にわかオタクの雑記帳

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にわかのシャニマスプレイ記 僕は雛菜を推すことができない

 

初のノクチルメインのシナリオイベントとなった「天塵」


どんな修羅場が繰り広げられるやらとビクビクしながら読み始めたのですが、予想していたよりはあっさり気味というか、独特の「価値観」が渦巻く芸能界に飛び込んだ自由奔放な彼女たちが、洗礼を浴びてどうしていくのか。シャニマスがたびたび提示する「芸能界の厳しさ」に対して、ノクチルの最初の姿勢が描かれていて、まだ駆け出したばかりの彼女たちの序章として、質の高いシナリオだったと思います。

 


ノクチルは幼馴染4人組のアイドルユニットですが、中心に立つのは間違いなく浅倉透

 


透が事務所に入ったのをきっかけに、他3人は追いかけるように283プロに所属することになります。
「天塵」では、追いかけてきた組が透をどう見ているのか、どう捉えているのかがそれぞれの視点で描かれます。
小糸ちゃんはWING編でも触れられた通り、自分だけ置いていかれてしまうのが怖くて、何とかついて行こうと必死に努力します。この頑張る姿勢を他3人(特に円香)は認めているのですが、「みんなすごい」が先行して自己評価低めの小糸ちゃんは、それに気付いない感じがするんですよね。

 

小糸ちゃんと同じく努力組でありながらも、頑張る姿は見られたくない、余裕を崩したくない円香。
これまでは危なっかしい透が自分の目の届かない場所に行ってしまうのが心配でアイドルになり、保護者のような立場で幼馴染を見ていると思っていたのですが、透に対してはライバル意識を持っているようなシーンを見せた辺り、単なる仲良し4人組ではないと再認識させられました。
透、雛菜、そしてプロデューサー相手にはツンケンしてる円香が、小糸ちゃんにだけはちょっとだけ甘いのがまた素晴らしくてな……なれ合いすぎないところも良い……この2人の絡みはもっと見たい……

 

 

そして、残る1人。雛菜から見た透は、「雛菜にとってのしあわせをくれる人」と言及はされるのですが……小糸ちゃんや円香と比べると、明らかに内面の描写が少ないんですよね。
「天塵」において透の心情描写が少ないのは、「他のノクチルメンバーから見た透」を描写するのがコンセプトだから分かるんです。深いことを考えていそうで、実は何にも考えていない感覚派。それでも浮き世離れした雰囲気が、何かすごいことを成すんじゃないかと思わざるを得ない――不思議な少女。
透は「自分の世界」をしっかり持っていて……雛菜もそれは同じだと思います。
才能で物事をこなす天才肌で、「自分」を大切にし、中心に置く感覚派。透と雛菜は共通しているところがあります。

 

 

 

 

 

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でも、同じじゃない。

 

透が「本当に見えていない」のに対し、雛菜は「見えているのに見えないフリをする」ができる娘です。
自分がしあわせでいるために、邪魔なもの、不要なものは排除して、自分に甘い世界を作る。
透やプロデューサーとの出会いによって、今はノクチルでアイドルをやることが、しあわせになる方法だと思っているから、雛菜はここにいます。
けれど、もしそうではなくなった場合。
しあわせだと思っていた場所が、変わってしまった場合。
彼女は躊躇なくノクチルを離れてしまいそうな「怖さ」があるんですよね。
小糸ちゃんは「いつまでもみんなと一緒にいたい」と思っているはずですし、絶対に口には出さないですが円香も同じでしょう。ふらっといなくなってしまいそうな空気がある透(前科あり)ですが、何の兆候も無しに消えることはないでしょう。そうなる前に、円香が気付くはず。
雛菜が、どのくらい幼馴染たちを大切に想っているかが、現時点だとあまり伝わってこない。
そして、彼女は「しあわせな時間は永遠に続かない。いつか終わりは来る」と明確に認識している。にこにこしながらも冷静というか、ドライな視線を持っています。
だからこそ、深い闇を抱えるのではなく、抱える前に原因を切除する冷徹さが、いつか垣間見えるのではないかと、底の見えない彼女に恐怖を覚えると同時に、そこが魅力なんだとも思えるのです。

 

 

 

 

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(天井しました)

「雛菜は雛菜で他人にはなれない」と豪語しつつも、狭い範囲で区切ってしまっていた「しあわせな世界」を、徐々に広げていっている雛菜。ワガママで気まま(に振る舞っている)な彼女も、彼女なりに成長はしています。
俺もシャニPに近いというか、オールドタイプな男ですが、素晴らしく人間が出来ており、ワガママなアイドルにも辛抱強く向き合うシャニPとは違い、雛菜のような他人を振り回す人間には、付き合いきれないと愛想を尽かしてしまうと思います。周りが頑張っている姿を見ても、平然と通常運転を続ける姿を見て、怒ってしまうかもしれません。少しは周りを思いやれ、なんて上から目線の言葉を投げてしまうかもしれない。


だから俺は、アイドル市川雛菜を推すことができない。


けれど、彼女が歩む道を……彼女の信じる「しあわせ」が広がっていく様を、最後まで見ていたい。そんな気持ちにさせてくれる、不思議な娘なのです。