にわかオタクの雑記帳

にわかオタクがそのときハマっていることを書き殴るブログです 主にアニメ・ゲーム中心

遊戯王 New stage サイドM 5-3

 <ジェネクスウンディーネ>への攻撃で勝負をつけられなかったことが、果たして吉と出るか凶と出るか。
 輝王は、カードをドローした少年を見据える。
 ゆっくりとその右手が動いたとき――
「――ッ!」
 高良の姿が、再び少年に重なる。
 それが視界に映ったとき、輝王は苦笑を我慢できずに、漏らしてしまった。
(まったく)
 こちらが考えた戦術だの、計算だのを飛び越えて――あいつは奇跡を起こしてしまう。
 高良は、そんなデュエルを何度も見せてくれた。
 その姿が重なったということは、答えは明確だった。
「俺は<ジェネクス・コントローラー>を召喚!」
 頭についたランプをチカチカと点灯させながら、機械の小人がフィールドに躍り出る。

<ジェネクス・コントローラー>
チューナー(通常モンスター)
星3/闇属性/機械族/攻1400/守1200
仲間達と心を通わせる事ができる、数少ないジェネクスのひとり。
様々なエレメントの力をコントロールできるぞ。

「そして、魔法カード<二重召喚>を発動! 増やした召喚権で、<ジェネクス・ガイア>を召喚!」

<二重召喚>
通常魔法
このターン自分は通常召喚を2回まで行う事ができる。

<ジェネクス・ガイア>
効果モンスター
星3/地属性/岩石族/攻1000/守1900
このカードが破壊される場合、代わりにこのカード以外の
「ジェネクス・コントローラー」と名のついたモンスター1体を破壊する事ができる。

 焦げ茶色の装甲を持つ<ジェネクス・ガイア>が現れたのを見て、輝王は準備が整ったことを予見する。
「<ジェネクス・ガイア>に<ジェネクス・コントローラー>をチューニング! 原初の煌めきが、新たな力の結晶を生み出す! 集え、大地の力よ!」
 創志のモンスターたちが、光の柱に包まれる。
「これが俺の力だ! ――シンクロ召喚! 轟け、<ジオ・ジェネクス>ッ!!」
 剛腕が光の柱を裂き、体の各所からドロリとした黄金色の液体を滴らせた<ジオ・ジェネクス>が、<AOJリーサル・ウェポン>と向かい合う。

<ジオ・ジェネクス>
シンクロ・効果モンスター
星6/地属性/機械族/攻1800/守2800
「ジェネクス・コントローラー」+チューナー以外の地属性モンスター1体以上
自分フィールド上にレベル4以下の「ジェネクス」と名のついた
モンスターが表側表示で存在する限り、このカードの
元々の攻撃力・守備力をエンドフェイズ時まで入れ替える事ができる。
この効果は1ターンに1度しか使用できない。

「まだだ! さらに魔法カード<黙する死者>を使う! 墓地の<ジェネクス・コントローラー>を蘇生し、これによって<ジオ・ジェネクス>の効果が発動できる!」

<黙する死者>
通常魔法
自分の墓地に存在する通常モンスター1体を選択して発動する。
選択したモンスターを表側守備表示で特殊召喚する。
この効果で特殊召喚したモンスターは
フィールド上に表側表示で存在する限り攻撃する事ができない。

 フィールドに舞い戻った<ジェネクス・コントローラー>を守るように立ちはだかる<ジオ・ジェネクス>。その姿は、難攻不落の要塞を連想させる。
「エンドフェイズまで、攻撃力と守備力を入れ替える! これが<ジオ・ジェネクス>のアタック・フォルムだ!」
 ガシュッ! という金属がこすれあう音と共に蒸気が噴き出し、両腕の装甲が展開する。
 <ジオ・ジェネクス>の攻守が入れ替わり、攻撃力は2800となる。<ジャスティス・セイバー>を装備した<AOJリーサル・ウェポン>の攻撃力2700を上回った。
「来るか!」
「当然だ! <ジオ・ジェネクス>で<AOJリーサル・ウェポン>を攻撃!」
 創志の号令を受けて、<ジオ・ジェネクス>の背部にあるブースターが煙を吹く。
 そして、最終兵器を砕かんと、猛烈に加速した。
「食らえッ! ジオ・インパクトォ!!」
 茶色の剛腕が引きしぼられ、空気を押しのけながら放たれる。
 が、
「――罠カードを起動する! <献身なる正義>!」
 <AOJリーサル・ウェポン>の前に薄緑色の障壁が張られ、そこに<ジオ・ジェネクス>の鉄拳が激突する。

<献身なる正義>(けんしんなるせいぎ)
通常罠(オリジナルカード)
このカードを発動したターン、自分フィールド上のモンスターは戦闘では破壊されない。
(ダメージ計算は適用する)

「なっ――!?」
「<献身なる正義>を発動したターン、俺のモンスターは戦闘では破壊されない!」
 バリバリィ! と雷光が爆ぜる。
 <ジオ・ジェネクス>は背部のブースターからさらに煙を上げるが――
 バリアを突破できないことを悟ったように、その拳を納める。

【輝王LP3300→3200】

「くそッ――防がれた!?」
 焦りを隠せない様子で、創志が吐き捨てた。
「どうした? お前のターンはまだ終わってないぞ?」
 あえて感情のこもらない声で、少年に言葉を投げかける。
「……ターンを終了する」
 声のトーンが落ちた創志とは対照的に、
「……」
 彼の後ろに立つティトの瞳からは、輝きが失われていなかった。

【輝王LP3200】 手札3枚
場:AOJリーサル・ウェポン(攻撃・ジャスティス・セイバー装備)、リミット・リバース(発動済み)
【創志LP650】 手札0枚
場:ジオ・ジェネクス(攻撃)、ジェネクス・コントローラー(守備)、伏せ1枚

「……<ジオ・ジェネクス>の攻守入れ替え効果は、エンドフェイズまでだったな」
 輝王の確認に、創志はうなだれたまま浅く頷く。
 カードをドローし、このデュエルに幕を引くために動き始める。
 <AOJリーサル・ウェポン>で<ジオ・ジェネクス>を攻撃すれば、創志のLPは尽きる。
 躊躇はない。
 俺は、俺の目的のためにこの戦いに勝つ――!
「戦闘だ。<AOJリーサル・ウェポン>で、<ジオ・ジェネクス>を攻撃。フルウェポン・クラッシュ!」
 ――仕留める!
 輝王の攻撃宣言がフィールドに木霊する。
 <AOJリーサル・ウェポン>が最後の一撃を加えるために、駆動を開始する。
 すでに元の形態に戻った<ジオ・ジェネクス>を屠るため、黒い刃が振り上げられた。
 振り下ろせば、終わる――

「そうしっ!!」

 少女の叫びが、少年を眠りから覚ます。