遊戯王 New stage 番外編 氷点下の結び目-8
「私のターン……ドローですわ!」
渾身の力を込めて、ビビアンはカードをドローする。
引いたカードは――<アイス・コロシアム>。
渾身の力を込めて、ビビアンはカードをドローする。
引いたカードは――<アイス・コロシアム>。
<アイス・コロシアム> 通常魔法(オリジナルカード) このカードを発動したターン、自分はレベル7以上の水属性モンスターを リリース無しで召喚することができる。 このカードを発動したターン、自分はモンスターを特殊召喚する事はできない。
レベル7以上の水属性モンスターを、リリース無しで通常召喚できる魔法カードだ。
(<グングニール>は強力なモンスター……けれど、勝つのは私です!)
<アイス・コロシアム>を引いたことがその証だ。
ビビアンの手札には、2体の上級水属性モンスターがいる。
<青氷の白夜龍>。
(<グングニール>は強力なモンスター……けれど、勝つのは私です!)
<アイス・コロシアム>を引いたことがその証だ。
ビビアンの手札には、2体の上級水属性モンスターがいる。
<青氷の白夜龍>。
<青氷の白夜龍> 効果モンスター 星8/水属性/ドラゴン族/攻3000/守2500 このカードを対象にする魔法・罠カードの発動を無効にし破壊する。 自分フィールド上に表側表示で存在するモンスターが攻撃対象に選択された時、 自分フィールド上に存在する魔法または罠カード1枚を墓地に送る事で、 このカードに攻撃対象を変更する事ができる。
<ブリザード・プリンセス>。
<ブリザード・プリンセス> 効果モンスター 星8/水属性/魔法使い族/攻2800/守2100 このカードは魔法使い族モンスター1体をリリースして 表側攻撃表示でアドバンス召喚する事ができる。 このカードが召喚に成功したターン、相手は魔法・罠カードを発動する事ができない。
どちらも強力な効果を持ったモンスターだ。
(気になるのは、ティトの伏せカードですわね)
先のターンは、<魂の氷結>を読み切れなかったせいで、トドメを刺し損ねた。
すでにデュエルも終盤。ここでのミスは即敗北へと繋がる。
(<青氷の白夜龍>なら対象を取る魔法・罠を無効化できますわ。しかも、<グングニール>を攻撃すれば、500ポイントのダメージが発生してティトのライフはゼロ……私の勝利ですわ)
しかし、とビビアンは思いとどまる。
(あの伏せカードが対象を取らない魔法・罠だった場合。例えば……<和睦の使者>のようにフリーチェーンで発動でき、<グングニール>の破壊を防ぎつつ戦闘ダメージをゼロにするようなカードだったら)
<青氷の白夜龍>は、モンスター効果までは無効化できない。仮にこのターンで<氷結界の龍グングニール>を仕留め損なった場合、次のターン、<青氷の白夜龍>は「タービュランス」によって破壊されるだろう。それ以前に、ティトの伏せカードが<激流葬>や<聖なるバリア―ミラーフォース―>といった、対象を取らない破壊系罠カードである可能性もある。
(……<ブリザード・プリンセス>なら)
召喚に成功した時、相手の魔法・罠の発動を完全に封じる<ブリザード・プリンセス>なら、伏せカードを心配する必要はなくなる。唯一<神の宣告>のようなカードで召喚自体を無効にされてしまえばそれまでだが、それなら<青氷の白夜龍>を召喚しても結果は同じだ。
「……私は、魔法カード<アイス・コロシアム>を発動。このターン、私は上級水属性モンスターをリリース無しで召喚できますわ」
「…………」
ティトは何も言わない。ただじっと、ビビアンのプレイングを待っている。
(私は――負けるわけにはいかない)
そのためには、小さな可能性であろうと潰すしかない。
「<アイス・コロシアム>の効果により、<ブリザード・プリンセス>をリリース無しで召喚しますわ!」
ビビアンが選んだのは、<氷結界の龍グングニール>とは異なる氷の龍ではなく、小さな氷の姫君だった。
白を基調としたデザインに、水色のラインが入ったドレスを纏った姫君。その顔には幼さが残るが、それゆえに怖いもの知らずの不敵さを漂わせている。
「<ブリザード・プリンセス>の召喚に成功したターン、相手は魔法・罠カードを発動することはできませんわ! バトル――」
