にわかオタクの雑記帳

にわかオタクがそのときハマっていることを書き殴るブログです 主にアニメ・ゲーム中心

遊戯王 New stage2 サイドS 4-12

「僕のターン。ドロー」
 必要以上の言葉は発しようとせずに、セシルがデッキからカードを引く。
 しかし、そのドローカードは芳しくなかったようで、
「カードを1枚セットして、ターンエンドだ」
 伏せカードをセットしただけで、ターンを終了した。
「<ラヴァル・グレイター>は守備表示にしなくていいわけ?」
 <炎熱旋風壁>の効果で<ラヴァル・グレイター>の攻撃力は3300に上がっているが、<イビリチュア・スカルドラゴン>の3900には届かない。このままでは戦闘破壊された上にダメージを受けることになるが……
「君に背中は見せない」
 それが僕のプライドだ、という言葉が続きそうなセリフだった。
「ふうん。それならいいけど」
 指摘したことを若干後悔しつつ、紫音はセシルが伏せたカードに視線を流す。
(……攻撃を誘ってるのかな)
 プライド云々だけの問題で、<ラヴァル・グレイター>の表示形式を変更しなかったとは思えない。やはり、何かしらの策があるのだろう。

【セシルLP3300】 手札0枚
場:ラヴァル・グレイター(攻撃)、炎熱旋風壁、伏せ1枚
【紫音LP400】 手札0枚
場:イビリチュア・スカルドラゴン(攻撃)

「あたしのターン!」
 セシルが何か企んでいようと、今の紫音にはそれを防ぐ手立てがない。<イビリチュア・スカルドラゴン>の攻撃を安全に通すためにも、ここはドローカードに期待したいところだが――
「よし、これなら……!」
 引いたカードは<貪欲な壺>。この状況で最高の引きだ。
 紫音はすぐさまそのカードを発動しようとする。
「……相手スタンバイフェイズに罠カード<覇者の一括>を発動!」
「――っ!? このタイミングで!?」
「<覇者の一括>を発動したターン、相手はバトルフェイズを行うことができない」

<覇者の一括>
通常罠
相手スタンバイフェイズで発動する事ができる。
発動ターン相手はバトルフェイズを行う事ができない。

 表になった罠カードが轟音を発し、大気が震える。思わず耳を塞ぐ紫音。
「つ~~~耳がキンキンする」
「大丈夫? 紫音ちゃん」
 後ろから亜砂の心配そうな声が聞こえてくるが、紫音は「へいきへいき」と笑って見せる。このターンのバトルフェイズは封じられたが、やることに変わりはない。
「魔法カード<貪欲な壺>を発動っと。墓地のモンスターを5枚デッキに戻して、カードを2枚ドローする」

<貪欲な壺>
通常魔法
自分の墓地に存在するモンスター5体を選択し、
デッキに加えてシャッフルする。
その後、自分のデッキからカードを2枚ドローする。

 戻すモンスターは<イビリチュア・マインドオーガス>、<リチュア・ビースト>、<リチュア・ガーディアン>、<リチュア・チェイン>、<リチュア・バランサー>。
 5枚のカードをデッキに戻すと、デュエルディスクが自動的にシャッフルを行う。それが終了してから、紫音は2枚のカードをドローした。
「……カードを2枚伏せる。ターンエンドよ」
 引いたカードは、両方とも罠カードだった。
 果たして、このドローは吉と出るか凶と出るか。
 その行方は、セシルのプレイングにかかっている。

【セシルLP3300】 手札0枚
場:ラヴァル・グレイター(攻撃)、炎熱旋風壁
【紫音LP400】 手札0枚
場:イビリチュア・スカルドラゴン(攻撃)、伏せ2枚

「僕のターン……ようやく来たか」
 今度は待望のドローだったようだ。セシルの表情が明らかに明るくなる。
 両の瞳が挑戦的な光を宿しながら細められる。
 根拠はないが、紫音の直感が訴えていた。
 このターンをしのげば、勝てると。
「魔法カード<真炎の爆発>を発動! 自分の墓地に存在する守備力200の炎属性モンスターを、可能な限り特殊召喚する。蘇れ、<ツインスレイヤー>、<妖女>、<侍女>!」

