遊戯王 New stage２ サイドＭ １－５

「俺のターン！　てめえがリードを握るなんざ百年早い事を教えてやる！　俺は魔法カード＜破滅の儀式＞を発動！！」

＜破滅の儀式＞
儀式魔法
「破滅の魔王ガーランドルフ」の降臨に必要。
手札・自分フィールド上から、レベルの合計が
７以上になるようにモンスターをリリースしなければならない。
自分の墓地に存在するこのカードをゲームから除外する事で、
このターン自分フィールド上に表側表示で存在する
儀式モンスターが戦闘によって破壊したモンスターは
墓地へ送られずデッキの一番上に戻る。

　馬橋が叫ぶと、フィールド上に鎖で縛られた、黒い卵のような物体が出現する。大人が１０人で入っても、まだ余裕がありそうな大きさの卵だった。
　＜ダイガスタ・ガルドス＞が自然と高度を上げる。回避運動を取りやすくするためだろう。
（儀式魔法カード――来るか！）
　ミハエルは意識を集中する。
「俺は手札の＜ツインヘッド・ケルベロス＞、そして墓地の＜儀式魔人プレサイダー＞を除外することで、儀式に必要なレベルを満たす！」
　２枚のカードが黒の卵に吸い込まれていき、ドクンと大きく脈打つ。
　不気味な存在感が、フィールドを支配していた。
「恐れ慄け！　これがてめえに与えられる『破滅』だ！　儀式召喚――降臨せよ！　＜破滅の魔王ガーランドルフ＞！」
　馬橋が右手を天に向かって掲げる。
　ピシリ、と音を立てて黒の卵に亀裂が走り、生まれた隙間から悪魔の腕が伸びてくる。
「――ッ！」
　悪寒が走る。
　これから出てくるであろうモンスターに対し、デュエリストとしての勘が「危険」をしきりに訴えている。
　それを振り払うかのように奥歯を強く噛んだミハエルは、視線に力を込めて前を見据える。
　バガン！　と卵が割れ、濃い紫色の体に鎖を巻きつけ、赤い瞳を隠すように仮面を被った悪魔――いや、魔王が降臨する。胸の中心に鎖で繋がれた黄金のメダルが、鈍く光った。
　＜破滅の魔王ガーランドルフ＞。

＜破滅の魔王ガーランドルフ＞
儀式・効果モンスター
星７/闇属性/悪魔族/攻2500/守1400
「破滅の儀式」により降臨。
このカードが儀式召喚に成功した時、
このカードの攻撃力以下の守備力を持つ、
このカード以外のフィールド上に表側表示で存在する
モンスターを全て破壊し、破壊したモンスター１体につき
このカードの攻撃力は１００ポイントアップする。

「＜ガーランドルフ＞の効果発動ォ！　このカードが儀式召喚に成功した時、このカードの攻撃力――2500以下の守備力を持つモンスターを全て破壊する！　インフェルノ・パニッシャー！！」
　＜破滅の魔王ガーランドルフ＞は、右手に黒い波動を収束させると、それを地面に叩きつける。
　瞬間、＜ダイガスタ・ガルドス＞の真下から黒い火柱が立ち上り、瞬きする間もなく巨大な鳥と緑髪の巫女はその姿を消す。
　＜ダイガスタ・ガルドス＞の守備力は800。＜破滅の魔王ガーランドルフ＞の効果からは到底逃げ切れない。
「そして、＜ガーランドルフ＞の攻撃力は破壊したモンスター１体につき100ポイント上昇する。破壊したのは１体だけだから100ポイント上がるだけか……しけてやがるなぁ、オイ」
　嘲笑を浮かべ、楽しげに言う馬橋。
　＜破滅の魔王ガーランドルフ＞の攻撃力は、2600となった。
「……俺の場にある２枚の伏せカードが見えてないみたいだな」
「ハン！　だったら使ってみろよ！　バトルだ、＜ガーランドルフ＞でダイレクトアタック！」
　ミハエルの挑発を軽く受け流し、馬橋が攻撃を宣言する。強力なモンスターを呼びだしたことで、精神に余裕ができたようだ。
「デモンズ・ブリンガー！」
　魔王は先程と同じように右手に黒の波動を収束させる。
　が、今度はそれを地面に叩きつけるのではなく、圧縮した波動を引きのばすことで、巨大な刃を形成した。
　ブォン！　という風切り音と共に、死神の鎌を思わせる刃がミハエルに迫る。
「…………！」
　伏せてある２枚のカード。その内１枚を使えばダメージを軽減させることができる。
　――だが。
「ぐあっ！」
　伏せカードの起動ボタンを押す前に、＜破滅の魔王ガーランドルフ＞の攻撃がミハエルに届いた。

【ミハエルＬＰ4000→1400】

　たった一撃で、ごっそりとライフを削られる。二度目のダイレクトアタックを許せば、即敗北という段階まで追い詰められた。
「やっぱりブラフじゃねえか！　口だけは達者みてえだが、デュエルの実力はそれほどでもないみたいだな！」
　自分の読みが的中し、馬橋が勝ち誇ったように吠える。
「ターンエンドだ！　次のターンで終わりにしてやるよ！　＜光帝クライス＞は俺のモンだ！！」

【ミハエルＬＰ1400】　手札３枚
場：伏せカード２枚
【馬橋ＬＰ1800】　手札４枚
場：破滅の魔王ガーランドルフ（攻撃）