にわかオタクの雑記帳

にわかオタクがそのときハマっていることを書き殴るブログです 主にアニメ・ゲーム中心

遊戯王SEVENSの思い切りに寂しさを覚えつつも拍手を送りたい

※この記事には筆者の主観や思い込み、間違った知識が多分に含まれます。

 

shonenjumpplus.com


ジャンプ+で初代遊戯王バトルシティ編が期間限定無料連載されているので、久々に読み返し、遊戯王のカードありきではない「漫画としての面白さ」を再認識している。

 


そもそも遊戯王デュエルモンスターズ(漫画内ではM&W)は作中に登場するゲームのひとつに過ぎず、本質としての面白さはゲームを通じた「心・精神のやり取り」だと思っている。
初期のギャンブルめいた命懸けのゲームでは「恐怖に打ち勝つ心の強さ」が試されているし、本格的にカード作品としてシフトした王国編以降においても、対戦相手との精神のぶつかり合い、削り合いや、逆境をはねのける強さ、勝負を諦めない不屈さ、そして何度も語られる仲間との絆の力が、カードバトル……文字通りの「決闘」を通じて描かれている。

 

そのため、ゲーム自体のルールは結構ガバガバであり、王国編辺りではまさに言ったもん勝ちな場面もたびたび見られるが、見方を変えれば「論理を押し通す強さ」が表現されているので、(致命的な破綻をしていなければ)ルールなんてどうでもいいのだ。
遊戯王が面白いのは「どんなタクティクスで勝つか」ではなく、「ゲームを通じての心理戦と成長」なのだから。
週刊連載ゆえ、細かい穴をふさぐ余裕はなかっただろうし。

 

 

 

www.yugioh-card.com


ただ、デュエルモンスターズは「遊戯王に登場するゲームのひとつ」にとどめておけないほどの人気を博し、実際にTCGとして商品化されると、多くの子供たちが遊ぶ定番ゲームとなった。
ルールがきちんと整備、時代を追うごとに調整され、カードゲームとしての戦略性も深まっていく。


そうなると、放送されるアニメは「販促」の一面を持つことになる。


初代に続いて放映されたアニメシリーズ「GX」ではすでに登場した「融合モンスター」を切り札に据え、「5D's」では「シンクロ」という全く新しいカード類が登場した。
その後、「エクシーズ」、「ペンデュラム」、「リンク」と作品が変わるごとに新要素が追加されるのが定番となり、作れるデッキや取れる戦術が、まさに千差万別と呼べるほどの多様性を獲得した。
最初期の「とにかく強いモンスターを出す」「倒せなかったら除去する」が全てだった頃と比べると、もはや別のゲームと化してしまった。いや基本は同じなのだが、そこに至るまでの手段が無数にあるのだ。

 


ちなみに俺は初代遊戯王世代ですが、OCGにドハマリしたのは5D's時代なので、「シンクロ」システムは、程良い切り札感を出せる最高のルールだと思っています。

 

 


同時に、初代遊戯王の魅力のひとつである「キャラクターの濃さ」や「良い意味でのノリ重視な展開」は、続くアニメシリーズにも脈々と継承・発展していった。
悪役の顔芸や、「ゲーム」を巡った話なのに生死が関わるハードなシナリオ等、乱暴な言い方をすれば遊戯王作品特有のネタ」として定着し、愛されていった。
どの作品にも人気キャラクターや首をかしげる迷セリフがあるのは、長く続いているシリーズとしては素晴らしいことだと思う。

 

 

 


しかし。


これは遊戯王に限った話ではないが、歴史が深くなればなるほど、新規層が入りづらいという問題を抱えることになる。
覚えることが多くて難しそう、見るべき作品が多すぎて時間が取れない等々……
趣味の細分化が進み、ひとつに割ける時間が減った昨今では、その影響が顕著だ。


今の遊戯王のメインであるデュエルモンスターズも、前述したように新要素が次々と登場したせいでルールが複雑になり、「イチから全部覚えろ」といった要求はかなり酷になってしまっている。
無論、強い興味があれば存分に楽しめるだろうが、その域に達するまでに「よく分からない」と投げ出してしまう、もしくは「遊戯王は難しいから他のTCGやる」といった選択をする子供たちが現れてもしょうがない状況だったように見える。
ライバルが少なかった昔のTCG界隈と比べると、現在は他にも魅力的なゲームが数多く存在している。

 

新しいファンを獲得しなければ、コンテンツが先細りになるのは明白だ

 

