にわかオタクの雑記帳

にわかオタクがそのときハマっていることを書き殴るブログです 主にアニメ・ゲーム中心

遊戯王 New stage2 サイドS 4-11

「……黙って聞いてれば身勝手な言い分をベラベラと!」
 我慢の限界に達したようで、今度はセシルが大声を上げる。
「現在しか見ていないから、そんな気楽な意見が言える! 今はよくても、サイコパワーはいつか人を狂わせる! 真っ当な戦う理由を持ちながらも、最後は暴走してしまった人を僕は何人も見てきた!」
 次は自分の番だと言わんばかりに、紫音に口を挟む隙を与えないようにまくし立てる。

「僕の父さんだってそうだ! 母さんを守るためにサイコデュエリストになったくせに――最後はその母さんを殺した!!」

 セシルの口から飛び出した事実に、紫音は一瞬頭が真っ白になる。
 父親が、母親を殺した?
「僕は父さんのようにはならない。これ以上サイコパワーによる悲劇が起こる前に、その原因を取り除く!!」

【セシルLP4000】 手札0枚
場:ラヴァル・グレイター(攻撃)、ラヴァル・ツインスレイヤー(攻撃)、伏せ1枚
【紫音LP400】 手札1枚
場:イビリチュア・マインドオーガス(守備・攻撃力半分)、裏守備モンスター

「……それが、あんたの戦う理由?」
 一呼吸置いた後。紫音の問いに、セシルは頷いた。
 詳しい事情は分からないが、今のがセシルの本心なのだろう。サイコパワーによって誰かが悲しむ前に、その力をこの世から消し去る。「清浄の地」の名目よりもよっぽど納得のできる理由だ。本音を聞いたことで、彼に対する怒りは薄れていた。
「……今ならまだ間に合う。サイコパワーを捨てて、ここから立ち去れ」
 だが。
「――お断り! あんたの過去を聞いて引き下がるほど、あたしはお人好しじゃない!」
 そう宣言して、紫音はカードをドローする。
 結論は変わらない。ここでセシルに負けるわけにはいかない。
 その想いに応えるかのように、ドローしたのは待ち望んでいた儀式モンスターだった。
「あたしは<リチュア・エリアル>を反転召喚! リバース効果発動よ!」

<リチュア・エリアル>
効果モンスター
星4/水属性/魔法使い族/攻1000/守1800
リバース:自分のデッキから
「リチュア」と名のついたモンスター1体を手札に加える事ができる。

 先のターンで裏守備だったこのモンスターに攻撃をしなかったのは、リバース効果が発動することを恐れてだろうが、どの道結果は変わらない。
「デッキから<リチュア・ビースト>を手札に加え、そのまま召喚! 効果で墓地から<ヴィジョン・リチュア>を守備表示で特殊召喚する!」

<リチュア・ビースト>
効果モンスター
星4/水属性/獣族/攻1500/守1300
このカードが召喚に成功した時、
自分の墓地に存在するレベル4以下の「リチュア」と名のついた
モンスター1体を選択して表側守備表示で特殊召喚する事ができる。

<ヴィジョン・リチュア>
効果モンスター
星2/水属性/海竜族/攻 700/守 500
水属性の儀式モンスターを特殊召喚する場合、
このカード1枚で儀式召喚のためのリリースとして使用する事ができる。
また、手札からこのカードを捨てる事で、
自分のデッキから「リチュア」と名のついた儀式モンスター1体を手札に加える。

