にわかのアークナイツプレイ記 第九章 暴風眺望 感想 夜明け前が一番暗い

待ってたぞ九章！！

レユニオン編完結の八章公開が去年の5月だったので、1年は経っていないものの、まぁ～～～～～長く感じました。

moonyuseiniwaka.hatenablog.com

イベントや危機契約のステージを攻略しているときも楽しいは楽しいのですが、自分の中でアークナイツに対するモチベーション維持の大きな要因はシナリオなので……
イベントシナリオは世界観やキャラクターへの理解を深め、視野を広げる意味を含め単品の読み物として面白いものの、やはり外伝的な意味合いの強いものが多く、肝心なところは分からずじまいなことがほとんどで、満たされない部分が出てきます。
そういった意味では、「VIGILO-我が目に映るまま-」はメイン＋作品の根幹に関わるような要素が示唆されていて、非常に読みごたえがありました。やはり「ドクター」と「プレイヤー」って別存在なのだろうか……

そんな期間を経ての九章！！

スケジュールの都合上、公開初日にガーっと駆け抜けはできませんでしたが、時間取れるタイミングでゴリゴリ進めて、とりあえずシナリオは最後まで読めました。
直前の八章ではなく三章をクリアすれば進めるので難易度は抑えめになっている、という事前情報を知っていましたが、ラスト付近のボスステージ以外は……まあ余裕でしたかね！　ただし石像テメーは許さん。
オペレーターの育成練度よりも、敵やステージのギミックを理解することのほうが大切なので、シルバーアッシュエイヤマウンテンソーンズスルト水チェンで脳味噌が溶かされまくったダメドクターにとっては、ちょうどいい歯ごたえでした。なお強襲や死地作戦には全く手を付けていないもよう。

というわけで、ここからはシナリオの感想を軽く語りたいと思います。
以下、ネタバレ注意です。

恒久的な安寧など、この大地に存在しない。
いずれ地獄へと至る炎は、貴方の傍でくすぶり続けている――

前述した通り、八章をクリアしなくても進めるので、「レユニオン事変と同時進行でヴィクトリアではこんなことが起こってました」というような前日談的な内容を予想してたのですが、がっつり八章からの続きでした。未クリア勢は振り返りで内容把握してね、ってことでしょうか。……勿体ないので先に八章クリアしたほうがいいと思うナ！

ドクターが目覚めてからチェルノボーグでの決戦までわずか2週間足らずだった濃密っぷりにも驚きましたが、そこからヒロック郡での事件勃発まで約1年、さらに言えばロドスがヴィクトリアに到着までさらに数か月と、時間の進み方が急激に早くなってさらにびっくりですよ。
この辺の空白期に、イベントストーリーがいくつか入っているようですが……時系列をはっきりさせないのは「あえて」なんだろうなぁ。

新たな舞台で描かれるのは、「民族間での対立」と「それを利用する者たちの暗躍」であり、「鉱石病」というある種のファンタジー要素による対立や差別と比較すると、より現実世界に密接した問題です。
……ただ、「病による差別や軋轢」も、今となってはフィクションの中でしかありえないものではなく、身近なものになってしまいましたが。

今、自分は当たり前のように平和な人生を享受していますが、同じ時間、同じ空の元では、戦火に晒され、明日をも知れない状況に置かれている人たちがいます。
「当たり前の平和」は、いとも簡単に崩れ去る。虚構の中でのみ描かれることを許された世界が、現実のものになってしまっている。
ただ争いを止めるだけではいけない。国と、そこに暮らす人々の誇りと未来のために、例え喉元に銃を突きつけられようと、屈してはいけない、折ってはならない矜持がある。

現在進行形で行われている非道な侵略が、フィクションに説得力や重みを持たせてしまう。あってはならない皮肉だと思います。
そんなことを感じながら読み進めていたため、新章のプロローグだったのに、心へのボディーブローがきつかったですね……
「これぞアークナイツ！」と喜びたい一方で、この重みをストレートに受け取ってはいけないと拒否している自分もいました。

