遊戯王 New stage サイドS 3-8
【創志LP3000→400】
「ティ……ト……」
「……や、だった。これ以上見てられなかったの……ごめんね、創志」
美麗な顔を悲しみに染め、ティトが力なくうつむく。
すると、少女を励ますかのように、カーテンを生み出した主――蒼い体に重厚な黒の鎧を纏った虎王が、体を寄せる。
「ドゥローレン……ありがと」
ティトがデュエルディスクからカードを外すと、さあっ、と銀色の幕が取り払われていく。
「1対1のデュエルに介入ですか。信じられませんね」
不快感をあらわにしたセラが、ティトを睨みつけながら言い放つ。
「…………」
対して、ティトはうつむいたまま言葉を返さなかったが、その場から離れようともしなかった。
これでは立場が逆だ。自分がティトを守らなくてはいけないのに……創志は歯噛みしながら、ゆっくりと立ち上がる。
が、すでに体は限界を超えており、ふらりとよろめいてしまう。
「創志……!」
すぐさまティトが駆け寄ってくるが、創志はそれを右手で制する。
「大丈夫だ……心配掛けてごめんな」
「でも……」
両手を胸の前で合わせたティトは、今にも泣き出しそうな表情をしていた。
あいつの――セラの力は凄まじい。
次の攻撃を受ければ、デュエルに敗北するだけでなく、自分の命も奪われるかもしれない。
でも。
「ここは退けねぇんだ」
心の中で何度も反芻する。
意地を通せ。
男なら、女の子の1人くらい守って見せろ――!
制止のために突き出した右手を、そのままティトの頭の上に乗せる。
さらさらとした銀色の髪を軽く撫で、
「約束、したもんな」
ぎこちないながらも懸命に笑顔を作る。
ティトは瞳を閉じ、
「……ん」
一度だけ頷いた。
創志の覚悟が伝わったのか、ティトはデュエルフィールドから離れる。
「さあ、まだお前のターンは終わってないだろ? 早いとこ続きを頼むぜ」
煽るような口調で続きを促す。実際、勝負が長引けば長引くほど、肉体的にも精神的にも創志は不利になる。
最初の<テレキアタッカー>の電撃を受けたような目立った外傷はない。しかし、立っているのがやっとのような極度の疲労が、創志の体に重くのしかかっていた。
荒い息遣いを悟られないようにしながら、創志はセラを見据える。
フッと微笑を浮かべた長身の男は、それ以上ティトの行為について言及しなかった。
「<サイコ・ウォールド>は効果を使ったターン、攻撃することができません。私のターンはこれで終了です」
「なら、俺のターンだな……ドロー」
ドローしたカードは<攻撃の無力化>。あと1ターン早く引いていれば、<マスタージーグ>の攻撃を防げていたかもしれないが……。
過ぎたことを考えてどうする――創志はかぶりを振って思考を正す。
<攻撃の無力化>を引いたことで、<マスタージーグ>攻略の準備が整ったのだ。
「俺はカードを1枚セット。そして魔法カード<黙する死者>を発動! 墓地の<ジェネクス・コントローラー>を蘇生させるぜ!」
「……や、だった。これ以上見てられなかったの……ごめんね、創志」
美麗な顔を悲しみに染め、ティトが力なくうつむく。
すると、少女を励ますかのように、カーテンを生み出した主――蒼い体に重厚な黒の鎧を纏った虎王が、体を寄せる。
「ドゥローレン……ありがと」
ティトがデュエルディスクからカードを外すと、さあっ、と銀色の幕が取り払われていく。
「1対1のデュエルに介入ですか。信じられませんね」
不快感をあらわにしたセラが、ティトを睨みつけながら言い放つ。
「…………」
対して、ティトはうつむいたまま言葉を返さなかったが、その場から離れようともしなかった。
これでは立場が逆だ。自分がティトを守らなくてはいけないのに……創志は歯噛みしながら、ゆっくりと立ち上がる。
が、すでに体は限界を超えており、ふらりとよろめいてしまう。
「創志……!」
すぐさまティトが駆け寄ってくるが、創志はそれを右手で制する。
「大丈夫だ……心配掛けてごめんな」
「でも……」
両手を胸の前で合わせたティトは、今にも泣き出しそうな表情をしていた。
あいつの――セラの力は凄まじい。
次の攻撃を受ければ、デュエルに敗北するだけでなく、自分の命も奪われるかもしれない。
でも。
「ここは退けねぇんだ」
心の中で何度も反芻する。
意地を通せ。
男なら、女の子の1人くらい守って見せろ――!
