にわかオタクの雑記帳

にわかオタクがそのときハマっていることを書き殴るブログです 主にアニメ・ゲーム中心

遊戯王 New stage 26

 <A・ジェネクス・クレアシオン・ドラグーン>。
 輝王がその存在を知ったのは、以前セキュリティ本部にあるデータベースを閲覧しているときだった。
 <ジェネクス>に関連するカードとして、リンクが張られていたページ。
 そこには、わずかな情報しか記されておらず、詳しい効果等は不明だったが――
 <A・ジェネクス・クレアシオン・ドラグーン>という名前。
 レベル8のシンクロモンスター
 シンクロ素材に<AOJ>モンスターが必要であること。
 これらの情報が、輝王の頭にその存在を強く焼きつけた。
 創志の<A・ジェネクス>を見た瞬間、直感した。
 少年のエクストラデッキには、あのカードがあると。
 光坂は、進化の終端を「闇」と決め付けた。
 それは、誰の力も借りず、一人で強く在ろうとしたためだ。
 少年は違う。
 輝王の<AOJ>の力を合わせ――創志の<A・ジェネクス>は、さらなる高みへと飛翔できる。
 白銀の機竜は、悠然と空を支配する。
「行け! 皆本創志ッ――!」
 偽りの終焉を打ち破り、新たな舞台を切り開くために。








「それが、君の切り札か……!」
「ちげえよ」
 光坂の言葉を、創志は即座に否定する。

「こいつは――俺たちの切り札だ!」

 最初にこのカードを受け取ってから、ずっと思っていた。
 輝王の力を借りなければ、このモンスターは召喚できないと。

<A・ジェネクス・クレアシオン・ドラグーン>
シンクロ・効果モンスター(オリジナルカード)
星8/闇属性/機械族/攻2800/守2800
「ジェネクス・コントローラー」+「A・O・J」と名のついたシンクロモンスター1体以上
このカードは相手の魔法・罠・効果モンスターの効果の対象にならず、
闇属性モンスター以外との戦闘では破壊されない。
このカードの攻撃力は墓地に存在する「ジェネクス」または「A・O・J」と名のついた
モンスターの数×100ポイントアップする。
このカードがフィールド上から墓地に送られた時、自分の墓地に存在する「ジェネクス」または
「A・O・J」と名のついたモンスター1体を選択し、自分フィールド上に特殊召喚することができる。

「<クレアシオン・ドラグーン>の効果発動! このカードの攻撃力は、墓地に存在する<ジェネクス>または<AOJ>の数×100ポイント上昇する!」
 創志、そして輝王のディスクの墓地ゾーンに、淡い光が灯る。
 今まで散っていったモンスターが、機竜に力を与えてくれる。
ジャスティス・フォース!」
 灯った光は<A・ジェネクス・クレアシオン・ドラグーン>の翼へと集い、その輝きを増していく。
「なっ……!? これは!」
 表情をこわばらせた光坂が、驚愕を抑えきれなかったような声を漏らす。
 光は、光坂の墓地ゾーンにも灯っていた。
「<クレアシオン・ドラグーン>の効果範囲は、自分の墓地だけじゃない! 光坂……アンタの墓地に眠っている<レアル・ジェネクス>モンスターの力も使わせてもらう!」
 口には出さなかったが――光坂に「使われた」<ジェネクス・コントローラー>や<ウィンドファーム・ジェネクス>も、力を貸してくれる。
 全ての光を集め終え、機竜が一度だけ大きく翼を羽ばたかせる。
 舞い散る光の粒子は、ホタルが生みだすそれのように幻想的に映った。
 墓地に存在する<ジェネクス><AOJ>モンスターの合計は、17体。
 よって、<A・ジェネクス・クレアシオン・ドラグーン>の攻撃力は1700ポイント上がり、4500ポイントとなった。
「くく……ははは! 随分カッコよく召喚するから、何かと思えば! そのザマはなんだい? 創志! そんな切り札じゃ、僕の<ジエンド>に傷一つ付けられないよ!」
 白銀の機竜にこれ以上の効果がないことに気付いた光坂が、盛大に嘲笑する。
 確かに、光坂の指摘は事実だ。
「……言いたいことはそれだけか?」
 しかし、創志の心は微塵も揺るがない。
 揺らぐ理由がない。
 なぜなら、創志は自分たちの勝利を確信しているからだ。
「――バトルだ。<クレアシオン・ドラグーン>で<ジエンド>を攻撃!」
 機竜は、集った光を収束させ、自らの翼に沿った刃を作り出す。
 三日月のようなフォルムを描く、2枚の刃。
 光の刃は、渦巻く闇を晴らすために研ぎ澄まされる。
「これで決めるぞ! 輝王!」
「――ああ!」
 機竜の体の各所に装着された補助ブースターが一斉に点火し、白銀の体を夜空へと打ち上げる。
 星と月の輝きを受けて、装甲を煌めかせる機竜。
 夜空を切り裂かんと上昇した機竜は、一旦ブースターを停止させ、一瞬だけ宙に浮かぶ。
 機体を反転――鼻先を戦場へと向け、再度ブースターを点火。
 大きく弧を描く軌道を取りながら、闇の悪魔へと迫る。
「――ッ!」
 降下した機竜が、速度を保ったまま一直線上に<レアル・ジェネクス・ジエンド>を捉える。
 そこでようやく、闇の悪魔は両手の手甲を外し、大量の闇を吐きだした。
 <AOJディサイシブ・アームズ>を呑み込んだ闇の奔流が、<A・ジェネクス・クレアシオン・ドラグーン>にぶつかる。
 瞬間、白銀の機竜の姿が黒く塗りつぶされるが――
 バシィッ! と何かが弾ける音が響く。
 光の刃で闇を裂き、<A・ジェネクス・クレアシオン・ドラグーン>はスピードを落とすことなく猛進していた。

「……この局面で無策のまま突っ込むほど、君たちは愚かじゃない。僕も、君たちを侮り勝ちを逃すほど愚かじゃないんだ」

 穏やかに息を吐いた光坂が、静かに伏せカードの起動ボタンを押す。
「<クレアシオン・ドラグーン>が相手の魔法・罠・効果モンスターの効果の対象にならないことは知っている。けど――」
 ゆっくりと、伏せカードが面を上げる。
「対象を取らない罠カードなら、どうかな?」
 機竜の翼が生む光の刃が、闇の悪魔を捉える直前。
 別の光が生まれ、<レアル・ジェネクス・ジエンド>を守った。
「その攻撃を通すほど、僕は甘くない。<聖なるバリア―ミラーフォース―>……相手フィールド上に存在する攻撃表示モンスターを全て破壊する」

<聖なるバリア―ミラーフォース―>
通常罠(制限カード)
相手モンスターの攻撃宣言時に発動する事ができる。
相手フィールド上に存在する攻撃表示モンスターを全て破壊する。

 闇の悪魔を守護した障壁から、無数の光条が放たれた。