にわかオタクの雑記帳

にわかオタクがそのときハマっていることを書き殴るブログです 主にアニメ・ゲーム中心

遊戯王 New stage2 サイドM プロローグ

 痛い。
 最初にその声が聞こえたのは、いつだっただろうか。
 痛い。
 痛いよ。
 痛い。
 痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛いイタイイタイイタイ――
 指が震えるのが分かった。
 手が震えるのが分かった。
 体が震えるのが分かった。
 吐き気を催し、震える手でデュエルディスクを放り投げた。
 カードに触れるだけで、幻聴が聞こえた。
 カードを見るだけで、幻聴が聞こえた。
 ――報い、なのか。
 カードを傷つけてきた、自分への。
 何日も眠れない日が続いた。
 憔悴しきった状態で、ふらふらと歩を進める。
 いつの間にか、古びた焼却炉の前まで来ていた。
 現在は使われていないが、中には不要になったと思われるカードが散乱している。
「――ッ!!」
 また幻聴が聞こえてきそうで、思わず耳を塞ぐ。
 両目をきつく閉じ、歯を食いしばる。体中から嫌な汗が吹き出し、膝ががくがくと震える。心臓の鼓動が不規則になる。
「ごめんなさいごめんなさいごめんなさい――」
 幾度となく繰り返した謝罪の言葉。しかし、その言葉が幻聴を消すことはないと分かっていた。それでも言わずにはいられなかった。

「大丈夫」

「――――」
 いつもの幻聴は、聞こえなかった。
 その代わりに、穏やかな風の音色を思わせるような、澄んだ声が響く。

「あなたは、まだやり直せます」