遊戯王 New stage2 プロローグ
「ハァッ、ハァッ、ハァッ――糞が――」
虚空に向けて愚痴を吐き捨てながら、男は薄暗い路地を走っていた。
息を荒くしつつも、左腕に装着したシンプルな形状のデュエルディスクを展開させる。
途端、足元に転がっていた空き缶を思いっきり踏みつけ、体のバランスが崩れる。
「――ちくしょう!」
だが、倒れるわけにはいかない。
強引に体勢を戻した男は、速度を緩めることなく背後に視線を向ける。
そこには、ビルの隙間から路地へ躍り出て、呑気に欠伸をする黒猫の姿があった。
「ハァッ、ハァッ……撒いたのか?」
男は足を止め、額から流れ落ちる汗をぬぐう。
急激な運動のせいで心臓はうるさいくらいの早鐘を打っているのに、流れている汗は妙に冷たかった。
まるで、恐怖を感じたときの冷や汗のような――
虚空に向けて愚痴を吐き捨てながら、男は薄暗い路地を走っていた。
息を荒くしつつも、左腕に装着したシンプルな形状のデュエルディスクを展開させる。
途端、足元に転がっていた空き缶を思いっきり踏みつけ、体のバランスが崩れる。
「――ちくしょう!」
だが、倒れるわけにはいかない。
強引に体勢を戻した男は、速度を緩めることなく背後に視線を向ける。
そこには、ビルの隙間から路地へ躍り出て、呑気に欠伸をする黒猫の姿があった。
「ハァッ、ハァッ……撒いたのか?」
男は足を止め、額から流れ落ちる汗をぬぐう。
急激な運動のせいで心臓はうるさいくらいの早鐘を打っているのに、流れている汗は妙に冷たかった。
まるで、恐怖を感じたときの冷や汗のような――
「俺の裁きから逃れることなど、出来はしない」
「――ッ!?」
背後から聞こえた声に、男は反射的に振り向いた。
路地を包む暗闇が、ますます濃くなったように見える。まだ日が落ちきるには時間があるはずなのに。
「貴様の力は、この世界に害を与える」
声の主を確認するまでもなく、危機を察知した男はディスクにセットされたデッキからカードを引き抜く。
「<コアキメイル・パワーハンド>!」
男は叫びながら、カードをディスクにセットする。
現れたのは、頭部や両肩、右手がドリルで構成された機械族モンスターだ。キィィィンと甲高い音を立てて、右手のドリルが回転する。
男は、サイコデュエリストだった。
実体化した<コアキメイル・パワーハンド>は、向かってくる声の主に対し、容赦ない一撃を加えるつもりだ。人間相手に<コアキメイル・パワーハンド>のドリルを振るえば、一瞬で肉塊が出来上がる。それでも男は躊躇わなかった。
「……この世から消え去るべきだ。その力は」
声の主は、未だ暗闇の中から姿を見せない。
こちらから仕掛けようと男が一歩を踏み出そうとした、そのときだった。
背後から聞こえた声に、男は反射的に振り向いた。
路地を包む暗闇が、ますます濃くなったように見える。まだ日が落ちきるには時間があるはずなのに。
「貴様の力は、この世界に害を与える」
声の主を確認するまでもなく、危機を察知した男はディスクにセットされたデッキからカードを引き抜く。
「<コアキメイル・パワーハンド>!」
男は叫びながら、カードをディスクにセットする。
現れたのは、頭部や両肩、右手がドリルで構成された機械族モンスターだ。キィィィンと甲高い音を立てて、右手のドリルが回転する。
男は、サイコデュエリストだった。
実体化した<コアキメイル・パワーハンド>は、向かってくる声の主に対し、容赦ない一撃を加えるつもりだ。人間相手に<コアキメイル・パワーハンド>のドリルを振るえば、一瞬で肉塊が出来上がる。それでも男は躊躇わなかった。
「……この世から消え去るべきだ。その力は」
声の主は、未だ暗闇の中から姿を見せない。
こちらから仕掛けようと男が一歩を踏み出そうとした、そのときだった。
「――術式解放。<ロスト・サンクチュアリ>」
声が響いた瞬間、辺りが眩い光に包まれる。
その光が消え去った後、薄暗い路地に男の姿はなかった。
その光が消え去った後、薄暗い路地に男の姿はなかった。