にわかオタクの雑記帳

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遊戯王ARC-V感想 その笑顔は誰のために

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「お楽しみはこれからだ!」――



このセリフがまだ続いていくだろうARC-V世界の未来ではなく、
新作であるヴレインズに向けてしまう自分に空しさを感じずにはいられません。


過去四作の主人公たちと違い、見ている人を楽しませるためのエンタメデュエルを掲げ、
先駆者である父の背中を追い続けた主人公、榊遊矢
彼が描いたペンデュラムの軌跡は、何をもたらしたのか。
放送日からずいぶん間が空き、新作の放送を間近に控えていますが、
ようやく最終回を見たので、感想を書いていきたいと思います。



以下、ネタバレと不快な表現に注意です。




















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ネットに飛び交う罵詈雑言の嵐。
もはや低評価を取ること、マイナスを加速させることが命題と化したまま幕を閉じたARC-V。
ファンもアンチもこぞって作品を叩く様子は、これまでの遊戯王にはなかった異様な雰囲気でした。
行き過ぎたネタだったり、安易なパワーカードの乱発が批判を浴びることはありましたが、
ARC-Vはそれ以前の問題が頂上が霞むほど山積みされ、絶えず炎上していた印象です。
かくいう俺も、ARC-Vを擁護することはできません
自分のリアル事情が絡んだこともありましたが、遊戯王から心が離れた要因になったことは確かです。
シンクロ次元の感想は以前にこのブログにも書きましたが、
次のエクシーズ次元編で不満点が改善されるかと思いきや、
ジェットコースターのようにマッハで悪くなっていく始末
ズァーク戦が終わり、遊矢がかつての仲間たちと戦っていく流れは、デュエルの内容含め(零児戦を除く)とても素晴らしかっただけに、「このラストに持って行くなら、もっとやりようがあっただろ……」と頭を抱えずにはいられません。
他次元の存在が明かされ、シンクロ次元に向かう頃に感じた高揚は、どこに消えてしまったのか。
素材のまま出しても間違いなく美味しいはずの料理が、明らかに間違った方法で調理されてしまった。
低評価を突きつけられても頷くしかない。それが俺のARC-V評になります。













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もちろん、良かった点がなかったわけではありません。

前述した遊矢のラストデュエル、特にデニス戦はエンタメデュリスト同士の素晴らしいデュエルが見られて、
珍しく満足したのを覚えています。
ARC-Vの良点というと、まずキャラクターが挙がるわけですが、
逆に言うと、そのキャラを生かすどころか殺しまくったことが、最大の難点でもありました。
魅力的なキャラが多すぎて十分の尺が確保できず、1、2回デュエルしただけでお役御免になってしまう惜しさ。
シンクロ次元の感想ではデニスの扱いのもったいなさに触れましたが、
見終わっても、全体的にキャラの掘り下げ不十分&設定や接点の未消化っぷりが深刻なレベルでした。


特にひどかったのは、柚子を除いた各ヒロインズ
比較的早期に登場し、ランサーズの一員となったセレナは、見せ場のないまま退場。
リンや瑠璃に至っては後付け回想でちょこっと触れられるくらいで、どんな人となりか分からないままという。
シンクロ次元編でもっとユーゴにスポットが当たっていれば、
エクシーズ次元編でユートや黒咲にスポットが当たっていれば。
全然印象が違っただろうし、洗脳されて敵になるシチュエーションでもっとハラハラしたろうに……



洗脳といえば、ドクトルの扱いにマジ切れしそうになった記憶があります。
ヒロインたちをさらって洗脳し、主人公たちと戦わせて自分は高みの見物と、
主人公にぶっ飛ばされて、カタルシスを得るために存在しているような典型的な悪役なわけです。
それを敵の親玉であるプロフェッサーがあっさり処理しちゃうって何なの……
少なくとも、遊矢が柚子を洗脳されたことで怒って覇王覚醒→オッドアイズレイジングでドクトルを倒し、
逃げたドクトルをプロフェッサーが「お前やりすぎ」で処理するならまだよかったんですけどね……
オッドアイズレイジングをセレナと瑠璃相手に出すって何もかも間違ってるだろ……
エクシーズ編アカデミア編と見てきて溜まっていた不満が、あそこで一回爆発した気がします。












