遊戯王 New stage サイドM 6-9
「わたしのターン。ドロー」
――何故、引き金を引けなかったのか。
うなだれた輝王は、ずっと目を背けてきた「自分の矛盾」に目を向ける。
決意はしたつもりだった。
覚悟もしたつもりだった。
だが。
――何故、引き金を引けなかったのか。
うなだれた輝王は、ずっと目を背けてきた「自分の矛盾」に目を向ける。
決意はしたつもりだった。
覚悟もしたつもりだった。
だが。
輝王が憧れた親友は、人を犠牲にして何かを成そうとする人間だっただろうか。
それを考えた瞬間、手が止まっていた。
「……先輩」
勝負はついた。<コアキメイル・ヴァラファール>の攻撃を止める手段はない。
「わたしは、ずっと先輩を見ていたから知ってます。先輩は、クールで、冷静で、いつも前を向いてて――でも、本当はとっても優しいんです」
今までのものとは違うストラの声に、輝王は思わず顔を上げる。
「今も、わたしを殺さないようにって、攻撃をやめてくれたんですよね」
そこには、済んだ瞳で穏やかに語る後輩の姿があった。
「ロウマン……?」
「わたしは、<見習い魔術師>を召喚」
「<見習い魔術師>――!?」
紫の衣を纏った金髪の修練者が、杖を構える。
「……先輩」
勝負はついた。<コアキメイル・ヴァラファール>の攻撃を止める手段はない。
「わたしは、ずっと先輩を見ていたから知ってます。先輩は、クールで、冷静で、いつも前を向いてて――でも、本当はとっても優しいんです」
今までのものとは違うストラの声に、輝王は思わず顔を上げる。
「今も、わたしを殺さないようにって、攻撃をやめてくれたんですよね」
そこには、済んだ瞳で穏やかに語る後輩の姿があった。
「ロウマン……?」
「わたしは、<見習い魔術師>を召喚」
「<見習い魔術師>――!?」
紫の衣を纏った金髪の修練者が、杖を構える。
<見習い魔術師> 効果モンスター 星2/闇属性/魔法使い族/攻 400/守 800 このカードが召喚・反転召喚・特殊召喚に成功した時、 フィールド上に表側表示で存在する魔力カウンターを 置く事ができるカード1枚に魔力カウンターを1つ置く。 このカードが戦闘によって破壊された場合、 自分のデッキからレベル2以下の魔法使い族モンスター1体を 自分フィールド上にセットする事ができる。
あのモンスターは、かつてのストラの――<神聖魔導王エンディミオン>を中心としたデッキで活躍していたカードだ。
「いつの間にかデッキに入っていたこの<見習い魔術師>と……先輩の優しさが、わたしを目覚めされてくれたんです」
違う、と否定しようとするが、言葉が出てこない。
自分は優しくなどない。
ただ、親友の姿が遠ざかってしまうのが怖かっただけなのだ。
それを伝えなければいけないのに、輝王の口は少しも動かなかった。
「いつの間にかデッキに入っていたこの<見習い魔術師>と……先輩の優しさが、わたしを目覚めされてくれたんです」
違う、と否定しようとするが、言葉が出てこない。
自分は優しくなどない。
ただ、親友の姿が遠ざかってしまうのが怖かっただけなのだ。
それを伝えなければいけないのに、輝王の口は少しも動かなかった。
「さよならです、先輩――大好きでした」
本当の告白をして笑うストラは、とても悲壮感に満ちていて。
「やめろッ! ストラぁ!!」
輝王の叫びも、彼女の決意を揺るがすことはなかった。
「<見習い魔術師>で<AOJサウザンド・アームズ>を攻撃します」
魔道の修練者が、無数の得物を構える機械兵に向かって駆ける。
主人の命令通り、その命を散らすために。
輝王が決断を下したように、ストラもまた決断を下した。
自らの額に銃口を当て、引き金を引く決断を。
「やめろッ! ストラぁ!!」
輝王の叫びも、彼女の決意を揺るがすことはなかった。
「<見習い魔術師>で<AOJサウザンド・アームズ>を攻撃します」
魔道の修練者が、無数の得物を構える機械兵に向かって駆ける。
主人の命令通り、その命を散らすために。
輝王が決断を下したように、ストラもまた決断を下した。
自らの額に銃口を当て、引き金を引く決断を。
【ストラLP700→0】