遊戯王 New stage サイドS 2-8
目覚めたのは、見知らぬ病院のベッドだった。
なぜ自分がここにいるのかを思い出そうとしたが、無理だった。それどころか、自分が何者なのかさえ思い出せなかった。
記憶喪失。
真っ白になってしまった少女は、「自称」保護者である、レビン・ハウンツに引き取られた。そして、「ティト」という名前とともに、レボリューションの「処刑人」としての役割も与えられた。
少女は――ティトは、何の疑問も持たなかった。
というよりも、考えることを拒んでいたのだ。自分は何者なのか、レビンのしようとしていることは何なのか、なぜ自分がこんな力を持っているのか、そして、自分はこのままでいいのか――
考えたら、真っ白な自分は壊れてしまうような気がしていた。
だから、レビンに言われたとおり、薄暗い廃美術館に1人で暮らし、時折連れてこられる組織に不要になった人間と、デュエルした。
それ以外は、何も考えないようにした。感じないようにした。
デュエルをしているときは、それしか考えなくて済む。心が軽くなる。
しかし、それが終われば氷の像が出来上がっているだけ。
なぜ自分がここにいるのかを思い出そうとしたが、無理だった。それどころか、自分が何者なのかさえ思い出せなかった。
記憶喪失。
真っ白になってしまった少女は、「自称」保護者である、レビン・ハウンツに引き取られた。そして、「ティト」という名前とともに、レボリューションの「処刑人」としての役割も与えられた。
少女は――ティトは、何の疑問も持たなかった。
というよりも、考えることを拒んでいたのだ。自分は何者なのか、レビンのしようとしていることは何なのか、なぜ自分がこんな力を持っているのか、そして、自分はこのままでいいのか――
考えたら、真っ白な自分は壊れてしまうような気がしていた。
だから、レビンに言われたとおり、薄暗い廃美術館に1人で暮らし、時折連れてこられる組織に不要になった人間と、デュエルした。
それ以外は、何も考えないようにした。感じないようにした。
デュエルをしているときは、それしか考えなくて済む。心が軽くなる。
しかし、それが終われば氷の像が出来上がっているだけ。
「――お前、デュエルは好きか?」
ティトに質問してきたのは、少年が初めてだった。他の人間は口汚く罵るか、ひたすら命乞いを叫ぶか、何も喋らなかった。
「お前は、ここで『処刑人』を続けたいのか?」
そう言った少年の目は、ティトが知る誰よりも真っ直ぐだった。
「これからもレボリューションの一員として、魔女として暮らし続けるのか?」
……魔女。自分がそう呼ばれていることはわかっていた。
デュエルした相手を生きたまま氷漬けにする、魔女。
そう呼ばれることに、何も感じない――はずだった。
「ここに、この館にずっと閉じこもってるのか?」
もう聞きたくなかった。
少年の言葉を聞くと、空っぽの自分を見ないといけなくなるから。
目をそむけている色んなものを、見ないといけなくなるから。
「――辛いのか?」
わからない。考えたくない。
だから、早くこの少年を倒して、「ティト」の日常に戻りたかった。
ティトに質問してきたのは、少年が初めてだった。他の人間は口汚く罵るか、ひたすら命乞いを叫ぶか、何も喋らなかった。
「お前は、ここで『処刑人』を続けたいのか?」
そう言った少年の目は、ティトが知る誰よりも真っ直ぐだった。
「これからもレボリューションの一員として、魔女として暮らし続けるのか?」
……魔女。自分がそう呼ばれていることはわかっていた。
デュエルした相手を生きたまま氷漬けにする、魔女。
そう呼ばれることに、何も感じない――はずだった。
「ここに、この館にずっと閉じこもってるのか?」
もう聞きたくなかった。
少年の言葉を聞くと、空っぽの自分を見ないといけなくなるから。
目をそむけている色んなものを、見ないといけなくなるから。
「――辛いのか?」
わからない。考えたくない。
だから、早くこの少年を倒して、「ティト」の日常に戻りたかった。
「俺が勝ったら――お前をこの館から連れ出す」
とくん。
少女の胸が、今まで感じたことのない温かさで満たされていく。