そう、これは新たなる戦いの序章に過ぎない。

一つの都市に混沌と悲劇をもたらした事件は、「まだ」長い導火線に火を点けたようなもの。
真実を知る数少ない光は乏しく、深い闇の前では容易くかき消されてしまう。
しかし、明けない夜はないのだ。
一人の天使が描いた「夜明け」のように――
今はまだ微かな光だったとしても、諦めなければ、いつかそれは本当の夜明けを導く。
そう信じて、足掻き続けるしかない。

状況が悪い方悪い方にどんどん転がっていく状況で、微塵も諦めないバグパイプの姿を見ていてこんなフレーズが浮かんじゃいましたねぇ。
今まではちょっと抜けてる田舎っ子くらいのイメージだったのに、あの奮闘を見ていたらもう気軽に「ペェプ」なんて呼べないっすわ……
所属部隊が壊滅、送り出してくれた隊長も生死不明、ヴィクトリアに戻ってもまともに取り合ってもらえず、学生時代の友人であるチェンを頼ってようやくロドスに辿り着いたものの、亡霊部隊に関しての手がかりは掴めていないという、やさぐれたり折れたりしても仕方のないような惨状なのに、前向き姿勢が微塵も崩れないのアークナイツ随一のメンタル強者なんじゃないか？
前章のメインだったアーミヤやチェンが「迷いを抱えながら前に進む」キャラだったので、余計にそう感じました。

しかしホルン隊長……ビジュアルも武装も好みだっただけに、プレイアブル化が大分怪しいのが非常に残念です……

残念といえば、Outcastですよね！！！！

家具やローグライクのアイテムで死亡することがネタバレされていたようですが、まさか九章の中で逝ってしまうとは思わないじゃん……
イケオジAceもそうでしたが、魅力的かつ現状のアークナイツのキャラクターたちの足りない要素をバシバシに持っているエリオペに限って殉職してしまうの何でなの……
他ゲーを含めても、イケオバのキャラクターってすっごい貴重だと思うんですよ。
未来を切り開く若者たちのために道を開く、という展開は年長者にとっての王道ではありますが、たまには生き残って、普通に自軍加入してくれてもいいんじゃよ……
シージコラボの復刻が難しいなら、Ashの互換キャラとかでもいいからさ……またはローグライクで使わせてくれても可。

そして、ロドスが立ち向かわなければならないのは新たな敵だけではなく、未だ消えぬ悔恨。
アニメCMでさらっとネタバレされてましたが、本当にあったタルラ脱走。
コシチェイの傀儡であった「レユニオンの野望」は潰えたものの、それだけで全てが崩れ去るほど感染者たちにとっての旗である「レユニオン」は脆くない。
それは、レユニオンが魅せる理想にすがらなければ生きていけないほど、感染者にとって世界が厳しいままであることの証明。ロドスが、ロドスのやり方でその「理想」に辿り着くためにはまだ時間が必要であり――それを待てない人々も大勢いる。彼らが自らの進路をはっきりさせるためにも、「チェルノボーグで何が起こったのか」を説明する責務が、「レユニオンのリーダー」にはある。

最初に読んだときは「まだレユニオンも引っ張るのか……」とやや引き気味だったのですが、大規模作戦を止めれば終わり、リーダーを倒せば万事解決できるほど、感染者をめぐる諸問題は簡単なものではないし、あの場に居合わせた全員がロドスの理念に賛同してくれたわけではない。
彼らは彼らで一度の失敗くらいでは諦められない信念があるのだと理解したとき、するっと受け入れられました。そんなに簡単に割り切れたら、人間苦労はしないよな……

ただ、ひとつ懸念として。
これ、全部とは言わずともある程度風呂敷畳むのに何年かかるの！？

先日発表された「アークナイツエンドフィールド」は、設定が共通する部分はあれどアークナイツ本編とは別物っぽいですが、個人的にはトランスポーターとかからチラッとロドスの話題が出るくらいリンクしていてくれたほうがうれしいし、本編では掬いきれない要素を補完する意味で、別媒体や別作品での展開をしていってほしいなぁ……

九章クリア後にサイラッハやリードのセリフを聞くと、胸に来るものがありますね……

特にリードは抽象的だった諸々のセリフが俄然具体性を増したので、いつか異格オペレーターとして昇格してほしいところです。あと十一章くらいでも限定でもいいからホルン隊長実装してくれ！！