遊戯王 New stage2 サイドM 2-9
<ダイガスタ・ガルドス>を遥かにしのぐ大きさに成長した<ガスタ・イグル>――その背には、手綱を握る緑髪の賢者の姿がある。
<ダイガスタ・イグルス> シンクロ・効果モンスター 星7/風属性/サイキック族/攻2600/守1800 チューナー+チューナー以外の「ガスタ」と名のついたモンスター1体以上 1ターンに1度、自分のエンドフェイズ時に 自分の墓地から風属性モンスター1体をゲームから除外する事で、 相手フィールド上に裏側表示で存在するカード1枚を選択して破壊する。
「まだだ! 魔法カード<ガスタの導き>を発動! このターン、デッキに戻した<ガスタ>の数×300ポイント、フィールド上の<ガスタ>の攻撃力を上昇させる! 俺が戻したカードは2枚。よって攻撃力は600ポイント上昇します!」
<ガスタの導き> 通常魔法(オリジナルカード) 自分フィールド上に表側表示で存在する「ガスタ」と名のついたモンスター1体を選択して発動する。選択したモンスターの攻撃力は、このターンでデッキに戻した「ガスタ」と名のついたカードの数×300ポイント上昇する。
ミハエルのデッキから光が溢れ、<ダイガスタ・イグルス>の体へと宿る。
「攻撃力3200……!」
天羽の声色に、初めて驚きが含まれる。
だが、まだ天羽のライフを削り切るには足りない。それでもここで<ダイガスタ・イグルス>の攻撃が通れば、かなり有利な状況に立つことができるはずだ。
「バトルだ! <ダイガスタ・イグルス>! <スクラップ・キマイラ>を攻撃だ!」
ミハエルの宣言を受け、<ダイガスタ・イグルス>がその巨体からは想像もできないほど速く上空へと飛翔する。
「ストーム・レインッ!!」
緑の巨鳥が2枚の翼を羽ばたかせると、無数の細い竜巻が生まれる。
その竜巻はまるで雨のように天羽のフィールドに降り注ぎ、<スクラップ・キマイラ>を砕く。
「――惜しいな、ミハエル君! 罠カード<献身なる正義>を発動!」
「なっ!?」
「このカードを発動したターン、私のモンスターは戦闘では破壊されない!」
「攻撃力3200……!」
天羽の声色に、初めて驚きが含まれる。
だが、まだ天羽のライフを削り切るには足りない。それでもここで<ダイガスタ・イグルス>の攻撃が通れば、かなり有利な状況に立つことができるはずだ。
「バトルだ! <ダイガスタ・イグルス>! <スクラップ・キマイラ>を攻撃だ!」
ミハエルの宣言を受け、<ダイガスタ・イグルス>がその巨体からは想像もできないほど速く上空へと飛翔する。
「ストーム・レインッ!!」
緑の巨鳥が2枚の翼を羽ばたかせると、無数の細い竜巻が生まれる。
その竜巻はまるで雨のように天羽のフィールドに降り注ぎ、<スクラップ・キマイラ>を砕く。
「――惜しいな、ミハエル君! 罠カード<献身なる正義>を発動!」
「なっ!?」
「このカードを発動したターン、私のモンスターは戦闘では破壊されない!」
<献身なる正義>(けんしんなるせいぎ) 通常罠(オリジナルカード) このカードを発動したターン、自分フィールド上のモンスターは戦闘では破壊されない。 (ダメージ計算は適用する)
襲いかかる暴風の中でも、<スクラップ・キマイラ>は何とかその形を保っていた。
<献身なる正義>はモンスターの戦闘破壊を防ぐだけで、戦闘ダメージは発生する。天羽のライフポイントは1500削られ、残り300となった。
<献身なる正義>はモンスターの戦闘破壊を防ぐだけで、戦闘ダメージは発生する。天羽のライフポイントは1500削られ、残り300となった。
【天羽LP1800→300】
「くそっ……」
だが、天羽の場にモンスターを残してしまった。
前のターン、天羽は<スクラップ・ゴブリン>を破壊することで<スクラップ・ゴーレム>を手札に加えていた。<スクラップ・ゴーレム>のアドバンス召喚を許せば、再び<スクラップ・サーチャー>とのコンボを使われてしまう。
それならば――
「――メインフェイズ2に移ります。俺は手札から<ガスタ・クロウ>を捨てることで効果を発動。このカードを手札から捨てることで、相手の墓地のモンスターをデッキの一番下に戻します。俺が選択するのは<スクラップ・サーチャー>です」
だが、天羽の場にモンスターを残してしまった。
前のターン、天羽は<スクラップ・ゴブリン>を破壊することで<スクラップ・ゴーレム>を手札に加えていた。<スクラップ・ゴーレム>のアドバンス召喚を許せば、再び<スクラップ・サーチャー>とのコンボを使われてしまう。
それならば――
「――メインフェイズ2に移ります。俺は手札から<ガスタ・クロウ>を捨てることで効果を発動。このカードを手札から捨てることで、相手の墓地のモンスターをデッキの一番下に戻します。俺が選択するのは<スクラップ・サーチャー>です」
