にわかオタクの雑記帳

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劇場版 呪術廻戦0 感想 「今」の少年心に刻まれるバトル漫画のスタンダード

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日本中を席巻した「鬼滅の刃」ブーム。
その人気はアニメ・漫画好きの間だけにとどまらず、一般層まで普及し、劇場版は(時期的な後押しもあったとはいえ)日本映画の興行収入トップを塗り替えるほどの驚異的なヒット作になった。

 

そうして「最近のジャンプ作品はすごい」と土壌が整ったところに、セカンドウェーブとしてやってきたのが、「呪術廻戦」だった。

 


10年以上週刊少年ジャンプを購読している身なので、鬼滅も呪術も連載開始から読んでましたし、TVアニメも視聴済み。
どちらも原作を読んだ時点で十二分に面白いと感じていたし、アニメは高評価が並ぶことに納得のクオリティでした。原作の良さを120%以上に引き出す、素晴らしい映像化だったと思います。

 


けど、自分は鬼滅も呪術も劇場版は見る気なかったんですね。

 


鬼滅無限列車編は、コロナ禍に突入しようかという時で万が一にでも感染したら周囲に多大な迷惑をかけてしまうので自重したところもあるんですが、仮にそうじゃなかったとしても劇場まで足を運んだかどうか。
呪術に関しては、「どれぐらいヒットするのかな」と内容に対しての興味がほぼゼロでした。
事前に原作の0巻を読んでおり、内容がそこまで心に響かなかったから、余計に関心が薄くなってしまったのかもしれません。

 


「鬼滅」も「呪術」も確かに面白かった。
けれど、そこそこ色んな作品を見てきた「曇ったオタクの目」からすると、「無数にあった良作の中のひとつ」止まりなんですよ。心中に眠る少年心をガツンと打つような、「自分にとってのナンバーワン」には決してならない。
それは作品が悪いのではなく、年齢を重ねることによって余計な知識や感情が肥大化し、自分の感性が鈍ったから。あれやこれやと難癖をつけて、穿った視線で見てしまう「いい歳こいてアニメ見てるオッサンな俺」が悪いわけです。
だから、「面白かったけど劇場版見るほどじゃないかな」と、自分を納得させてしまう。まあこれは映画館に足を運ぶ習慣がないってこともありますが……

 

昔、過去の名作を持ち上げて今の作品を貶す話題にムッとなったことがあるのですが、時が流れた現在、自分がその「老害」になりかけている事実に、冷や汗が流れます。

 

 

 

……前置きはこの辺にして、見る気なかったのに見に行ったんです、「呪術廻戦0」
理由は単純で、YouTubeで公開直前PVを見たら、アクションがものすごい俺好みだったから。
あと、花澤香菜ボイスの里香ちゃんが原作の10倍くらい可愛かったからです。

 

www.youtube.com


TVシリーズの呪術も劇場版と見間違うほど作画クオリティが高い作品だったんですが、自分の琴線に触れるようなバトルシーンはあんまりなかったんですね。
それがまあ「0」は、PVの乙骨vs夏油のシーン見ただけで引き込まれちゃいましたよ。久々だこんな感覚。
見に行った人の感想も上々だし、上手く時間も空いたしで重い腰を上げて映画館行きました。

 


シナリオ的には原作から大きく変わることはなく、連載版のほうで明かされた設定で「ファン好み」に肉付けされていて、かつ本編の前日談になるので、漫画やTVアニメを見ていなくても楽しめる、間口の広い作品でした。
期待していたアクションシーンは期待していたものが見られたし、満足の一言です。
原作ではやや淡白に感じた展開も、声優さんの熱演が乗ることによってジーンと来ましたし。

 

 

 

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ただ、一番感じたのが、「呪術廻戦」が純粋な少年心を持った「今」の子供たちのスタンダードなんだなぁ、ということ。


曇った心のオッサンからすると有象無象の中のひとつに過ぎなくても。
「乙骨がシンジ君過ぎた」「里香ちゃんのエヴァっぷり」みたいな余計な知識も無い。「〇〇の二番煎じ」なんて穿った視点も無い。ひたむきに作品と向き合える彼・彼女たちにとって、「呪術廻戦」は色鮮やかなフィクションの世界への入り口、もしくは大人になっても語りたくなるような心に刻まれる作品なんだ、と。
手汗握るバトル、中二心をくすぐる能力、オタクの大好きな「主人公の覚醒」や「作中最強キャラ」――自分にとっては手垢にまみれた要素でも、それらに初めて触れる人にとっては、眩しいほどの輝いて見えるでしょう。かつての自分がそうだったように。

 

ドラゴンボール」、「ワンピース」、「るろうに剣心」、「ハンターハンター」、「BLEACH」、「僕のヒーローアカデミア」……きっかけになった作品は世代によって違うと思いますが、現在も連載が続く「呪術廻戦」は令和を生きる多くの子供たちの「きっかけ」になりうる作品。
冬休み真っただ中のせいもありますが、座席の半分以上を埋めた子供たちが、スクリーンに引き込まれているのを肌で感じながら、老害になりかけのおじさんはしみじみと感傷に浸るのでした。

 

 


……しかし、初っ端から鬼滅呪術と最高クオリティを見せられて目が肥えてしまった未来のオタクたちの今後が少し心配ではある。