にわかオタクの雑記帳

にわかオタクがそのときハマっていることを書き殴るブログです 主にアニメ・ゲーム中心

遊戯王 New stage 20

「俺のターン……調子に乗るなよ?」
 愉快そうにくくっ、と喉を鳴らしたレビンが、すぐさま攻勢に出る。
「<トライアーム>は俺にとって厄介極まりないモンスターだからな……潰させてもらう! <魔轟神レヴュアタン>で<トライアーム>を攻撃!」
 玉座から腰を上げた魔の主が、背に生えた紅い翼を限界まで広げる。
「セイント・パニッシャー!」
 広げた翼から眩い光が放たれ、輝王たちの視界を歪める。
 ガガガッ! と装甲が穿たれる音が聞こえ、視力が戻ったときには、すでに<A・ジェネクス・トライアーム>は破壊されていた。

【創志LP2000→1400】

「ぐっ……! 倒れるかよ!」
 実体化した攻撃を受けたのだろう。震える膝に活を入れ、創志は体勢を立て直していた。
「俺もカードを1枚セットさせてもらう。ターン終了だ」

【光坂LP1600】 手札2枚
場:レアル・ジェネクス・クロキシアン(攻撃)、
【創志LP1400】 手札4枚
場:伏せ1枚
【レビンLP3400】 手札0枚
場:魔轟神レヴュアタン(攻撃)、伏せ1枚
【輝王LP2800】 手札3枚
場:伏せ1枚

「俺のターン!」
 創志に感化されたかのように、輝王も声を張ってからカードをドローする。
 後を任されたとあっては、無様なプレイングはできない。
 最早、先を考えて手を惜しむ段階ではないだろう。
「相手フィールドに光属性モンスターが存在し、自分フィールド上にモンスターが存在しないとき、このカードは手札から特殊召喚できる! 現れろ、<AOJスピニングナイト>!」
 輝王のフィールドに現れたのは、ドリルのような螺旋を描いた鉄板がいくつも組み合わさり、人型を形成している特異なモンスターだった。

<A・O・J スピニングナイト>
効果モンスター(オリジナルカード)
星5/闇属性/機械族/攻2000/守1000
相手フィールド上に光属性モンスターが存在し、
自分フィールド上にモンスターが存在しない場合、
このカードは手札から特殊召喚する事ができる。
この効果で特殊召喚したこのカードの元々の攻撃力・守備力は半分になる。

「さらに魔法カード<ダーク・バースト>を使う! 墓地に存在する攻撃力1500以下の闇属性モンスター……<AOJアンカーナイト>を手札に加え、そのまま召喚する! <アンカーナイト>の効果で墓地の<A・ボム>を特殊召喚!」

<ダーク・バースト>
通常魔法
自分の墓地に存在する攻撃力1500以下の闇属性モンスター1体を手札に加える。

「一気に3体のモンスターを並べてくるか!」
 レビンが警戒の色を強める。
 だが、ここまで展開した以上、後には退けない。
「レベル5の<スピニングナイト>とレベル2の<A・ボム>に、レベル3の<アンカーナイト>をチューニング! 正義の軍団よ! 乱立する力を前に、己の義を突き通せ!」
 この状況で呼び出すモンスターといえば、輝王の中では1体しかいなかった。
シンクロ召喚! 浮上せよ! <AOJディサイシブ・アームズ>!!」
 それは、正義の軍団が誇る要塞。
 正義の軍団に勝利をもたらすための、決戦兵器だ。
 フィールドに巨大な影を落としながら、3つの砲台を煌めかせ、<AOJディサイシブ・アームズ>が戦場に出現した。

<A・O・J ディサイシブ・アームズ>
シンクロ・効果モンスター
星10/闇属性/機械族/攻3300/守3300
チューナー+チューナー以外のモンスター2体以上
相手フィールドに光属性モンスターが表側表示で存在する場合、
1ターンに1度、次の効果から1つを選択して発動する事ができる。
●相手フィールド上にセットされたカード1枚を破壊する。
●手札を1枚墓地へ送る事で、
相手フィールド上に存在する魔法・罠カードを全て破壊する。
●自分の手札を全て墓地へ送る事で、相手の手札を確認して
その中から光属性モンスターを全て墓地へ送る。
その後墓地へ送った相手モンスターの攻撃力の合計分のダメージを相手ライフに与える。

