にわかオタクの雑記帳

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ゴースト&ドライブ超MOVIE大戦ジェネシス感想 暗雲の中に差し込んだ幾筋かの光明はなにか

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公開前から非常に楽しみにしていた、ゴースト&ドライブ超MOVIE大戦ジェネシス
冬休みに突入し、映画館がちびっこで溢れる前に観賞してきました。
事前に出た情報や予告を見た時点ではもうテンション上がりっぱなしで、
仮面ライダーまったく関係ないFF14のサイトにもこんな記事書いちゃうくらいでした。


様々な欠点を抱えつつも、持ち味の熱さを失わずに一年間を駆け抜けたドライブ。
このブログで感想記事を書いたあと、特別編を観賞し、他の方々の感想を読み、MAD動画なんかも見て、
自分で思っていた以上に好きになっていたというか、大きな爪跡ならぬ濃いタイヤ痕を刻まれていました。
なので、翌週から始まったゴーストにイマイチのめり込めずにいたのですが……


そのゴーストが、ここ数週はとても面白い。
配置した歯車が綺麗に回っている、そんな印象を受けるほど、個々のキャラクターが役割を果たしつつ、魅力的に動いてくれる。
「こいついる意味あるの?」というキャラがいないのは、物書きの端くれとして本当に尊敬しますわ。
主人公のタケルも最初は頼りない部分が目立ったものの、今は自分の甘さを認識しつつもそれを貫き通す信念を固め、ライバルでありかつての幼馴染でもあるスペクターに果敢に立ち向かっていく姿は、まだ序盤ながらも主人公らしい成長をしっくりくる形で見せてくれました。
変身アイテムのアイコンを敵味方共に狙っている構図はメダル争奪戦だったオーズを連想させ、アイコンを奪われる=そのフォームに変身できないといった説得力づくりや、緊迫感の演出に一役買っていますな。
各種ガジェットが武器と合体して弓や銃になるのは過去の反省を生かしている様子が見え、ゴースト自体のアクションや演出も洗練されてきた感があり、まさにここから良作になっていく予感がプンプンしています。



そんな二大ライダーが共演!


しかも今までの三部構成とは違い、全編に渡ってクロスオーバーする構成ともなれば、期待を高めずにはいられませんでしたね! 俺、こういうクロスオーバー物大好物なんで!!




で、公開当日
その日に見に行けないことは確定していたので、ツイッターでネタバレにならない程度に感想を漁ってみると、
あまりいい評判が聞こえてこなくて、出来が芳しくないのを察しました。
いや、分かってたさ。ライダー映画の当たり外れがデカイことくらい……
上がりまくっていたハードルをゆっくりと下げ、観賞してきたわけです。
結果的にいうと、この判断は正解だったと言わざるを得ません。
もし、全くの初見で見たら、口をポカンと開けたまま茫然としていたに違いないから……


※以下、映画本編のネタバレを含みつつ感想を書いていきます。
※これから見る予定のある方は、「視聴前にハードルを下げる」ことだけを踏まえて、回れ右をお願いします。















一言で表すなら、「もっとやりようがあっただろ……!」と唇を噛みしめる感じです。
MOVIE大戦初の全編クロスオーバー。
進ノ介とタケルが過去に飛んだことによって起こる改変。
過去改変が起こったゆえの奇跡。
そして、親子の絆――
コンセプトや狙いどころは素晴らしいし、事実グッとくるシーンもあったのに、ストーリー全体を見るとあまりにも雑な構成だったと言わざるを得ません。
脚本の方はドライブもゴーストもシナリオを担当したことがないどころか、仮面ライダーに関してほとんど知識がなかったようで、(おそらく)タイトなスケジュールで書かされたと考えると同情する部分もあるのですがそれにしたってもうちょっと何とかならなかったのか……と愚痴をこぼしたくなります。



