にわかオタクの雑記帳

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にわかのシャニマスプレイ記 偶像の価値、偶像の裏側

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GRAD編のネタバレを含みます注意!!

 

 

 

例えば、かわいいヘビのイラストが描かれたTシャツがあったとして。


「あなたはこれをいくらで買いますか?」と問われたら、その答えは千差万別でしょう。
イラストが気に入りそれなりのお金を出す人もいれば、蛇は嫌いだからタダでもいらないと突っぱねる人もいる。イラストではなく材質や着心地、サイズ感を確かめる人もいるだろうし、何らかの事件に巻き込まれ着ていた服を破かれた半裸の大金持ちなら、大金を積んでまで手に入れようとするかもしれない。


そして、「このイラストは誰が描いたものですか?」と訊いた人がいたとして。


「インターネットのフリー素材です」答えた場合。
「ウチの子供が描きました!」と答えた場合。
「海外で有名な画家の作品です」と答えた場合。


――「アイドルのお手製イラストです」と答えた場合。


Tシャツには、新たな「付加価値」が生まれます。値段を大きく変えてしまうほどの影響力を持ったそれが。

 

 

 

 

 

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GRADの千雪さん編は、「アイドルの桑山千雪」が作った手製の巾着袋が、ラジオの企画でオークションに掛けられたところ、予想以上の反響を呼び、巾着袋にしては申し訳なくなるほどの値段がついてしまったところから始まります。
この辺りはフィクションでもなんでもなく、現実世界でも同じ現象が起きており、アイドルに限らず有名人に関するものは、価値が分からない人にとっては正気を疑いたくなるほどの値段がつくものです。
まして手製の物となれば同じ物は2つとない貴重品ですし、ファンなら是が非でも手に入れたくなるものでしょう。
自分はそういった経験が乏しいので、想像で語るしかないのですが……まあただの水にアニメのイラスト巻くだけで値段が跳ね上がることは身をもって知ってますがね!

 

 

千雪さんは、刻々と値段が上がっていく状況を、素直に歓迎できませんでした。
入札している人々が欲しがっているのは「アイドル桑山千雪お手製」の部分であり、巾着袋そのものではないこと。
元々雑貨屋で働いており、アイドルに専念した今でも手芸の道を諦めていない千雪さんにとって、フィルターがかかって物の価値を正しく判断してもらえないのは、どうしても納得できなかったのでしょう。それが、自分に好意を向けてくれているファンの人たちだったとしても。

 

巾着袋は、アイドルではない素の桑山千雪が作った物。
大きな付加価値を外した時、自作した雑貨はどんな評価を得るのか……千雪さんは、企画で出品したものとほぼ同じ巾着袋をもう1つ作り、匿名でオークションに出品します。
まだ数えるほどしか千雪さんのコミュを見ていませんが、彼女は第一印象である「優しいお姉さん」の側面を持ちつつも、意外と負けず嫌いなんですよね。特に、好きなものに関しては決して譲れないプライドがある……けれど他人を気遣う優しさもあるので、自分の気持ちと板挟みになってしまい悩んでしまうのは、「薄桃色にこんがらがって」を読めばよく分かります。
だから、「アイドル」の付加価値を取り払ったとしても、入札してもらえるはず、評価してもらえるはずだ――そんな自信があったのかもしれません。

 

 

 

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しかし、現実は非情で。

 

結果は、落札額「1円」。先に出品したものとは比べものにならないどころか、「無料でなら」と言われているも同然。
「アイドルでない桑山千雪に価値は無い」――そう受け取ってもおかしくない落札額に、千雪さんは落ち込みます。

 

 

話を横道にそらします。俺は単なるパンピーなので、これまた想像で語るのですが、有名になればなるほど、世間の目は「偶像」を捉えます。
露出した部分だけを見て、「この人はこういう人間だ」とイメージを固めていきます。「偶像」がその名の通り、作られた紛い物だったとしても。
その裏側にある本当の人物像が、「偶像」とは正反対のものだったとしたら。
彼・彼女は、本当の姿を知って欲しい、見て欲しいと願うのでしょうか。世間の目を偽り続けることに耐えられなくなったり、自責の念を覚えたりするのでしょうか。
それを乗り越える精神の強さこそが、有名になれる条件のひとつなのかなぁ、と想像しました。

 

 

アイドルの千雪さんは素とそれほど乖離はしていないものの(してるのはストレイライトの面々かな)、オークションの結果に、彼女は「素の自分が、アイドルの桑山千雪に負けたような気がして」と口にします。世間は、アイドルの道を選ばなかった自分を求めてはいないのだと。
対し、プロデューサーは「他人からの評価が絶対じゃない。自分の価値は自分で認めなきゃ」と諭します。
プロデューサー本人も難しいことだと言っていますが、自分の価値を自分で決めるのって、それこそ自己満足に過ぎないような気がして、納得するのはとても困難だと思います。穿った見方をすれば、ナルシストになっちゃいますし。他人から「あいつはダメなやつだよ」と陰口を叩かれても、「他人にどう思われようが自分は自分だ」と言い聞かせて、自分の信じた道を行く。
言うが易し、ってやつですね。強靱なメンタルがないと、折れてしまう考え方です。

 

 

 

 

 

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だからこそ、素の自分を認めてくれる人は大切なんです。
千雪さんにとっては、まずプロデューサーが、「アイドルではない自分」の価値を認めてくれた人で、彼がいたからこそ、「自分の価値を決めるのは自分」という考え方を飲み込めたのだと思います。
彼が、アイドルではない自分でも誰かを笑顔にできるのだと教えてくれたから。
プロデューサーが、自分を――桑山千雪を信じて良いのだと思わせてくれたから、現実を受け止められる。
「アイドルの桑山千雪」を嫌いにならずに済む。もっと好きになれる。
華々しく照らされた道の脇、ひっそりと咲く小さな花……「C.K」にも、大切な価値があるのだと気付いたから。

 

 

……GRAD編はまだ凜世、甜花、そして今回書いた千雪さんしかプレイしていないのですが、それぞれのキャラクターの「変化」を湿度高めで描く、良シナリオが多い印象です。甜花ちゃんシナリオも本当よかった。凜世は……思い入れが深い人ほど、感動できるお話だったと思います。何回も書いていますが、その分体力削られるんですがね!!

 

今回書いた千雪さん編は、自分の進む道が狭まっていると感じた時、間違っているのではと不安になったとき、脇道に逸れてしまっているのではと確かめたくなったとき、立ち止まって隣を見れば、ちゃんと寄り添って見ていてくれる人がいる。「桑山千雪」を真摯に捉えてくれる人がいる……プロデューサーとの信頼関係を「物の価値」を通して描いたいいストーリーでした。ちょっと目頭熱くなりましたわ。ここまでのめり込ませてくるとは、さすがシャニマス君だと唸らざるを得ないですね。

 

 

 

 

そして、30日からはついにノクチルがメインとなるシナリオイベントが開催されます。
楽しみではありますが、もう予告の時点で「こいつら何やらかすんだ」って感じで、戦々恐々してます……胃が痛くなってきたぞ……