にわかオタクの雑記帳

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仮面ライダーセイバー完走を諦めたおっさんの戯言

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この文章を書いている数時間後には、月が変わって9月になり。
次の日曜日には、新しい仮面ライダーである仮面ライダーバイスがスタートします。
運よく予定が合致したので、本放送に先駆けてYoutubeで配信された事前番組を視聴したんですが、主役ライダーのデザインや「リバイ」と「バイス」に分かれている点など、新たな息吹を感じさせる面を押し出しつつ、(現時点では)明るくコメディタッチな作風、主人公と行動を共にする相棒の存在等、「売れる要素」を手堅く盛り込んできたなといった印象を受けました。

 

仮面ライダー50周年記念作品ということで、歴代ライダー要素も盛り込まれるようですし、一体どんな作品になるのか、不安よりも期待が上回っています。

 


以前書いたかもしれませんが、ライダー有識者を気取ってあれこれ語っている私がリアルタイムで最初から最後まで視聴した作品は「W」が初めてでした。
Wの面白さに衝撃を受け、以降の作品はテンションの落差はあれど最終回まで見届ける習慣ができ、オタクとしては浅いながらも、夢中になったり感銘を受けたりしてきました。
毎回ではないですが、一年を通して作品と向き合った感想をブログにアップしたこともありました。


もちろん、毎作毎作「今年のライダーも面白かったな!!」と肯定的になれたわけではありません。
正直な感想を書くと、ウィザードやゴーストは「とりあえず見ておく」ぐらいの心構えの斜め見になってしまいましたし、去年のゼロワンも、中盤以降の展開からは懐疑的な視線で見るようになってしまいました。
それでも、途中で視聴を断念することはなかったんですよ。

 


が。

 


今年のセイバーはダメでした…………

 


レコーダーの中には、未視聴マークのついた録画が残っています。
まだ見ていないのはゼンカイジャーとのコラボ回~最終回+リバイスへの橋渡し回なので、見る気になればするっと見てしまえる量なのですが、その気力が湧いてこない。
セイバーは1クール目が終わったあたり、飛羽真が裏切った裏切ってないと内輪もめを始めた頃から付いていけなくなり、斜め見はおろか他の作業(ソシャゲの周回とか)をやりながらただ流しているだけだったので、「見ている」と言うのもおこがましいレベルでした。内容がふんわり把握できるかな位。
なので、感想を書けるほど「仮面ライダーセイバー」という作品に向き合えませんでした……
代わりに、何故そうなってしまったかといった愚痴を、ネタバレ込みでつらつらと書き残したいと思います。
なお、筆者は外伝作品や映画も未視聴ですし、セイバーをちゃんと見ていればフォローされている点についても把握せずに書いていますので、ここから先を読まれる方はその辺りをご承知ください。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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「ディケイド」によってスーパー戦隊と放送開始時期がずれ、秋スタートになった仮面ライダー
これも以前書いたと思いますが、日アサにおける特撮作品はまず「玩具の販促」が大きなウェイトを占めており、スケジュール通りに発売されるおもちゃを、いかにして子供たちに買ってもらうかと考えなければなりません。
W以降、ベルトに装着・連動する小型アイテムを大量に売る手法が確立され、セイバーはもちろん、次のリバイスにもその路線は継承されています。
また、玩具業界は12月にあるクリスマス商戦に向けて商品のラインナップを充実させていかなければならないため、仮面ライダーにおいては、「年末までに最初の強化フォームを登場させる」のが通例になっています。


この縛りが、ただでさえバタつきがちな序盤のシナリオをさらに慌ただしくしているひとつの要因。
説明しなければいけない最低限の設定、敵側を含めた主要キャラクターたちのお披露目、そして強化フォームを登場させるならそれに見合ったドラマ……
それらを1クール内で、玩具の販促を消化しながら行わなければならないのは、普通にシナリオを組むよりも難易度が高いのは明らかです。
加えて、セイバーは他作品よりもライダーの数が多かったので、各キャラクターを登場させ終わったらもう序盤の山場を迎えなければならなくなっていた、といった過密スケジュールでした。4人だったエグゼイドでさえ相当急ピッチに話が進んでいると感じたのに、上回っちゃもうね……
Wのヒット以降、登場人物の「キャラクター性」が強調され、分かりやすく、かつ愛着がわきやすいように描かれることが多くなりましたが、それも最低限の積み重ねがあってこそ。セイバーの序盤は、その最低限すら果たせていなかった印象です。