その点はわざわざ素人に指摘されなくても制作陣が把握しており、色々と試行錯誤している様子は見て取れる。
「ZEXAL」ではキャラクターやモンスターデザインを子供向けにシフトしつつも、シリーズ特有の「らしさ」を色濃く残していた。
その結果、既存ファンからも(ある程度)受け入れられ、愛される作品になったが、新規層の獲得という目的を果たしたかどうかは、個人的には疑問が残る。

 

様々な問題が噴出した「ARC-V」を経て、始まった「VRAINS」は、過去にヒットした「5D's」を意識した作風に見え、作中で繰り広げられるデュエルは、より複雑化が進んでしまった。
片方のターンが長く、新規追加された「リンク」も切り札が出るまで時間がかかるため冗長に感じ、「何がどうなってるのか分からない」と思ってしまった視聴者も多かったのではないだろうか。

 

主観を書くと、「VRAINS」は話の落とし所がすごい好きだったので、過程が上手くいってなかった+削られてしまったのが残念でした。
メインキャラクターの魅力が乏しかったのもな……遊作とAI周りは良かっただけに惜しい。

 

OCGの方では、新しいパックを買った子供がデッキを組みやすいようにいくつものテーマを作りつつ、過去のテーマデッキを強化できる新カードを追加するなど、既存ファンへのサービスも怠らなかった。
デュエルの流れが加速の一過を辿る現状に歯止めを掛けるためか、「リンク」追加時に既存カードが大幅に制限されるようなルール調整を行っていた。

 

あくまで主観になるが、それでも遊戯王は難しい」の印象を拭うには至らなかった

 

自分たちがデュエルモンスターズに興じていた子供時代、TCGの元祖ともいえる「マジックザギャザリング」に対して「何か難しそう」と感じていたことと同じように、今の子供たちは遊戯王を見ているのかもしれない。

 

 

 

www.tv-tokyo.co.jp


「VRAINS」の終了から半年。ついに始まった新シリーズ「SEVENS」


初放が判明したときから感じていたことだが。
遊戯王」に対するイメージの一新に対する本気度が窺える
言われなければ遊戯王作品だと分からないほど、すっきりしたキャラクターデザイン。
そして、既存ルールとは全く別物、別のゲームである「ラッシュデュエル」の登場。

 

1話放映前は、「結局蓋を開ければいつもの遊戯王なんでしょ?」と予想していたのだが、5話まで見終わった現時点では、驚くほどに「らしさ」が脱臭され、別のアニメとして仕上がっていた。
取っつきやすいようにとにかく明るいキャラクターたち。いつもの「クールなライバルキャラ」は今のところ登場しておらず、舞台となるゴーハ第七小で、基本は和気藹々、そして時には真剣にラッシュデュエルを楽しんでいる。
主要キャラクターたちが嫌み無しに仲良さそうで、見ていると自然に愛着がわいてくる。
例えるなら、「少年ジャンプ」ではなく「コロコロコミック」に載っていそうなテイストになっているのだ。(1話では謎の扉とか遊戯王っぽい要素もあったけども)

 

 

www.konami.com

 

新要素のラッシュデュエルも、これまでのOCGでの楽しさをいい塩梅に簡略して、落とし込んでいると思う。
モンスターや魔法・罠カードの効果は単純に、かつ一定の戦略性は失われないように。
ターンが回れば手札が5枚まで補充され、かつモンスターを何体でも召喚できるので、盤面を揃えるためのサーチや特殊召喚ラッシュがスキップできる。
各キャラクターのエースモンスターも分かりやすく強いし、アニメ内でくどくない程度にルール説明をしてくれる。
これから遊戯王を始めようとする子供たちに「これならできるかも」「楽しそう」と思わせるようなつくりになっている。

 

大きなお友達視点から見ると、「これまでの窮屈なデュエル」とか「ラッシュデュエルは底が浅い」とか、メタ的なセリフやシナリオがちょこちょこ見られるのも、気概の表れなのかなと邪推してみたり。

 


まさに一新

 

長くシリーズを支えてきてくれた既存ファンにそっぽを向かれることになろうとも、積み重ねてきた持ち味を捨てて、今の子供たちに興味を持ってもらおうとする。
作品の雰囲気、別ルールの設置に留まらず、人気Youtuberを起用する等、これまでとは次元の違う「本気度」をひしひしと感じている

 

「いつもの遊戯王」を期待していたオジサンにとっては、一抹の寂しさを覚えずにはいられないけれど。
遊戯王の新しいチャレンジを、影ながら見守っていきたいと思った。

 

 

 

 

 


……しかし、ロミンちゃん可愛いっすね。