<ガスタ・クロウ> 効果モンスター(オリジナルカード) 星2/風属性/鳥獣族/攻 300/守 500 このカードを手札から墓地へ送り、相手の墓地に存在するモンスターを1体を選択して発動する。 選択したモンスターをデッキの一番下に戻す。 この効果は自分のメインフェイズ時のみ発動する事ができる。
「なるほど。懸命な判断だ」
くちばしの尖ったキツツキのようなモンスターが、天羽のディスクへと飛び込んで行く。
数秒後、役目を終えた<ガスタ・クロウ>はミハエルのフィールドへ戻ると、そのまま眠るように倒れ、墓地へ送られた。
これで、<スクラップ・サーチャー>をこちらの場に特殊召喚し、表側表示モンスターを破壊することはできない。
「ターンエンドです」
あとは、天羽の出方しだいだ。
くちばしの尖ったキツツキのようなモンスターが、天羽のディスクへと飛び込んで行く。
数秒後、役目を終えた<ガスタ・クロウ>はミハエルのフィールドへ戻ると、そのまま眠るように倒れ、墓地へ送られた。
これで、<スクラップ・サーチャー>をこちらの場に特殊召喚し、表側表示モンスターを破壊することはできない。
「ターンエンドです」
あとは、天羽の出方しだいだ。
【ミハエルLP1300】 手札0枚
場:ダイガスタ・イグルス(攻撃)、伏せ1枚
【天羽LP300】 手札3枚
場:スクラップ・キマイラ(攻撃)
場:ダイガスタ・イグルス(攻撃)、伏せ1枚
【天羽LP300】 手札3枚
場:スクラップ・キマイラ(攻撃)
「私のターン――」
カードをドローした瞬間、天羽の纏う雰囲気が一変した。
先程垣間見せた冷たい光を瞳に宿し、一切の反論を許さないような確固たる意志が伝わってくる。
ミハエルの心臓の鼓動が早まる。緊張のせいなのか、動揺のせいなのか、恐怖のせいなのかは分からなかった。
「<ガスタの静寂 カーム>を取り戻したいのなら、このターンを切り抜けて見せろ、ミハエル君。カードを1枚セットし、<キマイラ>をリリースし<ゴーレム>をアドバンス召喚」
ミハエルの予想通り、天羽は<スクラップ・ゴーレム>を召喚してきた。
しかし、墓地に<スクラップ・サーチャー>は存在せず、素の攻撃力では<ダイガスタ・イグルス>を倒すことは叶わない。
「<ゴーレム>の効果を発動。私は墓地から<スクラップ・ゴブリン>を特殊召喚する」
三度フィールドに現れた、屑鉄の小人。
2体のモンスターのレベルの合計は――8。
「もう一度言おう。私には、相棒の屍を乗り越えて進む覚悟がある。レベル5の<スクラップ・ゴーレム>に、レベル3の<スクラップ・ゴブリン>をチューニング」
天羽が右腕を振るう。
それに合わせて、2体の<スクラップ>モンスターが光の柱に包まれた。
「朽ちゆく歴戦の残骸たち――安らかな眠りに落ちる前に、新たなる魂を現出せよ!」
大気が震える。
ミハエルは、天羽のフィールドから視線を外すことができなかった。
カードをドローした瞬間、天羽の纏う雰囲気が一変した。
先程垣間見せた冷たい光を瞳に宿し、一切の反論を許さないような確固たる意志が伝わってくる。
ミハエルの心臓の鼓動が早まる。緊張のせいなのか、動揺のせいなのか、恐怖のせいなのかは分からなかった。
「<ガスタの静寂 カーム>を取り戻したいのなら、このターンを切り抜けて見せろ、ミハエル君。カードを1枚セットし、<キマイラ>をリリースし<ゴーレム>をアドバンス召喚」
ミハエルの予想通り、天羽は<スクラップ・ゴーレム>を召喚してきた。
しかし、墓地に<スクラップ・サーチャー>は存在せず、素の攻撃力では<ダイガスタ・イグルス>を倒すことは叶わない。
「<ゴーレム>の効果を発動。私は墓地から<スクラップ・ゴブリン>を特殊召喚する」
三度フィールドに現れた、屑鉄の小人。
2体のモンスターのレベルの合計は――8。
「もう一度言おう。私には、相棒の屍を乗り越えて進む覚悟がある。レベル5の<スクラップ・ゴーレム>に、レベル3の<スクラップ・ゴブリン>をチューニング」
天羽が右腕を振るう。
それに合わせて、2体の<スクラップ>モンスターが光の柱に包まれた。
「朽ちゆく歴戦の残骸たち――安らかな眠りに落ちる前に、新たなる魂を現出せよ!」
大気が震える。
ミハエルは、天羽のフィールドから視線を外すことができなかった。
「シンクロ召喚。破壊の翼、<スクラップ・ドラゴン>!」
役目を終え、後は朽ちるのを待つだけだったはずの様々なパーツ。
それらが体を作り、尻尾を作り、首を作り、頭を作り、翼を作る。
そうして生まれ変わった屑鉄――それが<スクラップ・ドラゴン>だった。
「これが、私の覚悟の象徴だ」
飛び出したパイプから蒸気を噴きだし、ゆっくりと飛翔する<スクラップ・ドラゴン>。
その姿を、黙って見上げることしかできなかった。
それらが体を作り、尻尾を作り、首を作り、頭を作り、翼を作る。
そうして生まれ変わった屑鉄――それが<スクラップ・ドラゴン>だった。
「これが、私の覚悟の象徴だ」
飛び出したパイプから蒸気を噴きだし、ゆっくりと飛翔する<スクラップ・ドラゴン>。
その姿を、黙って見上げることしかできなかった。