと果たしていた。
もう新しい道を歩き始めていたことに気付く、ターニングポイントとして最高のエピソードでした。視聴後に友人からのリプで気付きましたが、18話でのアルスへの激昂っぷりも納得いくもんです。

 


ここまでのコアガンダムは、2期に入ってから登場したユーラヴェンを含めて、製作済みの換装パーツしか使用していませんでした。これは、ヒロトの時間がイヴを失い、リクを撃墜できなかったあの時から止まったままということに起因しているのでしょう。
ただ、ここからは違う。
新たな仲間たちと共に描く、新しい未来のために。次話以降のヒロトとコアガンダムの活躍に期待したいです。

 

 

 

 

 

www.youtube.com


20話見終えてから1期のOP聞くと、ヒロトの感情をストレートに代弁してて印象変わりますね……
どうか、ヒロトの頑張りが報われますように。出来ればイヴと再会させてあげてほしいなぁ……

にわかのシャニマスプレイ記 僕は雛菜を推すことができない

 

初のノクチルメインのシナリオイベントとなった「天塵」


どんな修羅場が繰り広げられるやらとビクビクしながら読み始めたのですが、予想していたよりはあっさり気味というか、独特の「価値観」が渦巻く芸能界に飛び込んだ自由奔放な彼女たちが、洗礼を浴びてどうしていくのか。シャニマスがたびたび提示する「芸能界の厳しさ」に対して、ノクチルの最初の姿勢が描かれていて、まだ駆け出したばかりの彼女たちの序章として、質の高いシナリオだったと思います。

 


ノクチルは幼馴染4人組のアイドルユニットですが、中心に立つのは間違いなく浅倉透

 


透が事務所に入ったのをきっかけに、他3人は追いかけるように283プロに所属することになります。
「天塵」では、追いかけてきた組が透をどう見ているのか、どう捉えているのかがそれぞれの視点で描かれます。
小糸ちゃんはWING編でも触れられた通り、自分だけ置いていかれてしまうのが怖くて、何とかついて行こうと必死に努力します。この頑張る姿勢を他3人(特に円香)は認めているのですが、「みんなすごい」が先行して自己評価低めの小糸ちゃんは、それに気付いない感じがするんですよね。

 

小糸ちゃんと同じく努力組でありながらも、頑張る姿は見られたくない、余裕を崩したくない円香。
これまでは危なっかしい透が自分の目の届かない場所に行ってしまうのが心配でアイドルになり、保護者のような立場で幼馴染を見ていると思っていたのですが、透に対してはライバル意識を持っているようなシーンを見せた辺り、単なる仲良し4人組ではないと再認識させられました。
透、雛菜、そしてプロデューサー相手にはツンケンしてる円香が、小糸ちゃんにだけはちょっとだけ甘いのがまた素晴らしくてな……なれ合いすぎないところも良い……この2人の絡みはもっと見たい……

 

 

そして、残る1人。雛菜から見た透は、「雛菜にとってのしあわせをくれる人」と言及はされるのですが……小糸ちゃんや円香と比べると、明らかに内面の描写が少ないんですよね。
「天塵」において透の心情描写が少ないのは、「他のノクチルメンバーから見た透」を描写するのがコンセプトだから分かるんです。深いことを考えていそうで、実は何にも考えていない感覚派。それでも浮き世離れした雰囲気が、何かすごいことを成すんじゃないかと思わざるを得ない――不思議な少女。
透は「自分の世界」をしっかり持っていて……雛菜もそれは同じだと思います。
才能で物事をこなす天才肌で、「自分」を大切にし、中心に置く感覚派。透と雛菜は共通しているところがあります。

 

 

 

 

 

f:id:moonyusei:20200708160202p:plain

 

でも、同じじゃない。

 

透が「本当に見えていない」のに対し、雛菜は「見えているのに見えないフリをする」ができる娘です。
自分がしあわせでいるために、邪魔なもの、不要なものは排除して、自分に甘い世界を作る。
透やプロデューサーとの出会いによって、今はノクチルでアイドルをやることが、しあわせになる方法だと思っているから、雛菜はここにいます。
けれど、もしそうではなくなった場合。
しあわせだと思っていた場所が、変わってしまった場合。
彼女は躊躇なくノクチルを離れてしまいそうな「怖さ」があるんですよね。
小糸ちゃんは「いつまでもみんなと一緒にいたい」と思っているはずですし、絶対に口には出さないですが円香も同じでしょう。ふらっといなくなってしまいそうな空気がある透(前科あり)ですが、何の兆候も無しに消えることはないでしょう。そうなる前に、円香が気付くはず。
雛菜が、どのくらい幼馴染たちを大切に想っているかが、現時点だとあまり伝わってこない。
そして、彼女は「しあわせな時間は永遠に続かない。いつか終わりは来る」と明確に認識している。にこにこしながらも冷静というか、ドライな視線を持っています。
だからこそ、深い闇を抱えるのではなく、抱える前に原因を切除する冷徹さが、いつか垣間見えるのではないかと、底の見えない彼女に恐怖を覚えると同時に、そこが魅力なんだとも思えるのです。

