にわかオタクの雑記帳

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空洞?タケルが歩んだ英雄道【仮面ライダーゴースト感想】

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一年間を通してタケルが繋いだ心の輪。



果たして、それは「本物」だったのだろうか……?



今年も一年、新たな英雄の物語を最後まで見させていただきました。
仮面ライダーゴースト、引き継ぎ回の50話まで視聴完了したので、例年のごとくまとまりのない感想を。
前作であるドライブは引き継ぎ回を見ずに感想書いたんですが、見てから書いたほうがよかったと後悔するほど完璧なエピローグでな……
ゴーストはちゃんと最後まで見てから書こうと決めていたのです。
なお、筆者は冬映画のみ視聴、春と夏は未視聴であります。


ちなみに前年の仮面ライダードライブの感想はこちら→
ひとっ走り付き合った先にあったものはなにか【仮面ライダードライブ感想】


冬映画であるMOVIE大戦ジェネシスの感想はこちら→
ゴースト&ドライブ超MOVIE大戦ジェネシス感想 暗雲の中に差し込んだ幾筋の光明はなにか



以下、仮面ライダーゴースト最終回までのネタバレを含みます!














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ジェネシスの感想の方にも書いたんですが、序盤の噛み合い方は本当に素晴らしかった。



シナリオの粗はひとまず置いておくとして。
仮面ライダーと敵幹部以外の登場人物、フォーゼなら仮面ライダー部、ドライブなら特上課にあたるメンバー。
近年のライダーは、ヒロインを含むサブキャラたちがいまいち有効に機能していなかったように思えます。
顕著だったのがウィザード。前年のドライブも話を進めるための舞台装置としての活躍が多く、進ノ介や剛のドラマパートに関わることは少なかったように思えます。

その点、ヒロインであるアカリや、住職代理である御成の噛み合いっぷりは、多少の粗を忘れさせてくれるほどの素晴らしさでした。
アカリは技能面でも精神面でもタケルを支え、霧子よりも「相棒らしい相棒」のポジションを確立。
その後も敵だったアランやイゴールまでも叱咤激励するなど、この人がいなかったらゴーストは回らなかったのではないかと思うほどの活躍。
それでいてタケルの身を案じる、ヒロインらしい一面もきっちり見せてくれるなど、非常に存在感がありました。

御成は場を和ませるムードメーカーでありながら、時にはタケルを見守る大人としての面を見せてくれました。
後半はギャグ要員としてのパートが多過ぎたようにも感じますが、玩具展開されるほどの人気キャラに。


序盤のエピソードは、単なるゲストキャラのお悩み解決や、眼魂争奪戦だけではなく、
タケル、アカリ、御成、そして初期ライバルキャラであるスペクターことマコト、さらには眼魂となった英雄たちがうまく噛み合い、タケルの成長を描きつつ、「タケルとカノンのどちらを蘇らせるのか」という最初の命題解決に向かって進んでいました。
回を追うごとに演技が上手くなるタケル役の西銘君自身の成長もあり、少なくともヒミコ眼魂回辺りまでは、ドライブの余韻から抜け出してゴーストに夢中になれていたと思います。


……まあさすがに敵として現れたスペクターが幼馴染という、急に明るみになった設定には唐突感を覚えずにはいられませんでしたが。
思い返せば、すでにこの辺りから片鱗はあったんだなぁ。










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物語に停滞感が漂い始めたのは、ネクロム加入のくだり辺りから。



新たなるライバルとして現れた、第三のライダー、ネクロム。
ゴーストやスペクターとは明らかに違ったメカニカルなフォルム。圧倒的な強さ。
変身するのは、序盤から姿を見せていた謎の男、アラン。
彼の正体は、眼魔世界を支配する一家の一員だった――
この辺までは別にいいんですが、その後の「マコトと違い人間世界に一切関わりを持たないアランをどうやったら味方に引き込めるか」、そのストーリーラインが見え透いてきまして……
眼魔世界のことがよく分からないうちに行われる、アランの兄、アデルの裏切り。
そして、さすがにいきなりすぎるだろと言わざるを得ない、フミ婆の死。
絵の具を片手に天真爛漫に走るアラン様がシュールすぎるよ……いやアラン様自体のキャラは好きなんだけどね……
終盤の展開を考えると、最初のライバルはスペクターではなくネクロムにするべきだったのではないか、と思わざるを得ません。









