にわかオタクの雑記帳

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月姫Rアルクルートをプレイしながら漫画版真月譚月姫に思いを馳せる【※ネタバレ有】

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自分が初めて「月姫」という作品を認識したのは、ゲーム雑誌に載ったアーケード版メルティブラッドの紹介記事だったと記憶している。
2ページの紹介記事に詰め込まれた多種多様なキャラクターたちと、そこから溢れ出る「エッセンス」。
各キャラの傍に書かれたそれぞれの名台詞の中で、俺の厨二心をひときわくすぐったのは、月姫の主人公である遠野志貴「――これが、モノを殺すっていうことだ」
今風に言うと「陰キャ眼鏡」なビジュアルに、逆手に持ったナイフ。平凡な男子高校生に見えるのに、実はとんでもない能力を隠し持っていた――そんな空気がたった一つのセリフから迸っており、何だこれはと一気に引き込まれた事実は、どれぐらい前の記憶なのか思い出せなくても、その体験だけは鮮明に焼き付いている。

 


その後、メルブラが家庭用に移植された際に触ってみたものの、格ゲーに対しての経験値や情熱、センスが圧倒的に足りず、基礎コンボさえ習得できないまま、適当にストーリーモードをいくつか(難易度を下げて)クリアしただけで満足してしまった。

 

 

こうして「月姫」を認識した俺は、あれこれ調べて、原作が同人ゲームであり、すでにプレミアが付いており容易にプレイできないことを知り、代わりにアニメ版をTSUTAYAでレンタルしてきて鑑賞した。
今でこそ原作有りのアニメは原作の雰囲気を損なわないことが何より重要視され、できるだけ忠実に再現される傾向があるが、ひと昔前はアニメオリジナル展開への改変が当たり前のように行われており、特に未完の作品や、複数のルートがある特性上完全なアニメ化が難しいゲーム原作は、その傾向が強かったように思う。
月姫アニメも例に漏れずあれこれ改変が行われた結果、原作ファンからは「なかったこと」として扱われてしまう作品になってしまった。
が、当時の俺はそんなことは全く知らなかったので、最初から最後まで普通に見たし、シエル先輩がカレーを食べていないことについても特に何も思わなかった。今は俺もあれこれ口を挟む側の人間になってしまったので、無知って時に世界を綺麗に見せてくれるよなぁ、と感慨にふけってみたり。
ともあれ、原作のホラー要素を妙にピックアップしていたアニメ版は、どんな内容だったか思い出せないほど「普通」だった。メルブラの紹介記事で感じたエッセンスも物足りず、「見た」という事実だけしか残らなかった。

 


それからどれくらい間が開いたのか。割とすぐだったのか、かなり時間が経ってからだったのかはもう思い出せないが、ふとした拍子に、今度は漫画版「真月譚月姫」の単行本を手に取った。まだそれほど巻数が出ていなかった頃だったと思う。
苦手なグロシーンを我慢しつつ1巻を読み、流れで2巻を読み――


そこで、一変した。

 

今まで読んだり見たりした有象無象の作品の中のひとつだった月姫が、マッハで駆け上がってきた。
あの時に感じた「エッセンス」が強烈に香るシーンが、そこに――2巻にはあった。


ネロ・カオス戦で窮地に陥った志貴が、「殺人鬼」として覚醒するシーン。
モノの死を見る直死の魔眼と、幼少期に七夜として叩き込まれた技術で、ネロの獣たちを鮮やかに屠っていく――
痺れる、としか表現できないほど厨二レーダーがビンビンに反応し、当時何度も読み直したし、今でも読み直す。
その衝撃は、月姫に心酔するに十分すぎるものだった――

 

 

 

 

 

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……とまあ、原作未プレイの俺にとって「月姫」とは、佐々木少年氏が手掛けた漫画版を指しているんですよね。
どんな理由で単行本を買ったのか理由も忘れてしまいましたが、良作に出会わせてくれた当時の自分に感謝したいです。
アルクェイドルートを中心に、他ルートの要素や展開を盛り込んだ漫画版は、ファンからも評価されており、リメイク発売前は、原作に一番近い空気に浸れたと思います。未読で興味のある方には是非お勧めしたい。

 

 


で、幾星霜の時を超え、ついに発売になったリメイク版「月姫」。

 

プレイ時間が十全に取れるかどうか分からず、発売日はスルーしてしまったのですが、やっぱりやりてえ欲が高まったので勢い余って限定版買っちゃいました。
時間が取れる時にがっつり進めて、ようやくアルクェイドルートをクリアしたところです(バッドエンドはほぼ未回収)。


比較対象が前述の漫画版になるのですが、「誰コイツ!?」と声をあげたくなるような新キャラが続々と登場し「こりゃあ中身もがっつりいじられてるな……」と構えながら進めたんですよ。
俺を月姫に引き込む最大のきっかけを作ったネロ・カオスが影も形もなくなり、代わりにヴローヴという新吸血鬼と戦う流れになっていましたしね。ヴローヴ戦もネロに負けず劣らず燃えたなぁ……

 

 

 

 

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久々のADV、進化した演出に圧倒されながらも、プレイを続けていると――
ふと、既視感を覚える自分に気づくわけです。
それもそのはず、アルクルートの大筋は漫画版真月譚月姫と、ほぼ同じですから。


ボイスがついて表情もコロコロ変わるアルクェイドの魅力はマシマシで伝わってきましたし、日常に対して冷めていた志貴が、アルクェイドとの交流を通じて「熱」を取り戻していく話は、例え先が分かっていたとしても、心を揺さぶられました。

 

志貴とアルクは、一方が一方を攻略するのではなく、お互いに虜になっていく関係がすごい良い……だからこそ、ビターエンドの苦みが増す。

 

 

そんな感じで楽しめたのは間違いないんですが、どーしても漫画版の記憶が鮮烈すぎて、「同じストーリーを繰り返し読んでる」感が抜けきりませんでした。面白いのに退屈という、相容れない感情が同居している奇妙な感覚。他ルートの展開を盛り込んでいるせいか、ラストのロア戦は圧倒的に漫画版のほうが面白いと感じてしまうジレンマ。
これはFateにも共通するんですが、最初のルートって設定やストーリーの全てが開示されないので、それらが明らかになる後半のキャラルートのほうがどうしても印象に残りがちなんですよねぇ。悩ましい問題だ……
「どんなキャラなんだ?」とわくわくした新キャラ勢も、ほぼ顔見せだけで終わっちゃいましたし……でもマーリオゥの有能ムーヴは好き。

 


漫画版を読んでいなければ月姫Rをプレイしなかったかもしれないけれど、
漫画版を読んでいたせいでアルクルートを新鮮な気持ちで楽しめなかった。
何が正解なのだろうと問答しながらスタッフロールを見送った、アルクルートでした。

 

 

 

 

 

つまり、俺にとっての月姫Rはここからが本番なのかもしれません。
現段階だと、志貴はアルクにぞっこんすぎて、他のヒロインになびいている姿が全く想像できませんからね。


――頼むぜカレー先輩!!