にわかオタクの雑記帳

にわかオタクがそのときハマっていることを書き殴るブログです 主にアニメ・ゲーム中心

遊戯王 New stage2 サイドM 4-6

「俺のターンっスね。ドロー!」
 <ガスタの疾風 リーズ>の特殊召喚に成功したことで、次手はすでに決まっている。
 問題は、それを神楽屋が通してくれるかだ。
「……<ガスタ・イグル>を召喚!」
 大きな鳴き声を上げながら、緑色の小鳥――<ガスタ・イグル>が元気よく羽ばたく。その赤い瞳には、やる気が満ち溢れているように見えた。

<ガスタ・イグル>
チューナー(効果モンスター)
星1/風属性/鳥獣族/攻 200/守 400
このカードが戦闘によって破壊され墓地へ送られた時、
自分のデッキからチューナー以外のレベル4以下の
「ガスタ」と名のついたモンスター1体を特殊召喚する事ができる。

「<リーズ>の効果を発動! 手札を1枚デッキの一番下に戻し、俺の<ガスタ・イグル>と<ジェムナイト・マディラ>のコントロールを入れ替えますよ!」
 以前は使用を避けていた<ガスタの疾風 リーズ>の効果。
 今は躊躇わない。<ガスタ>の強さを最大限に引き出すと決めたから。
 そして、彼らの感じる痛みを理解し、受け入れることを決めたから。
 <ガスタの疾風 リーズ>は両目を閉じ、短く呪文を唱える。
 <ガスタ・イグル>と<ジェムナイト・マディラ>の体がシャボン玉のような球体に包まれ、ふわりと宙に浮かんだ。
「ハッ! 面白い手だが――そう簡単に俺のモンスターをくれてやるわけにはいかねえな! 罠カード発動! <輝石融合>!」
「アッセンブル・フュージョン……!?」
 神楽屋が伏せカードを発動したと同時、<ジェムナイト・マディラ>の姿がフィールドから消える。

<輝石融合(アッセンブル・フュージョン)>
通常罠
手札・自分フィールド上から、融合モンスターカードによって
決められた融合素材モンスターを墓地へ送り、
「ジェムナイト」と名のついたその融合モンスター1体を
融合召喚扱いとしてエクストラデッキから特殊召喚する。

「俺はフィールド上の<マディラ>と手札の<ガネット>を融合する!」
「――罠カードでの融合とは、やってくれますね!」
「ハッ、ちょっとは年上らしいとこ見せないと舐められちまうんでな! さあ、出番だぜ! <ジェムナイト・ルビーズ>!」
 そう宣言して、神楽屋は指をパチンと鳴らす。
 現れた巨大な宝石の色は、紅蓮の炎を思わせる赤だ。その中で、胴長の龍のように炎が蠢いたかと思うと、内側から槍の矛先が飛び出してくる。
 宝石を突き破り、紅の甲冑を纏った騎士、<ジェムナイト・ルビーズ>が戦場に降り立つ。携えた槍を軽やかに回転させた後、ミハエルに向けて構える。

<ジェムナイト・ルビーズ>
融合・効果モンスター
星6/地属性/炎族/攻2500/守1300
「ジェムナイト・ガネット」+「ジェムナイト」と名のついたモンスター
このカードは上記のカードを融合素材にした融合召喚でのみ
エクストラデッキから特殊召喚する事ができる。
1ターンに1度、自分フィールド上に表側表示で存在する
「ジェム」と名のついたモンスター1体をリリースして発動する事ができる。
このカードの攻撃力はエンドフェイズ時まで
リリースしたモンスターの攻撃力分アップする。
また、このカードが守備表示モンスターを攻撃した時、
その守備力を攻撃力が超えていれば、
その数値だけ相手ライフに戦闘ダメージを与える。

 サクリファイスエスケープ……<ガスタの疾風 リーズ>の効果の対象になった<ジェムナイト・マディラ>を<輝石融合>の効果で墓地に送ることによって、コントロール奪取を回避し、別の融合モンスターを特殊召喚した。
 ミハエルの目論見を外しつつ、自身の戦力は落とさない。見事な戦術だった。
 だが、ミハエルも防がれることを想定していなかったわけではない。
「それなら……レベル5の<リーズ>にレベル1の<イグル>をチューニング! 優しき風――有を生み出すその力で、我らを包みたまえ。シンクロ召喚……!」
 「彼女」を使うのは、怒りに身を任せたあの時――馬橋とのデュエル以来だ。
 <ガスタ・イグル>の体が光球に変化し、<ガスタの疾風 リーズ>の周囲に緑のリングが出現する。そして、リングの中心を光が駆け抜けた。
「行くぞ! 薫風の盾――<ダイガスタ・スフィアード>!」
 シンクロ召喚のエフェクト光が四散し、翡翠色の長髪が風を受けて広がる。<ガスタの疾風 リーズ>と同じく、髪の毛先は橙に染まっている。
 青の宝石を埋め込んだ額当てが輝き、<ダイガスタ・スフィアード>は<ジェムナイト・ルビーズ>が構えた矛先に対抗するように杖を向ける。