特に雑なのは、本編アフターであるドライブ組の扱い。
ウィザードしかり、鎧武しかり、近年のMOVIE大戦は前年のライダーパートが非常に高水準で、本編の補完やフォローに一役買っていて、ドライブにもそれを期待していたのですが、盛大に肩透かしをくらいました。
過去に飛んだ進ノ介が、プロトドライブ時代のベルトさんと出会い(どうしてベルトさんがあそこにいたのかは各所で散々つっこまれてるのでスルーで)、進ノ介が引っ張る形で始めての変身。
ベルトさんをこれ以上ないくらいよく知る進ノ介と、進ノ介のことを全く知らないベルトさん。
奇妙なバディ再結成のエピソードが描かれていく……と思いきや、その後は主にタケル父のほうにスポットが当たり、ベルトさんは全く喋らない。存在感が希薄どころか全く無い。ストーリーが進み、再び進ノ介が変身するときに、急に「自分は意思を持った喋るベルトだった」ことを思い出したように喋る。が、こちらが期待したような進ノ介との絡みは皆無。
本編で別れたあと、思っても見なかった形での再会。それも時空を超えているという非常に高純度な旨みを、最初に食材のままチラ見せして、あとはほぼスルーなのは勿体なすぎる。



勿体ないで言及せずにいられないのは、チェイスの扱い
ドライブファン10人に訊いたら10人が「納得がいかない」と答えるであろう登場の仕方!


あれは!!!! ダメだろ!!!!!!


過去改変が起こり、倒したはずのロイミュードが復活。ブレン、メディック、ハートは以前とは比べ物にならないほど強くなっており、性格も変わってしまっている。
だが、ロイミュードが復活したということは、当然「彼」も復活を遂げている。
ダチである剛をかばい、巨悪を倒すために特攻して命を散らした戦士――チェイス
思い出すだけで今でも涙ぐむくらい劇的な最期だったのだから、復活もまた劇的でなければならない。


それなのに!! 普通にポッと出てきて!!!! 
しかもその後課長のギャグシーンに持っていかれるって!!!!!!!!
ダメだろう!!!!!!!!!!


こういうのはさ、ベッタベタでもいいから、剛がハートたちにやられて変身も解けてしまって絶体絶命のピンチに陥って、でも進ノ介は過去に跳んでるから助けに行くことはできなくてどうしようもないってところで、
そこで! ハートに一撃を入れて!! ボロボロの剛を助け出して!!!!


「俺も混ぜてもらおう」


だろう!!!!!!!!! もっと熱くさせてくれよ!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!



天然ギャグも(何故か)マコト兄ちゃんにお株を奪われてるし、戦闘シーンでも大した活躍はしないし、
特別エピソードもなかったロイミュード勢共々、「過去が変わったから復活した」以上の情報がなかったのが、すごい悲しかった……
チェイスが再び消える時、剛が「ダチに言うさよならは一回だけだ。二度も言わせんのかよ」と滅茶苦茶素晴らしいセリフを言うんですが、そこまでの展開が雑すぎて心に響ききらないのが非常に勿体ない。勿体なすぎる。




現代に戻った後のベルトさんとの再会シーンも、もっと劇的でよかったのに……
本編ではイマイチ出番のなかったタイプデッドヒートを活躍させつつ、マッハドライバーが破損して変身不可→そこで待ってましたと言わんばかりにベルトさん登場→変身の流れのほうが絶対燃えたよ……
タイムトラベル物の面白さのキモとして、過去(または未来)での主人公たちの行動が、逆転への鍵になるってのがあると思うんですが、今回はその要素がほとんど感じられなかったです。
ベルトさんが過去に進ノ介と出会ったとこで彼をドライブの適格者として選んだとか、
過去でダヴィンチが復活したことを目撃し、一旦自分が眠りにつかないとダヴィンチは行動を再開しないことを予測し、眠りから三カ月後に再起動できるようプログラムしておいたからとか、時間移動物ならではの説得力がある展開がほしかった。この辺は尺の都合もあるし、ゴーストとの兼ね合いもあるので仕方のないことなのかもしれないけど……



