にわかオタクの雑記帳

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遊戯王 New stage2 サイドM 4-7

 この程度のダメージでは揺るがないと言わんばかりに、神楽屋は不遜な笑みを浮かべる。
「俺のターンだな。ドロー」
 現在、神楽屋の手札はたった今ドローしたカード1枚だけ。手札に必要なカードが揃っていれば一気に強力なモンスターを呼び出せる「融合」だが、その分手札の消費は激しい。
「永続罠<正統なる血統>を発動して、墓地の通常モンスター<ジェムナイト・ガネット>を攻撃表示で特殊召喚する。そして、魔法カード<馬の骨の対価>を使わせてもらう。蘇生した<ガネット>を墓地に送って、デッキからカードを2枚ドローする」
 が、神楽屋はここでドローカードを引いてきた。

<正統なる血統>
永続罠
自分の墓地に存在する通常モンスター1体を選択し、攻撃表示で特殊召喚する。
このカードがフィールド上に存在しなくなった時、そのモンスターを破壊する。
そのモンスターがフィールド上に存在しなくなった時、このカードを破壊する。

<馬の骨の対価>
通常魔法
効果モンスター以外の自分フィールド上に表側表示で存在する
モンスター1体を墓地へ送って発動する。
自分のデッキからカードを2枚ドローする。

「墓地の<ジェムナイト・フュージョン>の効果を使うぜ。このカードは、墓地の<ジェムナイト>と名のついたモンスターを1体除外することで、手札に加えることができる!」
「……ッ! 融合カードの回収……!」
 <馬の骨の対価>でドローした2枚のカードが、モンスターだったとしたら――
「ここからが真骨頂だ! <ジェムナイト・フュージョン>発動! 手札の<ルマリン>と<オブシディア>を融合――煌めけ! <ジェムナイト・プリズムオーラ>!」
 ミハエルの予測が的中する。
 これまでの宝石とは違い、色のない透明な水晶が神楽屋のフィールドに現れる。
 その内側から、鋭く研ぎ澄まされたレイピアが突き出る。
 水晶が砕け、銀色の甲冑を纏った騎士が姿を現す。右手にはレイピア、左手には円形のシールドを装備しており、肩口からは自然から採取した加工される前の水晶が飛び出ている。闘牛を思わせるようなフルフェイスの兜と、深紅のマントから、マタドールを彷彿とさせる。

<ジェムナイト・プリズムオーラ>
融合・効果モンスター
星7/地属性/雷族/攻2450/守1400
「ジェムナイト」と名のついたモンスター+雷族モンスター
このカードは融合召喚でのみエクストラデッキから特殊召喚する事ができる。
1ターンに1度、手札から「ジェムナイト」と名のついた
カード1枚を墓地へ送って発動する事ができる。
フィールド上に表側表示で存在するカード1枚を選択して破壊する。

「さらに融合に使用した<ジェムナイト・オブシディア>の効果発動だ。このカードが手札から墓地に送られた場合、墓地に存在するレベル4以下の通常モンスターを特殊召喚することができる。再び蘇れ、<ジェムナイト・ガネット>!」

<ジェムナイト・オブシディア>
効果モンスター
星3/地属性/岩石族/攻1500/守1200
このカードが手札から墓地へ送られた場合、
自分の墓地に存在するレベル4以下の通常モンスター1体を
選択して特殊召喚する事ができる。

 <ジェムナイト・プリズムオーラ>が、手甲に付いていた黒曜石を放ると、その輝きに導かれるように<ジェムナイト・ガネット>が姿を現す。
「まだだぜ。墓地の<ジェムナイト・フュージョン>の効果をもう一度発動。<オブシディア>を除外して手札に加えるぜ」
 手札に戻った<ジェムナイト・フュージョン>を見て、ミハエルの焦燥感が募る。
 神楽屋の墓地に<ジェムナイト>が存在する限り、あのカードは何度でも手札に戻り、使用することができる。この連鎖を防げば相手に大ダメージを与えられることは確実だが、残念ながらミハエルはそんな手を持ち合わせていない。
「待たせたな。<プリズムオーラ>の効果を使う! 1ターンに1度、手札から<ジェムナイト>と名のついたカードを墓地に送ることで、フィールドに表側表示で存在するカード1枚を破壊する! 俺は回収した<ジェムナイト・フュージョン>を墓地に送る!」
「……ッ!」
「対象は当然<ダイガスタ・スフィアード>だ。受けな……プリズム・ボルテックス!」
 神楽屋の宣言を受け、<ジェムナイト・プリズムオーラ>が天に向かってレイピアを掲げる。瞬間、頭上に雷雲が出現し、レイピアの剣先目がけて雷が落ちる。
 帯電したレイピアが、<ダイガスタ・スフィアード>に向けて振り下ろされる。
 白い光が弾け、蛇のようにうねる電流が翡翠の少女に迫る。
(まずい――!)
 神楽屋の場には3体のモンスターが並んでいる。総攻撃受ければ、ミハエルのライフが尽きることは火を見るより明らかだ。ここで<ダイガスタ・スフィアード>を失うわけにはいかない。
「速攻魔法<ガスタの守護陣>を使わせてもらうっスよ! <スフィアード>の効果をエンドフェイズまで無効にすることで、カード効果による破壊を防ぎます!」

