にわかオタクの雑記帳

にわかオタクがそのときハマっていることを書き殴るブログです 主にアニメ・ゲーム中心

遊戯王 New stage サイドM 6-8

<コアキメイル・ヴァラファール>
効果モンスター
星8/炎属性/悪魔族/攻3000/守2100
このカードのコントローラーは自分のエンドフェイズ毎に
手札から「コアキメイルの鋼核」1枚を墓地へ送る。
または、墓地へ送らずにこのカードを破壊する。
このカードは「コアキメイル」と名のついたモンスター1体を
リリースしてアドバンス召喚する事ができる。
このカードが守備表示モンスターを攻撃した時、
その守備力を攻撃力が超えていれば、
その数値だけ相手ライフに戦闘ダメージを与える。
このカードは罠カードの効果では破壊されない

 しかし、<コアキメイル・ヴァラファール>の攻撃力は3000。<AOJフィールド・マーシャル>の3400には届かない。
 その考えが通用するのは、ほんの一時だった。
「<コアキメイル・ヴァラファール>に<鋼核収納>を装備。このカードを装備したモンスターと戦闘を行う相手モンスターは、ダメージ計算時のみ装備モンスターのレベル×100ポイント攻撃力が下がります」
 炎の魔神の胸部と肩を守るように、緑色の鎧が装着される。

<鋼核収納>
装備魔法
「コアキメイル」と名のついたモンスターにのみ装備可能。
装備モンスターと戦闘を行う相手モンスターの攻撃力は、
そのダメージ計算時のみ装備モンスターの
レベル×100ポイントダウンする。
装備モンスターがエンドフェイズ時に破壊される場合、
代わりにこのカードを墓地へ送る事ができる。

 <コアキメイル・ヴァラファール>のレベルは8。つまり、攻撃力は800ポイントダウンする。
「これで、先輩を壊せますね? 行きます……<コアキメイル・ヴァラファール>で、<AOJフィールド・マーシャル>を攻撃。ヴォルケイノ・ストライク!」
 魔神の右手に炎が収束し、巨大な火球を作り出す。
 剛腕が振られ、燃え盛る火球が白銀の元帥目がけて放たれる。
 <AOJフィールド・マーシャル>は、黒い剣でそれを防ごうとするが――
 爆発。
「くっ――」
 輝王は両腕を顔の前で交差させ、まき上がる煙を防ぐ。
 <鋼核収納>の効果によって、<AOJフィールド・マーシャル>の攻撃力は2600。輝王へのダメージは400ポイントだ。

【輝王LP3100→2700】

 折れた<ジャスティス・セイバー>の刃が地面に突き刺さる。
「……<ジャスティス・セイバー>の効果発動! 装備モンスターが破壊されたとき、デッキからレベル4以下の<AOJ>モンスターを特殊召喚する!」
 <コアキメイル・ベルグザーグ>は相手モンスターを破壊することによって、連撃を可能とするモンスター。ならば、<AOJブラインド・サッカー>を召喚し、効果を無効にしてしまえば――
 そう考えた輝王の視線が、手札に残った2枚のカードを見る。
 このまま壁を作り続け、<コアキメイル>の攻撃をしのげば、ストラは息切れを起こすだろう。
 しかし、ここまで「壊れてしまった彼女」が、元に戻る可能性はあるのか?
 輝王にも余裕があるわけではない。手を誤れば、即敗北に繋がる状況なのだ。
(どうする)
 迷う暇はなかった。
 輝王は、目の前の女性にかつての後輩の姿を重ね――
 決断した。
「俺が呼ぶのは……<AOJサイクロン・クリエイター>」
 身を守るように、鋼鉄の羽で体を覆った<AOJサイクロン・クリエイター>が、守備表示で特殊召喚される。

<A・O・J サイクロン・クリエイター>
チューナー(効果モンスター)
星3/闇属性/機械族/攻1400/守1200
手札を1枚捨てて発動する。
フィールド上に表側表示で存在するチューナーの枚数分だけ、
フィールド上に存在する魔法・罠カードを手札に戻す。
この効果は1ターンに1度しか使用できない。

「<コアキメイル・ベルグザーグ>で、<AOJサイクロン・クリエイター>を攻撃」
 轟、と二刀が振るわれ、苦もなく鋼鉄の鳥を切り裂く。
「<コアキメイル・ベルグザーグ>の効果発動。このカードが戦闘によって相手モンスターを破壊した場合、もう1度だけ続けて攻撃できます……行って、<コアキメイル・ベルグザーグ>!」
 <AOJサイクロン・クリエイター>を葬った刃が、輝王に襲いかかる。
 容赦なく振り下ろされた剣は、輝王の体を裂いたが、痛みはそれほどない。所詮は立体映像だ。