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このように、ARC-Vのオリジナルキャラだけでも扱い切れていないのに、
過去作のキャラを何人も登場させるスターシステムの起用
そりゃ、ゴッズファンとしてはジャックやクロウが出るって聞いたときはテンションMAXでしたが……
いい扱いをしてもらったのはジャックのみ。
クロウがぽっと出のBBにやられたときは、目を疑いました。
GXから出演した2人は、恨みでもあるのかと勘ぐるほどの不遇。
「榊遊勝のデュエルは間違ってる!」と乏しい語彙力で同じ内容のセリフを延々繰り返していたと思ったら、デュエルに一度負けただけでするっと改心するエド
ただの道案内役で、見せ場もなくユーリに倒される明日香。
超融合の扱いも含め、GX組は同情を禁じ得ないほど散々な扱いでした。
それに比べるとZEXALのカイトはまだマシでしたが、彼も状況に流されているだけというか……
遊矢に影響されて変わった感が薄かったのは残念でした。
過去作キャラを登場させず、ARC-Vキャラだけで回した方が、個々の描写の薄さも解決してよかったんじゃないかと。


オリジナルキャラも過去作キャラもひっくるめて、とにかく「脚本の都合で動かされている」のが伝わってきてしまったのが、不満度が増した原因かもしれません。













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引き延ばしが目に見えて伝わる薄っぺらい話が続いたかと思いきや、
唐突に事態が動いて翻弄されることにも随分慣れてしまいました。
オルフェンズの感想にも書いたことですが、やりたかったことは分かるんです
人々に笑顔を振りまこうとしていた遊矢が、実は世界を恐怖に陥れた破壊神の一部で、
一度はその力に呑まれてしまうものの、仲間たちの決死の救出により自我を取り戻す。
そして、自分を見つめ直し、再びエンタメデュリストとしての道を歩み始める――
基本のストーリーラインだけ抜き出せば、劇的なお話です。
しかし、それに至るまでの展開や、クライマックスの描き方がお粗末すぎる印象を受けました。
長すぎるシンクロ次元編、短すぎるエクシーズ次元編、詰め込みすぎて滅茶苦茶なアカデミア編……
各次元のバランスの悪さを見ると、ユートユーゴユーリもそれぞれ主人公として描いた方が面白かったかもしれません。


出したいもの、やりたいことを考えなしに並べるのはいいのですが、
ほとんどが未回収で終わってしまうのは無計画すぎると言わざるを得ません。
ちゃんと回収して「おおすごい」と感心したのは、勝鬨君くらいかな?
クロウが特に理由もなくカード化から復活したときは、もう言葉が出ませんでしたね……
作品が面白ければ多少の強引さも許せるのですが、粗を吹き飛ばすだけのパワーがなければ矛盾点が目に付くだけです。













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勝ち確定の煽りにしか見えないエンタメデュエル、
状況説明セリフの多さ、似たような場面が繰り返す演出、盛り上げどころをスルーしてしまう構成の難、
そして主人公のデュエルが面白くない等、前の感想記事で挙げた不満点はほとんど改善されず。
おまけに、ペンデュラムによる大量展開は次作のリンク召喚によって調整されてしまう等、
公式からも黒歴史扱いされているんじゃないかと疑ってしまうARC-V


描かれたペンデュラムの軌跡はそのほとんどが塗りつぶされ、いくつかの星が辛うじて光っている程度。
もし、描いた軌跡が別のものだったら。
絶対にもっと面白くなっただろう確信があるだけに、大量のもったいないが残る作品でした。


最終回の新カード乱発は「先に出しとけ!!」と叫びたくなりましたが、
オッドアイズでのフィニッシュに少し感慨深さを覚えただけに、残念で仕方ありません。
同じようなラストで締めた5Dsは、あんなに感動したというのに……







次作、ヴレインズで遊戯王熱が戻ることを期待しつつ、この記事も締めたいと思います。
いい点悪い点含めてもっと書きたいことがあった気がしたのに、忘却の彼方に消えてしまいました('_')