<ガスタの守護陣>
速攻魔法(オリジナルカード)
自分フィールド上で表側表示で存在する「ガスタ」と名のついたサイキック族モンスター1体を
選択して発動する。選択したモンスターの効果をエンドフェイズまで無効にし、このターン、自分
フィールド上のモンスターはカードの効果によって破壊されない。

 <ダイガスタ・スフィアード>の足元に魔法陣が展開し、ドーム状の障壁を作り出す。
 電撃はその障壁に激突し、四散した。
「防いだか。だが、<ガスタの守護陣>のデメリット効果――<スフィアード>の効果が無効になってるってことは、戦闘破壊が可能だってことだ! バトルフェイズ、<ルビーズ>で攻撃!」
 <ガスタの守護陣>によって作られた障壁が消えたタイミングを見計らって、紅蓮の騎士が大地を駆ける。
「仕留める! クリムゾン・トライデントッ!」
 轟、と槍の矛先に炎が宿る。
 標的を焼き尽くすため、必殺の刃が振るわれる。
「……やっぱり、まだまだっスね、俺」
 相手に聞こえるかどうかといったくらいの声で、ミハエルは呟く。
 心意気が変わったくらいで勝てるほど、デュエルは甘いものではない。改めて痛感する。
 だが。
「相手の出方次第じゃ負けてた、なんて不確定な戦術取るようじゃ甘すぎる――!」
「なっ……!? ミハエル、お前!」
 運は、ミハエルに味方したようだ。
「罠カード<ガスタの風牙>を発動! 自分の墓地に存在する<ガスタ>と名のついたモンスターを2体デッキに戻すことで、<ガスタ>と名のついたシンクロモンスターの攻撃力を700ポイントアップさせます! 俺は墓地の<リーズ>と<イグル>をデッキに戻す!」

<ガスタの風牙>
罠カード(オリジナルカード)
自分の墓地に存在する「ガスタ」と名のついたモンスター2体を選択し、
デッキに加えてシャッフルする。
その後、自分フィールド上で表側表示で存在する「ガスタ」と名のついたシンクロモンスター1体を
選択する。選択したモンスターの攻撃力はエンドフェイズまで700ポイントアップする。

 <ダイガスタ・スフィアード>の杖に、触れたものを細切れにしてしまいそうな荒々しい風が収束する。
 <ジェムナイト・ルビーズ>の「クリムゾン・トライデント」をギリギリのところで回避した<ダイガスタ・スフィアード>は、相手が攻撃の反動で硬直している隙に、全力で杖を叩きこむ。
 肩部分の鎧が砕け、杖に宿った風がガリガリガリガリと騎士の甲冑を砕いていく。
 その衝撃で倒れた<ジェムナイト・ルビーズ>は、そのまま砕け散った。

【神楽屋LP3500→3300】

「……<スフィアード>が戦闘破壊されることを見越して、その伏せカードはモンスターを蘇生させるカードだと踏んだんだけどな。読みが外れたか」
 神楽屋とミハエルは、それぞれため息を吐く。神楽屋は失意の、ミハエルは安堵のため息だ。
 迎撃には成功したものの、<ガスタの風牙>の効果によって上昇する攻撃力は700ポイント。攻撃の前に<ジェムナイト・ルビーズ>の攻撃力上昇効果を使われていたら、<ダイガスタ・スフィアード>を守ることはできず、そのまま敗北していた。
 ミハエルの次手に備えてボード・アドバンテージを重視した結果、神楽屋は勝機を逃すこととなってしまった。
「まあいい。これ以上することはないし、ターンエンドだ」
 神楽屋のターンが終了したことで、<ダイガスタ・スフィアード>の攻撃力は元に戻る。

【ミハエルLP3300】 手札2枚
場:ダイガスタ・スフィアード(攻撃)
【神楽屋LP3300】 手札0枚
場:ジェムナイト・プリズムオーラ(攻撃)、ジェムナイト・ガネット(攻撃)