にわかオタクの雑記帳

にわかオタクがそのときハマっていることを書き殴るブログです 主にアニメ・ゲーム中心

遊戯王 New stage サイドS 6-5

「教え子の成長を見てあげたいけど……時間もそんなにないし、早めに終わらせようか。僕が先攻をもらうよ」
 どんなに事態が動こうと、光坂の口調は軽いままだった。いつもと変わらぬその姿が、創志の心を激しく揺さぶる。
(――今は考えるな)
 とにかく、このデュエルに勝つことだけを見据えるんだ。
 そう自分に言い聞かせて、創志は手札に視線を落とす。
 ……消費は激しいが、この手札なら一気に攻勢に出ることができそうだ。
「僕は<レアル・ジェネクス・マグナ>を召喚」
 両肩から白煙を噴き出した罐のような体を持つモンスターが、光坂のフィールドが現れる。

<レアル・ジェネクス・マグナ>
効果モンスター
星3/炎属性/炎族/攻1000/守 200
このカードが召喚に成功した時、自分のデッキからレベル2の
「レアル・ジェネクス」と名のついたモンスター1体を手札に加える事ができる。

「<レアル・ジェネクス>……!?」
 創志が操る<ジェネクス>によく似た名前と形状を持つモンスターの出現に、少年は驚きを隠せなかった。
「君にそのデッキを渡したのは誰だったか思い出してごらん? より優れた力を持つ、進化した<ジェネクス>――それが<レアル・ジェネクス>さ」
 光坂は少しだけ誇らしげに語る。その嬉々とした表情に、ここが異常事態の最中であることを忘れそうになる。
「<レアル・ジェネクス・マグナ>の効果発動。このカードが召喚に成功したとき、デッキからレベル2の<レアル・ジェネクス>を手札に加える。僕が加えるのは<レアル・ジェネクスコーディネイター>だ」
 デッキからカードを加えた光坂は、少し間を置いた後、
「先攻1ターン目は攻撃できないからね。僕のターンは終わりだ」
 創志へ教えるように言い、ターンを終了した。

【創志LP4000】 手札5枚
場:なし
【光坂LP4000】 手札5枚
場:レアル・ジェネクス・マグナ(攻撃)

「俺のターン! ドロー!」
 素早くカードを引いた創志は、考える間もなく攻勢に出る。
「俺は<ジェネクス・コントローラー>を召喚! さらに魔法カード<二重召喚>を発動し、増えた召喚権で<ジェネクス・ブラスト>を召喚だ!」

<ジェネクス・コントローラー>
チューナー(通常モンスター)
星3/闇属性/機械族/攻1400/守1200
仲間達と心を通わせる事ができる、数少ないジェネクスのひとり。
様々なエレメントの力をコントロールできるぞ。

<二重召喚>
通常魔法
このターン自分は通常召喚を2回まで行う事ができる。

<ジェネクス・ブラスト>
効果モンスター
星4/風属性/魔法使い族/攻1600/守1300
このカードが特殊召喚に成功した時、
自分のデッキから「ジェネクス」と名のついた闇属性
モンスター1体を手札に加える事ができる。

 体の中心に巨大なファンをつけたロボットと、頭でっかちの機械の小人――創志のフィールドに、一気に2体のモンスターが並ぶ。
(――こんなデュエル、さっさと終わらせてやる!)
 光坂から少し離れた位置で観戦している信二は、無表情のまま虚空を見つめている。
 いくら火の手が弱いとはいえ、室内に立ちこめる熱気は相当なものだ。なのに、信二の白い顔には一滴の汗も浮かんではいない。
 創志は弟の姿を無理矢理視界から外すと、デュエルに集中しようとする。
「<ジェネクス・ブラスト>に<ジェネクス・コントローラー>をチューニング! 原初の煌めきが、新たな力の結晶を生み出す! 集え、風の力よ!」
 創志の勢いを後押しするかのように、天に向かって風が吹きおこる。
シンクロ召喚! 吹き荒れろ! <ウィンドファーム・ジェネクス>!」
 <ジェネクス・ブラスト>よりも巨大なファンを胸の中心に据えた緑色のロボットが、周囲の炎をかき消すような風と共に現れる。最も、創志はサイコデュエリストではないので、実際に炎が消えることはなかったが。

<ウィンドファーム・ジェネクス>
シンクロ・効果モンスター
星7/風属性/機械族/攻2000/守1600
「ジェネクス・コントローラー」+チューナー以外の風属性モンスター1体以上
このカードの攻撃力はフィールド上にセットされた
魔法・罠カードの数×300ポイントアップする。
手札を1枚墓地に送る事で、フィールド上にセットされた
魔法・罠カード1枚を破壊する。

「さらに俺はカードを2枚セット! <ウィンドファーム・ジェネクス>の攻撃力は、セットされた魔法・罠カード1枚につき300ポイントアップする! チャージ・フィール!」
 創志が伏せたカードは2枚。よって、<ウィンドファーム・ジェネクス>の攻撃力は600ポイント上昇し、2600ポイント。<レアル・ジェネクス・マグナ>を大きく上回った。
(よし、これなら!)
 手札を激しく消耗したものの、1ターン目からシンクロモンスターの召喚に成功した。光坂の場に伏せカードはなく、<ウィンドファーム・ジェネクス>の攻撃を防ぐ術はない。
「このまま一気に行かせてもらうぜ! <ウィンドファーム・ジェネクス>で<レアル・ジェネクス・マグナ>を攻撃! サイクロン・オーバードライブッ!!」
 <ウィンドファーム・ジェネクス>のファンが周囲の風を集め、轟烈な勢いで竜巻を吐き出す。
 竜巻は瞬時に<レアル・ジェネクス・マグナ>を巻き込み、その体を粉々に打ち砕く。

【光坂LP4000→2400】

 竜巻の余波が光坂を襲い、白髪が風にはためく。
 それでも、光坂の表情からは余裕が消えない。
「教えたはずだよね、創志?」
 それどころか、教え子の失態をたしなめるように、残念そうな声色で告げる。
「急くな。って」