にわかオタクの雑記帳

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リミット・シェル・ブレイク-9【ヴァンガードオリジナル小説】

「――――」
 デッキの上から現れたカードは――
 <エリクサー・ソムリエ>。ヒールトリガーだ。

カード名 	エリクサー・ソムリエ
グレード 	0 	スキル 	ブースト
種別 	トリガーユニット 	トリガー 	治+5000
クラン 	ゴールドパラディン 	種族 	エルフ
シールド 	10000 	国家 	ユナイテッド・サンクチュアリ
パワー 	5000 	クリティカル 	1
効果テキスト 	-

「シックスヒール成功ね。まだ諦めてないみたいじゃない」
「……そうだな」
 ダメージを1枚回復し、俺はホムラを見つめ返す。
 いつの間にか、彼女は初めて会ったときの、自信に溢れた笑顔を浮かべていた。
「パワーは<サグラモール>に加える」
 
【<戦場の嵐 サグラモール>パワー15000→20000】

「20000か……ちょっと厳しいわね。けど、引き下がるなんて選択肢はない! <レアス>のブースト! <サザーランド>でヴァンガードにアタック!」
 <レアス>は、<サザーランド>をブーストしたとき、パワーが+4000される。
 トリガーのパワーも上乗せされているため、<サザーランド>のパワーは29000。

【<連撃のサザーランド>パワー19000→29000】

 だが、トリガーの恩恵を受けているのは<サザーランド>だけではない。
「<サイレント・パニッシャー>でガード!」

カード名 	サイレント・パニッシャー
グレード 	0 	スキル 	ブースト
種別 	トリガーユニット 	トリガー 	☆+5000
クラン 	ゴールドパラディン 	種族 	デーモン
シールド 	10000 	国家 	ユナイテッド・サンクチュアリ
パワー 	5000 	クリティカル 	1
効果テキスト 	-

 俺はシールド10000の<サイレント・パニッシャー>を、ガードに回す。これにより、<サザーランド>のパワーは減少し、<サグラモール>には届かなくなる。
「……勝負どころを読み違えたかしら。ターンエンドよ」
 口ではそう言いつつも、ホムラの表情からは楽しさが伝わってくる。
 俺は、このファイトを諦めなかった。
 ギリギリまで追い詰められて――ヴァンガードを手放すことを拒んだ。
 それなら。

【流馬 ダメージ5(裏1) 手札3枚】
場:戦場の嵐 サグラモール(V)、降魔剣士 ハウガン(右後R)
【ホムラ ダメージ3(裏3) 手札4枚】
場:ブレイジングフレア・ドラゴン(V)、鎧の化身 バー(中後R)、連撃のサザーランド(右前R)、従者 レアス(右後R)

「俺のターン……ドロー」
 引いたカードは、トライアルデッキに1枚しか入っていないG3ユニット<大いなる銀狼 ガルモール>。
 このカードには、今までのユニットには無かった特別なスキルがある。
 その名前を知った当時は、何とも思わなかった。
 しかし、今は違う。
「<大いなる銀狼 ガルモール>にライド! スキル発動! コストを支払い、デッキからG2以下の『ゴールドパラディン』を1枚手札に加える。俺は<ちゃーじがる>を選択し、<ガルモール>の後ろにコールする!」

カード名 	ちゃーじがる
グレード 	1 	スキル 	ブースト
種別 	ノーマルユニット 	トリガー 	-
クラン 	ゴールドパラディン 	種族 	ハイビースト
シールド 	5000 	国家 	ユナイテッド・サンクチュアリ
パワー 	6000 	クリティカル 	1
効果テキスト 	自【R】:[SB(1)]このユニットが「大いなる銀狼 ガルモール」をブースト
した時、コストを払ってよい。 払ったら、そのバトル中、ブーストされた
ユニットのパワー+5000。

 銀狼の騎士の叫びが仲間を呼び、己の力を解放するための舞台を作り上げていく。
「さらに、<ハウガン>の前に<ボーマン>をコール!」
 先程のドロートリガーで引いた<ボーマン>を戦線に送りだす。