制止のために突き出した右手を、そのままティトの頭の上に乗せる。
さらさらとした銀色の髪を軽く撫で、
「約束、したもんな」
ぎこちないながらも懸命に笑顔を作る。
ティトは瞳を閉じ、
「……ん」
一度だけ頷いた。
創志の覚悟が伝わったのか、ティトはデュエルフィールドから離れる。
「さあ、まだお前のターンは終わってないだろ? 早いとこ続きを頼むぜ」
煽るような口調で続きを促す。実際、勝負が長引けば長引くほど、肉体的にも精神的にも創志は不利になる。
最初の<テレキアタッカー>の電撃を受けたような目立った外傷はない。しかし、立っているのがやっとのような極度の疲労が、創志の体に重くのしかかっていた。
荒い息遣いを悟られないようにしながら、創志はセラを見据える。
フッと微笑を浮かべた長身の男は、それ以上ティトの行為について言及しなかった。
「<サイコ・ウォールド>は効果を使ったターン、攻撃することができません。私のターンはこれで終了です」
「なら、俺のターンだな……ドロー」
ドローしたカードは<攻撃の無力化>。あと1ターン早く引いていれば、<マスタージーグ>の攻撃を防げていたかもしれないが……。
過ぎたことを考えてどうする――創志はかぶりを振って思考を正す。
<攻撃の無力化>を引いたことで、<マスタージーグ>攻略の準備が整ったのだ。
「俺はカードを1枚セット。そして魔法カード<黙する死者>を発動! 墓地の<ジェネクス・コントローラー>を蘇生させるぜ!」
<黙する死者> 通常魔法 自分の墓地に存在する通常モンスター1体を選択して発動する。 選択したモンスターを表側守備表示で特殊召喚する。 この効果で特殊召喚したモンスターは フィールド上に表側表示で存在する限り攻撃する事ができない。
シンクロ召喚に使用された機械の小人が、守備表示で場に特殊召喚される。
「手札から<ジェネクス・ブラスト>を召喚!」
体の中心に巨大なファンが付いた緑色の丸型ロボットが、フィールドに風を起こしながら現れる。
「手札から<ジェネクス・ブラスト>を召喚!」
体の中心に巨大なファンが付いた緑色の丸型ロボットが、フィールドに風を起こしながら現れる。
<ジェネクス・ブラスト> 効果モンスター 星4/風属性/魔法使い族/攻1600/守1300 このカードが特殊召喚に成功した時、 自分のデッキから「ジェネクス」と名のついた闇属性 モンスター1体を手札に加える事ができる。
通常召喚のため効果は発動できないが、それが目的ではない。
「<ジェネクス・ブラスト>に<ジェネクス・コントローラー>をチューニング!」
<ジェネクス・ブラスト>のファンから竜巻が生まれ、2体のモンスターを包み込む。
「原初の煌めきが、新たな力の結晶を生み出す! 集え! 風の力よ!!」
水の<ハイドロ・ジェネクス>、炎の<サーマル・ジェネクス>、大地の<ジオ・ジェネクス>に続く、風のシンクロ・ジェネクス――
「<ジェネクス・ブラスト>に<ジェネクス・コントローラー>をチューニング!」
<ジェネクス・ブラスト>のファンから竜巻が生まれ、2体のモンスターを包み込む。
「原初の煌めきが、新たな力の結晶を生み出す! 集え! 風の力よ!!」
水の<ハイドロ・ジェネクス>、炎の<サーマル・ジェネクス>、大地の<ジオ・ジェネクス>に続く、風のシンクロ・ジェネクス――
吹き上げる風が、フィールドを支配していた陰鬱とした空気を取り払っていく。
