にわかオタクの雑記帳

にわかオタクがそのときハマっていることを書き殴るブログです 主にアニメ・ゲーム中心

遊戯王 New stage2 サイドS 4-9

「あたしのターン!」
 <リチュア・チェイン>の効果によってデッキトップを操作したため、ドローするカードはすでに分かっている。
 <ヴィジョン・リチュア>。手札から捨てることによって、デッキから<リチュア>と名のついた儀式モンスターをサーチする効果を持つモンスターだ。本来なら、このカードの効果で<イビリチュア・ソウルオーガ>をサーチし、相手の場をガラ空きにしてダイレクトアタックを叩きこんでやろうと思っていたのだが……リリースするモンスターが不足している上に、セシルのフィールドには2体のモンスターが並んでいる。伏せカードも気になるし、いくら高レベルの<イビリチュア・ソウルオーガ>と言えど、安易に攻撃はできない。
 紫音は<リチュアの儀水鏡>の隣にある魔法カードに目をやる。
(悔しいけど、ここは守りを固めるしかないか)
 ガンガン攻めるつもりだったのに……出鼻をくじかれたことに苛立ちながらも、
「あたしは<ヴィジョン・リチュア>の効果を使うわ。このカードを手札から捨て、デッキから<リチュア>と名のついた儀式モンスターを手札に加える。あたしがサーチするのは、<イビリチュア・マインドオーガス>」

<ヴィジョン・リチュア>
効果モンスター
星2/水属性/海竜族/攻 700/守 500
水属性の儀式モンスターを特殊召喚する場合、
このカード1枚で儀式召喚のためのリリースとして使用する事ができる。
また、手札からこのカードを捨てる事で、
自分のデッキから「リチュア」と名のついた儀式モンスター1体を手札に加える。

「攻撃力は<ラヴァルバル・ドラグーン>と同じか。仕掛けるつもりか?」
「……誘いには乗らないわよ。儀式魔法<リチュアに伝わりし禁断の秘術>を発動! このカードは、相手フィールド上のモンスターも儀式召喚の贄とすることができる! その代償として、この効果で儀式召喚したモンスターの攻撃力は半分になって、バトルフェイズが行えなくなるけどね」

<リチュアに伝わりし禁断の秘術>
儀式魔法
「リチュア」と名のついた儀式モンスターの降臨に必要。
自分フィールド上及び相手フィールド上から、
儀式召喚するモンスターと同じレベルになるように
表側表示で存在するモンスターをリリースしなければならない。
この効果で儀式召喚したモンスターの攻撃力は半分になる。
このカードを発動するターン、自分はバトルフェイズを行う事ができない。

「くっ……なるほどな」
 セシルが唸る。破壊ではなく、リリース。この除去手段を防げるカードは少ない。
「あんたの場の<ラヴァルバル・ドラグーン>をリリースして――来なさい! <イビリチュア・マインドオーガス>!」
 滞空していた<ラヴァルバル・ドラグーン>の足元に<リチュア>のシンボルマークが浮かび上がり、そこから水柱が噴き出す。その直撃を受けた翼竜が姿を消し、代わりに下半身に魚型のモンスターが合体した、青髪の魔術師が紫音のフィールドに現れる。

<イビリチュア・マインドオーガス>
儀式・効果モンスター
星6/水属性/水族/攻2500/守2000
「リチュア」と名のついた儀式魔法カードにより降臨。
このカードが儀式召喚に成功した時、
お互いの墓地に存在するカードを合計5枚まで選択し、持ち主のデッキに戻す。

 <イビリチュア・マインドオーガス>は、手にしていた杖を真横に構え、守りを固める。
「<マインドオーガス>が儀式召喚に成功した時、お互いの墓地に存在するカードを5枚まで選択し、持ち主のデッキに戻すわ! あんたがせっせと肥やした墓地、軽くしてあげる!」
 高らかに宣言した紫音は、セシルのデュエルディスクをビシリと指差す。
 選択するのは、<ラヴァルバル・ドラグーン>、<ラヴァル・キャノン>、<ラヴァル炎火山の侍女>が2枚。そして――
「わざわざ<ドラグーン>の効果で墓地に送ったんだもの。当然何かあると考えるべきよね。最後の1枚は、<ラヴァル・ランスロッド>よ」
「……<マインドオーガス>は君の墓地のカードも戻せるんだろう? <激流葬>を戻さなくていいのか?」
「あんだけ露骨な墓地肥やしをされたんだもの。1枚でも多くのカードを戻した方がいいに決まってる! 余計なお世話!」
 紫音がふん、と鼻を鳴らすと、セシルは渋々といった感じで選択された5枚のカードをデッキに戻す(<ラヴァルバル・ドラグーン>だけはエクストラデッキだが)。やはり、紫音の選んだカードは間違いではなかったようだ。
「モンスターをセットして、ターンエンド!」
 ライフを削ったわけではないが、少なくとも一矢報いることはできたはずだ。
 <ラヴァルバーナー>が残ってしまったのは痛いが、2体を同時に処理する手段はなかった。
 壁モンスターは2体。残りライフはわずか。一度でも攻撃が通れば、その時点で紫音の敗北が決定する。

【セシルLP4000】 手札3枚
場:ラヴァルバーナー(攻撃)、伏せ1枚
【紫音LP400】 手札2枚
場:イビリチュア・マインドオーガス(守備・攻撃力半分)、裏守備モンスター

「……今度こそ決めさせてもらうぞ。僕のターン」
 視線に力を込めたセシルは、まるで居合のような鋭さでカードを引く。
「<紅蓮地帯を飛ぶ鷹>を召喚! <ラヴァルバーナー>にチューニングだ」

<紅蓮地帯を飛ぶ鷹>
チューナー(効果モンスター)
星1/炎属性/鳥獣族/攻 100/守   0
このカードがシンクロモンスターシンクロ召喚に使用され
墓地へ送られた場合に自分の墓地に「ラヴァル」と名のついた
モンスターが3種類以上存在する場合、
このカードを自分フィールド上に特殊召喚する事ができる。
この効果で特殊召喚したこのカードは、フィールド上から離れた場合
ゲームから除外される。

 再びセシルのフィールドに火柱が上がる。
 2体のモンスターの合計レベルは6。もう一度<ラヴァルバル・ドラグーン>を出してくるか、それとも――
「闘争の渦中に生きる猛者よ! その拳であらゆる障害を突破せよ……シンクロ召喚!」
 セシルの口上が、無人の街に響き渡る。
 火柱の中で、影が揺らめく。
「戦う者……<ラヴァル・グレイター>!」
 ボン! という爆音と共に、火柱の中から2つの拳が飛び出す。
 火柱を形成していた炎は、突き出た拳に吸い込まれるようにして圧縮されていく。
 右拳に真紅の炎を宿し。
 左拳に氷雨の炎を宿し。
 2つの炎を宿した戦士は、沸き上がる闘志を内に秘め、戦場に現れた。

<ラヴァル・グレイター>
シンクロ・効果モンスター
星6/炎属性/戦士族/攻2400/守 800
チューナー+チューナー以外の炎属性モンスター1体以上
このカードがシンクロ召喚に成功した時、自分は手札を1枚墓地へ送る。
このカードがカードの効果によって破壊される場合、
代わりに自分の墓地に存在する「ラヴァル」と名のついたモンスター1体を
ゲームから除外する事ができる。