「すげえ……! これが、輝王のシンクロモンスター……!」
 巨大な要塞を見上げ、創志が感嘆の息を漏らす。
 重く響き渡る駆動音に、光坂が眼光を鋭くする。
「……そいつがお前の切り札か? 輝王正義」
 挑戦的な光を宿した瞳で<AOJディサイシブ・アームズ>を見据え、レビンが言葉を吐いた。
「――確かめてみろ。<ディサイシブ・アームズ>の第1の効果発動。相手フィールド上に光属性モンスターが存在するとき、セットされたカードを1枚破壊する。俺はレビンの伏せカードを破壊……ジャッジメント・ショット!」
 <AOJディサイシブ・アームズ>の左に位置する砲台が動き、驚異的な速度で光線が発射される。
 瞬きする間もないまま、レビンの伏せカードが貫かれた。
「<ガード・ブロック>……戦闘ダメージを防ぎつつ、<魔轟神レヴュアタン>の効果を発動するつもりだったか」
「……当たりだ」

<ガード・ブロック>
通常罠
相手ターンの戦闘ダメージ計算時に発動する事ができる。
その戦闘によって発生する自分への戦闘ダメージは0になり、
自分のデッキからカードを1枚ドローする。

 輝王の指摘に、レビンは悔しそうに肩をすくめる。
 これで、伏せカードの脅威は取り除いた。
 ――さて。どちらを狙うか。
 すでに効果を発動してしまった<レアル・ジェネクス・クロキシアン>を倒すことはたやすい。逆に、<魔轟神レヴュアタン>を倒せば、効果を発動され墓地の<魔轟神>を回収されてしまう。前にも確認したことだが、光属性モンスターが相手フィールドにいたほうが、<AOJ>にとっては戦いやすいのだ。
 すぐに考えがまとまる。
「戦闘を行うぞ。<AOJディサイシブ・アームズ>で<レアル・ジェネクス・クロキシアン>を攻撃する!」
 ゆっくりと3つの砲台が動き、蒸気機関車を模した黒の巨体を射程内に収める。
「――へえ。こっちにくるのか。それでいいのかな?」
 光坂のセリフは、強がりにしか聞こえない。
 彼の手札は2枚。その内1枚が<レアル・ジェネクス・オラクル>であることは分かっている。もう1枚<レアル・ジェネクスダークマター>を握っている可能性は、限り無く低い。攻撃を止める必要はない。
「トライデント・ライトニング・バスター!」
 全ての砲台から、同時に光線が発射される。
 それは、「光線」と呼ぶにはあまりにも太く、下手をすれば船全体を飲み込んでしまいそうだった。
 圧倒的な光の中に、<レアル・ジェネクス・クロキシアン>の姿が埋もれていく。
 ――仕留めた!
 輝王の狙い通り、光が消えると、そこに黒の巨体は存在しなかった。

【光坂LP1600→800】

「さすがだね、輝王君。大見栄を張っただけのことはある」
 全てのモンスターを失った光坂は、あっけらかんと賞賛の言葉を呟いた。
 しかし、その表情に先程までの余裕は感じられない。
 相手を追い詰めたというよりは、本気にさせた――輝王はそんな思いを抱く。
 <AOJディサイシブ・アームズ>の召喚でケリがつくほど、甘い相手ではない。
「戦闘を終了。カードを伏せ、ターンエンドだ」
 次の光坂のターン。
 彼がどう動いてくるか、輝王には全く予測がつかなかった。

【光坂LP800】 手札2枚
場:なし
【創志LP1400】 手札4枚
場:伏せ1枚
【レビンLP3400】 手札0枚
場:魔轟神レヴュアタン(攻撃)
【輝王LP2800】 手札3枚
場:AOJディサイシブ・アームズ(攻撃)、伏せ2枚