ティトの場の伏せカードが凍りついたのを確認したビビアンは、すぐさまバトルフェイズへと移行する。
「<ブリザード・プリンセス>で<グングニール>を攻撃! プリズミック・ハンマー!」
氷の姫君は、龍の存在感にも圧倒されることなく、手にしたモーニング・スターを全力で振るう。
鎖に繋がれた巨大な氷玉が<氷結界の龍グングニール>に激突し、その体を粉々に砕く。
「……っ」
(気になるのは、ティトの伏せカードですわね)
先のターンは、<魂の氷結>を読み切れなかったせいで、トドメを刺し損ねた。
すでにデュエルも終盤。ここでのミスは即敗北へと繋がる。
(<青氷の白夜龍>なら対象を取る魔法・罠を無効化できますわ。しかも、<グングニール>を攻撃すれば、500ポイントのダメージが発生してティトのライフはゼロ……私の勝利ですわ)
しかし、とビビアンは思いとどまる。
(あの伏せカードが対象を取らない魔法・罠だった場合。例えば……<和睦の使者>のようにフリーチェーンで発動でき、<グングニール>の破壊を防ぎつつ戦闘ダメージをゼロにするようなカードだったら)
<青氷の白夜龍>は、モンスター効果までは無効化できない。仮にこのターンで<氷結界の龍グングニール>を仕留め損なった場合、次のターン、<青氷の白夜龍>は「タービュランス」によって破壊されるだろう。それ以前に、ティトの伏せカードが<激流葬>や<聖なるバリア―ミラーフォース―>といった、対象を取らない破壊系罠カードである可能性もある。
(……<ブリザード・プリンセス>なら)
召喚に成功した時、相手の魔法・罠の発動を完全に封じる<ブリザード・プリンセス>なら、伏せカードを心配する必要はなくなる。唯一<神の宣告>のようなカードで召喚自体を無効にされてしまえばそれまでだが、それなら<青氷の白夜龍>を召喚しても結果は同じだ。
「……私は、魔法カード<アイス・コロシアム>を発動。このターン、私は上級水属性モンスターをリリース無しで召喚できますわ」
「…………」
ティトは何も言わない。ただじっと、ビビアンのプレイングを待っている。
(私は――負けるわけにはいかない)
そのためには、小さな可能性であろうと潰すしかない。
「<アイス・コロシアム>の効果により、<ブリザード・プリンセス>をリリース無しで召喚しますわ!」
ビビアンが選んだのは、<氷結界の龍グングニール>とは異なる氷の龍ではなく、小さな氷の姫君だった。
白を基調としたデザインに、水色のラインが入ったドレスを纏った姫君。その顔には幼さが残るが、それゆえに怖いもの知らずの不敵さを漂わせている。
「<ブリザード・プリンセス>の召喚に成功したターン、相手は魔法・罠カードを発動することはできませんわ! バトル――」
ティトの場の伏せカードが凍りついたのを確認したビビアンは、すぐさまバトルフェイズへと移行する。
「<ブリザード・プリンセス>で<グングニール>を攻撃! プリズミック・ハンマー!」
氷の姫君は、龍の存在感にも圧倒されることなく、手にしたモーニング・スターを全力で振るう。
鎖に繋がれた巨大な氷玉が<氷結界の龍グングニール>に激突し、その体を粉々に砕く。
「……っ」
【ティトLP500→200】
砕かれた氷の龍を目にして、ティトの体が小さく震えた。
(ライフを削り切ることはできませんでしたが……<グングニール>は倒しました。ティトの手札は0枚ですし、これで手は潰えたはずですわ)
これで、ビビアンの勝利はさらに揺るぎないものになったはずだ。
「私はカードを1枚セットして、ターンエンドですわ」
伏せたカードは、ただのブラフだ。破壊されても痛くはないし、むしろこの伏せカードを破壊するために手間を割いてくれたと喜ぶことすらできる。
次の自分のターンで、今度こそ決着をつける。
(ライフを削り切ることはできませんでしたが……<グングニール>は倒しました。ティトの手札は0枚ですし、これで手は潰えたはずですわ)
これで、ビビアンの勝利はさらに揺るぎないものになったはずだ。
「私はカードを1枚セットして、ターンエンドですわ」
伏せたカードは、ただのブラフだ。破壊されても痛くはないし、むしろこの伏せカードを破壊するために手間を割いてくれたと喜ぶことすらできる。
次の自分のターンで、今度こそ決着をつける。