おそらく、各キャラクターの掘り下げが足りないのは制作陣も承知の上で、だからこそ序盤から外伝作品をいくつも打ち出したのだと思うのですが、まだセイバーに対する向き合い方も決まっていない段階で、有料配信コンテンツにはなかなか手が伸びないですよ……
序盤のシナリオが特別悪いとは感じませんでしたが、外伝に手を出そうと思えるほど心を鷲掴みにするような面白さがなかったのも事実です。

 

 

 

 

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また、ちゃんと視聴していた序盤から片鱗を見せていた「セイバー独特のコメディのノリ」が、個人的にはかなりの悪印象でした。
シナリオの流れや空気を無視して、とってつけたように突然放り込まれるギャグやコメディシーン。
今回のヒロイン枠(だよね?)である編集者の芽依が、典型的な「一般人なのに首を突っ込みたがってピンチになる」キャラで、ただでさえ足を引っ張るために配置されている時点で印象が悪いのに、その子が空気を読まないギャグを挟むもんだからもう……
途中から登場するユーリの「常識知らず」を演出する際も、人の生死が関わっているのにコメディ落ちにしてしまったり、闇堕ちした賢人が帰ってきて早々何の脈絡もなく流しそうめんを始めたりと、笑える笑えない以前に「それ必要?」と疑ってしまうギャグ要素は、ことごとく視聴意欲を削いでくれました。


ギャグがギャグとして機能していないのに、真面目に作ったシリアスシーンがネット上でおもちゃにされてしまうのが、皮肉が効きすぎているなぁと。

 

 

 

 

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とってつけたように、という言葉を使いましたが。


真面目に見ようと思えなくなった決定打は、「ご都合主義で大味なストーリー展開」でしょうか。
飛羽真はカリバーを倒した際、先代の炎の剣士であり、自分を救った恩人でもある上條からソードオブロゴスに対する疑念を打ち明けられます。
これにより、飛羽真は仲間たちが所属する組織を疑うようになり、それを知った倫太郎たちは反発。
この流れが本当にとってつけたようで、「主人公が仲間たちと敵対してしまう」展開をやりたいがためのやっつけ仕事にしか見えず、セイバーにきちんと向き合えなくなってしまいました。
ゼロワン終盤でも感じたことですが、「製作者の意図」が悪い意味で透けて見えるのは、作品に対する期待を全部奪っていくんですよ。
「飛羽真がピンチになっちゃったよ? びっくりした?」みたいな意地悪い顔を幻視してしまうほど思考が歪んでしまい、以降は、上にも書いた通り大筋すらまともに追えない視聴スタイルに。「セイバーって常に誰かが叫んでるなぁ」が一番印象に残っちゃいました。


役者さんたちの演技は皆熱がこもっていて気迫に溢れているのに、その熱がただただ上滑りしていく。
扱いに困ったデザストを、とってつけたようなエモで処理する等、引っかかった部分は終盤まで改善されず。
物語の結末を見届けることなく途中で本を閉じても、後悔や罪悪感が襲ってこない――俺の中の仮面ライダーセイバー評は、こんなところです。

 

 

仮面ライダーはメインターゲットが子供な以上、いい歳した独身オッサンの感性に合わない部分は必ずあります。
しかし、投げ売りされているセイバーのおもちゃを見ていると、オッサンだけではなく多くのキッズたちにそっぽを向かれてしまった現実が浮かびます。
光る部分が全くなかったわけではないですが、それらを掬い上げる気力が湧くほどのパワーが無い。
キャラクターたちが足跡を残すのではなく、あらかじめ用意されていたレールをただ歩く姿を見ることに虚無を感じてしまい、ゴール手前で挫折した。そんな一年間でした。