にわかオタクの雑記帳

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鉄血のオルフェンズが提示した新鮮さと分かりやすさ

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先月からスタートした新ガンダム鉄血のオルフェンズ



まだ序盤ですが、毎週録画を見るのが楽しみなくらいにはハマっております。
ガンダム」の名前を冠した作品は、出来がどうあれ議論の槍玉に挙げられるのが常ですが、
オルフェンズもまた楽しめている人とそうでない人で様々な意見が出ているみたいです。


ガンダムのイメージビジュアルを見ると、所々骨組みが剥き出しで、巨大なメイスを持ったガンダムに、
工事現場の作業服を連想させるような服装のキャラたちと、昨今のガンダムとは違うな、と一目で分かります。
俺がオルフェンズに感じている面白さはこの「今までとは違うと一目で分かる」に集約されていて、
「新鮮さ」「分かりやすさ」を程よくブレンドさせているな、と感じました。
この二点について、ちょっくらまとめていきたいと思います。
以下、作品のネタバレを含みますので、未見の方は注意を。











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・新鮮さについて



宇宙世紀、もしくはそれに近い世界観のガンダムの標準装備と聞かれて思い浮かべるのが、
ビームライフルビームサーベル、それとシールドである。
宇宙空間でスラスターなりブースターを噴かせながらビュンビュン飛びまわり、ビームライフルとはじめとしたビーム兵器を撃ち合いながら、接近したらビームサーベルで切りあう。
マシンガンやミサイルといった実弾兵器は、どちらかというと型遅れな武装として扱われ、量産機等が装備していることが多い。


それに対し、オルフェンズの主役機であるガンダムバルバトスの初期武装は、巨大なメイスのみ


デカイ鉄の塊で殴りかかる、原始的極まりない攻撃方法である。
追加される武装もトマホークや滑空砲など鉄臭く、イメージイラストから感じた武骨さや泥臭さを助長するものばかりだ。
(現時点では)どうやらオルフェンズの世界にビーム兵器は存在していないらしく、敵MSや戦艦にも実弾兵器が搭載されている。
バルバトスは「敵の武器を奪って強くなる」ことをコンセプトとしており、ガンダムAGEでお世辞にも上手く機能していなかったAGEシステムの要素を微妙に拾い上げているのも面白い。



俺は最近のガンダム作品を全てカバーしているわけではないので誤った情報かもしれないが、
ビーム兵器を排除して武骨さを強調したガンダムは、最近ではなかった新しさを十二分に感じさせる。
武骨さと聞くと08小隊を思い浮かべるのだが、逆にいうとそれ以外ではボトムズフルメタ等、別のロボットアニメを想起させるような部分が多い気がする。


別作品と類似していても、ガンダムでは新しい


これが「ガンダムらしくない」「ガンダムでやることじゃない」と批判が出る原因でもあり、
「これまでとは一味違う」と期待を煽る要因のひとつでもあると思う。




主人公である三日月・オーガスもこれまでとはまた少し違った味付けのキャラだ。
パッと見の印象は無口・無感情キャラで、それだけならヒイロや刹那など、これまでのガンダム作品の主人公に存在した要素だ。
正確にいうと、三日月は口数が少ないだけで無感情ではなく、上からの価値観で物を語るクーデリアに反発したり、仕事仲間である昭弘が鉄華団に残ったことに喜びを示したりと、ちゃんと感情はある。
仲間意識も強く、ビスケットの妹が車に轢かれた(と勘違いした)ときは、有無も言わさず相手の首を締めあげる場面もあった。


ただ、彼は兄貴分であるオルガに強く依存しており、命じられれば躊躇なく殺人を犯す機械的な一面がある。


今のところは三日月自身の考えが表に出ることは少なく、「オルガの忠犬」に収まっている。
また、ガンダム主人公によく見られる、戦うこと、人を殺すことへの迷いや葛藤は、少年兵という立場も相まって皆無である。
こうした「自分の考えがない(ように見える)」「人を殺すことに躊躇いがない」キャラを主人公に据えたことに、拒否反応を示すのは何となく分かる気もする。
ただ、俺の目には、主人公にふさわしいかはともかく三日月は間違いなく魅力的なキャラに映っているし、
オルガに依存したまま終わるとは到底思えず、兄貴であり相棒と離反するのかどうかが気になって仕方ない。
人を殺すことへの躊躇いといった人間的要素の欠落についても、今後クーデリアやアトラといったヒロイン陣とのかかわりでそれが埋まるのか、それとも兵士としてより洗練されていくのかといった、三日月がどう成長していくのかを妄想するのが楽しかったりもする。