 <ヴィジョン・リチュア>には儀式モンスターをサーチする効果の他にも、リリースを軽減させる効果がある。このモンスター1体で、<リチュア>の高レベル儀式モンスターを呼び出すことが可能だ。
「さあ、こっから反撃よ! <リチュアの儀水鏡>を発動! <ヴィジョン・リチュア>をリリースして――死してなお現界し続ける魂の屍よ。あたしに力を貸しなさい!」
 <ヴィジョン・リチュア>の姿が光に包まれ、再び<リチュア>のシンボルマークが紫音の足元に浮かび上がる。
儀式召喚っ……<イビリチュア・スカルドラゴン>!!」
 姿が現れる前に、咆哮が来る。
 フィールドの空気を震わせるように響き渡った咆哮は、敵だけでなく味方さえも委縮させる。
 バサリ、と2枚の翼が広がる。
 しかし、風は生まれない。
 なぜなら、その翼は毒々しい紫色の骨のみで構成されていたからだ。
 翼だけではない。
 姿形は一般的に「ドラゴン」と呼ばれる幻想種のものに近いが、それらを形作っているのは紫色の骨のみ。
 まさに、「骨の龍」と現すにふさわしいモンスターだった。

<イビリチュア・スカルドラゴン>
儀式・効果モンスター(オリジナルカード)
星8/水属性/ドラゴン族/攻3000/守1500
「リチュア」と名のついた儀式魔法カードにより降臨。
1ターンに1度、自分フィールド上に表側表示で存在する
このカード以外の「リチュア」と名のついたモンスターを任意の枚数墓地に送る事ができる。
このカードの攻撃力は、この効果で墓地に送ったカードの枚数×300ポイントアップする。

「……ただ喚くだけの子供じゃないようだな」
「当然でしょ。あたし嘘吐くの嫌いだもん。<イビリチュア・スカルドラゴン>の効果発動! 1ターンに1度、<リチュア>と名のついたモンスターを任意の枚数墓地に送り、送ったモンスター1体につき、300ポイント攻撃力が上昇する! あたしは<スカルドラゴン>以外の3体を全て墓地に送るわ!」
 <イビリチュア・マインドオーガス>、<リチュア・エリアル>、<リチュア・ビースト>の3体が、それぞれの足元から噴き上がった水流に呑まれる。その水流は骨の隙間をくぐり、<イビリチュア・スカルドラゴン>の体内へと吸い込まれていく。3本の水流が1つに合わさり、大きな水球を作りだした。
「攻撃力3900……!」
「今までのお返し! <スカルドラゴン>で<ツインスレイヤー>を攻撃!」
 骨の龍がその上半身をのけ反らせ、ガパァと口を開く。
 体内に収まっていた水球が、喉の部分を通って開いた口へと上がっていく。
 圧縮された水が、紫の光を宿す。
「ナイトメア・ストリーム!!」
 その瞬間、紫音は攻撃宣言を下した。
 骨の龍の口から放たれた水流は、竜巻のようにうねり、赤き戦士へと猛進する。それはまるで、巨大な蛇の動きを連想させた。
「くっ……ダメージは減らす! 永続罠<炎熱旋風壁>を発動! 自分フィールド上の<ラヴァル>の攻撃力は、墓地の<ラヴァル>1体につき100ポイントアップする!」

<炎熱旋風壁>
永続罠
自分フィールド上に表側表示で存在する
「ラヴァル」と名のついたモンスターの攻撃力は、
自分の墓地に存在する「ラヴァル」と名のついた
モンスターの数×100ポイントアップする。

 セシルの墓地にいる<ラヴァル>と名のついたモンスターは8体。標的となった<ラヴァル・ツインスレイヤー>の攻撃力は800ポイント上昇し、3200。しかし<イビリチュア・スカルドラゴン>には届かない。
 紫の水流――「ナイトメア・ストリーム」に呑まれた赤き戦士は、そのまま戦場から脱落する。

【セシルLP4000→3300】

 これがセシルの初ダメージだ。まだライフ差は大きいが、十分に巻き返せる。
「あたしのターンは終わり。このままペースを握らせてもらうわ」

【セシルLP3300】 手札0枚
場:ラヴァル・グレイター(攻撃)、炎熱旋風壁
【紫音LP400】 手札0枚
場:イビリチュア・スカルドラゴン(攻撃)