にわかオタクの雑記帳

にわかオタクがそのときハマっていることを書き殴るブログです 主にアニメ・ゲーム中心

遊戯王 New stage サイドM 6-9

「わたしのターン。ドロー」
 ――何故、引き金を引けなかったのか。
 うなだれた輝王は、ずっと目を背けてきた「自分の矛盾」に目を向ける。
 決意はしたつもりだった。
 覚悟もしたつもりだった。
 だが。

 輝王が憧れた親友は、人を犠牲にして何かを成そうとする人間だっただろうか。

 それを考えた瞬間、手が止まっていた。
「……先輩」
 勝負はついた。<コアキメイル・ヴァラファール>の攻撃を止める手段はない。
「わたしは、ずっと先輩を見ていたから知ってます。先輩は、クールで、冷静で、いつも前を向いてて――でも、本当はとっても優しいんです」
 今までのものとは違うストラの声に、輝王は思わず顔を上げる。
「今も、わたしを殺さないようにって、攻撃をやめてくれたんですよね」
 そこには、済んだ瞳で穏やかに語る後輩の姿があった。
「ロウマン……?」
「わたしは、<見習い魔術師>を召喚」
「<見習い魔術師>――!?」
 紫の衣を纏った金髪の修練者が、杖を構える。

<見習い魔術師>
効果モンスター
星2/闇属性/魔法使い族/攻 400/守 800
このカードが召喚・反転召喚・特殊召喚に成功した時、
フィールド上に表側表示で存在する魔力カウンターを
置く事ができるカード1枚に魔力カウンターを1つ置く。
このカードが戦闘によって破壊された場合、
自分のデッキからレベル2以下の魔法使い族モンスター1体を
自分フィールド上にセットする事ができる。

 あのモンスターは、かつてのストラの――<神聖魔導王エンディミオン>を中心としたデッキで活躍していたカードだ。
「いつの間にかデッキに入っていたこの<見習い魔術師>と……先輩の優しさが、わたしを目覚めされてくれたんです」
 違う、と否定しようとするが、言葉が出てこない。
 自分は優しくなどない。
 ただ、親友の姿が遠ざかってしまうのが怖かっただけなのだ。
 それを伝えなければいけないのに、輝王の口は少しも動かなかった。

「さよならです、先輩――大好きでした」

 本当の告白をして笑うストラは、とても悲壮感に満ちていて。
「やめろッ! ストラぁ!!」
 輝王の叫びも、彼女の決意を揺るがすことはなかった。
「<見習い魔術師>で<AOJサウザンド・アームズ>を攻撃します」
 魔道の修練者が、無数の得物を構える機械兵に向かって駆ける。
 主人の命令通り、その命を散らすために。
 輝王が決断を下したように、ストラもまた決断を下した。
 自らの額に銃口を当て、引き金を引く決断を。

【ストラLP700→0】