それはもう一人の主人公といっても差支えないだろうオルガにも言えることで、
彼がこの先組織のリーダーとして、指揮官としてどうなっていくのかがとても楽しみである。




……とまあオルフェンズが内包する「新しさ」は、今後を期待させるものばかりだ。







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・「分かりやすさ」について



こうした今までのガンダムになかった要素を前面に出しつつも、ストーリー自体はかなり堅実に、初見の視聴者も取り込めるように分かりやすく作られている印象を受けた。
ここまでの話をまとめても、「火星で過酷な労働を強いられていた少年兵たちが大人たちに反旗を翻して会社を乗っ取り、独立運動の旗頭であるクーデリアの護衛を引き受け地球に向かう」と当面の目的がはっきりしており、
「こいつら何で戦ってるんだ?」と要らない疑問を持つことがない。
現時点では鉄華団のキャラたちの背景を多く語らず、ストーリーを進めることを優先しているように見える。
それでいて説明不足とは思えない上手さというか、わずかな状況描写で場面場面に説得力を持たせているのはすごいと思う(鉄華団の仲間意識等)。



また、序盤の敵配置が清々しいくらいに明確だ。
少年兵に平気で暴力を振るい、いざとなったら捨て駒にして逃げ出すCCGの大人たちは殺されてもしょうがねえなと思えるし、鉄華団に残ったトドもいかにも裏切りそうなオッサンで、案の定裏切ってボコボコにされた。
三日月に一騎打ちを挑んだクランクのおっさんは「歴戦の勇士」の風格を漂わせており、それに勝利した三日月の強さと冷酷さを強調するのに一役買った。
チョコレートの人は三日月と同じかそれ以上の腕前で、立場もあるお約束的なライバルキャラ。
わざとらしく役割を明確にすることで、「誰が敵で誰が味方なのか」と混乱する状況を回避したように思える。



役割が明確なのはヒロインについても同じで、
三日月たちとは明らかに立場が違う「高根の花」であるクーデリアと、健気で一途なアトラ。
クーデリアが世間知らずである意味ポンコツお嬢様なのも、ベタだが分かりやすいし、親しみが沸く。








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そして、語らずにはいられないのがガンダムバルバトスの魅せ方



大人たちは自分たちを見捨てて逃走。
モビルワーカーでは太刀打ちできない圧倒的戦力差。
次々と命を落としていく仲間たち。


そんな絶望的な状況を、一撃でひっくり返す。


まさに救世主。まさにスーパーロボット
これ以上ないと思えるくらい最高の出撃シーンだったと思う。
バルバトスのデザインにケチをつけていたのに、このシーンで手の平を返した人は多いんじゃないだろうか。
一話の前半部分がやや説明過多だったこともあり、特大級のカタルシスを演出してみせた。
例えガンダムを知らなくても、バルバトスの強さとカッコよさは十分伝わったと思う。
「デカイ武器で殴れば強い」という説明不要な単純明快さも、初見の視聴者を引きこんだはず。



最近の視聴者は我慢弱いというのはモバマスアニメの感想記事で書いたことだけど、
そんな人たちを飽きさせず、迷子にさせず、スムーズに引き込むための「分かりやすさ」
王道は皆に愛されているから王道である、なんて言葉が浮かぶくらい、細かな配慮がされている気がする。
そんな分かりやすい序盤の人物配置を、中盤以降はガンガン崩していくのだろう。だってマリーだし。
「先の展開を予想して楽しむ」ことができるのは、良作の証だと思う。






――以上、5話まで視聴しての感想でした。的外れだったらすいません<m(__)m>
偉そうにちょこちょこ書いたけど、話的にはまだまだこれからなオルフェンズ。
予想の斜め上の展開を連発してくることもありうるのです。むしろそれを期待したい!
放送時間がずれると遊戯王と被るのが目下最大の懸念材料ではありますが、最後まで楽しめますように!