<ダイガスタ・スフィアード>
シンクロ・効果モンスター
星6/風属性/サイキック族/攻2000/守1300
チューナー+チューナー以外の「ガスタ」と名のついたモンスター1体以上
このカードがシンクロ召喚に成功した時、
自分の墓地に存在する「ガスタ」と名のついた
カード1枚を選択して手札に戻す事ができる。
このカードがフィールド上に表側表示で存在する限り、
自分フィールド上に表側表示で存在する
「ガスタ」と名のついたモンスターの戦闘によって
発生する自分への戦闘ダメージは代わりに相手が受ける。
また、このカードは戦闘では破壊されない。

「<イグル>の送りつけに失敗したなら、シンクロ召喚するまでっスよ」
「ま、妥当だな。なら、来るか?」
「当然! ダメージは取らせてもらいます。バトルフェイズ!」
 <ダイガスタ・スフィアード>はシンクロ召喚に成功した時、自分の墓地に存在する<ガスタ>と名のついたモンスターを手札に戻すことができるが、ミハエルはその効果を使わなかった。他の<ガスタ>やサポート魔法・罠カードを発動するために、墓地は肥えていたほうがいいのだ。
 そのままバトルフェイズに突入する。
「<ダイガスタ・スフィアード>で<ジェムナイト・ルビーズ>を攻撃!」
 <ダイガスタ・スフィアード>の攻撃力は2000。対し、<ジェムナイト・ルビーズ>の攻撃力は2500。通常なら攻撃力の低い<ダイガスタ・スフィアード>が破壊されてしまうが――
「<スフィアード>は戦闘破壊耐性を備えている上に、<ガスタ>モンスターでの戦闘で発生する自分へのダメージを相手に反射することができる、か」
 神楽屋はこの展開を読めていたようで、さして驚きもせず冷静に分析してくる。
「――テンペスト・アロー!」
 <ダイガスタ・スフィアード>が手にした杖の先に、風が収束する。
 集まった風は、サッカーボールくらいの大きさに膨らみ、荒々しく渦巻く。
 球の形を成しながらも、バラバラだった風の流れが、一点でぶつかる。
 瞬間、ぶつかった地点から矢のように鋭く細い波動が放たれ、紅の騎士を襲う。
 見てから反応したのでは遅すぎるほど、高速で放たれた風の矢。
 <ジェムナイト・ルビーズ>は、それを構えた槍で薙ぎ払った。
 単純に避けるよりも大きな動作を要求される方法で、迎撃して見せた。
「反撃だ、<ルビーズ>。クリムゾン・トライデント!」
 攻撃命令が下ると、紅の騎士は両手で槍を持ち直す。
 その場から動くことなく、腰を深く落とし、まるでビリヤードのキューのように槍を構える。
 そして、突き出す。
 キュゴッ! と空気を裂く音が響き、紅色の槍が虚空を貫く。
 その矛先から炎がほとばしり、3本に枝分かれして<ダイガスタ・スフィアード>に襲いかかる。翡翠色の少女は防御障壁を展開し、三又の炎を防いだ。
 が、三又の炎が発する熱までは防ぐことができず、翡翠色の髪がチリチリと焼かれる。
「……<スフィアード>の効果発動! <ガスタ>と名のついたモンスターの戦闘により発生したダメージを相手に反射します! ソウル・ペイン!」
 <ダイガスタ・スフィアード>が身に着けていた青の宝石が、輝きを増す。
 少女の口が真一文字に引き締まり、構えた杖の先から一筋の光弾が打ち出される。
 この戦闘によって発生した戦闘ダメージは500。本来ならミハエルが受けるはずのダメージを、<ダイガスタ・スフィアード>の効果で反射する。
 放たれた光弾が、神楽屋の体を貫いた。
「ちっ……」

【神楽屋LP4000→3500】

 初ダメージを受けた神楽屋は、悔しそうに舌打ちする。
 こちらの思惑は外されたが、戦闘ダメージを与えた上に<ダイガスタ・スフィアード>をシンクロ召喚することができた。十分すぎるほどのリカバリーだ。
「ターンエンドっス。このまま押し切らせてもらいますよ」
「ハッ……やれるもんならやってみな」

【ミハエルLP3300】 手札2枚
場:ダイガスタ・スフィアード(攻撃)、伏せ2枚
【神楽屋LP3500】 手札0枚
場:ジェムナイト・ルビーズ(攻撃)、伏せ1枚