にわかオタクの雑記帳

にわかオタクがそのときハマっていることを書き殴るブログです 主にアニメ・ゲーム中心

遊戯王 New stage サイドS 5-4

「まだ――終わるわけにはいかないッ!!」
 強く、呆れるほど強く叫んだ創志は、伏せカードの起動ボタンを押す。
「罠カード発動! <反転世界>!!」
「何ッ――」
 さすがにこのカードの発動は予想していなかったのだろう。
 輝王の目が驚愕に見開かれる。

<反転世界>
通常罠
フィールド上に表側表示で存在する全ての効果モンスターの攻撃力・守備力を入れ替える。

「このカードによって、フィールド上の効果モンスターの攻守は入れ替わる!」
 ぐにゃり、と時空が歪んだような音が聞こえた瞬間、<AOJリーサル・ウェポン>の携えていた武器が、ボロボロと朽ちていく。
 <反転世界>の効果により、<AOJリーサル・ウェポン>の攻撃力はたったの800。
 対する<ジオ・ジェネクス>は――2800。
「迎撃だ! <ジオ・ジェネクス>!」
 再び腕の装甲を展開し、アタック・フォルムに変化した<ジオ・ジェネクス>が、右腕を引く。
 最終兵器の攻撃は止まらない。
「リバーサル……インパクトォ!!」
 ゴッ!! と。
 大気をぶち破り放たれた剛腕が、<AOJリーサル・ウェポン>を粉々に打ち砕いた。

【輝王LP3200→1200】

 一気に輝王のライフが減少する。
 どうだ、と言わんばかりに創志は青年を睨みつける。
「さすがにこの展開は読めなかった。だが――」
 輝王の瞳の光は、戦いが終わっていないことを示していた。
「<ジャスティス・セイバー>の効果を発動。デッキからレベル4以下の<AOJ>モンスターを特殊召喚する……選ぶのは、<AOJブラインド・サッカー>だ」
 朽ちた黒い刃を目印に、六足歩行の兵器が輝王のフィールドに特殊召喚される。

ジャスティス・セイバー>
装備魔法(オリジナルカード)
「A・O・J」と名のついたモンスターのみ装備可能。装備モンスターの攻撃力は500ポイントアップする。
このカードを装備したモンスターが破壊され墓地に送られたとき、デッキからレベル4以下の「A・O・J」と名のついたモンスターを特殊召喚できる。

<A・O・J ブラインド・サッカー>
効果モンスター
星4/闇属性/機械族/攻1600/守1200
このカードと戦闘を行った光属性モンスターの効果は無効化される。

「俺は臆病でな。保険を残しておいた。魔法カード<ダーク・バースト>を使い、墓地の<AOJアンカーナイト>を回収する」

<ダーク・バースト>
通常魔法
自分の墓地に存在する攻撃力1500以下の闇属性モンスター1体を手札に加える。

「チューナーモンスターを手札に……!?」
「このターン、俺は通常召喚を行っていない。回収した<AOJアンカーナイト>を召喚し、効果で<A・ボム>を蘇生」

<A・O・J アンカーナイト>
チューナー(効果モンスター)(オリジナルカード)
星3/闇属性/機械族/攻1200/守1000
このカードが召喚に成功した時、自分の墓地に存在する
レベル2以下の「A」と名のついたモンスターを1体表側守備表示で特殊召喚することができる。
この効果で特殊召喚した効果モンスターの効果は無効化される。

 数ターン前に見た光景が、そのまま繰り返される。
 これで、輝王のフィールドにはモンスターが3体。
 いつの間にか夕日は完全に沈み、辺りを闇が支配し始めていた。
「<A・ボム>と<AOJブラインドサッカー>に、<AOJアンカーナイト>をチューニング」
 その闇を切り裂いて、光の柱が立ち昇る。
 合計レベルは9。
 まだ――まだ、輝王正義は折れない。壁は破れない。
 それなら、何度でも殴るまでだ。
「正義の軍団よ、混迷する戦場に終焉を――シンクロ召喚!」
 そのモンスターは、まるで輝王の動きを真似るかのように右手をかざしながら、フィールドに現れる。

「制圧せよ、<AOJフィールド・マーシャル>!!」

<A・O・J フィールド・マーシャル>
シンクロ・効果モンスター
星9/闇属性/機械族/攻2900/守2600
チューナー+チューナー以外のモンスター2体以上
このカードはシンクロ召喚でしか特殊召喚できない。
このカードが戦闘によって裏側守備表示モンスターを破壊し墓地へ送った時、
このカードのコントローラーは自分のデッキからカードを1枚ドローする。

 <AOJカタストル>によく似た白金の装甲に身を包んだ元帥は、緩やかに戦場を見渡す。
「カードを1枚セットし、ターンエンドだ」

【輝王LP1200】 手札2枚
場:AOJフィールド・マーシャル(攻撃)、リミット・リバース(発動済み)、伏せ1枚
【創志LP650】 手札0枚
場:ジオ・ジェネクス(攻撃・攻守反転)、ジェネクス・コントローラー(守備・攻守反転)

 <反転世界>の効果を受けたとはいえ、今のままでは新たに立ちふさがった壁<AOJフィールド・マーシャル>を打ち破ることはできない。
 しかし、創志は淀みなくカードを引く。
 デッキは応えてくれる。なら、恐れる必要はない。
 そして――創志の想いは届いた。
 輝王と視線が交錯する。
「これで終わりにする! <ジオ・ジェネクス>で<AOJフィールド・マーシャル>を攻撃!」
 そのままぶつかれば、わずかの差で<ジオ・ジェネクス>が敗北してしまう。
 しかし、創志が呼び込んだカードは――
「ダメージステップ、速攻魔法を発動!」
 この攻撃で、創志の勝ちが決まる。ティトを守ることができ、信二もきっと助けられる。
 そう確信した瞬間だった。
 ――緩んだ。
 ずっとセキュリティの青年に向けていた意識が、わずかに逸れた。
 創志の視界に、ゆっくりと起き上がる伏せカードが見える。

 気付けなかった。

 相手もまた、「自分と同じ機械族のモンスターを統べている」ということに。
「言ったろう? 俺は臆病だと――リバースカードを起動」
 輝王の視線は、いまだ創志を捉えている。

「「リミッター解除!!」」

 2人の声が重なる。

<リミッター解除>
速攻魔法(制限カード)
このカード発動時に、自分フィールド上に表側表示で存在する
全ての機械族モンスターの攻撃力を倍にする。
この効果を受けたモンスターはエンドフェイズ時に破壊される。

 同時に、暴走するほどの力を得た、2体のモンスター。
 <ジオ・ジェネクス>。
 <AOJフィールド・マーシャル>。
 2つの拳がぶつかる刹那――

 全く別の方向から、爆発音が響いた。