【輝王LP2700→700】

「……どうして、<AOJブラインド・サッカー>を召喚しなかったんですか? あのモンスターなら、<コアキメイル・ベルグザーグ>の2撃目は防げたはずなのに」
「…………」
 ストラの質問に対し、輝王は沈黙を保った。
 彼が下した決断を鈍らせないためにも、ストラの質問に答えるわけにはいかなかった。
「先輩のことです。きっと、わたしには想像もできないような戦術を組んでいるのでしょうね……エンドフェイズ。まずは<鋼核合成獣研究所>の維持コストに、<コアキメイルの鋼核>を見せます。<コアキメイル・ベルグザーグ>を維持するために<コアキメイルの鋼核>を捨て、維持コストの払えない<コアキメイル・ヴァラファール>は自壊してしまいますが、装備した<鋼核収納>を墓地に送ることで破壊をまぬがれます」
 維持コストの処理が終了し、輝王のターンが回ってくる。

【輝王LP700】 手札2枚
場:エレメントチェンジ(光指定)
【ストラLP2700】 手札0枚
場:コアキメイル・ヴァラファール(攻撃)、コアキメイル・ベルグザーグ(攻撃)、鋼核合成獣研究所、コアの再練成(使用済み)

「――俺のターン」
 彼の下した決断。
 それは、このターンでストラを葬ることだった。
「<AOJサウザンド・アームズ>を召喚」
 無数の得物を携えた機械の剣士が、輝王の覚悟を代弁するかのように現れる。

<A・O・J サウザンド・アームズ>
効果モンスター
星4/闇属性/機械族/攻1700/守   0
このカードは相手フィールド上に表側表示で存在する
光属性モンスターに1回ずつ攻撃をする事ができる。
光属性以外のモンスターと戦闘を行う場合、
そのダメージ計算前にこのカードを破壊する。

 彼女を救える可能性がないわけではない。
 宇川の言葉が嘘である可能性も捨てきれない。
 だが、輝王には目的がある。
 親友を殺した犯人を見つけ出し、断罪するという目的が。
 ――ここで死ぬわけにはいかない。
 その覚悟が、後輩を想う気持ちよりもわずかに上回った。
「魔法カード<シャイニング・アブソーブ>を発動。お前の場のモンスターは<エレメントチェンジ>の効果によって光属性になっている――<コアキメイル・ヴァラファール>を指定し、その攻撃力分だけ俺のモンスターは攻撃力を上昇させる」

<シャイニング・アブソーブ>
通常魔法
相手フィールド上に表側表示で存在する
光属性モンスター1体を選択して発動する。
自分フィールド上に表側攻撃表示で存在する
全てのモンスターの攻撃力はエンドフェイズ時まで、
選択したモンスターの攻撃力分アップする。

「先輩――!」
 そのとき、ストラの表情に浮かんだのは、歓喜か絶望か。
 <シャイニング・アブソーブ>によって<AOJサウザンド・アームズ>の攻撃力は3000ポイント上昇し、4700。
「<サウザンド・アームズ>は、相手フィールド上の光属性モンスターに1回ずつ攻撃が可能だ。まずは<コアキメイル・ベルグザーグ>に攻撃! サウザンド・ブレイバー!」
 力を漲らせた<AOJサウザンド・アームズ>が、鉄仮面の剣士に向けて得物を振るう。
 <コアキメイル・ベルグザーグ>の二刀では、それ以上の数の刃を防ぐことは叶わない。
 薄い鎧の上から肉体を抉られ、フィールドから退場する。

【ストラLP2700→700】

「あっ……」
 モンスターが破壊された衝撃に、目を細めるストラ。
 あとは、<コアキメイル・ヴァラファール>を攻撃すれば決着がつく。
 ――やるんだ。
 すでに手は打ってしまった。<シャイニング・アブソーブ>の効果はエンドフェイズまで。今攻撃を中断すれば、負けるのは……死ぬのは、輝王の方だ。
 ――ここまで来て、引き返せはしない。
 ――攻撃だ。
 ――覚悟はしている。
 ――だから。
 ――攻撃だ。
 ――それが、後輩の命を奪うことであっても。
 ――やるんだ。
 ――ここで死ぬわけにはいかない。
 ――だから。
 ――高良の敵を討つためにも。
 ――攻撃だ。
 ――やるんだ。
 ――だから。
 ――だから。
 ――だから!
「行くぞ。<AOJサウザンド・アームズ>で――」
 ――アイツのためにも!

「誰かを犠牲にしていいなんてこと、あるはずねぇんだよ!」

 その声は、輝王の内から響いた。
 その声は、かつての親友――高良火乃の言葉だった。
「――攻撃を中断する。ターン、エンドだ」
 輝王の中で、何かが切れる音がした。

【輝王LP700】 手札1枚
場:AOJサウザンド・アームズ(攻撃)、エレメントチェンジ(光指定)
【ストラLP700】 手札0枚
場:コアキメイル・ヴァラファール(攻撃)、鋼核合成獣研究所、コアの再練成(使用済み)