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決定的におかしいと感じたのが、グレイトフル登場回。



フォームの設定的に15人の英雄と心を交わし、認められた証として力を貸してもらう。
その成果がグレイトフル魂だったはずです。
しかし現実は、心を交わすどころか手に入れていない眼魂までも強引に取り込み、変身してしまうという荒業。
いや、この一回だけだったら「タケルの心に共鳴した」的な理由付けで許せる。
一旦変身が解除されたあと、改めて英雄たちの心を繋ぐ――なんてヒマは販促が許さず、過程をないがしろにしてグレイトフル魂に変身しまくる。
デザインは素直にかっこいいと感じていただけに、この空白、性急さにはかなり落胆しました。
アラン様のエピソードを進めなきゃいけないのも分かるんだけど、せっかく英雄の魂というネタに事欠かない設定を作ったのだから、もっとストーリーに絡めてほしかった……
このあと、いくつか英雄たちにスポットが当たる回がありますが、その回、その場限りなんですよね。
ムゲン魂獲得後、英雄たちが自らの力不足を嘆くくだりも、そこに至るまでに掘り下げていたら感情移入の度合いが全然違ったのに……最初に手に入れたムサシですら、一緒に戦ってる感が薄かったのはとても残念でした。










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その場限りの設定は、英雄たちだけでなく他のキャラにも。



そもそもマコトとアラン、2人の仮面ライダーですら、掘り下げが足りないんですよね。
マコトは最初の目的であるカノンの復活が叶って以降、戦う動機が乏しいというか……
アランが敵だった頃はまだしも、彼が味方になってからは本当にやることがない(゜_゜)
「タケルの力になりたい」とは言いつつも、具体的に何をしたのか思い出せない……
終盤、これまた唐突にディープスペクター眼魂が作り出した分身(?)が現れ、みんなの知らないところで戦ったりしてましたが、マコトが瀕死の重傷を負うが助かる理由付けのために出てきたのではないかと勘繰るほど、やっつけ臭がすさまじかったです。
アデルとの因縁もあったみたいですが、直接対決するときにちょっと叫ぶくらいでちっとも具体性がない。


ラスボスの身内だったアラン様は、味方に加入後単なる癒し枠に収まることがしばしば。
ゲートを閉じられてしまった眼魔世界に向かうためにマコトと色々やったり、三蔵法師のお供と修行したりするのですが、どうも上っ面だけというか、次の展開に繋がってこない
兄が黒幕になっているのに、活躍らしい活躍をさせてもらえない。タケルに道を譲らざるを得ない。
ほとんどの設定が、ひとつのエピソードで完結しちゃってるんですよ。
マッハの因縁をちょっと分けてやりたいくらいだ……


だから、せっかく復活したカノンちゃんにも大した見せ場はないし、
眼魔の友達として加入したキュビも、やることがないので強制フェードアウト。
序盤で全てを消化してしまったか、はたまた話の大幅な方向転換を余儀なくされて突貫工事で骨組みを作ったとしか思えないほど、中盤以降の話に深みがありませんでした。
エピソード自体も単なるお悩み解決が目立ち始め、タケルのセリフも「言わされている」感が強くなってきました。
視点を変えれば「分かりやすさ」に繋がるのかもしれませんが、これまでの伏線が解決され大いに盛り上がるべき終盤に盛り上がらない問題は、分かりやすさを削いででも解決すべきだったんじゃないかと思います。