カード名 	神技の騎士 ボーマン
読み 	シンギノキシ ボーマン
グレード 	2 	スキル 	インターセプト
種別 	ノーマルユニット 	トリガー 	-
クラン 	ゴールドパラディン 	種族 	ヒューマン
シールド 	5000 	国家 	ユナイテッド・サンクチュアリ
パワー 	10000 	クリティカル 	1
効果テキスト 	-

 ここからだ。
「バトルフェイズに入るぜ」
 ダメージが4点以上あるとき、発動するスキル。
「<ちゃーじがる>で<ガルモール>をブースト。ソウルブラストして、スキル発動! パワーを5000上昇させる!」
 俺は、このファイトに勝つ。
 勝って、今までの自分から脱却する。
「<ガルモール>で、<ブレイジングフレア>をアタック!」

 ぶち破れ。
 今こそ、偽りの限界を越える時。
 自ら作り上げた殻を、打ち破る時――

「――リミット・ブレイクッ!!」

 限界を越える力。
 それは、今の俺に――そして、これからの俺に必要なものだ。

カード名 	大いなる銀狼 ガルモール
読み 	オオイナルギンロウ ガルモール
グレード 	3 	スキル 	ツインドライブ!!
種別 	ノーマルユニット 	トリガー 	-
クラン 	ゴールドパラディン 	種族 	ヒューマン
シールド 	- 	国家 	ユナイテッド・サンクチュアリ
パワー 	10000 	クリティカル 	1
効果テキスト 	自【V】【LB(4)】(あなたのダメージが4枚以上で有効):このユニットがヴァン
ガードにアタックした時、そのバトル中、このユニットのパワー+5000。
自:[CB(2)]このユニットがVに登場した時、コストを払ってよい。払った
ら、あなたの山札からグレード2以下の《ゴールドパラディン》を1枚まで探
し、Rにコールし、その山札をシャッフルする。

「<ガルモール>のスキルで、ヴァンガードにアタックした時、パワー+5000!」

【<大いなる銀狼 ガルモール>パワー10000→26000】

「パワー26000……!?」
 呟いたホムラが、逡巡する素振りを見せる。
 ホムラのダメージは3点。無理をして防ぐ場面ではないが――
「ここが、君の全力と見た! このアタックを通しちゃうと、あたしは負けちゃう気がする。だから、防がせてもらうわ!」
 そう言って、ホムラは手札から2枚のカードをガーディアンとしてコールする。
「2体の<ブルーレイ・ドラコキッド>でガード! さらに<サザーランド>のインターセプト!」
 これで、シールドの合計値は25000。<ブレイジングフレア>のパワーと合わせると、35000だ。
「――ツインドライブ。ファーストチェック」
 ここでトリガーを引かなければ、<ガルモール>のアタックはまず通らない。
 普段だったら運を天に任せているところだが――不思議と引ける気がしていた。
 そして、その予感は的中する。
「ゲット! クリティカルトリガー!」
「――っ!? ここで引いてくるなんてね。けど、大事なのはこの後よ」
 ホムラの言う通りだ。
 獲得したクリティカルトリガーの効果を、どのユニットに加えるか。
 普通に考えれば、パワー、クリティカル共にリアガードの<ボーマン>に付加するだろう。<ガルモール>のアタックを通すためには、次のセカンドチェックで再びトリガーを引かなければならない。加えて、そのアタックが通ったとしても、ホムラのダメージは5点。そして、彼女はまだ10000シールドを1枚残している。<ハウガン>のブーストを受けた<ボーマン>のパワーでは届かない。
 ――それじゃ意味が無いんだ。
 目の前に立ちふさがる、高い壁。そこから逃げ出して勝利を得たとしても、自分を変えることはできない。
 越える。
 ぶち破る。
 それが、限界を突破するということ。
「効果は全て<ガルモール>へ!」

【<大いなる銀狼 ガルモール>パワー26000→31000 クリティカル1→2】

「賭けに出たわね……いいわ。来なさい!」
 ホムラの声を受けて、火竜が雄叫びを上げる。炎が逆巻き、俺を威嚇するように荒ぶる。そんなイメージが浮かんだ。
 なら、俺は――
「セカンドチェック……!」
 灼熱を突き破るイメージを!