にわかオタクの雑記帳

にわかオタクがそのときハマっていることを書き殴るブログです 主にアニメ・ゲーム中心

遊戯王 New stage サイドS 2-7

「魔法カード発動! リサイクル・チャージ! 手札のジェネクスを除外し、互いのプレイヤーはカードを3枚ドローする!」

<リサイクル・チャージ>
通常魔法(オリジナルカード)
手札の「ジェネクス」と名のついたモンスターを1体除外する。
互いのプレイヤーはカードを3枚ドローする。

 勢いよく宣言したのはいいが、フィールドは圧倒的に劣勢。この3枚のドローで逆転のキーカードを引かなければならない。
 手札の<ジェネクス・ブラスト>を除外する。
 <氷結界の龍グングニール>がいる場面で相手の手札を増やすのは危険極まりない。
 このターンで、氷の龍を破壊することが絶対だ。
「――――」
 ドローした3枚のカードは、いずれもこの状況を覆すのに必要なパーツだった。デッキが応えてくれた、ということだろう。
 しかし、繋がらない。
 逆転のための道が、最初の一歩を踏み出すところで途切れてしまっている。
(……くそ、届かないのか)
 自分では、ティトを救うことはできないのか。
 手札を何度も見直し、幾筋もの道を考える。

 ――ぽたり。

 雫が地面に落ちる水音が聞こえた。
 音のしたほうに目を向ければ、<瞬間氷結>によって氷漬けにされていた伏せカード<誘導信号>の氷が溶けている。
 <瞬間氷結>の発動からすでに3ターンが経過していた。
(これなら!)
 勝利への道筋が繋がる。
 ようやく見えた光へと進むために、創志は第一歩を踏み出す。
「俺はジェネクス・ガイアを召喚!」
 丸みを帯びた茶色の装甲に、相手を貫くバンカーと刈り取る鎌を持った機械の戦士が現れる。
「永続罠発動! 誘導信号! ライフを500支払い、手札からジェネクス・コントローラーを特殊召喚する!」

<誘導信号> 
永続罠(オリジナルカード)
500ライフポイントを払って発動する。
自分の手札からレベル4以下の<ジェネクス>と名のついたモンスターを1体特殊召喚する。
このカードの効果は1ターンに1度、自分のメインフェイズでしか発動できない。

【創志LP1200→700】

 氷の浸食が胸まで進む。しかし、これは必要経費だ。
 出番を待ちわびていたかのように、機械の小人が元気よく飛び出す。
「ジェネクス・ガイアにジェネクス・コントローラーをチューニング! 原初の煌めきが、新たな力の結晶を生み出す! 集え、大地の力よ!」
 その光は、迷える少女を照らすように、エントランスの闇をかき消す。

シンクロ召喚! 轟け! ジオ・ジェネクスッ!!」

 厚みのある赤茶色の装甲をまとった剛腕を振るい、緑色のランプに光が灯る。
 装甲の隙間から漏れた燃料が、輝きながらその体を伝う。

<ジオ・ジェネクス>
シンクロ・効果モンスター
星6/地属性/機械族/攻1800/守2800
「ジェネクス・コントローラー」+チューナー以外の地属性モンスター1体以上
自分フィールド上にレベル4以下の「ジェネクス」と名のついた
モンスターが表側表示で存在する限り、このカードの
元々の攻撃力・守備力をエンドフェイズ時まで入れ替える事ができる。
この効果は1ターンに1度しか使用できない。

「あ……」
 ティトが呟きにもならない声を漏らす。
 その瞳に映る感情を、創志は見ないようにした。
「さらに手札から魔法カード発動! 黙する死者! 俺は墓地のジェネクス・コントローラーを守備表示で特殊召喚する!」

<黙する死者>
通常魔法
自分の墓地に存在する通常モンスター1体を選択して発動する。
選択したモンスターを表側守備表示で特殊召喚する。
この効果で特殊召喚したモンスターは
フィールド上に表側表示で存在する限り攻撃する事ができない。

 先ほどシンクロ召喚に使われた機械の小人が、再びフィールド上に舞い戻る。
「ジオ・ジェネクスの効果発動! 自分フィールド上にレベル4以下の『ジェネクス』と名のついたモンスターが表側表示で存在する限り、このカードの攻撃力と守備力を入れ替えることができる! ディフェンス・ブラスト!」
 各所のランプが激しく明滅し、両腕の装甲から蒸気が立ち上る。
 <ジオ・ジェネクス>の攻守が入れ替わり、<氷結界の龍グングニール>をしのぎ、<氷結界の虎将グルナード>に並んだ。
「ジオ・ジェネクスでグングニールを攻撃! グレイブ・ジェットハンマー!」
 <ジオ・ジェネクス>が右腕を前に突き出す。
 肘の接続部から噴射音と共に炎が噴き出し、そこから先が弾丸のように発射される。
 放たれた剛腕は真っ直ぐに氷の龍へと加速する。
「――ッ! グングニール!」
 ティトの声に応えるように、<氷結界の龍グングニール>が口から蒼い閃光を放つ。
 フィールドの中央で、弾丸となった腕と、槍のような閃光がぶつかり合う。
 数瞬ののち、剛腕が蒼の光を弾きとばす。
 そのままの勢いで氷の龍に猛進し――
 風穴を開けた。

【ティトLP1500→1200】






 ――ずっと。
 この美術館に来てからずっと、自分を守ってくれた頼もしき龍が、その体を氷の屑に変えながら崩れ落ちる。
 ――ずっと。
 今までずっと続いてきた世界が、今変わろうとしている。
「カードを2枚セットしてターンエンドだ。ジオ・ジェネクスの攻守は元に戻るぜ」
 目の前に立つ少年が、ティトの世界を壊していく。