しかし、凍てついた心を溶かすには、まだ足りない。
少女の胸が、今まで感じたことのない温かさで満たされていく。
しかし、凍てついた心を溶かすには、まだ足りない。
「…………まだ、終わってない」
しばらく顔を伏せていたティトが呟く。カードをドローし、手札に加える。
「わたしは、あなたを倒して、わたしの世界を取り戻す――!」
氷の龍の残骸――それらが<氷結界の虎将グルナード>の周囲に集まり、氷の剣へと洗練されていく。
「バトルフェイズ。グルナードでジオ・ジェネクスを攻撃! クリスタルレギオン!」
剣の軍勢が<ジオ・ジェネクス>に向かって牙を向く。
「罠カード発動! 攻撃の無力化! 相手モンスター1体の攻撃を無効にし、バトルフェイズを終了する!」
しばらく顔を伏せていたティトが呟く。カードをドローし、手札に加える。
「わたしは、あなたを倒して、わたしの世界を取り戻す――!」
氷の龍の残骸――それらが<氷結界の虎将グルナード>の周囲に集まり、氷の剣へと洗練されていく。
「バトルフェイズ。グルナードでジオ・ジェネクスを攻撃! クリスタルレギオン!」
剣の軍勢が<ジオ・ジェネクス>に向かって牙を向く。
「罠カード発動! 攻撃の無力化! 相手モンスター1体の攻撃を無効にし、バトルフェイズを終了する!」
<攻撃の無力化> カウンター罠 相手モンスターの攻撃宣言時に発動する事ができる。 相手モンスター1体の攻撃を無効にし、バトルフェイズを終了する。
<ジオ・ジェネクス>の前に巨大な黒穴が出現し、氷の剣がすべて呑み込まれる。
「……カードを2枚セットして、ターンエンド」
――しのげるのは、このターンまでだろう。
根拠はない。だが、創志の決闘者としての直感が、そう訴えていた。
「俺のターン! ドロー!」
フィールドの<ジェネクス・コントローラー>は<黙する死者>によって特殊召喚されたので、攻撃はできない。<ジオ・ジェネクス>だけでは、この勝負を決するまでには至らない。
だからこそ、創志のデッキは応えた。
「――俺はジェネクス・ヒートを召喚!」
冷え切った空気の中で、<ジェネクス・ヒート>を形成する炉から炎が迸る。
「……カードを2枚セットして、ターンエンド」
――しのげるのは、このターンまでだろう。
根拠はない。だが、創志の決闘者としての直感が、そう訴えていた。
「俺のターン! ドロー!」
フィールドの<ジェネクス・コントローラー>は<黙する死者>によって特殊召喚されたので、攻撃はできない。<ジオ・ジェネクス>だけでは、この勝負を決するまでには至らない。
だからこそ、創志のデッキは応えた。
「――俺はジェネクス・ヒートを召喚!」
冷え切った空気の中で、<ジェネクス・ヒート>を形成する炉から炎が迸る。
<ジェネクス・ヒート> 効果モンスター 星5/炎属性/炎族/攻2000/守1300 自分フィールド上に「ジェネクス・コントローラー」が表側表示で存在する場合、 このカードはリリースなしで召喚する事ができる。
「ジェネクス・ヒートにジェネクス・コントローラーをチューニング! 原初の煌めきが、新たな力の結晶を生み出す! 集え、炎の力よ!」
ティトの心を溶かすための青白い炎が、光の柱から漏れ出る。
「シンクロ召喚! 燃え盛れ! サーマルジェネクスッ!!」
ティトの心を溶かすための青白い炎が、光の柱から漏れ出る。
「シンクロ召喚! 燃え盛れ! サーマルジェネクスッ!!」
<サーマル・ジェネクス> シンクロ・効果モンスター 星8/炎属性/機械族/攻2400/守1200 「ジェネクス・コントローラー」+チューナー以外の炎属性モンスター1体以上 このカードの攻撃力は自分の墓地に存在する 炎属性モンスター1体につき200ポイントアップする。 このカードが戦闘によって相手モンスターを破壊した場合、 自分の墓地の「ジェネクス」と名のついたモンスター ×200ポイントダメージを相手ライフに与える。
群青色のロボットが煙を吹きながら現れ、氷の屑をまき散らしていく。
「ティト! これがラストターンだ!!」
「ティト! これがラストターンだ!!」