胸にある巨大なファンはそのままに、より強靭な人型の体を手に入れた緑色のロボットが、自らの存在を顕示する。
胸にある巨大なファンはそのままに、より強靭な人型の体を手に入れた緑色のロボットが、自らの存在を顕示する。
<ウィンドファーム・ジェネクス> シンクロ・効果モンスター 星7/風属性/機械族/攻2000/守1600 「ジェネクス・コントローラー」+チューナー以外の風属性モンスター1体以上 このカードの攻撃力はフィールド上にセットされた 魔法・罠カードの数×300ポイントアップする。 手札を1枚墓地に送る事で、フィールド上にセットされた 魔法・罠カード1枚を破壊する。
「<ウィンドファーム・ジェネクス>は、フィールド上にセットされた魔法・罠カードの数×300ポイント攻撃力がアップする! チャージ・フィール!」
フィールド上の伏せカードから、わずかに風が起こる。その風が<ウィンドファーム・ジェネクス>のファンへと吸い込まれ、回転が加速する。
セットされた魔法・罠カードは、創志のフィールドに2枚、セラのフィールドに1枚。よって攻撃力が900ポイント上昇し、<ウィンドファーム・ジェネクス>の攻撃力は2900ポイントになる。
「……なるほど。それがあなたの切り札ですか」
「へっ、どうかな?」
感心したように呟くセラに、強く言い返す。
吹き荒れる風が、自分の体を支えてくれている。
その風の中にティトの優しい冷気を感じながら、創志は逆転への一歩を踏み出す。
「行くぞ! <ウィンドファーム・ジェネクス>で<マスタージーグ>を攻撃!」
キィィィン、と甲高い音が鼓膜を貫き、周囲の風がファンに収束していく。
「サイクロン・オーバードライブッ!!」
ドバァ! と強烈な勢いで竜巻が吐き出される。
その豪風がサイキックの帝王の体に直撃し、ガリガリガリと黒衣を削っていく。
「――ッ!」
セラが一瞬動きを見せるが、すぐに思い直したようで止める。
「行けぇ!!」
ついに竜巻が帝王の体を貫く。
力を失った<マスタージーグ>はゆっくりと傾き、接地すると同時に砕け散る。
フィールド上の伏せカードから、わずかに風が起こる。その風が<ウィンドファーム・ジェネクス>のファンへと吸い込まれ、回転が加速する。
セットされた魔法・罠カードは、創志のフィールドに2枚、セラのフィールドに1枚。よって攻撃力が900ポイント上昇し、<ウィンドファーム・ジェネクス>の攻撃力は2900ポイントになる。
「……なるほど。それがあなたの切り札ですか」
「へっ、どうかな?」
感心したように呟くセラに、強く言い返す。
吹き荒れる風が、自分の体を支えてくれている。
その風の中にティトの優しい冷気を感じながら、創志は逆転への一歩を踏み出す。
「行くぞ! <ウィンドファーム・ジェネクス>で<マスタージーグ>を攻撃!」
キィィィン、と甲高い音が鼓膜を貫き、周囲の風がファンに収束していく。
「サイクロン・オーバードライブッ!!」
ドバァ! と強烈な勢いで竜巻が吐き出される。
その豪風がサイキックの帝王の体に直撃し、ガリガリガリと黒衣を削っていく。
「――ッ!」
セラが一瞬動きを見せるが、すぐに思い直したようで止める。
「行けぇ!!」
ついに竜巻が帝王の体を貫く。
力を失った<マスタージーグ>はゆっくりと傾き、接地すると同時に砕け散る。
【セラLP800→500】
「ターンエンドだ」