仮面ライダーエグゼイド感想 毎週がEXCITE!
デザインが奇抜なライダーほど面白い。
そんな俗説が定着し始めたのは、いつ頃だったでしょうか。
初めてエグゼイドのデザインを見たときは、お世辞にもかっこいいとは言えませんでした。
ロボコンを彷彿とさせるレベル1の存在もありましたしね……
ゴースト終盤は半ば惰性で見ていたので、これで次も面白くなかったら、
また仮面ライダー卒業かな……なんて思っていたのですが。
待っていたのは、興奮の渦でした。
先に結論から言うと、滅茶苦茶面白かったです。
あんなに毎週の放送を心待ちにしたのは、それこそW以来かもしれません。
そこまでシリーズを見ているわけではないですが、俺の中では面白さのトップクラスに入るほど。
最終回を見終えた際、ビルドへの期待よりもエグゼイドが終わったことの喪失感が勝りました。
まだスピンオフとか冬映画あるけどね!
ここ数年の仮面ライダーの面白さの度合いを主観で表わすと、
鎧武は脚本の味ややりたいことが噛み合った中盤以降に本領発揮。
ドライブは中盤にかなり間延びしたものの、それを補って余りあるほどの終盤の熱さ。
ゴーストは序盤は完璧に近かったものの、その後はふわふわ浮かぶだけの幽体離脱状態。
対しエグゼイドは、「毎回最終回」と表現しても過言ではありません。
瞬間最大風速を何回も起こし、視聴者をテレビの前に釘付けにする。
漫画の週刊連載によく似た構成の仕方だったと思います。
ここからは、ネタバレ込みで続きの感想を書いていきますので、
まだ未見の方はご注意ください。
ただ、最初から面白かったかと訊かれると、俺は素直に頷けないです。
各キャラクターの顔見せが主の最序盤は、提示しなければいけない要素が多すぎて、
いまいちストーリーにのめり込めず、まだながら見が抜けていませんでした。
エンジンがかかってきたのが、対グラファイト戦の共闘から、貴利矢離脱辺りでしょうか。
目的や手段の相違からいがみあっていたライダーたちが、(なし崩しとはいえ)初めての共闘。
そして、メインキャラと思われていたレーザーの消滅による衝撃。
この展開で、一気に引き込まれた視聴者は多かったでしょうし、俺もその一人です。
改めて振り返ると、あの短い期間で九条貴利矢というキャラクターを理解させ、
まだブレイブやスナイプとは仲間とは言えない時期に、最初に出来た相棒としてのポジションを与え、黒幕の正体を暴いたことで、退場してしまう……
終盤でのカムバックといい、構成の妙に唸らざるを得ません。
エグゼイドは毎話の面白さと、次から次へと新展開を放り込むスピード感、
瞬間的な面白さを重視していたと思いますが、
かといって全体を通した構成がガタガタだったかというと、
むしろ設定や要素の拾い方が秀逸で、計算高く作られていた印象なんですよね。
ライブ感を演出しつつ、全体の骨子は歪ませない、卓越した構成力でした。
先行最終回を匂わせつつ、実は本編の後日談だったトゥルーエンディングも絡めた、
「先の展開に引っ張っていくパワー」が半端なかったです。
ストーリーの面白さやキャラクターの動かし方を重視して見てしまう性質なのですが、その点に置いてもエグゼイドは飛び抜けていましたね。
ゴーストでかなり不満だった無駄なキャラクターの多さが、見事にクリアされていました。
エグゼイドも登場キャラは多いですが、メインのほとんどが序盤に出揃い、
展開に合わせて目まぐるしく立場や関係を入れ替えながら、ストーリーを加速させていく。
正体を現したころはラスボス臭ぷんぷんだった神こと壇黎斗が、あんなネタキャラに昇華し、最終的には味方になるなんて、予想もつかなかったですわ……
しかもすっごい頼りになる上に、終盤は神がいないと積んでた場面もしばしば。
