にわかオタクの雑記帳

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狩猟者の居場所と選択【仮面ライダーアマゾンズ感想】

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狩るものと狩られるもの。



アマゾンズの世界において、その構図は単純な強者と弱者、正義と悪には分けられない――




「大人向けの仮面ライダーとしてAmazonプライムビデオで配信された、仮面ライダーアマゾンズ
現行のライダーとは一線を画した、ハードでシリアス重視のストーリー。
「人を食う怪物」という、数多の作品で扱われて尚、明確な解答の無い禁忌。
この時代に描かれる異色のライダー、アマゾンは、果たしてどのようなものか。


アマゾンズ配信の報を聞いたとき、興味はあったもののAmazonプライムに登録するほどではなく、
いつかレンタル出るだろうからその時でいいかなーなんて思っていたんですが、
それよりも早くTOKYOMXでの地上波配信が決定しまして。
俺にとって一番視聴しやすいスタイルで来てくれた、と喜んで見始めました。
でもアマゾンズ目当てでプライム登録した人は地上波放映早すぎじゃないかと怒ってるんじゃ……



それはともかく。
各所で偉そうにライダー語ってる俺ですが、本格的に復帰したのは平成二部のWからでして
それ以前の作品は知識としては知っていても、ちゃんと視聴したのは剣とディケイドだけであります。
こないだクウガ見始めたんですが、なかなかまとまった時間が取れずに途中で止まっててな……
全体的に暗めでシリアスな雰囲気、ときにはグロテスクな描写も挟まるアマゾンズは、
クウガやアギト、ファイズといった平成一部前半作品に近い雰囲気があったのですが、
その空気に触れるのは、ほぼ初めての状態でした。
とにかくグロ描写が苦手なので、多少おっかなびっくりでしたが!
特に制限も無く全年齢が視聴できる地上波放送なので、そっち方面の描写は抑え目だったのかな?
オリジナル版とは差異があると思いますが、最後まで見たので感想を。
調べてみたらTV放映版はかなりカットされてるんですな……



以下、ネタバレと不快な表現に注意です。
繰り返しになりますが、筆者が視聴したのはTV放映版です。


















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正直に言うと、序盤は結構退屈でした。




剣の感想で「登場人物がみんな似ていて誰が誰だか分からない」というものを見かけたことがあるのですが、
アマゾンズ初見の俺も、それに近かったと思います。
当たり前といえば当たり前なんですが、駆除班は全員同じ恰好。
誰がどのキャラなのか判別できないまま、いきなり隊員が死んでも「?」状態。
主人公の悠くんが自宅隔離の強制引きこもり生活を送っていたため、序盤は事態に翻弄されるばかりで、
もう一人の主人公である仁さんも、謎を秘めた実力者でアマゾンに変身できる程度のことしか分からない。


平成二部の多彩なアイテムやギミックを駆使し、派手でメリハリのある戦闘シーンを見慣れてしまっていると、
アマゾンズの泥臭くて野性味溢れる戦闘は、乱暴な言葉を使えば「ぐちゃぐちゃ揉み合っているだけで爽快感に欠ける」といった印象が強かったです。
「そんなことねえだろ目玉腐ってるのか」ってお叱りが飛んできそうだ……


そんな俺がストーリーに引き込まれたのは、中盤の山場。
自分がアマゾンであることを知り、受け入れ始めた悠が、駆除班と合流する辺りから。
「守りたいものを守る」といった明確な主張を顕わにし、アマゾンオメガへと変身するシーンは、
過程はともかくとしても、胸が熱くなって画面に引き込まれました。
今になって振り返れば、退屈だと思っていた序盤も、視聴を続けられるくらいに伏線張ったり、盛り上がりがあったりしたんだなぁと。









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悠が駆除班入りしてからはメンバーの描写が増えるわけですが、
隊の一体感というか、仲間意識の描き方が素晴らしかったです。
様々なテーマを掲げている本作ですが、個人的に一番プッシュしたいくらい。
アマゾンと一緒に前線で戦っている以上、別作品のサブキャラと比べて出番が多く、「仲間」としての意識が強くなるのは当然なんですが、シーン自体は少ないものの、みんなで食卓を囲んでいるところとか、マモルを中心としたキャラのやりとりが絶妙で、中盤以降は「誰も死なないでくれ……!」とハラハラするくらい感情移入してました。
本当に小林靖子さんは変わっていく相関図の描写が上手すぎる……
隊のリーダーである志藤さんは悠の甘い主張に難色を示しつつも、信頼はしていたし、
悠も線は引きつつも、マモルに引っ張られるように新しい自分の居場所を見つけていたように見えました。


