にわかオタクの雑記帳

にわかオタクがそのときハマっていることを書き殴るブログです 主にアニメ・ゲーム中心

遊戯王 New stage 14

「さあて。僕のターンだ」
 呑気にカードをドローした光坂は、創志に意味ありげな視線を向けてきた。
「表側攻撃表示の<レアル・ジェネクス>モンスターが破壊されることによって手札から特殊召喚できる<レアル・ジェネクスダークマター>……創志が警戒してたのはこのカードだろう?」
「――ッ!」
 そう言って、光坂は大胆にも手札の1枚を公開する。
 そのカードは、まさしく<レアル・ジェネクスダークマター>だった。
 ――やっぱり、手札に持っていやがったのか!
「だから、<カタストル>での効果破壊は正解だ。ただ――」
 <レアル・ジェネクスダークマター>を手札に戻した光坂は、代わりに別のカードを選び取る。
 <威嚇する咆哮>は、セットモンスターを守るために発動した可能性が高い。
「幾重も策を巡らすデュエルでは、ひとつの正解じゃ足りないよ。僕は<レアル・ジェネクスアクセラレーター>を召喚」
 光坂が召喚したのは、3つの輪からなる特異なモンスターだった。

<レアル・ジェネクスアクセラレーター>
効果モンスター
星4/風属性/機械族/攻1500/守1900
「ジェネクス」と名のついたモンスターが自分のデッキから手札に加わった時、
そのモンスター1体を相手に見せて発動する事ができる。
そのモンスターを自分フィールド上に特殊召喚する。

「そして、伏せモンスターをリバース……」

 ドクン。

 その行動に、創志の心臓が激しく脈打った。
 ――なんだ?
 不可思議な現象に、創志は自分の胸を押さえる。
 答えは、すぐに明らかになった。

「チューナーモンスター……<ジェネクス・コントローラー>」

「なッ……!?」
 創志は両目を限界まで見開く。
 光坂の場にいるのは、見慣れた機械の小人。
 かつて創志のデッキの中核を成した相棒――<ジェネクス・コントローラー>だった。

<ジェネクス・コントローラー>
チューナー(通常モンスター)
星3/闇属性/機械族/攻1400/守1200
仲間達と心を通わせる事ができる、数少ないジェネクスのひとり。
様々なエレメントの力をコントロールできるぞ。

 心臓が驚愕に早鐘を打つ。
 呼吸が乱れる。
 思考が真っ白になる。
「どうして――」
「驚くのはまだ早いよ、創志。<レアル・ジェネクスアクセラレーター>に<ジェネクス・コントローラー>をチューニング。ええと、なんて言ったかな……」
 どうしてアンタがそのモンスターを。
 その問いは、光坂によって遮られた。
 光坂は顎に手をやって悩む素振りを見せた後、「思い出した」と瞳を輝かせた。
「原初の煌めきが、新たな力の結晶を生み出す。集え、風の力よ! シンクロ召喚――」
 それは、創志が口にしてきた口上だった。
 それは、創志が口にすべき口上だった。

「吹き荒れろ、<ウィンドファーム・ジェネクス>」

 豪風がフィールドを包む。
「ぬっ……!」
 隣に立つ輝王が、両腕を交差させて顔を守り、現れたモンスターから視線を逸らす。
 創志は、呆然と見つめていた。
 胸の部分に取り付けられた風車が動作を止め、風が止む。
 失ったはずの力。
 <ウィンドファーム・ジェネクス>。

<ウィンドファーム・ジェネクス>
シンクロ・効果モンスター
星7/風属性/機械族/攻2000/守1600
「ジェネクス・コントローラー」+チューナー以外の風属性モンスター1体以上
このカードの攻撃力はフィールド上にセットされた
魔法・罠カードの数×300ポイントアップする。
手札を1枚墓地に送る事で、フィールド上にセットされた
魔法・罠カード1枚を破壊する。

「どうだい? 創志」
 光坂の声が、耳触りに響いた。
「旧世代の<ジェネクス>の力も――なかなかのものだろう?」
「――テメエエエエエエエエエエ!!」
 湧いてきたのは、純粋な怒りだった。