主人公の永夢は様々な困難に翻弄されつつも、基本的には「患者と正面から向き合い続ける」ことからぶれないので、展開によって変わり続ける関係図の中で、中心の柱になっていたと思います。
新人研修医という肩書きから成長型の主人公かな、なんて思いきや、
周囲に影響を及ぼすタイプでしたね……中盤以降の冷徹さも兼ね備えた永夢の頼もしさといったらもう。チベットスナギツネ。
ゲストキャラのお悩み相談よりも、メインキャラたちのドラマを描くことを重視した結果、過去や背景を多く語らずとも、理解できる、好きになれたのだと思います。
敵キャラクターの魅力を出すことの難しさは、以前から何度も書いていますが、
エグゼイドは文句なしの花丸級でした。
前述の神ことゲンムはもちろんのこと、主人公の裏人格であり、序盤からのライバルであるパラド、
最後まで敵役としての美学を貫いて散っていったグラファイト、
そして何度やられても折れずに不敵に笑い続けたリセットおじさんクロノス。
そのほかの敵キャラも「倒されるたびに強くなる」とゲーム要素をうまく拾いつつ、
やられ役が板についてきてしまった頃に、新たなボスを投入する。
そのタイミングが絶妙だったと感じました(クロノスはちょっと引っ張りすぎた感があるけど)。
最初のボス的なポジションで撃破されたグラファイトに、泣かされることになるとは……
ゲンムが利害関係の一致でライダー側に付き、パラドも改心してもなお、
最後まで敵役としての美学を貫く、素晴らしい悪役でした。
自称神がネタ方面に振り切れてしまったから、余計にグラファイトがかっこよく見えるという……
しばらくゲンムを超えるネタキャラは出てこないんじゃないかと思うぐらい、
濃いキャラクターばかりでした。スピンオフ楽しみだっぜ!
設定や要素の拾い方に関しても、感心することが多かった印象です。
仮面ライダーってひどいと半分くらいの設定が死ぬことあるからね……
絶対最初だけだろと予想し、事実途中から影を潜めた「レベル1」。
ただのマスコット要素にしか思えなかったあれを、ピンポイントとはいえここぞのところで拾ったのは見事。
他にも自分よりもレベルの高い敵を倒すことで永夢のゲームセンスを演出したり、
ゲンムのレベルダウン効果でパラドクスのレベルを下げたことで、エグゼイドが圧倒できたりと、設定と演出のバランスの取り方が上手かったですね。
最強フォームが本当に最強だったのも、久々じゃないでしょうか。ムテキ!
ストーリー上に置いても、医療とゲーム、どちらも置き去りにすることなく、
「バグスターになっての復活」という命の価値観に対する答えを、最後の最後で明確にしてくれたのも、好印象でした。
ストーリーの盛り上がり所で、バトルシーンもきっちり魅せてくれるから、もう圧倒されっぱなしでした。
何度も見返したのは、やはりダブルマイティVSパラドクス。
バトルへの導入といい、メダルの使い方(これも死に設定になると思ってた)といい、
フィニッシュの仕方といいもう文句の付け所がないくらい完璧でした。
社長復活のネタ回かと思いきや、ラストであんな熱いバトル持ってくるのずるすぎますよ……
初見ではイロモノにしか見えなかったマイティが、めっちゃかっこよく見えたよね……
この後にあったパラドとの協力プレイは、互いに信頼しあってる感じが出てて、こっちもよかった。
ライダー全員に見せ場があるってのは素晴らしいねぇ……
一人だけ最終フォームがなかった大我にも、クロノスへの変身というサプライズが用意されてたし。
展開の早さゆえ、取りこぼしてしまった要素はあったと思いますが、
それを気にしている暇が無いくらい、ハイスピードな1年間でした。
ここまで満足できる作品は、なかなか無いだろうなぁ……
寂しさはありますが、今はビルドを楽しみつつ。
平成ジェネレーションズファイナルまで生きるぜ!!!!