何より、フクさんがちゃんと生き残ってくれたことに胸をなで下ろしたよ……!
最終話で母親に見せた優しい笑顔がもうね、素晴らし過ぎてね(語彙力消失)。


実験体、アマゾンでありながら仲間やチームにこだわるマモル
彼が貯めていた5円玉で、決裂しつつあった悠と志藤を繋ぎ合わせ、
隊を存続させたところは作品屈指の名シーン。
誰よりもチームを大切に思っていたマモルが、かつての仲間であり、殉職したあと改造されてアマゾンシグマとなった前原にトドメを刺したり、
人肉ハンバーグを食べたことで食人衝動が抑えられなくなり、仲間である三崎の腕を食べてしまう等、
一体感を描いたからこその展開が響いたように感じました。
アマゾンの捕食衝動は、積み上げてきた絆よりも強いもので、抗えないのだと。
腕を食われたにもかかわらずマモルの身を案じ、チームへの復帰を呼び掛けた三崎と、駆除班メンバー。
仲間の身を案じるからこそ、そこから離れアマゾンたちと生きることを選んだマモル。
主人公の悠以外の面々も、大きな選択をし、変わっていく中でシーズン1は幕を閉じました。
駆除班メンバーはみんないい人過ぎたよ……!
打って変わって、野座間製薬社員たちは、会長を筆頭にマジキチばかりでしたが。









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個人的には、駆除班にスポットを当てたいアマゾンズ。



ですが、行きつく先はやはり狩るか狩られるか。食うか食われるか。
暗黙の了解とタブーに包まれた、永遠に答えの出ないテーマでした。


悠は、最初の主張である「守りたいものを守る」を最後まで曲げなかった。
例え実験体であろうとも、自我を保てているうちは守る。
人も守る。暴走した実験体と、自分の「障害」だけを排除する。
見方によっては究極のわがまま、都合の良さを貫き通す道を選んだ。
その結果、水月の手を取らず、駆除班の呼びかけにも応えず、同胞たちを守ることになった。


仁は、人間を守る道を選んでいた。
どんな悪だろうと人間なら守り、どんな正義だろうとアマゾンなら殺す。
2人のアマゾンの道は交わることは無く、ぶつかり合ってどちらかを「折る」まで終わらない――


正義の象徴である仮面ライダーですが、アマゾンズのライダーに明確な正義はありません。
そもそも、仮面ライダーなんてものが存在しない。
それぞれの主義・主張、そして本能がせめぎ合った末のライダーバトル
当初から予定されていたのか、はたまたシーズン2の製作が決定したからかは分かりませんが、
彼らの戦いに幕は引かれませんでした。
シーズン1は、悠が選択をし、決断し、歩き始めるための物語だったように思えます。




最終的に主人公2人の戦いに持っていくなら、仁さんの描写はもう少し欲しかったところです。
彼がアマゾンの開発者で、彼なりのケジメをつけるために実験体の殲滅をしているのは分かるのですが、
飄々とした立ち振る舞いのせいで、仁側の事情や心情が伝わりにくかったかな、と。
共通の敵を協力して倒したあと、明確に対立する流れはスクライドを彷彿とさせる燃えるシチュエーションだっただけに、悠中心のストーリーになってしまったのは、少し勿体なかったかな、と。
悠が途中で揺らぎつつも、最後まで甘さを貫く選択をさせるには、必要な尺だったとは思うんですがね。


キャスト陣の熱演は素晴らしかったですが、最後まで所長の演技には慣れなかったなぁ……
重要な役だっただけに、棒っぽく聞こえてしまったのが残念でした。
秘書である加納さんの演技が特徴的だったので余計に。











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同じ狩猟者でも、守りたいものと、守るべき手段は違う。



後を引くエンディングのあとに見たシーズン2の予告がテンション高すぎて余韻ぶち壊しでしたが、
「決着はつかない」といったエンディングから、続きがどのように展開するのか。
おそらく相当先であろう、地上波放送かレンタルを楽しみ待ちたいと思います(クズ)。
め、めっちゃ評判よかったらAmazonプライム加入するし! 本当だし!







アマゾンズとは関係ないですが、大分前に仮面ライダーチェイサーも見ました。
レンタルで見てめちゃんこ面白くて、円盤買ってじっくり見てから感想書こうと思ってたんですよ。
そしたら、ガチャで金使い過ぎてな……(クズ)
アニメ感想記事もひと段落したので、そろそろ買いに行こうかな!