 

 

 

 

f:id:moonyusei:20200708160354j:plain

(天井しました)

「雛菜は雛菜で他人にはなれない」と豪語しつつも、狭い範囲で区切ってしまっていた「しあわせな世界」を、徐々に広げていっている雛菜。ワガママで気まま(に振る舞っている)な彼女も、彼女なりに成長はしています。
俺もシャニPに近いというか、オールドタイプな男ですが、素晴らしく人間が出来ており、ワガママなアイドルにも辛抱強く向き合うシャニPとは違い、雛菜のような他人を振り回す人間には、付き合いきれないと愛想を尽かしてしまうと思います。周りが頑張っている姿を見ても、平然と通常運転を続ける姿を見て、怒ってしまうかもしれません。少しは周りを思いやれ、なんて上から目線の言葉を投げてしまうかもしれない。


だから俺は、アイドル市川雛菜を推すことができない。


けれど、彼女が歩む道を……彼女の信じる「しあわせ」が広がっていく様を、最後まで見ていたい。そんな気持ちにさせてくれる、不思議な娘なのです。

にわかのアークナイツプレイ記 第6章 局部壊死 感想

f:id:moonyusei:20200707162503j:plain

 

※6章ラストまでのネタバレを含みます注意!

 

 

配信開始前から、雰囲気で「重そうだなぁ……」と覚悟はしてました。

 

アークナイツのメインシナリオって、初っ端から出てくるキャラ多いし状況が緊迫してるからまともな説明も無いし専門用語だらけで何がどれを指しているのかよく把握できないし、中国版からの翻訳なので回りくどい言い方が多いし(意味不明なほど雑な翻訳ではないですが)、正直なところ掴みはイマイチだったんじゃないかと感じてました。
配信開始最初期ですぐに離れてしまったのは、他ゲーに割く時間が無くなりそうだったのが一番の理由ですが、シナリオにのめり込めなかったからというのもあるかもしれません。
当面の敵になるだろう「レユニオン」の脅威や、チェルノボーグの惨劇っぷりを描写したいのは分かるのですが、ドクター救出から脱出までどんだけ長いねん……と。

 


なので、再開してからもステージ攻略やキャラ育成が主なモチベーションで、メインシナリオにはあんまり食指が伸びませんでした。戦力不足だと1ステージ攻略するのも一苦労ですしね!
基地改造のために3章、石回収のために4章をゆっくり進めましたが、大体が「レユニオンは思っていたよりやべー強い」みたいな状況が続くので、流し読み……まではいきませんが、シナリオを語りたくなるほどは読み込めませんでしたね……
スカルシュレッダーを巡るやり取りはアーミヤにとってもチェンにとっても今後の指針になり得る大きなターニングポイントだったので、そこはグッときました。

 

 

 

 

 

 

www.youtube.com

 

前記事で書いた危機契約が終わり、6章実装の報と共にCMが公開されると、それに触発されてテンションが上がり、手つかずだった5章の攻略を開始。
全体的な感想は4章までとあんまり変わらなかったんですが、ラストのチェン孤軍奮闘からのブレイズ到着が滅茶苦茶熱くて男心にがっつり刺さりましてね!!
CMの格好良さとの相乗効果で、俄然6章が楽しみになってしまったわけです。

 

しかし、「危機契約もボロボロだったポンコツドクターには攻略情報無しでの6章突破は無理ゲーじゃないか?」とビビってしまい、実装日は別のステージの周回ばっかりしてました……
が、まとめサイトやらSNSやら見ているとネタバレがちらほら出てきて(中国では配信済みだから余計に)、致命的な詳細ネタバレを食らう前に攻略せねば……! と焦りながらスタート。途中で詰まったらレベリングに戻ればいいやなんて考えてましたが、何とかストレートに攻略完了しました。さすがにカンニング一切無しは無理でしたが、今までよりはしっかり自分の頭で戦略を練れた気がします。
まあ6章で初登場した「凍結」のデバフをゴリ押しで突破した辺り、高レアのキャラ性能に助けられまくりましたが!フレンドさんのエクシアには頭が上がらないぜ……

 

 

 

 

 

 

f:id:moonyusei:20200707163229j:plain

 