<真炎の爆発>
通常魔法
自分の墓地に存在する守備力200の
炎属性モンスターを可能な限り特殊召喚する。
この効果で特殊召喚したモンスターは
このターンのエンドフェイズ時にゲームから除外される。

 セシルは手にした魔法カードを、フィールド目がけて投げつける。
 地に落ちる寸前、爆発音と共にカードが弾け、セシルのフィールドを覆うような爆炎が巻き起こる。
「これって……」
「気をつけて紫音ちゃん!」
 炎の勢いが収まると、そこには<ラヴァル・ツインスレイヤー>、<ラヴァル炎樹海の妖女>、<ラヴァル炎火山の侍女>が出現していた。
「……僕も、お前に何を言われようが引き下がらない。行くぞ! <ツインスレイヤー>に<妖女>をチューニング!」
 セシルの覚悟を示す火柱が、空に届きそうな勢いで噴き上がる。
「闘争の渦中で佇む猛者よ! その砲で暗雲に風穴を開けろ……シンクロ召喚! 放つ者、<ラヴァル・ステライド>!」
 火柱の勢いが徐々に衰え、地面へと戻っていく。
 現れたのは、<ラヴァル・キャノン>に酷似した青い巨人だ。<ラヴァル・キャノン>よりも大きく、頑強な肉体の巨人。右腕は、赤き光をたたえる砲になっている。
 そして、纏っている鎧は――<ヴァイロン>のそれを想起させた。

<ラヴァル・ステライド>
シンクロ・効果モンスター
星7/炎属性/炎族/攻2700/守1800
チューナー+チューナー以外の炎属性モンスター1体以上
このカードがシンクロ召喚に成功した時、自分は手札を1枚墓地へ送る。
このカードがカードの効果の対象になった時、
自分の墓地に存在する「ラヴァル」と名のついた
モンスター1体をゲームから除外する事で、その発動を無効にし破壊する。

「分かっているな? <ラヴァル炎樹海の妖女>がフィールドから墓地に送られた時、自分フィールドの<ラヴァル>は、エンドフェイズまで墓地の<ラヴァル>の数×200ポイント攻撃力がアップする」

<ラヴァル炎樹海の妖女>
チューナー(効果モンスター)
星2/炎属性/炎族/攻 300/守 200
このカードがフィールド上から墓地へ送られた時、
自分フィールド上に表側表示で存在する
「ラヴァル」と名のついたモンスターの攻撃力はエンドフェイズ時まで、
自分の墓地に存在する「ラヴァル」と名のついた
モンスターの数×200ポイントアップする。

 <ラヴァル・ステライド>、そして<ラヴァル・グレイター>の纏う炎が激しさを増す。
 <ラヴァル炎火山の侍女>は守備表示だ。このまま除外するつもりなのだろう。
「僕の墓地に<ラヴァル>と名のついたモンスターは8体。3体の<ラヴァル>は1600ポイント攻撃力がアップする!」
 さらに、<炎熱旋風壁>の効果で800ポイントアップ。
 <ラヴァル・グレイター>の攻撃力は4800、<ラヴァル・ステライド>の攻撃力は5100。どちらも並大抵のモンスターでは太刀打ちできない攻撃力だ。
 当然、<イビリチュア・スカルドラゴン>も例外ではない。
「今度こそ終わりだ。僕に刃向ったことを、あの世で後悔しろ! <ラヴァル・グレイター>で<スカルドラゴン>を攻撃する!」
 ついに下った命に従い、炎の戦士は戦場を駆ける。
 両腕に宿る2色の炎が、闘志を体現するかのごとく燃えあがる。
「いいわ――来なさいよ!」