おいしい部分を終始あっさり消化したドライブ組に比べると、ゴースト側のシナリオはよくできていたかなと。
過去に戻ったことで、死別してしまった父親と再会したタケル。
未熟な幼い頃の自分を叱咤しつつも、何とか父親の死を回避しようと奮闘するが、やはりそれは叶わない。
直面する二度目の父親の死に、どうしても弱さを見せてしまう。
それでも進ノ介に励まされ、父親が残した「未来に命を繋ぐ」想いを胸に、再び立ち上がる――
タケル父の頼もしさや偉大さをきっちり描写しつつ、タケルの成長を描けていたと思います。
この辺はドライブ組もそうなんですが、シナリオはちぐはぐでも、キャラクター自体はしっかりと描けていたんですよね。御成やアカリも「らしい」振る舞いをしていましたし。後述するマコト兄ちゃん以外
惜しむらくは、そこにもうちょい進ノ介が関わってくるというか、兄貴分らしい活躍を見せてほしかったところなんですが……
物語全体として、ドライブが綺麗に終わり過ぎたためアフターエピソードが作れなかったから、ゴーストのシナリオに乗っかった感じがありました。
たぶん、今回の話ってゴースト組だけでも十分回せるだろうしな……


キャラが違うどころか「ダブルヒーローのご帰還だ!」とか今後絶対言わないであろうセリフを口にした仮面ライダースペクターことマコト兄ちゃんは、まだ本編での設定が固まっていなかったってことで十分納得。
本編ではタケルに敵意剥き出しMAXですが、例え今後デレたとしてもあんなキャラにはならないだろうなぁ……w
映画のシナリオを書いている時点では、上っ面の部分しか決まっていなかったんでしょう、うん。
別人マコト兄ちゃんだけではなく、全体的にコメディシーン多めなので、かる~く見たい人にはオススメです。
個人的にはもっとシリアスにやってほしかったけどね!
あとは、ゴーストももうちょいフォームチェンジしてほしかった……ドライブはカッコいいフォーミュラのシーンが見られたので、まあ良しとしたいところ。






……とまあ、かなりちぐはぐな映画だったわけなんですが。
上映が終わったあと、俺はこの映画を見れてよかったと、嫌味ではなく純粋に思ったんです
その理由は、進ノ介とタケルが現代に戻り、復活したダヴィンチと眼魔軍団と対峙するシーン。
進ノ介だけ変身できずに困っているところにトライドロンとベルトさんが現れ、再び黄金タッグが復活した瞬間。
シフトブレスに、シフトカータイプスピード――仮面ライダードライブに始めて変身したときからずっと使ってきたシフトカーをセットした瞬間に見せた、進ノ介の微笑
満面の笑みでもなく、やる気に満ち溢れる締まった顔でもなく、
一度はベルトさんの幻想を振り切りつつも、どこかまだ仮面ライダードライブを懐かしむ自分がいて、
もう一度変身できることへの喜びと後悔が混じり合ったような、感慨深げな、微笑。
それを見た時、冗談抜きに涙が出ました。この文章書いてる今もぼろぼろ泣いてます。
大袈裟かもしれませんが、ドライブが好きだった自分が見たからこそ、気付けた表情。
もっと軽い気持ちで見に行っていたなら、単なるギャグ映画で終わっていたかもしれません。
でも、違う。俺はあのシーンが見れただけでも、映画館に足を運んだ価値があったと思います。
タケルと親父さんの別れのシーンでもグッときましたし、剛とチェイスの別れのシーン「だけは」よかったし……要所要所に曇天から差し込む光明が見えた気がしました――本当に不思議な映画だった。



御世辞にも「面白いよ」とは勧められないし、不平不満は色々ある。
けれど、にわかながらもドライブファンとして見てよかったと思えてしまう。そんな作品でした。






次の楽しみは、来年に発売が予定されている仮面ライダーチェイサー
待ち望んでいたドライブとアクセルの共演が見られるということで、今から興奮がフルスロットルであります!