そして、本題の6章感想ですが。
一言で表わすなら、「これまでよりもずっと面白かった」なんです。
ただ、上に書いた男心が燃え上がるような展開による面白さではなくて。
そう、水分をたっぷり含んだ雪が、どんどんどんどん積もっていって、最後には綺麗な雪景色になるような。
そんな「重み」のあるシナリオでした。

 


雪の例えを出したのは言わずもがな、フロストノヴァ率いるスノーデビル小隊です。
彼らはレユニオンに属しながらも、残忍なテロリストなどではなく、ただ自分たちの居場所を得るために戦い続けた、血の通った人間だったのだと、場面場面を通じて訴えてきます。
ドクターとフロストノヴァ、瓦礫の下に落下してしまった互いの総大将を救出する際、一時休戦を持ちかけたのはスノーデビル小隊でした。
アーミヤたちと言葉を交わし、時に冗談さえこぼすような――普通の人間。
死地に赴く前、禁止されているのに隠し持っていたウォッカを仲間内で分け合い、談笑するような――普通の人間。
自分たちのリーダーであり、かけがえのない存在である「姐さん」を、家族を守るために命を投げ出す――強い人間。
しっかりと言葉を交わせばわかり合うことも、手を取り合うこともできたはずなのに、状況がそれを許さない。
結果、ドクター率いるロドスは……ほんの一時とはいえ協力した彼らを、殺します。

 

専用グラフィックさえないただのモブキャラたちが生き生きと描かれているシーンが多いせいで、当然のように死んでいく彼らの姿を見るのが痛々しくて仕方なかったですね……自分たちが倒しているのはただのNPCではなく、これまで懸命に生きてきた人間なんだと、見せつけられた気がします。
「モブに厳しい世界」なんてネタがありますが、アークナイツ内では笑えねえよ……

 

 

 

 

 

 

f:id:moonyusei:20200707163437j:plain

 


スノーデビル小隊による命懸けの足止めによって脱出しつつあったフロストノヴァ。
彼女は残ったレユニオンの別部隊との撤退ではなく、1人残ってロドスと決着を付けることを選びます。死期が近い、ボロボロの状態で。同胞たちが散っていった龍門の地で。「感染者を救う」……青臭い理想を掲げるロドスの、覚悟を問うために。
凄惨な過去を送り、信じられる者は仲間――スノーデビル小隊や「かつての」レユニオンしかなかったフロストノヴァにとって、ロドスの活動は単なる夢想主義者の享楽にしか思えなかったのでしょう。
ただ、2人きりになっても殺意を向けなかったドクターや、自分の感情を受け止めつつも主張を曲げないアーミヤの姿を見て、圧倒的な実力差にも果敢に立ち向かい、自身の猛攻を凌ぎきった「強さ」を目の当たりにして、最後にはその理想に力を貸すことを約束してくれます。命が散る、間際に。
これまであまり(シナリオの)前面に出てこなかったドクターと、一番多くの言葉を交わしたのではないかと思われるフロストノヴァ。
ドクター相手にちょっとした悪戯を仕掛けたり、血と苦しみにまみれた過去を語る姿は、単なる敵組織の幹部ではなく、一人の人間として描かれていました。ドクターも呼びかけたように、肩を並べて共に戦う姿を夢見てしまうほどに。

 

けれど、それは叶わない。
彼女に理想を信じさせるのは、彼女の「氷」を打ち砕く必要があったから。

 

イベントマップだった6-17で、アーミヤたちを倒し、ゆっくりゆっくりと歩を進め、ゴールの間近で力尽きるフロストノヴァの姿に、心に積もった雪の重さが、さらに増すような寂寥感を覚えました。最期に見せた笑顔といい、反則だぜそれはもう……
4章で初登場したときは、こんなヒロインになるキャラだとは予想できませんでした……ifを期待したいような、期待したくないような複雑な心境です……
彼女が心に刺した氷は、いつまでも溶けないのではないかと。そう思いました。

 

 

 


話の展開上スノーデビル小隊が強く印象に残りますが、それより前に散ったファウストもよかったですね……
自分の言葉が親友であるメフィストを変えてしまったのではないか、から始まる後悔の連続。
狂気に呑まれ変わってしまった友を前にしても、いつかは彼が「本当にやりたかったこと」を見つけ、羽ばたいてくれることを願い、信頼できる部隊の仲間たちに後を託す。
覚悟を持って散っていった命に対して、残った命――ロドスの面々、チェン、そしてメフィストがこれからどんな道を選ぶのか。
キナ臭い描写があっちこっちであった6章。まだまだ前途多難そうですが、「責任」を果たすために頑張るしかなさそうですね。

 

 

 

 

www.youtube.com

中国版1周年を記念して製作されたPVですが、6章終わったあと見るとこみ上げてくるものがあるなぁ……