遊戯王 New stage 25
「俺のターン――ドロー!」
すでに創志のライフは残りわずかだ。このタッグデュエルではどちらか片方のライフが尽きた時点で、敗北が決定してしまう。
<レアル・ジェネクス・ジエンド>は戦闘ダメージを与えられない代わりに、相手モンスターを破壊した時1000ポイントの効果ダメージを与えてくる。
今、創志たちのフィールドにモンスターはいない。このままモンスターを召喚せずにターンを終えれば、<レアル・ジェネクス・ジエンド>ではライフを削ることができない。
が、光坂が別のモンスターを召喚すれば話は別だ。
そのモンスターのダイレクトアタックを通せば、創志たちは負ける。かといって、壁モンスターを並べても<レアル・ジェネクス・ジエンド>の効果でライフはゼロになる。
――と、後ろ向きな考えはここまでだ。
要は、このターンで決着をつければいいのだ。
シンプルな解答に、創志の全身に力が満ち溢れてくる。
「輝王」
「なんだ」
すでに創志のライフは残りわずかだ。このタッグデュエルではどちらか片方のライフが尽きた時点で、敗北が決定してしまう。
<レアル・ジェネクス・ジエンド>は戦闘ダメージを与えられない代わりに、相手モンスターを破壊した時1000ポイントの効果ダメージを与えてくる。
今、創志たちのフィールドにモンスターはいない。このままモンスターを召喚せずにターンを終えれば、<レアル・ジェネクス・ジエンド>ではライフを削ることができない。
が、光坂が別のモンスターを召喚すれば話は別だ。
そのモンスターのダイレクトアタックを通せば、創志たちは負ける。かといって、壁モンスターを並べても<レアル・ジェネクス・ジエンド>の効果でライフはゼロになる。
――と、後ろ向きな考えはここまでだ。
要は、このターンで決着をつければいいのだ。
シンプルな解答に、創志の全身に力が満ち溢れてくる。
「輝王」
「なんだ」
「――力を貸してくれ」
創志1人の力では、立ちはだかる闇の悪魔を倒すことはできない。
だが。
――俺は1人じゃない。
これはタッグデュエルだ。輝王の言葉が脳裏に蘇る。
「……分かった」
輝王が浅く頷く。こちらがやろうとしていることは、すでに予想がついているようだった。
「罠カード<リミット・リバース>発動! 墓地の<A・ジェネクス・リモート>を攻撃表示で特殊召喚するぜ! さらに、<リモート>の効果で自身を<ジェネクス・コントローラー>として扱う!」
失った<ジェネクス・コントローラー>の代わりとなるチューナーモンスターが、墓地から呼び起こされる。
だが。
――俺は1人じゃない。
これはタッグデュエルだ。輝王の言葉が脳裏に蘇る。
「……分かった」
輝王が浅く頷く。こちらがやろうとしていることは、すでに予想がついているようだった。
「罠カード<リミット・リバース>発動! 墓地の<A・ジェネクス・リモート>を攻撃表示で特殊召喚するぜ! さらに、<リモート>の効果で自身を<ジェネクス・コントローラー>として扱う!」
失った<ジェネクス・コントローラー>の代わりとなるチューナーモンスターが、墓地から呼び起こされる。
<リミット・リバース> 永続罠 自分の墓地から攻撃力1000以下のモンスター1体を選択し、攻撃表示で特殊召喚する。 そのモンスターが守備表示になった時、そのモンスターとこのカードを破壊する。 このカードがフィールド上から離れた時、そのモンスターを破壊する。 そのモンスターが破壊された時このカードを破壊する。
創志のプレイングを見て、予測を確信に変えた輝王は、続けて動いた。
「――永続罠<ウィキッド・リボーン>を起動。800ポイントのライフを支払い、墓地に眠るシンクロモンスター……<AOJカタストル>を特殊召喚する。<ウィキッド・リボーン>の効果で特殊召喚されたモンスターの効果は無効化され、このターン攻撃宣言ができない」
「――永続罠<ウィキッド・リボーン>を起動。800ポイントのライフを支払い、墓地に眠るシンクロモンスター……<AOJカタストル>を特殊召喚する。<ウィキッド・リボーン>の効果で特殊召喚されたモンスターの効果は無効化され、このターン攻撃宣言ができない」
<ウィキッド・リボーン> 永続罠 800ライフポイントを払い、自分の墓地に存在する シンクロモンスター1体を選択して発動する。 選択したモンスターを表側攻撃表示で特殊召喚する。 この効果で特殊召喚したモンスターの効果は無効化され、 このターン攻撃宣言をする事ができない。 このカードがフィールド上に存在しなくなった時、 そのモンスターを破壊する。 そのモンスターが破壊された時このカードを破壊する。
【輝王LP1800→1000】
白金の装甲を煌めかせる蛇のようなフォルムの兵器が輝王のフィールドに現れる。その動作は鈍く、関節の数か所が錆びついているのが見えた。
問題はない。
「行くぜ、輝王」
「ぬかるなよ、皆本創志」
短く言葉を交わし、創志は深く息を吐く。
そうだ。
――幕を引くのは、俺たちだ!
