遊戯王 New stage 21
創志が光坂と出会ったのは、随分前のことだ。
ごろつきに襲われそうになっていた彼を助け、お礼にデュエルモンスターズのデッキをもらった。
信二に勝つために、何度も光坂に教えを請いた。
何度も練習相手になってもらった。
突然姿を消した「先生」は、創志に絶望をもたらすために突然現れた。
彼の手を取ることを拒み、命を落としかけた。
そして今。
決着をつけるために、創志は光坂と向かい合っている。
彼の瞳は――
今まで見たことのないほど、冷たい光を湛えていた。
ごろつきに襲われそうになっていた彼を助け、お礼にデュエルモンスターズのデッキをもらった。
信二に勝つために、何度も光坂に教えを請いた。
何度も練習相手になってもらった。
突然姿を消した「先生」は、創志に絶望をもたらすために突然現れた。
彼の手を取ることを拒み、命を落としかけた。
そして今。
決着をつけるために、創志は光坂と向かい合っている。
彼の瞳は――
今まで見たことのないほど、冷たい光を湛えていた。
「僕のターン。ドロー」
淡々とカードを引いた光坂は、ドローしたカードをじっと見つめる。
「……レビン」
唐突にパートナーの名を呼ぶ。
「――何だ?」
光坂の様子がおかしいのに気がついたのか、レビンが訝しげに返事をする。
それを聞き、光坂は深く息を吐いてから、
淡々とカードを引いた光坂は、ドローしたカードをじっと見つめる。
「……レビン」
唐突にパートナーの名を呼ぶ。
「――何だ?」
光坂の様子がおかしいのに気がついたのか、レビンが訝しげに返事をする。
それを聞き、光坂は深く息を吐いてから、
「君は、何人の仲間を犠牲にしてきた?」
抑揚のない声で呟いた。
「……?」
レビンが光坂の言葉の意味を考えようとしたときだった。
「――魔法カード<ミラクルシンクロフュージョン>を発動」
問いを発した当人が動いた。
全く予想していなかったカードの発動に、光坂以外の全員が不意をつかれる。
「……?」
レビンが光坂の言葉の意味を考えようとしたときだった。
「――魔法カード<ミラクルシンクロフュージョン>を発動」
問いを発した当人が動いた。
全く予想していなかったカードの発動に、光坂以外の全員が不意をつかれる。
<ミラクルシンクロフュージョン> 通常魔法 自分のフィールド上・墓地から、 融合モンスターカードによって決められた 融合素材モンスターをゲームから除外し、 シンクロモンスターを融合素材とするその融合モンスター1体を 融合召喚扱いとしてエクストラデッキから特殊召喚する。 また、セットされたこのカードが 相手のカードの効果によって破壊され墓地へ送られた時、 自分はデッキからカードを1枚ドローする。
瞬間、前部甲板を覆い尽くすほどの「影の沼」が、創志たちの足元に広がる。
「これは……!?」
<レアル・ジェネクス・クロキシアン>が召喚された時に生まれたものに似ているが、規模が違いすぎる。それに、影を彩る「黒」も濃くなっているように見える。
「――<レヴュアタン>!?」
レビンが発した叫びに、創志は魔の主のほうへと視線を向ける。
足元に出現した黒い沼に、<魔轟神レヴュアタン>の体が玉座ごと沈んでいく。背の羽は沼から伸びた触手によって縛り付けられ、羽ばたくことができないようだ。
「何が起こっている――!?」
突如始まった異常事態に、輝王も動揺を隠せないようだった。
「……レビン。君はサテライトの人々を救うために、多くの仲間を犠牲にしてきた。目的を達するために、多くのものを切り捨てたんだ」
光坂の声には感情がこもっていない。
が、彼から発せられる有無も言わさぬプレッシャーに、全員が気圧されていた。
「これは……!?」
<レアル・ジェネクス・クロキシアン>が召喚された時に生まれたものに似ているが、規模が違いすぎる。それに、影を彩る「黒」も濃くなっているように見える。
「――<レヴュアタン>!?」
レビンが発した叫びに、創志は魔の主のほうへと視線を向ける。
足元に出現した黒い沼に、<魔轟神レヴュアタン>の体が玉座ごと沈んでいく。背の羽は沼から伸びた触手によって縛り付けられ、羽ばたくことができないようだ。
「何が起こっている――!?」
突如始まった異常事態に、輝王も動揺を隠せないようだった。
「……レビン。君はサテライトの人々を救うために、多くの仲間を犠牲にしてきた。目的を達するために、多くのものを切り捨てたんだ」
光坂の声には感情がこもっていない。
が、彼から発せられる有無も言わさぬプレッシャーに、全員が気圧されていた。
「次は、君の番だ」
「なっ……!? これは――」
光坂の言葉を合図に、今度はレビン自身も沼に沈んでいく。
「くそっ! なんだこれは! 光坂ッ!」
レビンは必死に手足を動かしてもがくが、体の沈没が止まることはない。
――あのままじゃやべえ!
そう思った創志は、レビンを助けるために反射的に飛びだす。
が。
「邪魔はダメだよ、創志」
光坂の一言で、全身が石になったかのように動かなくなる。
「僕は<ミラクルシンクロフュージョン>の効果で、墓地の<レアル・ジェネクス・クロキシアン>とフィールドの<魔轟神レヴュアタン>をゲームから除外……」
<魔轟神レヴュアタン>とレビンの姿が、闇に呑まれ完全に見えなくなる。
光坂の言葉を合図に、今度はレビン自身も沼に沈んでいく。
「くそっ! なんだこれは! 光坂ッ!」
レビンは必死に手足を動かしてもがくが、体の沈没が止まることはない。
――あのままじゃやべえ!
そう思った創志は、レビンを助けるために反射的に飛びだす。
が。
「邪魔はダメだよ、創志」
光坂の一言で、全身が石になったかのように動かなくなる。
「僕は<ミラクルシンクロフュージョン>の効果で、墓地の<レアル・ジェネクス・クロキシアン>とフィールドの<魔轟神レヴュアタン>をゲームから除外……」
<魔轟神レヴュアタン>とレビンの姿が、闇に呑まれ完全に見えなくなる。
足元に広がった黒い沼から、闇がせり上がる。
金色の鎧が沼の中から這い出て、秩序なく蠢く闇を形作っていく。
「――――」
言葉を失う。
創志は――隣に立つ輝王も、呆然とその光景を見つめるしかなかった。
鎧によって模られた姿は、翼を失った悪魔の上半身。
下半身は、いまだ影の沼にうずめたまま。
金色の鎧に圧迫された闇が、関節部などの隙間から漏れ出ている。
兜を被った頭には、顔も瞳もない。
見えるのは、永久の闇だけだ。
伝わってくるのは、虚無。
あらゆる生物を消し去ろうとする、虚無だ。
「クライマックスだ。舞台を華麗に彩ってほしいな」
金色の鎧が沼の中から這い出て、秩序なく蠢く闇を形作っていく。
「――――」
言葉を失う。
創志は――隣に立つ輝王も、呆然とその光景を見つめるしかなかった。
鎧によって模られた姿は、翼を失った悪魔の上半身。
下半身は、いまだ影の沼にうずめたまま。
金色の鎧に圧迫された闇が、関節部などの隙間から漏れ出ている。
兜を被った頭には、顔も瞳もない。
見えるのは、永久の闇だけだ。
伝わってくるのは、虚無。
あらゆる生物を消し去ろうとする、虚無だ。
「クライマックスだ。舞台を華麗に彩ってほしいな」