遊戯王 New stage サイドS 10-9
「俺の……ターンッ!!」
強気の発言とは逆に、<A・ジェネクス>には、信二の<天魔神ノーレラス>のように、1枚で戦局を引っ繰り返せるようなカードはない。
「ドロー!」
一体どのカード引けばいいのか。
それすらも定まらぬまま、創志はカードをドローする。
「こいつは……!」
朦朧としていた意識が、一気に鮮明になる。
歪んでいた道が、真っすぐに正されていくようだ。
「魔法カード<貪欲な壺>発動! 墓地のモンスターを5枚デッキに戻し、その後、デッキからカードを2枚ドローする!」
引いたのは、望みを繋ぐ魔法カード。
ティトから託されたカードだった。
強気の発言とは逆に、<A・ジェネクス>には、信二の<天魔神ノーレラス>のように、1枚で戦局を引っ繰り返せるようなカードはない。
「ドロー!」
一体どのカード引けばいいのか。
それすらも定まらぬまま、創志はカードをドローする。
「こいつは……!」
朦朧としていた意識が、一気に鮮明になる。
歪んでいた道が、真っすぐに正されていくようだ。
「魔法カード<貪欲な壺>発動! 墓地のモンスターを5枚デッキに戻し、その後、デッキからカードを2枚ドローする!」
引いたのは、望みを繋ぐ魔法カード。
ティトから託されたカードだった。
<貪欲な壺> 通常魔法 自分の墓地に存在するモンスター5体を選択し、 デッキに加えてシャッフルする。 その後、自分のデッキからカードを2枚ドローする。
<A・ジェネクス・トライアーム>はエクストラデッキに、<A・ジェネクス・リモート>、<A・ジェネクス・バグラット>、<A・ジェネクス・ボルキャノン>、<A・ジェネクス・チェンジャー>をデッキに戻すと、ディスクが自動的にシャッフルを開始する。
「そうし!」
銀色の少女の声が響く。
その声に背中を押されるように、指先が動いた。
――思い出せ。
――俺は、1人で戦ってるんじゃないってことを!
「そうし!」
銀色の少女の声が響く。
その声に背中を押されるように、指先が動いた。
――思い出せ。
――俺は、1人で戦ってるんじゃないってことを!
「ドロー!!」
<黙する死者> 通常魔法 自分の墓地に存在する通常モンスター1体を選択して発動する。 選択したモンスターを表側守備表示で特殊召喚する。 この効果で特殊召喚したモンスターは フィールド上に表側表示で存在する限り攻撃する事ができない。
「つ、通常モンスター!? そんな、兄さんのデッキに通常モンスターなんて入っているわけが……」
信二が狼狽する。背後にいる仲間たちからもどよめきが聞こえた。
確かに、信二の言うとおり<A・ジェネクス>に通常モンスターはいない。
しかし。
信二が狼狽する。背後にいる仲間たちからもどよめきが聞こえた。
確かに、信二の言うとおり<A・ジェネクス>に通常モンスターはいない。
しかし。
<ジェネクス>なら、どうだ?
<ジェネクス・コントローラー> チューナー(通常モンスター) 星3/闇属性/機械族/攻1400/守1200 仲間達と心を通わせる事ができる、数少ないジェネクスのひとり。 様々なエレメントの力をコントロールできるぞ。
「<ジェネクス・コントローラー>!? どうして兄さんがそのカードを!? だって、兄さんの<ジェネクス>デッキはあのとき炎に焼かれて……」
「ああ。その通りだ」
頷いた創志は、背後を振り返る。
視線の先にいるのは、この事件の黒幕というべき人物――光坂慎一だった。
創志の視線に気づいた光坂は、「君が説明しろ」といわんばかりに、ニヤニヤと笑っていた。
「……お前とのデュエルでは必要だと思ったからな。光坂から借りたんだよ」
実際には強引に押し付けられたのだが。
それでも、こうして姿を見ると感慨を覚えずにはいられない。
――力を貸してくれ、相棒。
「<ノーレラス>の効果で墓地に送られてたのか……で、でも!」
「分かってるだろ? こいつだけで終わりじゃねえってことを――このカードは自分フィールド上に<ジェネクス・コントローラー>が表側表示で存在するとき、リリース無しで召喚することができる! 来い、<ジェネクス・ヒート>!」
機械の小人の隣に並んだのは、体の中心に大型の炉を据えたモンスターだ。
「ああ。その通りだ」
頷いた創志は、背後を振り返る。
視線の先にいるのは、この事件の黒幕というべき人物――光坂慎一だった。
創志の視線に気づいた光坂は、「君が説明しろ」といわんばかりに、ニヤニヤと笑っていた。
「……お前とのデュエルでは必要だと思ったからな。光坂から借りたんだよ」
実際には強引に押し付けられたのだが。
それでも、こうして姿を見ると感慨を覚えずにはいられない。
――力を貸してくれ、相棒。
「<ノーレラス>の効果で墓地に送られてたのか……で、でも!」
「分かってるだろ? こいつだけで終わりじゃねえってことを――このカードは自分フィールド上に<ジェネクス・コントローラー>が表側表示で存在するとき、リリース無しで召喚することができる! 来い、<ジェネクス・ヒート>!」
機械の小人の隣に並んだのは、体の中心に大型の炉を据えたモンスターだ。
<ジェネクス・ヒート> 効果モンスター 星5/炎属性/炎族/攻2000/守1300 自分フィールド上に「ジェネクス・コントローラー」が表側表示で存在する場合、 このカードはリリースなしで召喚する事ができる。
「レベル5の<ジェネクス・ヒート>に、レベル3の<ジェネクス・コントローラー>をチューニング――」