「レベル5の<AOJカタストル>に、レベル3の<ジェネクス・コントローラー>をチューニング!」
「何……!?」
一瞬だけ、光坂の目が泳いだ。さすがに「このカード」の情報までは掴んでいなかったようだ。
「折れぬ正義の魂が――」
「正義」の名を冠し、数々の苦難に抗ってきた軍団を指揮する青年が、口上を紡ぐ。
「進化の光を照らし出す!」
創志が望むのは、<レアル・ジェネクス>とは違う進化の形。
新たに手にした<A・ジェネクス>ならば、そこに辿りつけるはずだ。
「「シンクロ召喚!!」」
2つの声が重なる。
シンクロ召喚のエフェクト光が、フィールドを貫く。
「新たなる舞台へ――」
輝王の声は、創志だけでなく、戦いを見守る仲間たちにも届いただろう。
この舞台は、じきに幕を引く。
しかし、続く舞台は――強引な変革を望んでいるとは限らない。
――俺は、俺の日常を取り戻す!
問題はない。
「行くぜ、輝王」
「ぬかるなよ、皆本創志」
短く言葉を交わし、創志は深く息を吐く。
そうだ。
――幕を引くのは、俺たちだ!
「レベル5の<AOJカタストル>に、レベル3の<ジェネクス・コントローラー>をチューニング!」
「何……!?」
一瞬だけ、光坂の目が泳いだ。さすがに「このカード」の情報までは掴んでいなかったようだ。
「折れぬ正義の魂が――」
「正義」の名を冠し、数々の苦難に抗ってきた軍団を指揮する青年が、口上を紡ぐ。
「進化の光を照らし出す!」
創志が望むのは、<レアル・ジェネクス>とは違う進化の形。
新たに手にした<A・ジェネクス>ならば、そこに辿りつけるはずだ。
「「シンクロ召喚!!」」
2つの声が重なる。
シンクロ召喚のエフェクト光が、フィールドを貫く。
「新たなる舞台へ――」
輝王の声は、創志だけでなく、戦いを見守る仲間たちにも届いただろう。
この舞台は、じきに幕を引く。
しかし、続く舞台は――強引な変革を望んでいるとは限らない。
――俺は、俺の日常を取り戻す!
「導け! <A・ジェネクス・クレアシオン・ドラグーン>!!」
幻想の中でその強大な力を振るう伝説の生物――ドラゴン。
竜の存在に、数多くの人々が魅せられた。
圧倒的な存在を、記憶に焼きつけたいと願った。
そして人は、手にした技術を持って幻想の存在を具現化していく。
機竜。
正義の軍団によく似た白金の装甲で構成され、広がる翼を刃に変えて。
人工物によって生まれた機械の竜の瞳に、光が灯る。
これが、創志の手にした最後の力。
「創造」を秘めた竜が、闇に覆われた戦場に光をもたらした。
竜の存在に、数多くの人々が魅せられた。
圧倒的な存在を、記憶に焼きつけたいと願った。
そして人は、手にした技術を持って幻想の存在を具現化していく。
機竜。
正義の軍団によく似た白金の装甲で構成され、広がる翼を刃に変えて。
人工物によって生まれた機械の竜の瞳に、光が灯る。
これが、創志の手にした最後の力。
「創造」を秘めた竜が、闇に覆われた戦場に光をもたらした。