唯一アカリだけが最後まで存在感を失わずにいてくれたのですが、
彼女を叱咤激励役と便利に使い過ぎたのも、他キャラが霞む原因だったのかもしれません。
御成? アランの体を乗っ取ったときはさすがにドン引きしたよ……
タケル殿に怒られてたけど、今はそんなことしてる場合じゃないだろうと。
中盤辺りなら笑って許せるギャグだったのになぁ……どうしてこうなった。








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近年の悪役は魅力的なキャラが多かっただけに、アデル様はもう……



ストーリーの薄さを感じてしまった大きな要因が、アデルをラスボスに据えてしまったことだと思います。
当初からあまりカリスマが感じられず、どことなくヘタレ臭の漂うキャラクターでしたが、
大ボスとしても、ヘタレとしても、どちらに突き抜けることもなく、ただただ機械的にラスボスっぽいことをぐだぐた喋っていただけ、で終わってしまったのが残念でなりません。
見せ場なんてものは、それこそアデル様クソコラグランプリを公式でやったことくらいじゃないでしょうか。
中盤からの幹部ポジションであるガンマイザーは自我を持たないロボットキャラだし、
イゴールやジャイロもアデル様に面と向かって刃向うようなことはなく、タケルたちに負ければ独り反省会……


明らかに中ボスポジションなんですよ!!


アデルを倒すまでを3クールでまとめ、そこからガンマイザーやグレートアイの謎に迫っていく解決編パートがあれば、もっと楽しめたと思います。
ヒーローの活躍は、悪役が輝いてこそ
魅力に乏しいアデルに、仮面ライダーゴースト全体が引きずり降ろされたような感じがありました。
イゴールも「順調です」だけじゃなくてもっと野心持てよ!
ジャイロもアランの師匠なんて素晴らしくオイシイポジションだったのに、何で雑に処理しちゃうんだよ!
フレイとか外伝見てない人には分からないだろ! 結局なんだったんだよ!





……全てがうまく噛み合うことなんて、滅多にありません。
世間で評価されている名作にも、穴や欠陥はあります。
ゴーストには、その穴を埋めるだけの魅力が足りず、結果として足りない部分やら放置してしまった部分が目立ったのかなぁ、と。
仮にこれでドライブのように終盤盛り上がっていれば、評価は180度変わっていたかもしれません。
終わりよければすべて良し。
……中には終わりで台無しにする作品もありますが。友人曰くブラスレイターとか。










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本編最終回(49話)のライダーキックなど、アクションシーンの見所はありました。



ありましたが、シナリオが足を引っ張り過ぎたせいで正直よく覚えていないというか……
子供たちが怖がったせいか幽体らしいふわふわアクションも鳴りをひそめ、
淡々と……とまではいいませんが、いつも通りの戦闘をこなしていたように見えました。
先に書きましたが、英雄の魂といったこれまでの変身アイテムとは違う、「それぞれが主役になれるだけの物語を持った偉人の魂を宿した代物」を使っているのだから、もっと戦闘にも絡めてほしかったですな……
序盤のアイテムが使われなくなるのは仮面ライダーの常ですが、そこを打ち破ってほしかった。
そういう意味でもグレイトフル魂ってすごい重要なフォームだったのになぁ……


余談ですが、鎧武の極アームズしかり、ドライブのタイプトライドロンしかり、ゴーストのムゲン魂しかり、
専用武器を持たないのは、過去の武器を使わせることで玩具の消費期限を伸ばす打算があったりするのかなーと考えてしまいました。












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お世辞にも、最後まで楽しませてもらいました、とは言えなかったゴースト。




半分くらいは惰性で見てました。
ゴースト好きな人には申し訳ないですが、平成二部のWから本格的に仮面ライダーに復帰した俺にとっては、一番の低評価かもしれません。
キャスト陣の熱演は素晴らしかっただけに、勿体なすぎる……



お次は、響鬼さんがまともに見えるほど奇抜なデザインなライダー、エグゼイド
どういう方面に話を転がしていくのかさっぱり見えませんが、理由のない期待感は高まってます!