にわかオタクの雑記帳

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にわかのシャニマスプレイ記 変わらぬ想い、変われる――

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WING編を一通り把握……とはいっても配信で見ただけだったり、優勝していなかったり、やり残していることはたくさんありますが、ともかく概ねのキャラの基本情報は掴めたので、徐々にファン感謝祭編に手を出しております。

 


ファン感謝祭編はWING編後のお話であり、アイドルとしての経験を積んだ各グループが、応援してくれているファンへの恩返しとして、各々が考えたステージを披露する……といった流れになります。
WING編ではプロデュースしているアイドル単体の共通コミュがありましたが、ファン感謝祭編では、それに代わりグループごとのコミュが複数回に渡って描かれます。
今のところ、放課後クライマックスガールズと、アルストロメリアの共通コミュを読んだのですが、今回は、後者のアルストロメリアについて触れたいと思います。


以下、イベントコミュのネタバレを含みます。

 

 

 

 

 

 

 

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アルストロメリアの初見イメージって、「いい意味でふわふわしてそう」だったんですね。
優しさMAX、誰も傷つかない、争いごととは無縁な平和で幸せな関係。
前回の記事でも少し書きましたが、大崎姉妹は共依存と言っていいほど仲良しだし、そこに後から入った千雪さんは、最初は遠慮があったものの、様々な経験をアルストロメリアで積むことによって、まるで本当の家族になったかのように溶け込んでいってましたし。
みんないい子で、相手のことを思いやれる優しさを持っている。
まさにイメージ通りのグループだなぁ、ってしばらくは思っていました。

 


「だからこそ」を最初に感じたのは、「薄桃色にこんがらがって」を読んでから。

 


過去のイベントコミュが解放されていた期間、評判のよかったこのコミュを読むために、アルストロメリアメインのストーリーは最初から追っていき、最後に「薄桃色にこんがらがって」を読んで。
典型的な悪者がいなくても、分かりやすい衝突がなくても。誰も悪くなくても……心がズシンと重くなる物語があるのだと、感情を掘り起こされました。

 


千雪さんが昔愛読していた雑誌「アプリコット」の復刊。
編集部はかつてのイメージを払拭しようと、カバーガールに若者に人気の甘奈を起用する。オーディションは行うものの、それは形だけ。甘奈の合格は内定している出来レース
それを知らない千雪さんは、アプリコットの「かつてのイメージ」に多大な影響を受け、大きな憧れを抱いており、その憧れに手を伸ばしてみたい思いを抱いていた。「仲間」である甘奈とぶつかることと、自分の夢を天秤に掛け……最初は甘奈を応援していたものの、悩んだ末に、自らもオーディションを受けることを決める。
その決意を千雪さんの口から直接聞かされた甘奈は、千雪とオーディションで戦い、勝敗が決することによって、これまで通りの関係でいられなくなること、言い換えれば「今までのアルストロメリアが壊れてしまうこと」に恐怖を覚える……

 

 

 

 

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相手を思いやれる優しさがあるからこそ、自分の想いよりも仲間を優先してしまう。
千雪さんが、甘奈が、甜花ちゃんが、それぞれが大好きだからこそ、想いを秘めてしまう。しまい込んでしまう。
「薄桃色にこんがらがって」は、アルストロメリアの優しさが引き起こしたわだかまりを浮き彫りにしました。
これ、例えば自分の意見を我慢せずにガンガン言うストレイライトだったら、起こりえない問題なんですよね。仲良しで、幸せを大切にしたいアルストロメリアだからこそ、「難題」になってしまった。
シリアスが嫌煙されがちな昨今に、(他のシナリオでもそうですが)綺麗事だけでは終わらせられない重いシナリオをぶっこんでくるのすげえなぁって……必然性があるから納得もできますし。


その後、3人は「反対ごっこ」でそれぞれの本音を叫び、これからも3人で歩む未来のために、オーディションでの対決を決めます。例えそれが、結果の決まった出来レースだとしても。
幸せだけじゃなくて、「傷」も共有できるように。

 

 

「薄桃色にこんがらがって」は間違いなく千雪さんメインの話で、「みんなのお姉さん」といった理想の大人として捉えられがちな彼女の内面を、「それだけじゃない」と掘り下げる素晴らしいストーリーだったのですが、それと同じくらい、「変化」を恐れる甘奈の姿に心を締め付けられました。ボイスがまた痛々しいんだ……

 

 

 

 

 

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ここで話を感謝祭編に戻すのですが、アルストロメリアの3人はステージのテーマを「ハッピーエンド」に決めます。
アイドルとして歩み始め、かつて夢見ていた幸せな未来が現実となった今。
ハッピーエンドを迎えられたのは、それぞれの成長と、ファンの支えがあってこそ。
その恩返しのために、甜花ちゃんは率先して奮闘します。かつてのお布団大好き引きこもりが嘘のように。
喜ぶべき成長。千雪さんも甜花ちゃんも、前向きに「変化」し、前進していきます。
もちろん甘奈も、2人と一緒に歩いて行く、共に成長していくつもりでした。
しかし、準備が進むにつれ、彼女は気付きます。自分が2人の背中を見ていること……「幸せな今」に留まりたいことに。

 

「変わること」への恐れ。

 

新しいことへのチャレンジには、往々にして恐怖がつきまとうものです。現状に満足しているなら、余計に。
甘奈にとっては、大好きな甜花ちゃんと千雪さんと一緒にいることが幸せで、それ以上は望んでいない。
前に進んだ結果、幸せな今が壊れてしまったとしたら。
ハッピーエンドの先に進むことによって、大切なものを失ってしまうとしたら――
それでも、歩みを進めなければならないのか? 足を止め、座り込んじゃいけないのか?
正解はないと思います。愚直に未来に突き進んで栄光を手にする人もいれば、崖から転落する人もいる。ぬるま湯に浸り続けることが、結果幸せなことだってあるでしょう。
変わらなきゃいけない思いと、変わりたくない思いの板挟みになり、甘奈は苦悩します。

 

 

 

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3人の出した結論は、「未来を見つめ直す」こと。
変わることを恐れる甘奈に寄り添いつつも、彼女と一緒にその場に留まるのではなく、歩調を合わせて進もうとする。誰かの意見を全肯定するのではなく、今ある幸せを見つめ直し、新しい進み方を模索する。
この着地点がすごくいいなぁ、と。恐怖を抱えた甘奈を気遣って「じゃあこのままで」と今に留まり続けていたら、彼女が罪悪感に押し潰されて、それこそアルストロメリアが壊れてしまったと思うんです。
恐怖を受け止めて、それでも前に進むことはやめない。アイドルとしての進化、輝き続ける方法を考え続ける。
そんな彼女たちだからこそ、「薄桃色にこんがらがって」でも未来に向かって進めたのだと思います。
優しさは自分を犠牲にし続けることではない。偽りの優しさがもたらす未来は、望まぬ崩壊……そう教えられた気がしました。

 

 

 

シャニマスはいい塩梅で心を締め付けるコミュが多くて良きですね……読んだ後体力持っていかれますが。
文脈を深読みできる人ほど面白く感じる、位の高い魅力があると思います。イベントコミュ解放期間中に、もっと読み込んでおくんだったなぁと今さら後悔しております。
他のグループのファン感謝祭編も楽しみやでこれは。