<ジェネクス・コントローラー>が頭に付いたランプをチカチカと明滅させ、その体を3つの光球に変える。
光坂を助け、初めて受け取った<ジェネクス>デッキ。
信二とのデュエルで、何回も召喚したモンスター。
「原初の煌めきが、新たな力の結晶を生み出す! 集え! 炎の力よ!」
何度も紡いだ口上。
<ジェネクス・コントローラー>が頭に付いたランプをチカチカと明滅させ、その体を3つの光球に変える。
光坂を助け、初めて受け取った<ジェネクス>デッキ。
信二とのデュエルで、何回も召喚したモンスター。
「原初の煌めきが、新たな力の結晶を生み出す! 集え! 炎の力よ!」
何度も紡いだ口上。
青白い炎が噴き上がる。
体の各所から蒸気を噴きだしながら、群青色の巨体が創志の前に現れた。
体の各所から蒸気を噴きだしながら、群青色の巨体が創志の前に現れた。
<サーマル・ジェネクス> シンクロ・効果モンスター 星8/炎属性/機械族/攻2400/守1200 「ジェネクス・コントローラー」+チューナー以外の炎属性モンスター1体以上 このカードの攻撃力は自分の墓地に存在する 炎属性モンスター1体につき200ポイントアップする。 このカードが戦闘によって相手モンスターを破壊した場合、 自分の墓地の「ジェネクス」と名のついたモンスター ×200ポイントダメージを相手ライフに与える。
「<サーマル・ジェネクス>は、墓地の炎属性のモンスターの数だけ攻撃力を上昇させるぜ! つっても、墓地には<ジェネクス・ヒート>しかいねえけえどな」
ずっと頼りにしてきた力。
一度は失った力が、創志のために戦ってくれる。
自然と、握った拳に力が入った。
「<サーマル・ジェネクス>……」
信二はその巨体を見上げ、力無く呟いた。
むせかえるような濃い殺気は、すでに消えている。
「終わりにするぜ、信二! <サーマル・ジェネクス>で<インヴェルズを呼ぶ者>を攻撃!」
地面に両足を縫い付け、群青色の巨体が構えを固定させる。
「バーニング――バスターカノン!!」
<サーマル・ジェネクス>の体の中央にある穴から、轟炎が射出される。
青白い炎は、最後に残った悪魔と、その主人を呑み込んでいった。
ずっと頼りにしてきた力。
一度は失った力が、創志のために戦ってくれる。
自然と、握った拳に力が入った。
「<サーマル・ジェネクス>……」
信二はその巨体を見上げ、力無く呟いた。
むせかえるような濃い殺気は、すでに消えている。
「終わりにするぜ、信二! <サーマル・ジェネクス>で<インヴェルズを呼ぶ者>を攻撃!」
地面に両足を縫い付け、群青色の巨体が構えを固定させる。
「バーニング――バスターカノン!!」
<サーマル・ジェネクス>の体の中央にある穴から、轟炎が射出される。
青白い炎は、最後に残った悪魔と、その主人を呑み込んでいった。
【信二LP800→0】
「僕が、負けた……?」
現実が受け入れられず、信二は両膝をついてうなだれる。
こんなはずではなかった。
自分の力を証明し、人々を救うために世界を変革する。それが信二の役割だったはずだ。そのための力だったはずだ。
「そんな……これじゃ……」
変われていなかったのだろうか。
自分だけでは立ち上がることすらできない、弱い「皆本信二」から。
――それじゃダメだ。
信二は、1人で生きていかなければならない。それを見せないといけない。
そうしないと――
現実が受け入れられず、信二は両膝をついてうなだれる。
こんなはずではなかった。
自分の力を証明し、人々を救うために世界を変革する。それが信二の役割だったはずだ。そのための力だったはずだ。
「そんな……これじゃ……」
変われていなかったのだろうか。
自分だけでは立ち上がることすらできない、弱い「皆本信二」から。
――それじゃダメだ。
信二は、1人で生きていかなければならない。それを見せないといけない。
そうしないと――
――兄さんは、ずっと僕を背負ってかなきゃならない。
自分の存在が、創志の重荷になっている。
サテライトに来てから、強く感じるようになった。
自分のせいで、創志の人生を台無しにするわけにはいかない。
そのためには、強くならなきゃいけないんだ。
自分1人だけで生きていけなきゃダメなんだ。
そう思っていたところに現れたのが、光坂だった。
「僕……僕は……」
気付けば、瞳一杯に涙が溜まっていた。
それがこぼれると同時、信二の目の前に手の平が差しだされる。
信二のよく知る、暖かみを持った手だった。
「帰るぜ、信二」
頭上から声が降り注ぐ。
信二はすぐに顔を上げることができなかった。
何を言えばいいのか、どんな顔をすればいいのか……頭の中がごちゃごちゃになっていたからだ。
信二が動かないことに気付いたのか、声の主は息を吐いた後、
サテライトに来てから、強く感じるようになった。
自分のせいで、創志の人生を台無しにするわけにはいかない。
そのためには、強くならなきゃいけないんだ。
自分1人だけで生きていけなきゃダメなんだ。
そう思っていたところに現れたのが、光坂だった。
「僕……僕は……」
気付けば、瞳一杯に涙が溜まっていた。
それがこぼれると同時、信二の目の前に手の平が差しだされる。
信二のよく知る、暖かみを持った手だった。
「帰るぜ、信二」
頭上から声が降り注ぐ。
信二はすぐに顔を上げることができなかった。
何を言えばいいのか、どんな顔をすればいいのか……頭の中がごちゃごちゃになっていたからだ。
信二が動かないことに気付いたのか、声の主は息を吐いた後、
「俺には、お前が必要なんだよ」
照れくさそうに、そう言った。