にわかオタクの雑記帳

にわかオタクがそのときハマっていることを書き殴るブログです 主にアニメ・ゲーム中心

遊戯王 New stage2 サイドM 4-5

「俺が先攻で行かせてもらいますよ! ドロー!」
 自然と指先に力が宿る。今までデュエルをするときに抱いていた鬱々とした感情が、綺麗さっぱり無くなっている。心意気ひとつでこうも世界が違って見えるものかと、ミハエルは今さらながらに驚いた。
 手札には戦闘破壊されることでリクルート効果を発揮する<ガスタ・イグル>がいる。定石ならば、このモンスターをセットして相手の出方を窺うべきだろう。
 だが、ミハエルは<ガスタ・イグル>を手に取らなかった。
「<ガスタ・サンボルト>を召喚!」

<ガスタ・サンボルト>
効果モンスター
星4/風属性/雷族/攻1500/守1200
このカードが戦闘によって破壊され墓地へ送られた場合、
そのバトルフェイズ終了時に自分の墓地に存在する
「ガスタ」と名のついたモンスター1体をゲームから除外する事で、
自分のデッキから守備力1500以下の
サイキック族・風属性モンスター1体を特殊召喚する。

 呼び出したのは、エメラルドグリーンの毛を生やした雄々しい犬だ。<ガスタ>の下級モンスターの中では高めの攻撃力を持つモンスターだが、1500という打点はアタッカーとしては心許ない。
 それでも、ミハエルは1ターン目から攻撃表示で召喚した。
 過去の自分――勝利だけを追い求めていた自分、恐怖から逃げ続けていた自分との決別。その意思表示をするために。
「カードを2枚セット。ターンエンドっス」
 無論、今後の展開を予測してのサポートも抜かりなく行う。
 意思表示だけではダメだ。このデュエルでは、結果を示さなければならない。

【ミハエルLP4000】 手札3枚
場:ガスタ・サンボルト(攻撃)、伏せ2枚
【神楽屋LP4000】 手札5枚
場:なし

「ハッ。随分と気合入ってるじゃねえか」
 ミハエルとしてはそこまで感情を表に出したつもりはなかったのだが、神楽屋にはお見通しだったらしい。口の端を釣り上げた神楽屋は、自らのデッキからカードをドローする。
「なら、こっちも初っ端から全開で行かせてもらうか! 手札から魔法カード<ジェムナイト・フュージョン>を発動! 手札の<ジェムナイト・ガネット>と<ジェムナイト・サフィア>を融合!」

<ジェムナイト・フュージョン>
通常魔法
手札・自分フィールド上から、融合モンスターカードによって
決められた融合素材モンスターを墓地へ送り、
「ジェムナイト」と名のついた融合モンスター1体を
融合召喚扱いとしてエクストラデッキから特殊召喚する。
また、このカードが墓地に存在する場合、
自分の墓地に存在する「ジェムナイト」と名のついた
モンスター1体をゲームから除外する事で、このカードを手札に加える。

融合召喚……!」
「屠れ! <ジェムナイト・マディラ>!」
 神楽屋が掲げた2枚のモンスターカード――<ジェムナイト・ガネット>と<ジェムナイト・サフィア>から強烈な光が放たれ、フィールド上に黄水晶と呼ばれる巨大な宝石が出現する。
 黄水晶にヒビが入り、中から青いマントを翻した甲冑の騎士が現れる。その両腕と手にした剣は溶岩のように赤く輝いており、沸々と熱気を振りまくかのようだった。

<ジェムナイト・マディラ>
融合・効果モンスター
星7/地属性/炎族/攻2200/守1950
「ジェムナイト」と名のついたモンスター+炎族モンスター
このカードは融合召喚でのみエクストラデッキから特殊召喚する事ができる。
このカードが戦闘を行う場合、相手はダメージステップ終了時まで
魔法・罠・効果モンスターの効果を発動する事はできない。

 <ジェムナイト・マディラ>。激昂したアレクの攻撃から、ミハエルを守ってくれたモンスターだ。命の恩人ともいえる騎士が、倒すべき敵として立っている。
「バトルフェイズに入るぜ。<マディラ>で<サンボルト>を攻撃!」
 甲冑の騎士は、トン、とステップを踏むような気軽さで地面を蹴る。
 瞬間、爆発的な推進力が生まれ、重い鎧に包まれた体が屠るべき標的に向けて一気に加速する。
 剣を真横に構えると同時、<ジェムナイト・マディラ>は赤く光る左手を突き出し、五指を広げる。
「――ッ!?」
 ミハエルの場に伏せられた2枚のカードに、火の玉が連結することで構成された鎖が巻きつく。これでは、伏せカードを発動することはできない。
「目論見が外れたか? <マディラ>が戦闘を行うとき、相手はダメージステップ終了時まで魔法・罠・効果モンスターの効果を発動することはできないぜ」
「くっ……」
「食らいな! パイロ・スラッシュ!」
 刃の内側でマグマが滾っているかのように、輝きが強さを増す。
 <ジェムナイト・マディラ>は、そのまま横一線に剣を振りぬく。
 後ろに跳ぶことでかろうじて真っ二つになることを避けた<ガスタ・サンボルト>だったが、致命傷を負ったことに変わりはなかった。力無く倒れ、戦場から脱落する。

【ミハエルLP4000→3300】

「……<ガスタ・サンボルト>の効果発動! このカードが戦闘によって破壊され墓地に送られた時、バトルフェイズ終了時に墓地に存在する<ガスタ>を1体除外することで、デッキから守備力1500以下のサイキック族・風属性のモンスターを1体特殊召喚できるっス!」
「――なら、バトルフェイズを終了するぜ」
「俺は<サンボルト>自身を除外。<ガスタの疾風 リーズ>を特殊召喚します!」
 獣の意志を継いで現れたのは、翡翠色の髪を赤いリボンがついた髪留めでツインテールに結った女性型のモンスターだ。チューブトップにミニのタイトスカートと肌の露出が多めの格好をしているが、赤の鉢巻きを巻いた顔は凛々しさを感じさせる。手にした杖の先端は鉤爪のようになっており、その鉤爪に青色のクリスタルが支えられている。

<ガスタの疾風 リーズ>
効果モンスター
星5/風属性/サイキック族/攻1900/守1400
手札を1枚デッキの一番下に戻し、
相手フィールド上に存在するモンスター1体と
自分フィールド上に表側表示で存在する
「ガスタ」と名のついたモンスター1体を選択して発動する。
選択したモンスターのコントロールを入れ替える。
この効果は1ターンに1度しか使用できない。

「上級モンスターをリクルートしてきたか。厄介な効果を持ってそうだな……俺もカードを2枚セットして、ターンエンドだ」
 神楽屋の場に2枚の伏せカードが現れる。当然、警戒しなくてはいけない。
 だが、恐れてはいけない。前に進めなくなって立ち止まるのはもうゴメンだ。

【ミハエルLP3300】 手札3枚
場:ガスタの疾風 リーズ(攻撃)、伏せ2枚
【神楽屋LP4000】 手札1枚
場:ジェムナイト・マディラ(攻撃)、伏せ2枚